タキロンシーアイ 【東証プライム:4215】「化学」 へ投稿
企業概要
(1)経営方針
当社グループのグループ企業理念と長期ビジョンは以下のとおりです。
・グループ企業理念
〈使命〉
人と地球にやさしい未来を創造する
これまでに磨いてきた様々な経営資源を通じて、人びとの暮らしと地球環境に対し責任と役割を果たし続けるということ。1919年の創立から、今日の暮らしを支え、明日の社会を変えてきたタキロンシーアイグループは、これからも「安心と心地よさ」という価値を未来に向けて創造する企業グループでありたいと考えます。
〈実現したい企業文化〉
重ねていく誇りと変革する勇気
使命を実現するために備えるべき大切なもの。100年を超えて技術を磨き、信頼を積み重ねてきたことを私たちの「誇り」としつつも、現状に満足せず、自らの変革をいとわず、果敢に挑戦する「勇気」を常に持ち続けることを企業文化として育んでいきます。
・サステナビリティビジョン
〈企業メッセージ〉
今日を支える、明日を変える。
タキロンシーアイグループは人々の今日の暮らしを支え、明日の暮らしを豊かで快適にするために自ら変革する勇気を持って人と地球と未来にやさしいものづくりに挑戦し続けます。
・長期ビジョン
〈タキロンシーアイ2030ビジョン〉
当社グループは、安心して暮らせる地球の未来を実現するために、培ってきた技術と知恵をもって、人びとの暮らしを支え、明日の社会を変えていきます。当社グループが未来に向けて目指すべきビジョンを、〔創造的進化で地球の未来に確かな「安心」と「心地よさ」をとどけるグループ〕としました。
(2)経営戦略等
当社グループの長期目標は以下のとおりです。
・長期目標
2030年度をターゲットとした長期目標は企業価値の増大を掲げ定量目標としては、連結売上高2,000億円、連結営業利益200億円、連結営業利益率10%としております。
・中期経営計画の終了と単年度計画の策定
当社は2021年度にスタートした中期経営計画「変革への決意 Commit to Transformation 2023(CX2023)」において、3カ年の定量目標および「1.社会課題の解決、2.新事業・新製品・新技術の獲得、3.ボーダレスの加速、4.デジタルの実装、5.グループ経営の再整備、6.経営基盤の進化」の6つの重点実施項目を設定して2年間事業活動を行ってまいりました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症による影響や昨今の世界経済情勢を受け、原材料価格や電力価格の高騰、土木工事の減少・中断等の急速な事業環境の変化は、中期経営計画策定時の前提とは大きな乖離を生じ、当社2023年3月期業績は大幅な減益決算となりました。
これら状況を踏まえて総合的に判断した結果、中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)「変革への決意 Commit to Transformation 2023(CX2023)」は2年に短縮した上で終了とし、本来の最終年度である2024年3月期は、今般策定しました単年度経営計画の達成、並びに収益力改善に主眼を置いたタキロンシーアイグループ全体の構造改革を実施することとし、併せて2024年度を初年度とする次期中期経営計画の策定を行う予定です。
2023年度単年度定量計画
連結売上高 | 1,540億円 | 連結純利益 | 50億円 | 連結ROE | 5.3% |
連結営業利益 | 78億円 | 連結営業利益率 | 5.1% | 連結ROA | 3.3% |
上記定量計画達成に向け、上昇コストの製品価格転嫁に加え、戦略的購買の実施、経費節減や目標管理による原価低減、製品の統廃合による生産性向上など、足元の事業収益改善の着実な実施を図り、不採算事業・赤字会社数の削減および赤字幅圧縮を図るとともに、事業構造改革に資するM&Aにも積極的に取り組んでまいります。
2023年度定性計画実施項目
1.事業構造改革の推進
ROICを指標として既存事業を再評価した上で、事業ポートフォリオの見直しを進めてまいります。また、グループ会社の経営管理をよりきめ細かく行うべく、グループ会社の管理専門組織の設置を含めた管理機能の強化を図ります。
2.ガバナンス体制の深化
経営会議・取締役会の付議基準を見直し、監督と執行の役割を明確化するとともに意思決定の迅速化を図ります。また、管理部門人材のリスキリング化を進め、スリム化とリスク管理強化の両立を目指します。
3.DX実装化の推進
DXツール活用により製造プロセスの可視化・数値化による最適生産工程管理を実行し、工場工程管理業務の省力化やRPA化を促進し、各種定型業務の効率化を推進します。また次期基幹システム導入計画の検討に着手します。
4.SDGs経営の推進
当社グループは、SDGsをはじめとする社会課題やESG(環境・社会・ガバナンス)に関する社会的要請の変化を踏まえ、優先的に取り組むべきマテリアリティ(サステナビリティ上の重要課題)10項目を2019年度に特定しました。翌年度にはKPIおよび年度目標を策定のうえ、各々の取組を加速させ、成果を追求しております。引き続き2023年度目標の達成に向け注力するとともに、カーボンニュートラルへの取組をさらに強化する等、サステナビリティ経営の更なる深化に努めます。
次期中期経営計画策定に向けた施策の立案および検討
1.事業本部の再編・強化
全体最適およびシナジーを意識した事業本部の再編・販売会社統廃合検討に加え、ROICを採用して検討した事業ポートフォリオ戦略の実行と成長分野への生産能力の増強検討を進めます。
2.新製品・新技術開発および新事業推進体制の強化
新規事業分野の売上高が伸び悩んでいる現状への対策として、全社横断的な新規事業開発組織、あるいは新研究所設立を検討し、開発力の強化を推進します。
3.研究開発の抜本的見直し
現在検討中の研究開発テーマを総ざらいし、テーマの絞り込みとカテゴリー別研究開発ポートフォリオの設定を行います。また、海外企業や大学との協業や、M&Aを含めた新規技術の積極的な獲得・導入の検討を推進します。
4.生産本部の機能強化
グループ全体の生産拠点に対する横串機能を強化するため、生産本部の組織・体制見直しを実施するとともに、生産拠点統廃合のマスタープラン検討にも着手します。また工場ごとにスマートファクトリー化による最適生産計画化を実現していきます。
5.経営企画機能の強化
経営戦略の立案・確実な遂行のため、各種経営企画機能の強化を推進します。
6.持続的成長に向けた人事制度の深化
引き続き、全社員による「充実人生 経営宣言」の実践を通して良質な職場づくりを継続するとともに、パフォーマンスに基づく等級・報酬につながる人事制度への改定や、戦略実現のための要員計画・人員配置を進めるなど将来を担う人財の育成に向けた制度の構築とチャレンジングな企業風土の醸成を進めます。
7.投資方針の策定
事業構造改革の加速に資する投資を積極的に行うため、次期中期経営計画期間に亘る投資枠を設定する予定です。
(3)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
国内経済は、各種政策の効果や新型コロナウイルス感染症対策の緩和、世界経済の回復予想もあって、景気が持ち直していくことが期待されます。一方、原油価格相場は高値のピークは越えたものの、引き続き、不安定な国際情勢等による原材料価格の高止まりや副資材、電力価格の上昇懸念、金融資本市場の変動にも十分注意する必要があり、予断を許さない状況です。
このような状況下、当社グループとしましては、単年度経営計画の達成、並びに収益力改善に主眼を置いたタキロンシーアイグループ全体の構造改革を実施してまいります。
また、当社グループは、SDGsをはじめとする社会課題やESG(環境・社会・ガバナンス)に関する社会的要請の変化を踏まえ、優先的に取り組むべきマテリアリティ(重要課題)10項目を特定しております。社外有識者の意見も取り入れながら各項目の評価基準と目標を策定し、持続的な価値創造に向けてグループ全体で取組を進めております。
・マテリアリティ(重要課題)10項目
マテリアリティ 名称 | 目指す姿 | 評価の基準(KPI) | 中期ロードマップ | ||||
2023年度 | |||||||
価値創造を支える 企業風土の醸成
| チャレンジ文化 失敗を恐れず自発的かつ積極果敢に新しいことにチャレンジする精神が、DNAとしてグループ全社員に根付き、継承されている。そして、チャレンジ行動がグループ内だけでなくステークホルダーも巻き込みながら同時多発的に起こることで、企業の社会的価値が継続的に向上されている。 | ● チャレンジ推進施策年間実施件数 | 4件 | ||||
● アンケートによるチャレンジ文化浸透度評価 | 70%以上 | ||||||
ポリマー加工技術の深化
| 信頼・期待される技術 ポリマーの様々な特長を最大限に引き出す材料配合、成形加工、複合化技術、施工技術により、持続可能な社会に貢献している。 | ● 新製品売上高比率 | 20%以上 | ||||
● 新技術創出件数(特許出願件数) | 50件/年以上 | ||||||
ダイバーシティの推進
| ダイバーシティ&インクルージョン 個々人の様々な価値観や違いを尊重し、全ての人々が持てる力を十分に発揮できる環境をつくる。 | ● ダイバーシティ&インクルージョンに関する社内教育の受講率 | 100% | ||||
● 教育実施後のアンケートによる理解度 | 60% | ||||||
● 管理職に占める女性比率※(2024年4月1日時点) ※管理職相当の職位も含む | 3%以上 | ||||||
● リーダー相当職に占める女性比率※ (2024年4月1日時点) ※リーダー相当職にいる社員とは、社内人事制度(等級制度)において『担う/任された業務・テーマ・課題について、組織メンバーをリードしながら業務遂行する』と定義づけられた等級以上にある総合職(管理職含む。)をいう。 | 5%以上 | ||||||
● 総合職に占める女性比率(2024年4月1日時点) | 20%以上 | ||||||
● 女性総合職の採用割合率 | 40%以上 | ||||||
● 再雇用制度利用率 | 80% | ||||||
充実人生 経営宣言
| 充実した人生に良質な職場を 社員一人ひとりが心身ともに健康で活き活きと働き、充実した人生を送ることができる、良質な職場環境の実現。 | ● 社員ワークエンゲージメントスコア | 3.0以上 | ||||
● 社員ロイヤルティスコア | 3.0以上 | ||||||
● 健康経営優良法人の継続 | 継続 |
マテリアリティ 名称 | 目指す姿 | 評価の基準(KPI) | 中期ロードマップ | ||||||||
2023年度 | |||||||||||
海洋プラスチック問題への対応
| 海洋プラスチック ゼロエミッションへの貢献 海洋プラスチックゼロエミッションへの取り組みと関連情報の開示。 | ● 水辺のクリーンエイド活動(地域清掃活動含む。)の参加人数 (年間延べ人数) | 1,200名以上 | ||||||||
● イベント・セミナー開催回数 (年間延べ開催回数) | 30回 | ||||||||||
CSR調達
| 人権と環境に配慮したサプライチェーン 取引先(調達・購買先)との協働により、人権と環境に配慮した、公正なサプライチェーンの確立。 | ● 主要な国内取引先へのCSR調達方針要請率(購入金額ベース %) | 100% | ||||||||
● 海外グループ会社における重要な取引先へのCSR調達方針要請率(購入金額ベース %) | 100% | ||||||||||
● CSR調達方針の合意度(取引先アンケート調査) | 100% | ||||||||||
環境負荷の低減
| 住み続けられる地球のために グループ全体で環境負荷の低減を図ることで地球環境保護に貢献する。 | ● CO2排出量削減率(Scope1/2)(2018年度比) | 28%削減 | ||||||||
環境配慮型製品の 拡大
| エコロジー開発 タキロンシーアイグループが提供する全ての製品において環境に配慮した設計・開発を行い、脱炭素社会や循環型社会の実現に貢献する。 | ● 環境配慮型製品の開発テーマ件数 | 15件/年 | ||||||||
● 環境関連アワード受賞 | ~2025年度までに受賞を目指す | ||||||||||
コンプライアンスの徹底 リスクマネジメント対応
| 強固なコンプライアンス及びリスクマネジメント 社会から信頼される企業を目指し、高いレベルでのコンプライアンスとリスクマネジメントによる企業統治の実現。 | ● コンプライアンスに関する啓蒙・教育の実施状況(会社数比) | 100% | ||||||||
● 重大なコンプライアンス違反件数(件)※ ※社内定義の「重大なコンプライアンス違反」に該当し、社会影響を鑑み対外公表した違反件数 | 0件 | ||||||||||
● 重要リスク項目の各対処策年度内完了率(%) | 80%以上 | ||||||||||
● 定期的な重要リスクの見直し(回) | 1回以上 | ||||||||||
コーポレート・ガバナンスの充実
| 透明性ある経営 経営の独立性、公正性が客観的に認識できる状態。 | ● 取締役会出席率 | 85%以上 | ||||||||
● 株主・投資家を対象とした各種説明会の実施回数 | 決算説明会 | 2回 | |||||||||
個人向け | 3回以上 | ||||||||||
スモールミーティング | 1回以上 |
セグメントごとの経営環境、事業上および財務上の対処すべき課題は以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づき、当社グループが合理的と判断したものです。
建築資材事業セグメント
住設建材事業では、原材料価格および物流費の高騰に加え、電力価格の上昇に起因して一段とコスト高になり、製品価格転嫁による収益改善やコストダウンを進めています。同時に、カーボンニュートラルや気候変動への対応など、環境に配慮した製品が市場に求められています。また、畜産施設において、断熱性能を付与した軽量天井パネル、内壁パネル、屋根材を販売拡大させ、地球温暖化現象での暑熱被害対策に貢献します。
床・建装事業では、集合住宅用床材における長寿命化の要求が益々高まってきており、当社製品の特長である耐久性を改めてご評価いただいております。耐久性に加えて、デザイン性と機能性を更に高めることで、末永くご使用いただける安全で環境に優しい床材をお客様に提供し続けます。また、建装部門については、今後もサステナブル社会に貢献するために、リサイクル素材を中心とした環境志向型製品の開発に継続的に取り組んでまいります。
環境資材事業セグメント
アグリ事業では、農家の大規模化や農産物の高付加価値化と秀品率・生産性の向上が求められています。今後、グループ各社とのさらなる連携強化・営業力深化での顧客サービス拡充による事業領域の拡大に向け、高品質商品の拡販とハウス等の施設園芸やスマート農業分野を強化し市場シェア拡大を図ります。また中長期的な成長が期待される東アジア地域では、日本品質の高付加価値商品での市場浸透と拡大を継続します。
土木事業では、震災復興需要の収束や民間大型土木工事・公共事業共に縮小や停滞による苦戦が続いていますが、中長期的には高速道路・トンネル・下水道などの更新、補修維持でのニーズが高まると予想される分野や、近年の気候変動による自然災害への対応や環境対策など社会課題に応える事業分野での成長を目指します。また、短期的には原材料価格他コスト上昇分の価格転嫁や既存製品群の新規用途開発などで収益改善を図るとともに、災害復旧・防災、汚染対策事業への即応体制強化とリニア中央新幹線、社会インフラのリニューアル分野における事業を強化展開してまいります。
高機能材事業セグメント
高機能材事業のプレート部門における主力の半導体製造設備分野は、世界的な半導体需要の高まりにより、今後も高成長が続く市場と見込まれます。半導体製造設備の需要増に対応するため、生産能力の増強(設備の有効活用、設備改造、新規設備の導入)を推進します。モータ市場では小型化や省エネ化が求められており、市場ニーズにさらに対応するため、モータ部門では、ギアモータやエンコーダ付きモータ等の機能性を向上した製品のラインアップを拡充し、販売強化に取り組みます。プレート部門とモータ部門に加え、ナノ材料・切削材料・アイウェア材料等の独自技術と幅広い産業分野へのアクセスによる事業展開に取り組み、高収益体質の構築および現有事業における揺るぎない地位確立を目指します。
機能フィルム事業セグメント
ボンセット事業におけるシュリンクフィルムは世界的に市場が拡大傾向であり、今後は環境対応の観点から素材変更がさらに拡大していくことが予想されます。特に北米ではコロナ禍からの景気回復が遅れているものの、大きな潜在需要が期待されます。
サンジップ事業におけるジッパーテープは日本を始めアジア・北米・欧州を中心に市場成長が見込まれております。国内外のお客様からは厳しい品質・安全性・製袋適性(低温シール性能など)の要求に加え、意匠性の高い製品やモノマテリアル・生分解といった環境対応型の製品が求められており、開発を進めています。
両事業において、引き続き地球環境保護の要望に応えるべく、環境対応型の次世代製品開発に日本・アジア・北米・南米の世界4拠点で取り組んでまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
単年度経営計画(2023年度)の目標は下記のとおりであります。
・連結売上高: 1,540億円
・連結営業利益: 78億円
・連結純利益: 50億円
・連結ROA: 3.3%
・連結ROE: 5.3%
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