企業兼大株主シスメックス東証プライム:6869】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループは検体検査に関連する製品及び関連するサービスを提供する「ヘルスケア事業」を主たる事業としており、世界190以上の国や地域のお客様に対し、医療に不可欠な検査を安定的に提供する責任を担っております。そのため、当社グループの業績は、各国・地域で今後起こりうる様々な要因によって大きな影響を受ける可能性があります。

 当社グループでは、リスクマネジメントを事業の継続と発展のためにグループ内外のリスクを組織的・体系的に管理する活動と定義しております。適切にリスクを取り企業活動を推進する一方、経営及びその持続性に影響を与える可能性についてそれぞれの重要度に応じて予防対策及び発生時対策を行い、それらを共有することによりステークホルダーに安心いただけるよう取り組んでおります。

 リスクマネジメントを推進する体制としては、当社グループの内部統制・リスクマネジメント全般を統括する「内部統制委員会」を設置しております。委員長は代表取締役社長が務め、担当執行役員及び常勤監査等委員をメンバーとし、社外取締役がオブザーバーを務めております。また、主要なリスク領域においては、下図のようにコンプライアンス委員会等の関連委員会を設置しております。各委員会では全社横断的に活動を推進すると共に、部門・関係会社での取り組み状況を定期的にモニタリングし、内部統制委員会へ報告しております。

 当社グループは、リスク全般について定期的に評価を実施し、事業に与える影響が大きいリスクを特定して対策を講じております。中でも業務全般にわたるリスクに関しては、内部統制委員会で対策方針の確認及びモニタリングを行い、戦略の意思決定内容に係るリスクは、グローバル戦略会議、執行役員会議等の経営会議体において審議・決定しております。

 また、各地域・関係会社、各部門の活動テーマについても、年度単位でリスクアセスメントを行い、重要なリスクに対する対応計画の立案及び推進を行う等、自律的にリスクマネジメントを運用しております。各地域や各部門の活動内容はリスクマネジメント統括部門に報告され、特に重要な内容は内部統制委員会へ報告されております。

 以上のような活動を通じて内部統制委員会に伝達された内容はタイムリーに取締役会へ報告され、必要に応じて取締役会で審議される仕組みとなっております。

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 経済動向の変動に関わるリスクについて

 当社グループは比較的需要が安定しているヘルスケアを主たる事業としておりますが、経済情勢による各国政府の医療財政悪化や病院等医療施設における予算の縮小等が発生した場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、世界的な物価の高騰や金利の著しい上昇に伴い、生産・流通等を含む幅広い範囲でコストが増加することにより、グループ連結業績へ影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループはグローバルに展開した当社のネットワークを活用し、各国・地域における市場環境の変化について継続的にモニタリング・分析すると共に、グループ全体での更なる効率化や付加価値の創出等に関して適切な対応を実施してまいります。

(2) 為替変動に関わるリスクについて

 当社グループは海外関係会社及び代理店を経由して各国・地域へ販売を行っており、連結売上高に占める海外売上高の比率は、2022年3月期 84.7%、2023年3月期 85.4%と高い水準で推移しております。海外関係会社の現地通貨建て財務諸表の各項目は、円換算時に為替レート変動の影響を受けております。当社グループの外貨建て資産及び負債の決済及び期末時評価額については、為替予約等によりリスクを軽減させる措置を講じておりますが、予想を上回る為替変動により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 なお、2023年3月期における為替変動の年間での影響は、以下のとおりであります。

1円変動の影響

売上高

営業利益

USD

703百万円

150百万円

EUR

534百万円

128百万円

CNY

4,828百万円

3,681百万円

(3) 医療制度改革に関わるリスクについて

 医療技術の進展、先進国を中心とした少子高齢化、医療の質に対する要望の高まり等の社会環境変化を背景に、医療費の適正化や質の高い医療サービスを効率的に提供するための医療制度改革が継続して進められております。また、コロナ禍を機に医療インフラの比較的脆弱な国においても検査・医療の重要性が再認識され、医療制度改革が加速されると共に、デジタル化等の技術進展により新たなニーズが生まれることが想定されます。当社グループの経営成績及び財政状態は、このような医療制度改革の影響を受ける可能性があります。このため、当社グループのネットワークを活用して様々な環境変化の中から的確に機会を捉えた上、今後も個別化医療に資する診断技術創出等のライフサイエンスの事業化を進める一方、検体検査機器、診断薬、IT、サービス&サポートを合わせたトータルソリューションを提供し、多様化するニーズにきめ細かく対応できるよう努めてまいります。

 また、自国産業保護の動きが見られる一部の国において、現地での組立生産や部品・原材料の調達等が必要となる可能性があり、最新情報の把握に努めると共に、現地生産移管に向けた取り組みを継続しております。

 加えて、当社の機器・診断薬の大部分は各国の薬事承認や登録が必要であり、各国において規制見直しの動きが加速しており、薬事承認取得に関する要求事項が複雑・高度化する一方、規制緩和に向けた動きも見受けられます。このような変化への対応が遅れた場合には、市場獲得機会の損失や対応コストが増加する可能性があると共に、製品のタイムリーな供給に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、各国業界団体への参画等を通じて法規制に関する最新情報の把握に努めると共に、当社のネットワークを活用したグローバルな薬事承認取得体制により、薬事承認の適時的確な取得・維持に取り組んでおります。

(4) 知的財産権に関わるリスクについて

 当社グループは、特許、商標、意匠等をグローバルに出願しておりますが、一部又は全ての国で権利が付与されない可能性があります。また、当社グループの保有する知的財産権が無断使用された場合に、その無断使用を防ぐために講じる手段が十分には機能しない可能性があります。一方、第三者の知的財産権に関して、当社グループに正当性があるか否かに関わらず、訴訟を提起されたり、ロイヤルティの支払いを要求される等の知的財産紛争が起こる可能性があります。

 当社グループでは、グローバルコンプライアンスコード及び従業員への知的財産に関する教育を通じて、当社グループ及び第三者の知的財産権を尊重しながら事業活動を推進するよう努めております。また、知的財産レビューシステムを導入し、研究開発・事業に即した知的財産権の獲得を進めると共に、第三者の知的財産権に関する知財紛争の可能性を低下させるよう、取り組んでおります。

(5) 製品の品質に関わるリスクについて

 当社グループが提供する検体検査機器製品及び診断薬製品等には高い信頼性が要求されるため、万全の品質管理体制の下、製品の品質保証に取り組んでおります。しかしながら、万が一製品に品質問題が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、各国の法令・国際規格等に準拠する品質を維持するための仕組みの整備・運用はもとより、国内外の市場及び社内からの信頼性や安全性に関する情報を調査・分析し、設計品質の向上につながる技術情報の蓄積、新製品の量産開始・市場導入前の品質チェックに生かすことによって、品質保証の強化に取り組んでおります。

(6) 気候変動等の環境に関わるリスクについて

 持続可能な社会の実現に向け、企業の社会的責任がますます重要となる中、当社においても気候変動等への対応は重要な課題の一つであります。温室効果ガス増加による気候変動は、大規模な風水害、干ばつ、生物多様性へ甚大な影響をもたらし、原材料の調達や物流網の遮断・混乱等、製品をグローバルに安定供給する上でのリスクとなる可能性があります。また、欧米を中心に輸入関税や入札条件への環境規制が強化される傾向にあります。

 このような中、当社グループでは「ヘルスケア分野に関わる企業として、地球環境保全活動を通じて、豊かな健康社会づくりに貢献する」という環境方針に基づき、長期的な環境マネジメントの指針として『シスメックス・エコビジョン2033』を策定すると共に、ステークホルダーと協創し、グループ全体で循環型社会の実現に貢献することをビジョンに掲げ、環境配慮型製品・サービスの創出、水消費量削減や廃棄物量削減、リサイクル率向上等を推進しております。

 また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同しており、そのフレームワークに基づき気候関連リスクと機会を評価、管理し、情報開示の充実に努めております。また、2040年までに事業所から排出される温室効果ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラル目標を新たに設定しました。今後更に、SBT(Science Based Targets)に基づく目標の設定を行い、取り組みを加速させてまいります。

(7) 製品の安定供給に関わるリスクについて

 当社グループでは、検体検査機器及び診断薬等を世界各国のお客様に対し供給しており、市場への製品の安定的供給に努めております。しかしながら、急激な市況の変化やサプライヤーの事業停止等により、部品・原材料等の調達が困難な場合や、生産工場を含むサプライチェーン拠点が大規模な自然災害や感染症等の発生、また、火災等の重大な事故で罹災した場合には、市場への製品供給に支障を及ぼす可能性があります。部品・原材料等は在庫の確保や複数社購買等によるリスク回避に努め、サプライチェーン拠点での災害等に対する予防、復旧対策の充実に取り組んでおります。

 特に、当社グループ売上高の60.3%(2023年3月期)を占める診断薬に関しては、復旧期間を考慮したBCP対策用の在庫維持や複数の生産拠点での生産を行っており、更に主力事業であるヘマトロジー分野の診断薬については、欧州・米州・中国・日本の主要拠点間で供給ネットワークを構築し、安定供給を継続できる体制を整えております。

(8) 情報システム・セキュリティに関わるリスクについて

 当社グループでは、情報伝達や基幹業務支援、稟議等の決裁手続に各種情報システムを導入しており、事業上の情報の多くはネットワークを介しております。

 そのため、情報システムやネットワーク回線の障害、あるいはコンピュータウイルスや外部からの情報システムへの侵入等による業務への影響を最小限に抑えるために、不正通信検知やマルウェアの隔離等の仕組みの導入、24時間の監視、CSIRT(Computer Security Incident Response Team)の設置、有事や重大インシデントに対する脅威情報の早期入手のための外部団体加盟等によるセキュリティ対策やIT-BCP(事業継続計画)の充実のほか、厳格なユーザー管理やアクセス制限等の内部統制の強化に取り組んでおります。

 また、当社グループでは、お客様や患者さんに確かな安心をお届けするために、製品・サービスにおけるサイバーセキュリティ対策も進めております。「製品セキュリティポリシー」を定め、製品サイバーセキュリティ委員会及びPSIRT(Product Security Incident Response Team)を設置し、各地域の製品セキュリティ責任者との連携を通じて、セキュリティポリシーに基づいた製品の設計・製造、及び市販後の脆弱性管理に取り組んでおります。

(9) 企業買収等に関わるリスクについて

 当社グループでは、持続的成長や事業展開の加速のためM&Aや資本提携等を実施することがあります。これら のM&A等の実施においては事前に十分な調査を行い、経営会議体等で審議した上で当社の負担するリスクを限定するよう努めております。しかしながら、対象企業の経営環境や事業の変化、事前調査において判明しなかった情報の露呈や買収後の対象企業の経営環境や事業の変化等の影響を受け、期待されていた効果等が実現されない可能性があります。

(10) 新型感染症の拡大に関わるリスクについて

 新型コロナウイルス感染症の流行は収束傾向にあり、各国での規制も概ね緩和されつつあります。しかしながら、再度変異株ウイルスの流行や新たな感染症等による感染拡大が発生した場合には、医療機関での検査数減少や物流網・原材料調達等における混乱、人材や労務環境の維持・継続困難に起因する生産性低下等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、これまでのコロナ禍における経験をもとに、感染症における事業継続計画を策定し製品の安定供給、お客様へのサービス活動の継続、従業員の安全確保等が継続できるよう努めております。更に、当社ではリモートワーク等の有事に柔軟に対応できる勤務形態の構築を行い、感染症拡大時に限らず各従業員のライフスタイルに合わせた新しい働き方の一助としております。また、新型コロナウイルス感染症の診断で使用される診断薬等、新たな検査需要に応えるべく、製品の開発・販売を行い、受託検査ラボの開設等の検査体制構築による感染拡大防止も推進しており、今後も医療課題解決に貢献してまいります。

(11) その他のリスクについて

 当社グループは、製造、販売・サービス、研究開発等の活動をグローバルに展開しており、世界中に拠点を有しております。これらの拠点や周辺地域において、地震・風水害等の大規模な自然災害が発生し、当社グループの設備・インフラ及び人材において甚大な被害が生じることにより事業活動が制限される可能性があります。また、地政学的な緊張により、貿易摩擦が生じて輸出入規制が厳格化されたり、今般のロシアによるウクライナ侵攻をはじめとする国家間紛争が発生した場合等においては、市場への製品供給が中断し、業績へ影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループではグローバルでの情報連携を通じて各国・地域の情勢をモニタリングしており、安全保障に関する輸出入規制等を遵守し、安全確保の上、人道支援・医療に貢献する当社製品の供給が中断することがないよう対策を推進しております。

 今後も刻々と変化する世界情勢に対して注意深く情報収集・モニタリングを行い、当社への影響や必要な対応を適時検討してまいります。

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