企業兼大株主カゴメ東証プライム:2811】「食品業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) トップメッセージ


<競争力と持続性を兼ね備えたバリューチェーンへの進化に向けて>

創業から培ったバリューチェーンと、農業が直面する新たな課題

カゴメトマトジュースは、2023年に発売90周年を迎えました。

長きにわたりご愛顧いただいているトマトジュースですが、2023年の出荷量は記録が残る2007年以降で最高になりました。その要因を調べてみると、美容に関心の高いお客様がトマトジュースの新しいユーザーになっていただいていることが分かりました。

発売から90年を経てもトマトジュースが新しいお客様にご支持いただいていることを大変うれしく思います。原材料となるトマトの品種開発を続け、栽培方法を工夫し、製造工程を改善してきた一つひとつの取り組みが報われた気持ちになります。このように、カゴメは畑から食卓までのバリューチェーンを創業から地道に進化させ、農から価値を生み出しお客様にお届けする力を磨き続けてきました。その歩みは、「自然をおいしく楽しく」というブランドステートメントや「畑は第一の工場」というものづくりの考えに集約されています。

一方で、カゴメの強みである農から価値を形成するバリューチェーンが、近年、原材料の調達リスクに直面しています。気候変動の加速が熱波や干ばつの発生頻度を高め、農業生産に大きな影響を及ぼすようになったからです。実際に、カゴメ商品の主な原材料であるトマト・にんじん・リンゴなども、収穫量や品質の面で様々な影響を受けています。 このように農産原料の安定調達が困難になる時代の中で、カゴメが持続的な成長を実現していくためには、気候変動に起因する農業の課題としっかり向き合っていかなければなりません。そして、自らの手でそれらの課題を一つひとつ解決し、カゴメのバリューチェーンを競争力と持続性を兼ね備えたさらに強いものに進化させていく必要があります。

農業研究の強化とIngomarの連結子会社化

2023年から、強いバリューチェーンへの進化に向けた具体的なアクションがスタートしています。

一つは品種開発・栽培技術開発など、バリューチェーンの最も川上に位置する農業研究の強化です。2023年10月に、これまで国内外に分散していた品種・栽培技術の開発部門を一つに集約した組織「グローバル・アグリ・リサーチ&ビジネスセンター」を新設しました。このセンターに、カゴメ総合研究所傘下の農資源研究部や種子の開発・販売会社であるUnited Geneticsグループ(以下、UGグループ)、AIを活用した営農支援を手掛けるDXAS Agricultural Technology Lda.(以下、DXAS)などを集め、ラボレベルの研究開発から実際の畑での試験栽培までが一つの組織で可能となる体制としました。さらに、2024年4月には、農業の最先端技術が集まるカリフォルニア州に、グローバル・アグリ・リサーチ&ビジネスセンターの米国法人を設立します。今後は、この組織に研究資源を集中的に投下し、それぞれの機能の連携を深め、農業技術の開発スピードを上げていきます。

もう一つが、米国Ingomar Packing Company, LLC(以下、Ingomar)の連結子会社化です。これについても、2023年から本格的な検討を進め、2024年1月26日に対外発表を行いました。

Ingomarはカリフォルニア州に拠点を持つトマト一次加工会社で、トマトの加工量では、 米国第2位、世界第4位のポジションにあります。トマト生産農家が出資して設立された企業であることから、畑との結びつきが強いところが特徴です。私たちはこれから、Ingomarの持つトマト原料の調達基盤に、グローバル・アグリ・リサーチ&ビジネスセンターが研究開発した新しい品種や栽培技術をインストールし、実用化のための大規模な検証を行うシステムを作り上げていきます。そして、そこから得られた多くの知見を世界に展開し、農業が直面する課題の解決につなげていく考えです。

グローバル・アグリ・リサーチ&ビジネスセンターの新設やIngomar連結子会社化の検討を行った2023年は、競争力と持続性を兼ね備えた強いバリューチェーンへの進化に向けたターニングポイントの年になったと思います。

<第3次中期経営計画進捗と、総仕上げに向けた取り組み>

難局を乗り越え、変化対応力を磨いた前半2年

2023年は、現在進めている第3次中期経営計画においても、ターニングポイントの年になりました。

第3次中期経営計画は、2022年から2025年までの4年間を対象期間としています。その前半の2年には、約3年間続いたコロナ禍が収束に向かうという明るいニュースがありましたが、その一方で、ウクライナ情勢や自然災害の多発など経営に大きく影響を及ぼす出来事が発生しました。

カゴメもそれらの影響を受け、トマトをはじめとする様々な農産原料において、これまでに経験したことのない価格高騰に直面しました。特に2023年においては、主原料であるトマトペーストの市況が大幅に上昇し、それに伴う収益の悪化を食い止めるべく、グループ一丸となって対応を進めました。BtoBビジネスが中心の国際事業においては、全ての得意先との価格改定商談を計画的に実行しました。国内事業においては家庭用食品・飲料、業務用のほぼ全商品の価格改定を2023年2月に行うとともに、価格改定に伴い一時的に落ち込む需要を回復する活動に注力しました。さらに、メーカーの責務として、原価低減や生産性の向上に取り組みました。

一つひとつの施策について危機感を持って遂行した結果、2023年の業績はグループ全体で増収増益となり、この難局を乗り越えることができました。組織全体が急激な環境変化に対して、連携を取りつつ自律的に行動する“変化対応力”を発揮できたことが、この業績につながったいちばんの理由だと考えています。第3次中期経営計画の前半2年の経験を通して、厳しい環境を乗り越えることができる組織力が着実に高まっていると感じています。

国際事業は成長を加速

国際事業は、2023年において収益を大きく拡大し、事業利益がグループ全体の半分以上を占めるまでになりました。この国際事業の躍進は、トマトペーストの在庫逼迫による市況の上昇を機動的な価格改定によって乗り越えられたことと、外食需要の回復によりグローバルフードサービス企業への取り組みが進んだことによりもたらされました。

但し、今回の収益拡大は、前中期経営計画期間から進めてきた収益構造改革の取り組みがなければ実現しなかったと思っています。米国の子会社KAGOME INC.(以下、KIUS)では顧客や商品の選択と集中を進め、ポルトガルの子会社Holding da Industria Transformadora do Tomate,SGPS S.A.(以下、HIT)においては、トマト1次加工規模の適正化により収益性の改善を図ってきました。それらの活動により、収益構造改革の目途が立ちつつあったところに、外食需要の回復という環境変化があり、その追い風を最大限に活かすことができました。

この状況を踏まえて、2024年から始まった第3次中期経営計画の後半2年においても、国際事業の成長をさらに加速していきたいと考えています。そのための施策の一つとして、2023年10月に国際事業本部を社内カンパニー体制(カゴメ・フード・インターナショナルカンパニー)に移行しました。移行に併せ、カンパニープレジデントに権限を移譲し、カンパニー内の連携を深めるため海外子会社のCEOをメンバーとする経営会議を設置しました。これにより、市場の変化に迅速に対応すべく意思決定のスピードを上げ、グローバルフードサービス企業への対応力を強化していきます。

また、今回のIngomarの連結子会社化も、国際事業の成長を加速する非常にポジティブな要素になります。Ingomarの連結子会社化により、米国においては「種子開発・販売(UGグループ)」「一次加工(Ingomar)」「二次加工(KIUS)」と同一地域内で完全なバリューチェーンを保有することになります。このことにより、米国トマト加工事業の成長力をもう一段階引き上げることができるのではないかと考えています。

国内事業は利益回復に注力

2023年の国内事業は、農産原料の価格高騰に伴う原価上昇を跳ね返すための価格改定の完遂と、一時的に減少する需要の回復に注力した1年となりました。その結果、売上収益は増収となりましたが、事業利益については原価上昇を全てカバーするまでには至らず減益となりました。

カテゴリー別では、外食需要やインバウンド需要


を取り込んだ業務用商品は順調に伸長しました。また、価格改定の影響を大きく受けた野菜飲料についても2023年第4四半期(10月~12月)には販売金額が前年を超え、年間を通して実施した需要喚起策の手応えが感じられました。

しかしながら、国内事業の原材料価格は2024年においても、大幅に上昇する見込みです。この状況に対応するため、第3次中期経営計画の後半2年においては、引き続き「利益の回復」に徹底して取り組みます。2024年2月には、2年連続となる全主力商品の価格改定を行いました。それとともに、需要喚起に向けた野菜や植物性の価値をお客様に伝える活動を広範に展開していきます。特に野菜飲料については、カテゴリーリーダーとして市場規模縮小トレンドからの反転を果たすべく、朝の食シーンにフォーカスしたプロモーションを展開します。また、トマトのリコピンだけでなくにんじんの機能性成分βーカロテンに関する情報発信を強化します。

2020年に開始した「野菜をとろうキャンペーン」は、2024年で5年目を迎えます。小売店の店頭や自治体のイベントなどでベジチェック®の体験機会を増やしたことにより、測定回数は累計700万回(24年1月末時点)まで増加しました。測定により自身の野菜摂取量を認識することで、野菜飲料の購入につながる事例も多く出てきています。野菜飲料のトップライン拡大につながる活動として、今後も継続していきます。

また、さらなる原価低減に向けて、サプライチェーンの基盤整備を進めます。国内事業で使用する農産原料は、90%以上を海外から調達しています。そのため、様々な変動要素がある中、タイムリーに調整を重ねて安定的に調達することが重要になります。この課題に対応すべく2023年から数年かけて、社内の調達部門・SCM部門・営業部門に加え、取引先を含め一気通貫でデータを管理できるように、サプライチェーン全体のシステムを刷新していきます。これにより、原料材調達量、商品の生産量・在庫量などを最適化することでロスを大幅に削減し、利益の回復につなげます。 

2025年の目標達成に向けて

2024年2月の決算発表に併せて、第3次中期経営計画最終年度である2025年度の定量目標を更新しました。「利益獲得力はついたものの持続的な成長が果たせなかった」前中期経営計画の総括から、成長に力点を置いた第3次中期経営計画の総仕上げとして、連結売上収益3,000億円、連結事業利益240億円を新たな目標としました。カゴメがこのスケールの収益を目指すのは初めてとなりますが、グループの力を結集して達成を目指します。

そのためには、国際事業の成長加速・国内事業の利益回復に向けた活動に加えて、「新しい成長の種を探索し、事業に育てていく」一連のプロセスの強化が必要です。このプロセスを動かす起点として2020年10月に事業開発室を設置し、オープンイノベーションによる新事業の可能性を追求してきました。そしてその活動の中から、プラントベースフードのスタートアップ㈱TWOやインナービューティー領域に事業展開する㈱資生堂などとの協業が生まれました。

今後は、それらの協業の育成活動に注力するとともに、グローバル・アグリ・リサーチ&ビジネスセンターの米国法人なども活用しながら、オープンイノベーションのスコープを広げていきたいと考えています。

また、これらの成長に向けた活動と並行して、「ROIC管理」を社内に浸透させ、事業ポートフォリオや生産拠点、商品構成などを大胆かつ柔軟に見直すことで、資本効率性を高めてまいります。2025年の目標として、「ROE 9%以上」を達成したいと考えています。

<「カゴメの人」の力で、中長期の持続的成長を実現する>

一人ひとりがポテンシャルを発揮できる環境を整える

これまで述べてきた国際事業の成長加速、国内事業の利益回復、新事業の探索・育成の仕事を担い、前に進めていくのは「カゴメの人」に他なりません。一人ひとりに「農や食の課題を解決する」という強い想いや、それを実現していく熱量がなければ、カゴメの持続的成長は成し遂げられません。それゆえに、全ての「カゴメの人」が、その人の持つポテンシャルを存分に発揮できる環境を整えていくことが会社としての責務だと考えています。

最も優先すべきことは「カゴメの人」の健康に対するサポートです。心身の健康は、豊かな人生を送っていくための前提条件であり、組織のアクティビティもそのことにより高まります。さらに、私たちが健康であることは、お客様の健康づくりに資する商品やサービスを展開する当社の事業内容に説得力を持たせることにもつながります。

これらのことから「健康経営の強化」を重点課題とし、ベジチェック®を活用したカゴメならではのプログラムなど、ハイリスクアプローチ・ポピュレーションアプローチの双方向から従業員の健康な毎日をサポートしています。2023年には、きめ細かい活動が評価され、健康経営優良法人2023(大規模法人部門 ホワイト500)にも選定されました。

もう一つは、「心理的安全性」が保たれた組織風土づくりです。「心理的安全性」は、率直な意見や素朴な疑問を誰もが気兼ねなく言える状態が保たれている時に感じるものです。そういった組織やチームにおいては、所属するメンバーのエンゲージメントやパフォーマンスが高いことが、様々な研究で明らかにされています。

私は「カゴメの人」がそれぞれのポテンシャルを存分に発揮できる環境として、「心理的安全性」が保たれた組織風土が必要不可欠なものと考えています。「率直な意見を気兼ねなく言える状態」の実現は容易なことのように思えますが、実際には、全てのメンバーの理解や努力が必要でなかなか簡単ではありません。

2020年の社長就任以降、社内報などで「心理的安全性」についてのメッセージを機会あるごとに発信し、ダイバーシティ活動の中で研修を行い、社内浸透度を毎年モニタリングして次の施策につなげていくというサイクル繰り返してきました。その結果、多くの「カゴメの人」の行動が変わってきているように感じます。また、2021年に導入したエンゲージメントサーベイのスコアも着実に向上してきています。

また近年、「心理的安全性」は、リスクマネジメントの面からもその重要性が注目されています。引き続き、経営の重点課題として「心理的安全性」が保たれた組織風土づくりへの取り組みを進めていきます。

次の10年の成長を見据えた戦略策定の始動

2023年11月より、次の中長期に向けた経営戦略「2035プラン」の策定を開始しました。「2035プラン」は、2035年のありたい社会の実現のために、カゴメが貢献すべきこと、カゴメが目指す企業像を明らかにし、そのための経営戦略と取り組むべき重点テーマを定めるものです。カゴメはこれまで、「2025年のありたい姿」を目指して歩みを進めてきましたが、「2035プラン」は、2026年から先の10年にわたる私たちの道標となる指針です。現在、次代の経営を担う執行役員を中心メンバーとし、多くの従業員の想いも反映しながら策定を進めています。

この「2035プラン」に盛り込まれる重点テーマのひとつは、「中長期人材戦略の策定と実行」になると考えています。2035年に向けた社会の変化は、これまでとは比べものにならないほど大きく、それに対応するためにカゴメの事業ポートフォリオや事業展開エリアは劇的に変わる可能性があります。この激しい変化の中で、カゴメグループの成長を支える人材にはどのような要件が必要になるのか、そしてそれをどのように手当てしていくかを示すことが大変重要だと考えるからです。

<ステークホルダーの皆様へ>

2023年は、カゴメグループが一丸となって活動することにより、過去に類を見ない原材料価格の上昇を乗り越えることができました。この急激な環境変化に対応できたことは、目指してきた強い企業としての組織力がついてきたことの証左です。この組織力をさらに強化しながら、一つひとつの課題に誠実に向き合うことで、2025年度を最終年度とする第次中期経営計画の目標の達成と、その先の10年を見据えた経営戦略の策定を進めていきます。そのために、カゴメの強みである農から価値を形成するバリューチェーンをさらに進化させ、全てのステークホルダーの皆様のご期待に応え企業価値を向上させます。引き続きのご支援をお願いします。


代表取締役社長
山口 聡

(2) 会社の経営の基本方針

 カゴメグループは、「感謝」「自然」「開かれた企業」を企業理念としております。これは、創業100周年にあたる1999年を機に、カゴメグループの更なる発展を目指して、創業者や歴代経営者の信条を受け継ぎ、カゴメの商品と提供価値の源泉、人や社会に対し公正でオープンな企業を目指す決意を込めて、2000年1月に制定したものです。

 また、カゴメグループは今後も「自然を、おいしく、楽しく。KAGOME」をお客様と約束するブランドステートメントとして商品をお届けしてまいります。

 当社の企業理念、ブランドステートメントから長期ビジョンまでの関係は以下のとおりです。


(3) カゴメの価値創造プロセス

当社は、「企業理念」をゆるぎないカゴメの価値観、「ブランドステートメント」を社会やお客様への約束として経営の根底に置くことで、組織が一貫した行動をとっています。環境変化を予測し、成長を支える経営資本を活用することで、農から価値を形成するバリューチェーンを、多様なパートナーと協業しながら進化させています。

現在は、国内加工食品事業、国内農事業、国際事業のつのセグメントと、それを支える価値創造活動により、農と健康と暮らしをつなぐ商品とサービスを提供しています。事業を通じて「健康寿命の延伸」「農業振興・地方創生」「持続可能な地球環境」のつの社会課題解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業となることで、社会価値と経済価値を創出します。


(4) 農から価値を形成するグローバルバリューチェーン


1 品種開発・栽培

創業時から「畑は第一の工場」として、新品種や栽培技術開発など農業資源開発に携わってきました。近年、農業を取り巻く環境は、世界的に大きく変化しています。気候変動に伴う異常気象の発生や農家の高齢化に伴う栽培面積の縮小、欧州を中心とした環境に関する規制強化など、多くの課題を抱えています。カゴメは、環境変化に対応した品種開発や、環境負荷の低い栽培方法などを開発することで持続的な農業を実現するとともに、新たな事業の柱を育てます。

① 世界に広がる、品種開発の拠点

当社は約7,500種のトマトの種子をはじめとする豊富な遺伝資源を保管し、データベース化しています。これらを活用し、遺伝子組み換え技術を用いず交配によりトマトの品種開発をしています。品種開発には5年以上の年数がかかるため、数年先の市場ニーズを予測し、それに合致する味や形質、病害虫などへの耐性を見極め、交配によって開発を進めています。

新品種開発、栽培技術の開発を強化するため、2023


United Genetics Holdings LLC 米国本社

年10月にグローバル・アグリ・リサーチ&ビジネスセンターを新設しました。この組織の傘下にはこれまで日本の研究所で行ってきた農資源開発や、ポルトガルのアグリビジネス研究開発センター、世界6ヶ国で種子の開発・生産・販売を行うUGグループを配置しました。育種、新たな品種開発、栽培技術の開発を、グローバルで一体となって進めます。

TOPICS 生鮮トマトと加工用トマトの違い

トマトには、サラダなどの生で食べるトマトと、トマトジュースやトマトケチャップなどに使われる加工用トマトがあります。生食用と加工用では、栽培方法や品種などが異なります。

生鮮トマト

日本では生食に向く果肉がピンク色のトマトが明治時代から栽培され、改良により多くの品種が生み出されてきました。現在では大きさや味だけでなく、リコピンやGABAなどの栄養成分を多く含むなど、多様な特徴を持ったトマトが販売され、果肉が赤い品種も生鮮トマトとして販売されています。通常、露地や温室に支柱を立てて栽培されます。

加工用トマト

加工用トマトの最大の特徴は、真っ赤な色であり、カロテノイドの一つであるリコピンの量が多いことです。また、コンテナ詰めの輸送に耐えられるように、皮が硬く、果肉は密度が高くつぶれにくい特徴を持ちます。日差しを多く浴びるように、支柱を使わず地面をはわせるように育てるので、生産者の手間が省けて大規模な作付けが可能です。



② 農作物の生産者をサポートする、農業のプロフェッショナル「フィールドパーソン」

「よい原材料はよい畑から生まれる」という想いから、安心・安全な農作物を調達するために、「契約栽培」に取り組んでいます。「契約栽培」は、まず作付け前に農家の方々と品質基準を満たす農作物について全量を買い入れる契約を結びます。その後、農業のプロであるフィールドパーソンが契約農家の畑を巡回し、独自のきめ細かい栽培指導をはじめ、農作物の生育状況に合わせて的確なアドバイスを行っています。「契約栽培」を行うことで、農家の方にとっては廃棄の無駄や価格変動といった不安がなくなり、高品質な原材料を作ることに専念できます。


③ 環境負荷の低い栽培技術の開発

近年、世界各地で発生している干ばつは、農作物の栽培に大きな影響を与えており、持続可能な農業を実現していく上で、水不足への対応は喫緊の課題となっています。

AIを活用して加工用トマトの営農支援を行う、NECとの合弁会社「DXAS」では、NECの農業ICTプラットフォーム「CropScope」の少量多頻度灌漑に対応したAI営農アドバイスと自動灌漑制御機能を組み合わせたサービスを提供することにより、通常よりも少ない水の量で、加工用トマトの収穫量を増やす取り組みを進めています。2023年4月~8月に、これまで「CropScope」が導入されていなかった北イタリアで実施した実証試験では、「CropScope」を活用していない区画と比較して、約19%少ない灌漑量でトマトの収穫量を約23%増加させることができました。これにより、今まで「CropScope」を導入していた地域とは気候や土質などが異なる北イタリアのような栽培環境でも、良好な成果が得られることを確認しました。


北イタリアの圃場(AI少量多頻度灌漑区)


畑の環境に合わせてAIが水やりの判断をする

担当者メッセージ

オーストラリアで競争力のある農業を実現

Kagome Australia Pty Ltd.(以下、KAU)はオーストラリア国内で大規模にトマト加工を行っている唯一の会社であり、トマト以外にもにんじん、にんにく、小麦などを栽培しています。我々フィールドチームはオーストラリア産の安心・安全で高品質な商品を顧客へ供給するという重要な責務に誇りを持っています。オーストラリアで農業を行う上では、農業人材の確保や先進農業の推進、天候リスクへの対処が重要な課題になります。KAUでは人手のかかる定植作業の自動化や、衛星を活用した生育状況の確認など、効率的な農業を進めています。天候リスクはKAUにとって最もチャレンジングな課題です。過去に幾度も天候の影響を受けていますが、カゴメグループのサポートを得ながら改善を積み重ねていくことで安定かつ競争力のある農業を実現することができると信じています。


Kagome Australia Pty Ltd.
GENERAL MANAGER
FIELD OPERATIONS

Chris Taylor

 

2 生産(一次加工・二次加工)

畑で収穫した農作物を原材料として、製品を生産する工程には、主に一次加工と二次加工があります。一次加工は、生の農作物を扱いやすい形に加工する工程であり、野菜のペーストやピューレーなどが主な製品です。二次加工は、一次加工した農作物に調味料や野菜などの他の素材を加えて加工する工程であり、トマトケチャップやピザソース、野菜飲料など様々な製品を製造しています。

カゴメの製造工場は世界に17拠点あります。一次加工品の工場は農作物の産地近くに位置します。収穫後は極力時間をかけずに工場まで運び加工しています。二次加工品は、日本、米国、ポルトガル、オーストラリア、台湾、インドなどで製造し、現地や近隣国で販売しています。安心・安全な製品を安定的に生産するため、海外グループ会社で共通の品質管理基準(KBMP)を導入し、グループ全体の品質保証レベルや生産性の向上を推進しています。

※KBMP:Kagome Best Manufacturing Practice 海外グループ会社共通の品質管理基準

① 世界17拠点で安心・安全な製品を生産

製品の生産拠点は、世界に17ヶ所(海外11工場、日本6工場)あります。トマト、にんじん、パプリカなどの野菜の一次加工の生産拠点と、トマトソースやピザソース、野菜飲料などの二次加工の生産拠点の2つに分類することができます。なかでも、トマトの一次加工については、カゴメの生産能力は世界で第3位です。

二次加工品であるピザソースなどは、主に現地や近隣諸国のフードサービス企業に販売しています。原材料の調達においては、各国で安心・安全な製品を安定してお届けするため、グループ内調達はもちろんのこと、国内外に幅広い調達ネットワークを構築しています。


② 産地×加工技術×容器形態の組み合わせによる、

 ユーザーのニーズに合わせた製品の提供(一次加工)

農作物の味は、産地や品種によって甘み・酸味・うま味などが異なります。産地それぞれの特徴を活かして、用途にふさわしい製法を選択して加工しています。製法についても、濃縮する際の温度などの違いによって、粘度、性状、明るさ、香味などが変わります。当社では、加熱を最小限に抑えることで、トマトの新鮮な香りや明るく鮮やかな赤色を保持することができる特許技術(RO濃縮技術)を活用した製法や、にんじんに熱をかけずに優しくゆっくりすりつぶしながらしぼる「フレッシュスクイーズ製法」など、素材の良さを活かす加工技術を開発しています。容器形態については、大容量のドラム缶からバックインボックスのような小容量のものまで、ユーザーのニーズに合わせた形態で提供しています。

トマトの一次加工


※ バックインボックス:プラスチック製の内装容器と、段ボールケースを主体とする外装容器の組み合わせ容器。 

③ 野菜の価値を最大限に引き出した、バリエーション豊かな製品の提供(二次加工)

一次加工で生産されたペーストなどに、調味料や野菜などの素材を加えて製品を生産する工程を二次加工と言います。例えば、トマトケチャップはトマトペーストに糖類、醸造酢、食塩、たまねぎ、香辛料などを加えて調味しています。野菜ジュースは、複数種類の濃縮された野菜をミックスして仕上げています。

販売する国の食文化や、多様な食シーンに合わせて、野菜の味わいを活かす幅広い製品を製造しています。

二次加工


担当者メッセージ

インドでトマト加工品の市場を開拓

インドではカレー料理に多くの生トマトが使用されている一方、トマトの二次加工品があまり使用されていません。カゴメのトマト加工品のメリット(調理時間・手間の削減、スキルの低いシェフでも安定した品質の料理をいつでも提供できるなど)をホテル・レストラン・ケータリングのお客様にご理解いただき、徐々にですが市場を拡大させています。営業面では商談力の向上が課題です。商品の価値を伝えるために、営業担当者とともにシェフの資格を持つ従業員がお客様のキッチンを訪問して実演する機会を増やしています。継続的に新規顧客を獲得していけるよう、組織全体の営業スキルを底上げしていきます。インドでは計画通りに物事が進むことはほぼなく、常に複数のシナリオを想定して業務を進めています。多くの困難に直面しながらもダイナミックに事業規模を拡大できることが、インドでの仕事の魅力です。


Kagome Foods India
Pvt.Ltd.

布川 浩一 

 

3 商品開発・需要創造

創業以来、野菜や果実が持つ本来の味や栄養素を大切にし、自然素材を活かした商品づくりをしてきました。これまでの商品開発で蓄積した加工技術、配合などの知見を磨いて新たな商品開発に活かしています。

国際事業や日本国内のBtoBビジネスにおいては、顧客が抱える様々な悩みや要望に対して、商品やメニュー開発などのソリューションの提案に注力しています。BtoCビジネスでは、野菜の提供形態の多様化と、提供市場を多点化することにより、日本やアジアでの野菜の需要を喚起し、野菜不足を解消する商品やサービスを提供しています。

① 自然の素材を活かす商品開発力

野菜や果実が持つ本来の味や栄養素を大切にし、なるべく無添加で加工することにこだわった商品を開発しています。野菜や果実の最適な組み合わせや、トマトやにんじんから独自に開発した野菜素材を用いて、狙った味や性状を生み出します。産地によって微妙に味が異なる野菜や果実ですが、常に同じ味になるように配合を調整する仕組みを構築しています。

<事例1>野菜一日これ一本 トリプルケア

<事例2>にんじんパウダー

2023年9月に販売を開始した血糖値・血圧・中性脂肪の3つをケアする機能性表示食品です。野菜の成分だけで、3つの機能を実現していることが特徴です。加えて、30品目の野菜を350g使用しており、野菜を手軽においしく補うことができます。 


KAUでは、にんじん加工時の副産物(廃棄品)をパウダー状に加工し、販売しています。廃棄を減らすことにより、収益性の向上や、食品ロスの低減を目指しています。


② グループ各社の連携により、BtoBビジネスのソリューション提案力を強化

カゴメグループの主な顧客の一つに、グローバルフードサービス企業があります。世界の各エリアに展開しており、今後はインドなどでも店舗数が増加する見込みです。当社はトマトソースやピザソースなどの二次加工の生産拠点を米国、ポルトガル、オーストラリア、台湾、インドなどに保有していることから、グローバルで安定して高い品質の商品を供給できることが強みです。商品開発の知見やノウハウの共有など、グループ間の連携をさらに強化することで、グローバルフードサービス企業向けの売上収益の拡大を目指しています。

また、日本の外食業界などにおいては人手不足が深刻な問題となっています。生の野菜から調理をする手間を省くピューレー状の野菜や、冷凍グリル野菜、オニオンソテーなどの加工度の高い野菜の活用などのソリューションを提案することによって、顧客の困りごとの解決につなげています。


KIUS製造ライン


調理の手間を省くことができる冷凍野菜の商品

③ 野菜や植物性食品の価値をお客様に伝え、需要を創造するBtoCビジネス

BtoCビジネスは主に日本、アジアで展開しています。野菜不足を解消し健康寿命の延伸に貢献することを目指し、野菜摂取に貢献できる野菜スープや野菜飲料などの商品や、「野菜をとろうキャンペーン」などのプロモーション、「健康セミナー」や「ベジチェック®」などのコトサービスを通じて、需要創造活動を行っています。日本国内においては、これまで築いてきたブランド力によって、高いシェアを獲得しています。

トマトケチャップ 58.3%

トマトジュース 63.4

野菜ミックスジュース 47.1%

野菜果実ミックスジュース 67.9%


出典:株式会社インテージSRI+
期間:2023年1~12月
単位:金額シェア
対象エリア:全国

対象業態: スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストア、ホームセンター

 


「ベジチェック®」
センサーに手の平を押し当てて約30秒で簡単に推定野菜摂取量を見える化できる機器

アジア地域の取り組み

現在、アジアの7地域に対して、野菜飲料の輸出販売や、需要創造活動と販売チャネルの構築を進めています。地域によって野菜飲料の市場環境は大きく異なるため、それぞれに合わせたマーケティングを行い、現地ディストリビューターや越境ECチャネルを活用して、売上拡大に向けた基盤を構築しています。アジアにおいても「ベジチェック®」を設置した店舗で売上が向上する販促効果が確認されており、今後も店頭での体験を提供することで野菜飲料の購入につなげる施策を実施していきます。

TOPICS 野菜摂取の行動変容を研究する「食健康研究所」の新設

日本のみならず、世界中の人々のWell-Beingを実現するため、野菜や植物性食品の持つ可能性を様々な角度から検証する「食健康研究所」を2023年10月に設立しました。主な研究領域は以下の3点です。

① 行動変容研究:健康寿命の延伸や野菜摂取の行動変容につながる仕組みづくり・創出の研究、社外研究機関と連携した野菜摂取に関する行動変容研究 など

② 機能性研究:国内外の商品やサービス、素材の栄養・機能価値に関するエビデンスの取得、食における野菜摂取が健康寿命の延伸に寄与することを示すエビデンスの取得 など

③ 事業貢献:一般社団法人ナトカリ普及協会との当社事業の支援、機能性表示食品の商品化に向けたエビデンス強化、行動変容コンテンツによる国内外における事業支援、野菜に関する情報の発信・普及と海外研究機関との共同研究 など

担当者メッセージ

アジアにおける野菜飲料の習慣飲用化で、お客様のQOL向上への貢献を目指す

アジア市場は、国・地域によって多少異なりますが、野菜飲料を飲むことが日本ほど定着していません。この状況の中、野菜をジュースでとる習慣の浸透を通じてお客様の健康やQOL向上に貢献するのが私たちのミッションです。

私が勤務する香港では、現地で知らない人はいない「出前一丁」ブランドを擁する日清食品(香港)有限公司との協業で事業を展開しています。これまでの協力により、カゴメ野菜飲料の認知率・購入経験率は高く、ブランドとしてはかなり浸透してきたと言えます。しかし、飲用者1人当たりの飲用量拡大にはまだ余地があります。このために、カゴメが持つ野菜の栄養に関する様々なエビデンスやベジチェック®など、あらゆる資産を活用して、お客様にカゴメ商品の健康的な価値をご理解いただくことで、さらなる事業拡大を目指していきます。


グローバルコンシューマー

事業部

下妻 洋 

 

(5)企業価値向上に向けた取り組み

 当社は、企業理念(「感謝」「自然」「開かれた企業」)のもと、事業を通じて社会価値と経済価値を創出することにより企業価値を最大化していきます。また、中長期においてROEの向上資本コストの低減に重点的に取り組むことで、持続的な企業価値向上を目指していきます。 

ROEの向上


企業価値向上


資本コストの低減

●収益力の向上

●財務健全性、資本効率性の両立

●非財務(ガバナンス、リスクマネジメント、環境、人権、人的資本など)の取り組み

●情報開示の拡充、株主・投資家との対話など

●ROEの向上(2025年度目標 9%以上)
 当社は、企業価値向上の最重点指標にROEを掲げています。

 収益力の向上、財務健全性と資本効率性の両立を柱として、第3次中期経営計画期間の最終年度である2025年度はROE9%以上の達成を目標としています。今後もROEを高め、安定的な株主還元を行うことで企業価値を向上していきます。


効率的な成長投資の実行

設備や事業への投資においては、経営企画、法務、財務経理などの専門部署のメンバーから構成される投資委員会により、各部署から起案された投資について採算性やリスク評価を踏まえた審査を経た上で、経営会議及び取締役会で決定します。

また、投資後も、同委員会が継続的にモニタリングを実施し、その効果を確認しています。

投資判断基準

対象

指標

基本要求水準

事業投資

IRR(内部収益率)※1

10%+α※2

設備投資

PBP(回収期間)※3

4年

※1 Internal Rate of Return:事業計画から得られるフリー・キャッシュ・フローの現在価値から初期投資額を差引いた金額がゼロとなる割引率

※2 αは国や地域に応じたカントリーリスク

※3 Payback Period:投資金額が回収されるのに要する期間

投資のモニタリング体制

●執行後5年間を対象   ●年1回の取締役会・経営会議にて報告

第3次中期経営計画期間 投資額(累計)計画


売上総利益率の維持・向上の取り組み

 当社は、持続的に収益力の向上を実現する上で、売上の拡大に加えて、売上総利益率の維持・向上に取り組んでいます。
 具体的には、各事業の特性に応じて、原材料費の削減や労働生産性の向上、製造ラインの自動化など、生産現場における恒常的な原価低減のほか、コスト上昇時の機動的な価格改定により売上総利益率を維持・向上しています。


※ 企業結合会計適用によりIngomarの在庫の時価評価で原価が上昇することに伴い、一時的に低水準となる

また、「畑は第一の工場」としてものづくりを営む当社グループにとって、中長期的にも安定した売上総利益率を確保する事業構造に変革していくために、高品質の農産原料の調達ネットワークの拡大や、水不足や気候変動に適応した品種開発、栽培技術の確立など、グローバルバリューチェーン全体のコスト構造を変革する取り組みを進めています。

継続的な利益拡大の取り組み

当社は、2025年度の利益目標の達成に向けて、将来予測に基づく引当マネジメントプロセスを採用しています。

また、毎月開催する取締役会、執行役員会のモニタリングを通じて、経営と現場が一体となって継続的な利益拡大に取り組んでいます。

利益目標達成においては、実績確定前の年間引当予測に基づき、利益目標との乖離状況を早期に把握することで、機動的な戦略修正を行う引当マネジメントプロセスを採用しています。このプロセスにより、各事業の売上拡大、コスト削減の活動につなげることで目標とする利益の達成を実現しています。


全社ROIC管理による資本効率の向上

当社は、利益を獲得するだけではなく、投下した資本の適切性や効率性を測定するため、2021年度よりカゴメROICによる管理を導入しています。カゴメROICは、獲得したEBITDAに対して投下した資本の効率性を測定し、貸借対照表項目を各要素に分解することで、改善すべき課題を明確にすることを目的としています。 

※ カゴメROIC :EBITDA÷投下資本

2023年度は、国際事業のEBITDAが大幅に増加したことにより、ROICは目標を5.7point上回り、13.2%となりました。
2024年度は、ROICは4.6point悪化し、8.6%を見込んでいます。各事業の状況は以下の通りです。

国内加工食品事業:EBITDAの減少と投下資本の増加により4.7point悪化
国内農事業:EBITDAの減少により6.1point悪化
国際事業:主にIngomarの連結子会社化に伴う投下資本の増加により5.5point悪化

(ROICツリー展開)
 当社においては、ROICツリーを資本効率向上のためのコントロールドライバーとして活用しています。ROICツリーの展開により、ROICからブレイクダウンしたBS指標を各部門のKPIに落とし込むことで、これに基づくアクションプランを各社・各部門にて設定し、自律的にPDCAを回すことで指標の改善を図っています。その上で、各社・各部門にて効率を意識した改善活動を行い、最適なサプライチェーン体制の構築をはじめとした取り組みを進めています。

 

2022年度実績

2023年度目標

2023年度実績

2024年度目標

ROIC(%)

   11.5

   7.5

   13.2

   8.6

EBITDAマージン(%)

   10.3

   7.0

   12.3

   9.0

EBITDA (百万円)

 21,092

 14,900

 27,726

 26,100

売上収益   (百万円)

205,618

213,000

224,730

289,000

投下資本回転日数  (日)

    327

    338

    341

    385

国内加工食品事業

2023年度:13.7%→2024年度:9.0

 

国内農事業

2023年度:22.4%→2024年度:16.3

 

国際事業

2023年度:15.3%→2024年度:9.8

 

主なKPIと担当部門

 

●売上債権回転日数

(営業本部)

 

●原材料在庫高

(調達部)

 

●社内加工材在庫高

(生産部)

 

●製品在庫日数

(SCM本部)

 

●海外子会社の各社別ROIC

(カゴメ・フード・インターナショナル・カンパニー)

 

自己資本比率・信用格付の維持

自己資本比率

 

当社は財務基盤の安定を前提に、ROEの向上を進めます。
 自己資本比率50%以上を維持するとともに信用格付においてシングルA以上を目指します。

 

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

連結

54.6%

52.8%

49.8%

50%以上

格付

A

A

A

-

 

(6) 第3次中期経営計画の進捗

2016年に、2025年のありたい姿、ビジョンを定め、その達成に向けて3期にわたる中期経営計画に基づき経営を進めてきました。2022年から2025年までの第3次中期経営計画は、10年間の総仕上げと、次の10年の成長を見据えた重要な4年間となります。


第3次中期経営計画の基本戦略は「4つのアクションの有機的連携による持続的成長の実現」です。

第3次中期経営計画の前半となる2022~2023年の2年間は、ウクライナ情勢などの地政学リスクの高まり、円安の進行、 気候変動の影響による農産原料の収量低下などにより、原材料価格が高騰し、当社の経営環境は大きく変化しました。国内事業は、ほぼ全商品にわたる価格改定を行うとともに需要喚起策に取り組んだことで、販売数量を回復軌道に乗せることができました。国際事業は、これまでの収益構造改革の成果に加え、トマト加工品の市況高に合わせた価格改定と、外食需要の回復により売上収益、事業利益ともに大きく拡大することができました。後半となる2024~2025年においては、さらなる原材料価格の上昇が見込まれる環境において、国内事業の収益の回復と、国際事業の成長の加速に取り組みます。

第3次中期経営計画 基本戦略


第3次中期経営計画の定量推移(実績・計画)


() その他/調整(各事業別実績は調整前値)

第3次中期経営計画 前半(2022年~2023年)

経営環境変化への迅速な対応

前半の取り組み

 ●原材料価格の高騰に対応し、国内・国際事業ともに、機動的な価格改定と需要喚起策を実施
 ●加工用トマトの市況変化に対応した国際事業の売上収益、事業利益の成長
 ●トマトを中心とした、原材料調達戦略の見直し
 ●植物性領域への挑戦、AIを活用し持続可能な農業を目指したDXASの設立とサービス開始
 ●サステナビリティやリスクマネジメント推進体制の整備

機会とリスク(機会〇、リスク△)

●世界的な環境問題の深刻化(〇△)
●世界人口の増加と国内人口の減少(〇△)
●アフターコロナの「食と健康」に関するマーケットの変化(〇△)
●デジタル化による顧客接点の多様化(〇)
●農産原料など食糧、水、天然資源などの価格上昇(△)
●労働力の不足(〇△)
●サプライチェーン課題への対応(△)


今後の課題

●さらなる原材料価格上昇への迅速な対応
●価格改定による需要減退を防ぐ、需要喚起策の実施
●国際事業のさらなる成長の加速
●人口増加が見込まれる地域における事業展開の加速
●環境負荷を低減するサステナブル農業への資源投下
●中長期的な成長を見据えた人的資本の強化と、サプライチェーンの整備 

第3次中期経営計画 後半(2024年~2025年)

収益回復と成長の加速

2024年にかけても原材料価格は高い水準が続く見通しです。引き続き、収益獲得に向けた活動に注力するとともに、基本戦略である「4つのアクションの有機的連携」を進めます。
 加えて、2026年以降を見据え、ビジネスモデルの特徴の一つである農業が抱える課題への中長期的な対応を進めていきます。

具体的な取り組み

国内事業:利益回復に向けた取り組み

国際事業:成長の加速

経営基盤の強化

●原材料価格のさらなる上昇に対応する、原価低減、コスト削減、価格改定と需要喚起策の実施

●ベジチェック®や「野菜をとろうキャンペーン」を通じた野菜摂取に貢献できるカテゴリーのマーケティング施策の強化

●植物性領域の拡大

カゴメ・フード・インターナショナルカンパニー設立による意思決定の迅速化と、グループ企業間の連携強化

●原材料価格高騰を受けた、価格改定の実施

●トマト加工品の安定供給とコスト競争力の強化

●開発、営業力を軸としたフードサービス企業の売上拡大

●米国やインドなど、人口増加が見込まれる地域での事業展開の加速 

●調達基盤の強化

・グローバル・アグリ・リサーチ&ビジネスセンターによる、環境負荷の低い品種や栽培技術の開発強化 

●サプライチェーン

・サプライネットワーク構想の具現化

 

※人的資本の強化→人材ページ参照

中長期的な課題

地球温暖化に伴う異常気象の発生や、海外の人口増加を受け、世界的な農産原料の安定生産が中長期的な重要課題です。特に、トマトにおいては近年世界的に需給が逼迫しており、長期的にも気候変動の影響を受ける可能性が高いことが想定されます。そのため、中長期的な原材料の確保と、持続的な農業の確立を目指し、川上の新品種の開発と育種、アグリテックなどの栽培技術の開発に、人材等の資源を集中的に投下するため、2023年10月に、農業

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