タナベコンサルティンググループ 【東証プライム:9644】「サービス業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「企業を愛し、企業とともに歩み、企業繁栄に奉仕する」という経営理念の実現に向けて、全国の大企業から中堅企業、行政・公共の経営者・リーダーの「決断」に寄り添い、支援しております。1957年創業の日本の経営コンサルティングのパイオニアとして、全国主要都市10地域に常駐するBusiness Doctors(コンサルタント)が、「ファーストコールカンパニー 100年先も一番に選ばれる会社」(社会に高付加価値を提供し、持続的成長を実現する企業等)を、数多く創造していくことを経営方針としております。
グループ全体の力を結集して提供する「チームコンサルティング」「経営コンサルティング・バリューチェーン」により、企業等の成功とその従業員・家族等の豊かさの実現のみならず、その企業等の商品・サービスを利用する顧客にも良い影響を与え、結果として社会全体・地域全体の発展にも貢献していきたいと考えております。
(2)経営環境及び中長期的な経営戦略
ウィズコロナ対策により消費が回復基調に向かう一方、インフレによる消費意欲低下や投資抑制といった景気減速懸念もあり、また、ウクライナへの軍事侵攻の長期化や米中の対立による地政学リスク等もあり、先行き不透明な経営環境が続くと予想されます。
これらの環境変化に適応するために、当社グループの主要顧客である大企業から中堅企業、行政・公共にも大きな変化が求められております。具体的には、パーパスの策定、サステナビリティ・DX・M&A・グローバル等を組み込んだ中長期ビジョンの構築、人的資本経営の実装、事業承継・グループ経営、ブランディング・PR、CX(顧客体験価値)デザイン、コーポレート・ガバナンスの強化等、その経営ニーズはますます多様化・専門化しております。
このような環境下において、創業65年間で培ってきた17,000社を超える経営コンサルティング実績及び成功済みのメソッドを駆使し、企業等の経営全般を支援できる当社グループの役割は、より一層増してきていると認識しております。コンサルティング業界においては、特定の業種や機能に特化するコンサルティング企業は多く存在しますが、多様な業種の大企業から中堅企業や行政・公共に対し、経営戦略の策定から現場におけるマネジメント実装・オペレーションまでを一気通貫で支援できる経営コンサルティング企業は稀であり、競合他社も比較的少なく、独自のポジションを構築できていると認識しております。
以上を踏まえ、企業等の多様化・専門化する経営ニーズに応えるための経営コンサルティング領域の多角化を推進することが、当社グループの中長期的な経営戦略であります。事業会社として、戦略・総合経営コンサルティングを提供する株式会社タナベコンサルティングのほか、2019年以降BtoBデジタルマーケティングを提供する株式会社リーディング・ソリューション、クロスボーダーを含むM&A全般の支援やバックオフィス部門のBPR・DX支援を提供するグローウィン・パートナーズ株式会社、ブランディングやCXデザインを提供する株式会社ジェイスリー、国内外で戦略PRコンサルティングを提供する株式会社カーツメディアワークスの4社をグループ化いたしました。今後も、引き続きデジタル・DX領域に強みを持つ企業を中心に、積極的にM&Aを実施し、経営コンサルティング領域の開発・多角化を推進してまいります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
前述の経営方針や経営環境及び中長期的な経営戦略も踏まえ、今後の当社グループの対処すべき課題については、次のとおりであります。
①グループ経営の強化(純粋持株会社体制への移行)
当社グループは、2022年10月1日付で純粋持株会社体制へ移行し、純粋持株会社である当社は「株式会社タナベコンサルティンググループ」へ商号を変更し、新設の事業会社である「株式会社タナベコンサルティング」へ経営コンサルティング全事業を承継いたしました。現在は、当社も加えた6社体制でTCG(タナベコンサルティンググループ)として、グループ経営を推進しております。
純粋持株会社である当社が、グループ全体の成長戦略や資本戦略をリードし、経営コンサルティング領域の多角化戦略のもと、今後もM&Aにより、事業会社をスピーディーに増やしてまいります。そして、グループ横断での経営資源の最適配分・効率的活用を実施してまいります。
一方で、東証プライム上場企業に求められるトップマネジメント体制を志向しながら、サステナビリティ経営を推進していくために、各事業会社に権限を適切に委譲し、各社が迅速な意思決定や業績責任を果たす経営を通じて次世代経営者・リーダー人材を多く登用・育成し、グループ全体の人的資本価値の向上を実現してまいります。
結果、グループ全体のガバナンスは維持しつつ最大限のシナジーを発揮し、企業価値を最大化してまいります。
②中期経営計画(2021~2025)「TCG Future Vision 2030」の推進
中長期的に持続的成長及び企業価値の向上を加速させるために、「One&Only 世界で唯一無二の新しい経営コンサルティンググループ TCGの創造」をスローガンとした中期経営計画(2021~2025)「TCG Future Vision2030」を推進しております。中期経営計画の最終年度である2026年3月期目標としての売上高150億円・営業利益18億円・株主資本当期純利益率(ROE)10%・総資産経常利益率(ROA)15%・従業員数800名を実現するべく、以下の5点を成長モデルと設定し、推進してまいります。
a.「プロフェッショナルDXサービス」(デジタル技術で現場におけるマネジメント実装・オペレーションを支援)を拡大し、大企業から中堅企業、行政・公共向けに圧倒的な競争力を持つ経営コンサルティング・バリューチェーンの構築を実現する。
b.経営コンサルティング領域の開発・多角化のために、手元現預金10億円以上を活用し、積極的な成長M&A投資を実施する。
c.商品・サービスの契約継続率70%以上(Life Time Value)を実現するために、顧客体験価値を重視したデジタルマーケティングやCRM、クライアントサクセスを推進する。
d.経営コンサルティング領域の開発・多角化に伴い、コンサルティングチーム及びチームを率いるパートナーリーダーシップを100以上に拡大する。
e.グループ全体の人的資本価値を拡大させる「TCGアカデミー」(企業内大学)のカリキュラム・コンテンツ(学部)を充実させる。
③経営コンサルティングバリュー(専門価値)の強化
グループ全体がチームとなり、大企業から中堅企業、行政・公共の多角化・専門化する経営課題を解決するための経営コンサルティングバリュー(専門価値)を強化し、全国、そしてグローバルに展開してまいります。領域別の強化すべき経営コンサルティングバリューは、以下のとおりであります。
a.ストラテジー&ドメインコンサルティング
「中長期ビジョンの策定・推進」を主軸に、大企業・上場企業向けの大型契約獲得を強化していくと共に、「グローバル戦略」「ビジネスモデル革新」「ESG・SDGs」のコンサルティング機能も強化していく。
b.デジタル・DXコンサルティング
引き続き「DXビジョン&IT化構想の策定」コンサルティングを推進していくと共に、アライアンスネットワークを拡大し、業種別のプロフェッショナルDXサービスを拡充・強化していく。
c.HRコンサルティング
顧客企業等の人的資本価値の向上を実現するトータルコンサルティングサービスを拡充・強化し、また、経営者人材を育成するトップマネジメントプログラムを中堅社員層や若手社員層にも拡大していく。
d.ファイナンス・M&Aコンサルティング
「ホールディングス・グループ経営」「クロスボーダーM&A」の重点推進に加えて、顧客企業のサステナビリティ経営を実現する「企業価値ビジョン」コンサルティングも推進していく。
e.ブランディング&マーケティングコンサルティング
引き続き「ブランド戦略の立案」「商品・サービスプロモーション」の支援機能を強化すると共に、これらを繋ぐ「戦略PR」コンサルティングも国内外で推進していく。
また、これら全経営コンサルティング領域において、行政・公共向けコンサルティングをより一層推進してまいります。
④コーポレート戦略
a.東証プライム市場の上場維持基準達成を実現する株式・資本政策を推進してまいります。
b.新たに策定する当社グループのパーパス・バリューの社内外浸透をはじめ、「One&Only 世界で唯一無二の経営コンサルティンググループ TCGの創造」を実現するためのコーポレートブランディングや商品・サービス、コンサルタント等の戦略PR活動を推進してまいります。
c.サステナビリティ経営を実現するための当社グループのマテリアリティ(社会課題の解決と持続可能な発展に向けた重要課題)を特定し、統合報告書等を通じて広く発信し、取り組みを推進してまいります。
d.グループ各社のバックオフィスオペレーションを効率化し、より一層の生産性向上を実現するスマートDX投資を推進してまいります。
e.多様な人材がお互いを知り、尊重し合い、より活躍できるためのオフィス環境投資や健康経営等を積極的に実施するTD&I(タナベ ダイバーシティー&インクルージョン)を推進してまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループが、経営コンサルティングの提供により企業等の持続的成長に貢献し、延いては社会全体・地域全体の発展にも寄与していくこと、そして当社グループ自身も持続的成長及び中長期的な企業価値の向上を実現していく上で、売上高成長率と営業利益額及び売上高営業利益率の向上を目標としております。また、売上高成長率の向上を推進する従業員数の増加も目標としております。そして、安定的な利益確保により有事にも動じない高い安定性を備えた最適資本構成を実現し、その上で中期経営計画において目標としている株主資本当期純利益率(ROE)10%を実現してまいります。結果、成長性・収益性・効率性のバランスが取れた企業を目指してまいります。
そのために、「売上高」「営業利益」「売上高営業利益率」「株主資本当期純利益率」「従業員数」を重要な指標として位置付けております。当連結会計年度における売上高は117億59百万円、営業利益は11億52百万円、売上高営業利益率は9.8%、株主資本当期純利益率は6.4%、期末従業員数は566名でした。引き続き、これら指標の改善に向けて取り組んでまいります。
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