企業NTTデータグループ東証プライム:9613】「情報・通信業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

[方針]

 当社グループは、事業の健全な成長を推進することを目的に、事業活動に関わるあらゆるリスクを的確に把握し、経営への影響を抑制・低減していくため、全社的な視点でグループのリスクマネジメントを統括・推進する役員及びリスクマネジメント部門を置くとともに、主要なグループ会社にリスクマネジメントを統括する役員を選任し、グループで連携してリスクマネジメント体制を整備しています。

 また、当社グループの事業計画の達成、存立基盤に重大な影響を与える可能性のあるリスクを「重要リスク」として取締役会において選定し、更に「重要リスク」のうち、平時の統制に加え迅速な有事対応を必要とするリスクについては「特に重要なリスク」と定義しています。

 各「重要リスク」については、グループ全体として重点的な統制活動を推進し、内部統制委員会において、その統制状況について定期的なモニタリングやその有効性の確認、改善事項の提言等を実施するとともに、その他リスクマネジメントの浸透・徹底に必要な事項の審議・決定を行っています。

 また、グループ全体としての「重要リスク」の統制に加え、各事業会社や海外統括会社においても、それぞれの事業特性に応じた「重要リスク」を選定し、その統制やモニタリングを行っています。グループ全体としてのリスク統制活動と、各事業会社・海外統括会社でのリスク統制活動は、各社のリスクマネジメント統括役員間の連携体制の下で相互連携しながら実施しており、これらの活動全体を内部統制委員会でモニタリングすることで、グループ一体的なリスクマネジメント活動の推進を図っています。

[重要リスク]

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの事業計画の達成、存立基盤に重大な影響を与える可能性のあるリスクには以下の(1)から(16)のリスクがあります。このうち、(1)から(8)を平時の統制に加え、迅速な有事対応を必要とするリスクである「特に重要なリスク」として定め、 有事発生時の対応を含め、特に重点的に統制活動を行っています。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在における判断によるものです。

(1)システム開発リスク

 [リスクの内容と顕在化した際の影響]

 当社グループの主力事業であるシステムインテグレーション事業では、一般に請負契約の形態で受注を受けてから納期までにシステムを完成し、お客様に提供するという完成責任を負っています。
 そのため、契約内容の曖昧性等による当初想定していた見積りからの乖離や、開発段階に当初想定し得ない技術的な問題、プロジェクト管理等の問題が発生し、原価増となることがあります。
 不採算案件が発生した場合、想定を超える原価の発生や納期遅延に伴う損害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。以下に記載のリスクへの対応策を実施していますが、当該リスクが顕在化する可能性を完全には否定できません。

[リスクへの対応策]

 システムの完成責任を全うするため、お客様・業務・技術のいずれかに新規性のある大規模案件を対象に当社内の第三者組織による提案準備段階における提案内容の実現性確認・契約内容の明確化等のリスクへの早期対応、受注時計画や原価見積の妥当性審査と納品までのプロジェクト実査を行っています。更に、お客様・業務のいずれかに新規性のある一定以上の規模の案件はグループ会社の案件も含めて「高リスク案件」として選定し、進捗や課題の状況、リスクとその軽減策を定期的に把握・管理するなど、不採算案件の抑制に努めています。

(2)出資・M&A・設備投資に関するリスク

 [リスクの内容と顕在化した際の影響]

 当社グループは、新技術やソリューション、開発リソースの獲得及び戦略的パートナーシップの構築等を目的とし、国内外の企業・組織への出資を実施しています。また、Global 3rd Stageの達成に向けてはM&Aを重要な手段の一つと捉え、グローバル成長の推進力としてM&Aを活用しています。M&Aの実施にあたっては、当社グループと共通の価値観・親和性を持っていることを最重要視し、主にGeography(重点地域)、Offering(サービス提供力)の観点から、当社グループとのシナジー効果の実現性の見極めを実施しています。
 M&Aにおいては、特に海外の出資先において法的規制、税制、商習慣の相違、労使関係、各国の政治・経済動向等の要因により、当社グループの適切なコントロールが及ばず事業運営を円滑に行うことが困難となった場合や出資先に対し当社グループとのシナジー効果を十分に発揮できず売上や利益が想定を大きく下回るなど、期待したリターンが得られなかった場合、のれん等の減損処理を行うなど、当社グループの経営成績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。以下に記載のリスクへの対応策を実施していますが、当該リスクが顕在化する可能性を完全には否定できません。

[リスクへの対応策]

M&Aやデータセンタ事業投資の意思決定時には、資本効率性を意識した投下資本利益率(ROI)、正味現在価値(NPV)等の指標を用いた投資対効果の評価や、第三者評価による財務健全性の評価等を判断要素としています。

M&Aにおける重要なリスクと認識している、当社グループの適切なコントロールが及ばず事業運営を円滑に行うことが困難となるリスクについては、出資時の意思決定において、社内ビジネス部門及びファイナンシャルアドバイザ・会計士・弁護士等外部有識者によるビジネス面に着目したデューデリジェンスと、出資先のカントリーリスクを踏まえたコンプライアンスに着目したデューデリジェンスの実施を必須とし、発見された各リスクの検証、対応策を踏まえた意思決定を実施することにより、当該リスクの低減に努めています。

 また、当社グループとのシナジー効果を十分に発揮できず売上や利益が想定を大きく下回るなど、期待したリターンが得られないリスクについては、当社グループとのシナジー創出による買収先会社の継続的成長を重要視し、案件の規模や内容に応じてロングタームインセンティブ(一定期間の勤続に伴う報酬)やアーンアウト(買収価格の分割払い)等のスキームを活用しています。加えて、意思決定時にM&A実施後の統合プロセス(PMI)計画の作成を必須とし、M&A効果の最大化に向けた統合プロセスを早期から実施することにより、当該リスクの低減に努めています。

 当社は連結会計年度末における予期せぬリスクの顕在化を抑制するために、四半期ごとに買収先会社の経営状況、PMIの取り組み状況等のモニタリング及び必要な是正を行っています。

 上記のような対応策により、当該リスクが当社グループの経営成績及び財務状況に大きな影響を与えることのないよう、入念な検証及び適切なガバナンス体制の構築を行うことで、リスクの顕在化防止に努めています。

(3)情報セキュリティに関するリスク

 [リスクの内容と顕在化した際の影響]

 当社グループは業務遂行の一環として、個人情報や機密情報を取り扱うことがあります。これらの情報について、サイバー攻撃等による情報セキュリティ事故のリスクがあります。国内外問わず、最近ではランサムウェアをはじめとする標的型メール、フィッシングによる攻撃や、急速に普及拡大するテレワークやオンライン会議の脆弱性を狙ったサイバー攻撃が急増しています。これに加えて、国家紛争やテロと連動した武力とサイバー攻撃を組み合わせたハイブリッド型攻撃や、海外政府等のスパイや転職等に伴う人的な機密情報の持出しのリスクも顕在化してきています。当社は自ら社会インフラを提供する企業であるとともに、取引先でもあり、当社にとってサイバー攻撃のリスク顕在化の可能性は日常的にあると認識しています。当該リスクが発生した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い、法的罰則等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。以下に記載のリスクへの対応策を実施していますが、当該リスクが顕在化する可能性を完全には否定できません。

[リスクへの対応策]

 当該リスクを低減するため、当社では、「情報セキュリティ委員会」のもと、情報セキュリティポリシーや個人情報保護方針を制定し、情報技術の進歩や社会情勢の変化外部の脅威動向等を把握し、技術、管理の両面から関連施策の見直しや改善を実施しています。
 サイバー攻撃への備えとしては、防止・検知・対応・復旧のための各種ソリューションの導入、24時間体制の監視運用を行うとともに、インシデント発生時の緊急対応のためのCSIRT組織として「NTTDATA-CERT」を設置し、万一に備えての初動対応訓練等を実施しています。
 

(4)コンプライアンスに関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

 当社グループはグローバルに企業活動を展開しており、海外事業の拡大に伴い、国内だけでなく、海外の法令を遵守する必要が生じています。各国の法令の中には、当該国内における企業活動について適用されるだけではなく、EUのGDPR(注1)や米国のFCPA(注2)等、当該国の域外においても適用される法令があり、当社グループはこれら域外適用法令も遵守する必要があります。これらの法令に違反した場合は多額の制裁金や当局対応に要する費用の支払いが必要となる可能性があります。この他にも、会計基準や税法、取引関連等の様々な法令の適用を受けています。不正な会計処理やサプライチェーン上における不正や横領等といった法令違反が発生した場合は、当該不正等による損害はもとより、課徴金の支払い等が必要となる可能性があります。
 更に、このような法令違反が発生した場合は、費用の支出といった経済的損失のみならず、社会的信用やブランドイメージが大きく毀損され、当社グループの経営成績及び財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。50カ国・地域超、約19.5万人(2023年3月31日現在)で事業運営をしている状況において、以下に記載のリスクへの対応策を実施していますが、当該リスクが顕在化する可能性を完全には否定できません。

[リスクへの対応策]

 当社グループでは、法令違反等のコンプライアンスリスクの低減・未然防止のため、コンプライアンスリスクをグローバル全体で見ていく重要リスクとして設定し、全社的な対策の実施とモニタリングを実施しています。

 また、コンプライアンスリスクについて、抑止し、探知し、対応するためのコンプライアンスプログラムをグローバルで構築し、同プログラムを継続的に評価・改善することにより、コンプライアンス強化に努めています。具体的には、リスク抑止の仕組みとしてグループの役員及び社員が遵守すべき「NTTデータグループ行動規範」を制定して日々の活動における規範を明確化し、行動規範に沿って、必要な規程類を整備し、研修等の教育啓発を行っています。また、リスク探知の仕組みとして内部通報制度を導入して社員からの通報を促す仕組み等をグローバルで整備しています。リスクが顕在化した際には、影響最小化に向けた対応、再発防止に向けたプログラムの改善等の対応を行っています。

(5)システム・サービス運用リスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

 当社グループが提供するシステムやサービスには、社会的なインフラとなっているものが多くあります。また、海外事業統合によって、データセンタやネットワークサービスの割合も増えています。これらにおいて運用中に障害が発生し、システムやサービスが停止すると、お客様業務や一般利用者の生活に多大な影響を及ぼすことがあります。また、顧客データの喪失等の問題が発生した場合には更に影響は大きくなり、場合によっては発生した損害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。加えて、システムやサービスの運用が滞ることは、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下にもつながります。以下に記載のリスクへの対応策を実施していますが、当該リスクが顕在化する可能性を完全には否定できません。特に、市販製品や他社提供クラウド起因の故障は対応に時間を要する場合もあります。

[リスクへの対応策]

 当社グループでは、システムを安定運用し、継続してサービスを提供できるように、障害発生の未然防止と障害発生時の影響極小化の両面から、市販製品や他社提供クラウドの不具合情報や対処策情報の積極的な収集と周知、過去発生した障害の原因分析結果及び再発防止策の社内共有、チェックリストを用いた定期点検、故障発生時の連絡体制の構築や障害発生対応訓練等の様々な活動を実施しています。

(6)大規模災害や重大な感染症等に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

 当社グループが提供するシステムやサービスには、社会的なインフラとなっているものもあることから、行政のガイドラインに準拠した事業継続のための体制整備や防災訓練のほか、従業員の安否状況確認等を適宜実施しています。
 しかしながら、巨大地震や気候変動、その他の大規模な自然災害等が発生した場合、システムや従業員等の多くが被害を受けることでサービスの提供が困難になり、お客様業務や一般利用者の生活に多大なる影響を及ぼすことがあります。その結果、当社グループの社会的信用やブランドイメージが低下するおそれがあるほか、多額の復旧費用等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。
 また、新型コロナウイルス感染症のような大規模な感染症等の発生によって、従業員等の感染や、感染拡大防止のために従業員が出社できなくなること等によってシステムやサービスの提供が困難になる可能性があります。
 これらリスクの発生により当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクについては、リスク発生そのものは回避できないものの、以下に記載のリスクへの対応策によりリスク発生時の影響を最小化するように努めています。

[リスクへの対応策]

 被災時における事業継続については、従業員等の安全の確保と事業の継続を目的として、一定の基準を超える災害発生時には事業継続計画を発動し、代表取締役社長を執行責任者とする体制により、臨機応変な対応を行います。また、事業継続性を確保するために、新型コロナウイルスの感染拡大を機に、オンライン環境の増強を進め、オンラインで可能な業務はオンラインで実施することで、社員や協業者の安全確保を行いながら、確実に事業を遂行します。
 また、一方では従来以上に、お客様の働き方改革やそれに伴うIT投資、デジタル化のニーズが顕在化する可能性もあり、社会的なインフラを担うシステムやサービスを提供する当社は取り組みを通じて得た、デジタル等先進技術に関するノウハウやインダストリーの知見を最大限活用し、お客様・社会全体のデジタル化への貢献を通じて事業拡大に取り組んでいます。

(7)人権対応に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

 お客様にとって最適なサービス・ソリューションの提供をグローバルに展開する当社グループは、各国・各地域における法令遵守はもとより、国際基準に適合した適切な企業行動が必要です。とりわけ、国連「ビジネスと人権に関する指導原則(注3)」に対しては、サプライチェーンを含めて、企業が適切な責任を果たすことが社会から求められております。

 サプライチェーン上の人権課題に対し、適切な対応が取られていない場合、経済的損失、社会的信用の低下による当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。以下に記載のリスクへの対応策を実施していますが、当該リスクが顕在化する可能性を完全には否定できません。

[リスクへの対応策]

 当社グループは、「NTTデータグループ行動規範」を制定し、社会課題への取り組み姿勢や、社員が事業活動において参照すべき行動を明確に示すとともに、サステナブルな社会をめざし、各国・各地域に存在する様々な人権テーマ、サプライチェーンにおける人権課題への姿勢を示した「NTTグループ人権方針」に沿ってDiversity & Inclusionの推進、高い倫理観に基づくテクノロジーの推進、Work in Life(健康経営)の推進、適切な表現・言論・表示の推進をし、企業活動を展開しています。

 また、NTTグループとして、「ビジネスと人権に関する指導原則」をもとに、人権デューデリジェンスプロセスを用いて、人権課題の特定、防止、軽減、是正をグローバル規模で進め、人権意識の向上、人権マネジメントの向上に努めています。

(8)地政学に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

 当社グループの事業は、日本国内だけではなく、50カ国・地域超において広く事業展開を行っています。そのため、世界各国の政治・経済・社会情勢等の変化や、テロや戦争といった国際紛争の発生などにより、お客様に対するシステムやサービスの提供停止、事業継続困難等の事象が生じることにより、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクについては、リスク発生そのものは回避できないものの、以下に記載のリスクへの対応策によりリスク発生時の影響を最小化するように努めています。

[リスクへの対応策]

 当社グループは、特定のリージョンに依存しない事業ポートフォリオとすることで、各国における政治・経済動向等の変化がもたらすリスクを分散し、事業全体が大きな影響を受けない構造にしています。

 また、当社は、関連する組織による社内横断的な体制において、本リスクについて継続的に必要な情報収集、影響分析を行いつつ、本リスクが発現した場合は派生的に発生する各種リスクへの対応も含め、迅速かつ的確に対処することを可能とする体制を構築しています。

 なお、2022年2月以降のロシアのウクライナ侵攻による影響及びリスクについては、社員の安全管理や経済制裁への対応等をはじめとした対策を実施しました。事業への中長期的な影響について、引き続き注視、対応します。

(9)気候変動に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響] 及び [リスクへの対応策]

 気候変動が世界的に深刻化し、当社グループの気候変動取り組みが遅れることによる評判低下、異常気象による災害リスクの増加、及びカーボンプライシングによるコスト増加等のリスクがあります。この対策として、全社横断のグリーンイノベーション推進委員会による活動推進、レジリエンスの高いデータセンタやオフィス環境の実現、省エネや再エネ導入等を進めています。

 詳細は、第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組(2)気候変動 ③リスク管理 表1(気候関連のリスク)をご参照ください。

(10)人財確保に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

 当社グループの成長と利益は、デジタル技術等の専門性に基づいて顧客に価値を提供する優秀な人財の確保・育成に大きく影響されます。これは当社グループに限らず、協力会社の人財確保状況からも大きな影響を受けます。こうした優秀な人財の確保・育成が想定どおりに進まない場合、事業計画の達成が困難になることや、システムやサービスの提供が困難になることがあります。これによって、お客様業務や一般利用者の生活に多大なる影響を及ぼすこととなり、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。以下に記載のリスクへの対応策を実施しており、当該リスクの顕在化については、一定程度抑制可能であると認識しています。

[リスクへの対応策]

・当社グループに関する対応策
 当社グループは、Group Visionにて「働く一人ひとりの多様性を尊重することによって、グローバルに通用する創造力を培い、刺激し、更に成長させていく」ことをめざしています。

 そのような背景から「人財・組織力の最大化」を中期経営計画(2022年度~2025年度)の成長戦略の一つと位置付け、次の取り組みを進めています。

 経営戦略の実現に向けて、中長期的に当社ビジネスを担う人財として、ビジネス構想力や先進技術活用力を有する人財や、グローバルビジネスを推進できる素養のある人財の採用及び育成の強化を推進しています。

 国内外問わず人財獲得競争が激化するなか、各種取り組みを通じて、量及び質の確保に努めています。具体的には、国内の採用市場においては、新卒・経験者ともに様々なメディアを活用した母集団形成や、専門性の高さ等に応じた処遇を実現する制度(Advanced Professional制度、Technical Grade制度)での人財獲得、海外の採用市場においては、大学との連携強化による即戦力人財の育成・獲得やDX企業の買収を通じた人財拡充等を進めています。また、労働流動性が高い海外においては、各地におけるオンボーディングセッション、Values Weekワークショップや表彰等の実施により、人財の早期定着、社員のリテンションに繋げています。なお、2023年1月に優れた人事方針とその実践を認める「Top Employer 2023」に日本を含む世界15か国で認定されました。引き続き、専門機関からのフィードバックを活用しながら、今後も世界各国でより良い職場環境づくりを推進していきます。

 育成においては、高度な専門性と変化への対応力を有するプロフェッショナル人財やグローバルで活躍できる人財の育成に注力しており、社員の多様な専門性・志向に応じた幅広いコンテンツの整備、学習の設計と獲得スキルの見える化、コミュニティ学習を通じた共創促進と学びあう風土の醸成を推進していきます。また、当社においては高い専門性に応じた処遇の実現等、社員の自律的な成長を促すことを目的に2023年4月に新たな制度を導入し、2022年度には業務の特性等に応じて働く時間と場所を柔軟に設定できる環境を実現しています。

 多様な人財ひとり一人が自分自身を表現し、活躍できる組織機能・カルチャーをもった、働く人にとって魅力的な企業へと変革し、各戦略の実行を支える人財・組織力を最大化するとともに、将来にわたっての企業価値を高めていきます。

・協力会社に関する対応策
 国内においては、従来より協力会社とのパートナー制度を導入し、当社と協力会社との深いパートナーシップを構築することにより、当社のニーズにマッチした、安定的な人材確保に貢献いただいています。具体的には、協力会社をコアビジネスパートナー、ビジネスパートナー、アソシエイトパートナーとして認定し信頼関係を築くとともに、①社長を含む当社の経営幹部と協力会社の経営幹部が対話を行う会の開催による一体感醸成、②当社の方針や成長戦略の共有等を通じたコミュニケーションの深化、③当社のシステム開発標準の研修や新規技術分野のセミナーの開催等による技術情報提供、④生産性向上支援等、様々な共同施策を実施しています。

 また、技術の専門性や当社のビジネス領域の変化に対応し、新たなパートナー会社の追加や見直しをしています。

 更に、DX領域の人財については主管する推進組織を中心に協力会社と強く連携し、スタートアップ企業の開拓、DX人財へのリスキルを含めた育成プログラムなどの取り組みをするなど更なる人財の安定的確保に努めています。

(11)技術革新に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

 当社グループが属する情報サービス産業では、破壊的技術革新のような不連続な技術環境の変化が生じることがあります。当社グループの重要事業領域やその周辺で、予想を超える破壊的技術革新があり、それらへの対応が遅れた場合、市場での競争力やブランド価値が低下し、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。以下に記載のリスクへの対応策を実施しており、当該リスクの顕在化については、一定程度抑制可能であると認識しています。

[リスクへの対応策]

 予想を超える技術革新は日常的に発生する可能性はありますが、当社グループでは、先進技術への感度が高い海外に専門拠点を設置し、新興技術の情報を早期に収集し、グローバルメンバーによるステアリングコミッティにて経営トレンドや技術トレンド等も考慮しながら革新技術を見極める取り組みを推進しています。そして、特に力を入れて投資すべき注力技術を、グローバルで技術戦略を議論するCTO級会議にて決定し、取り組みを推進しています。また、NTT研究所の研究開発成果を取り入れています。

(12)知的財産権に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

 当社グループが事業を遂行する上で必要となる知的財産権等の権利につき、当該権利の保有者よりライセンス等を受けられず、その結果、特定の技術、商品又はサービスを提供できなくなる可能性があります。当社グループはグローバルでビジネスを行っており、また、従来からの個別受注型システムインテグレーションビジネスに加え、最近ではより多くのお客様への提供が見込まれるソリューション展開型やプラットフォーム提供型のビジネスが増加しています。これにより、他者の知的財産権を侵害したとして、損害賠償請求を受ける可能性が高まっています。いずれの場合も当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。以下に記載のリスクへの対応策を実施していますが、当該リスクが顕在化する可能性を完全には否定できません。

[リスクへの対応策]

 当社グループでは知的財産権活動を推進する担当組織を設置し、適正な権利化や侵害予防調査(クリアランス)、知的財産権に関するプロジェクトからの各種相談対応や当社グループ内での教育・啓発活動を実施し、当社グループの知的財産権の保護・活用、第三者の知的財産権侵害防止に努めています。
 

(13)競争激化に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

 社会を取り巻く環境は日々大きく変化しており、社会課題の解決・地球環境への貢献と、新しい価値創造をはじめとした経済価値向上の両立等、企業経営に求められる要素は多様化しています。テクノロジーの進化を背景に様々なモノ・ヒトがつながることで、企業活動から人々の消費・生活スタイルまであらゆる社会トレンドが変化しており、DXに代表されるITサービスの重要性はますます高まっています。

 お客様企業におけるデジタルトランスフォーメーションの需要は増加しており、需要環境については堅調に推移していくものとみられていますが、新規プレイヤーの参入等、IT市場の競争環境は依然として激化しており、この状況は継続していくものとみられます。市場環境の変化に迅速・柔軟に対応し、更なるグローバルレベルでの事業競争力強化に努めない限り、中長期的には当社の競争優位性は失われ、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。以下に記載のリスクへの対応策を実施していますが、当該リスクが顕在化する可能性を完全には否定できません。

[リスクへの対応策]

 当社グループはグローバル全体での事業競争力強化に向け、ITとConnectivityを融合したサービスをトータルで提供する企業へ進化するべく、2022年10月1日をもってNTTグループ傘下のNTT株式会社と海外事業を統合し、海外事業会社としてNTT DATA, Inc.を設立いたしました。コンサルティングやアプリケーション開発に留まらず、Connectivity領域までを含むデジタルトランスフォーメーションに必要なサービス・ラインナップを一元的に整備し、複雑化・多様化するお客様のニーズにグローバルレベルで対応していきます。 加えて、業界・技術のForesightを起点としたコンサルティング力強化と、高いアジリティを実現するアセットベースの価値提供により、経営変革・事業変革の構想策定から実現まで、End to Endの対応力を強化し、お客様への提供価値を最大化していきます。

 また、先進技術活用力とシステム開発技術力の強化としてEmerging、Growth、Mainstreamの技術の成熟度に応じた3つ領域における活動を推進し、未来の競争力獲得に向けた先進技術活用力の強化と生産性の向上に向けたシステム開発技術力の強化を両輪で進めると共に、サステナビリティやIOWNといった社会変革を実現するテーマに対する投資枠を新設し、将来のビジネス創出に向けた戦略的な投資をグローバル全体で推進し、将来に渡っての事業競争力を強化していきます。

(14)規制対応に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

 当社グループは、グローバルに企業活動を行っており、活動を行っている地域・国の規制、法令適用や政府の政策等、様々な要因の影響下にあります。また、これらの要因は当社グループが関与し得ない理由によって大きく変化する場合があり、このような変化が生じた際には、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。​

 例えば、国際情勢の変化等により、本邦及び各国で定める経済安全保障関連の法令及びガイドラインが厳格化される傾向があります。当社がその対応に遅れた場合、当局による処分だけでなく、重要な社会基盤を支える当社事業に対する信頼そのものが揺らぐことで、事業戦略やビジネスモデルの変更を余儀なくされる可能性があります。当該リスクについては、リスク発生そのものは回避できないものの、以下に記載のリスクへの対応策によりリスク発生時の影響を最小化するように努めています。

[リスクへの対応策]

 各種法令や政策動向によるリスク要素の重要性が高まっていることを踏まえ、各国の規制環境に関する情報把握・分析や政府検討状況を注視しつつ、安定的なサービス提供の確保に向け適切な対応を行っていきます。

(15)為替・金利の変動やインフレーションの進行に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

 当社グループは、グローバルに企業活動を行っており、当社グループが拠点とする機能通貨以外での売買取引、ファイナンス、M&Aや設備投資等に伴う為替変動リスク、有利子負債による資金調達に伴う金利変動リスク、及び、当社グループが事業を行う国・地域でのインフレーションの進行に伴う調達コスト、人件費等の高騰リスクに晒されています。​

 外部・内部環境変化による予測の範囲を超える急激な為替変動、金利変動及びインフレーションの進行がある場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 加えて、2022年10月のNTTグループ内の海外事業統合により、当社グループにおけるデータセンタ事業の割合が増加しています。当該事業の特性上、先行的かつ大規模な設備投資を必要とするため、有利子負債が増加しており、金利変動による当社の経営成績及び財務状況等への影響度が増加しています。

 当該リスクについては、リスク発生そのものは回避できないものの、以下に記載のリスクへの対応策によりリスク発生時の影響を最小化するように努めています。

[リスクへの対応策]

 為替変動リスクに対しては、当社グループは非機能通貨のキャッシュ・フローの経済価値を保全するべく為替予約等の契約を利用することにより、為替変動リスクを管理しています。これらの取引が為替変動による影響を有効に相殺していると判断しています。

 金利変動リスクに対しては、当社グループは長期固定的な条件での調達を実施することを基本としつつ、資金使途や金融市場の状況に応じて複数の調達手段及び調達条件を組み合わせることで、安定的かつ低利な資金の確保を行い、当該リスクが当社経営成績へ与える影響の抑制に努めています。

 調達コストの高騰リスクについて、NTTグループ内の調達専門会社(NTT Global Sourcing, Inc. )の活用や、広く国内外の調達先から提案を頂く等により、より良い製品をより安く調達する努力を行うことで影響の抑制に努めています。

 また、当社は単純な価格転嫁ではなく、より高い付加価値を生み出し、お客様にサービス提供することで、価格上昇についてご理解いただくよう努めています。

(16)親会社の影響力

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

 当社の親会社である日本電信電話株式会社(以下、NTT)は、当連結会計年度末現在、当社の議決権の57.7%を保有している大株主であります。当社はNTTから独立して業務を営んでいますが、重要な問題については、NTTとの協議、もしくはNTTに対する報告を行っています。このような影響力を背景に、NTTは、自らの利益にとって最善であるが、他の株主の利益とはならないかもしれない行動をとり、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクについては、以下に記載のリスクへの対応策によりリスク発生時の影響を最小化するように努めています。

[リスクへの対応策]

 グローバルを展望した事業環境の変化を踏まえ、引き続きお客さま事業の成長に貢献し、長きにわたり社会インフラを支えていくためには、NTTグループとの連携を強化し、NTTグループトータルで新たな価値を創造していく必要があると考えています。また、NTTグループ全体の調達集約等によるコスト削減などのスケールメリットを生かした連携も進めています。

このような連携を進めつつ、NTTから独立した意思決定を確保するため、当社は、NTTとの間で締結する重要な契約については、法務部門による法務審査を行った上で、意思決定を行っています。また、特に重要な契約については独立社外取締役が出席する取締役会での承認を必須としています。
 今後も引き続き、NTTとの間で、相互の自主性・自律性を十分尊重し、NTTとの取引等について法令に従い適切に行うことで、リスクの顕在化防止に努めます。 

(注1)GDPR

EU域内の個人情報を取り扱う際に適用されるEU一般データ保護規則のことです。

(注2)FCPA

贈収賄にかかる米国の海外腐敗行為防止法のことです。

(注3)ビジネスと人権に関する指導原則

2011年6月に国連の人権理事会において全会一致で支持された文書であり、「人権を保護する国家の義務」、「人権を尊重する企業の責任」、「救済へのアクセス」の3つの柱で構成されています。

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