企業兼大株主パナソニックホールディングス東証プライム:6752】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2023年6月27日)現在において判断したものです。

(1) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理(マテリアリティの特定)

 当社グループは、「事業を通じて、世界中の人々のくらしの向上と社会の発展に貢献する」ことを経営基本方針の中心に据えており、この方針の実践こそがサステナビリティ経営であると考えています。2022年度は、2022年1月に発足したサステナビリティ経営委員会を毎月開催し、当社グループの重要課題について議論しました。

 当社グループは、財務及び社会への影響の視点で、重要な機会とリスクをマテリアリティとして特定しています。このマテリアリティをもとにサステナビリティの取り組みを推進し、新たな事業機会の活用とリスクの低下を通じて、サステナビリティ経営の向上を図っていきます。また特定したマテリアリティは今後の環境変化やステークホルダーとの対話を踏まえ、適切に見直していきます。

 マテリアリティの特定にあたっては、まず、社会からの要請や予見される将来課題等から、機会及びリスクになる課題を抽出しました。次にこれらについて、当社グループ及びステークホルダー視点で重要度評価を行い、最重要課題及び重要課題を抽出しました。このプロセス及び抽出したマテリアリティについて社外の専門家との対話を通じて妥当性を確認し、当社グループのサステナビリティ経営委員会、グループ経営会議、当社取締役会での議論を経て、マテリアリティを特定しました。

 サステナビリティ経営の推進体制は、当社グループのサステナビリティデータブック2022の「サステナビリティ経営の推進」に掲載していますのでご参照ください。

 https://holdings.panasonic/jp/corporate/sustainability/pdf/sdb2022j-structure.pdf

 なお、サステナビリティデータブック2023年3月期版は2023年9月頃に下記のウェブサイトに掲載予定です。

 https://holdings.panasonic/jp/corporate/sustainability/data-book.html

(2) 重要なサステナビリティ項目(マテリアリティ)

 上記のプロセスを経て特定した当社グループにおけるマテリアリティは、以下のとおりです。

<8つの最重要課題>

 地球温暖化進行と資源の枯渇

 お客様一人ひとりの生涯の健康・安全・快適

 ビジネスインテグリティ

 自社のサプライチェーンマネジメント

 社員のウェルビーイング

 コーポレート・ガバナンス

 人権の尊重

 サイバーセキュリティ

<3つの重要課題>

 地政学リスクへの備え

 感染症・パンデミックへの備え

 自然災害への備え

 なお、取り組みの進捗を管理する指標及び目標については、現在検討中です。

(3) サステナビリティに関する取り組み紹介

①地球環境問題

 当社グループの経営基本方針は「事業を通じて社会課題を解決する」ことであり、世界の喫緊の課題が気候変動を含む地球環境問題と考え、2022年4月に長期環境ビジョン「PGI」を発表しました。PGIでは当社グループの責務としてスコープ1~3(注)1にあたる当社グループバリューチェーン(注)2の排出量を実質ゼロにする「OWN IMPACT」に加え、バリューチェーンの外側にある社会や顧客のCO排出削減に貢献する削減貢献量を拡大していくことを約束しています。削減貢献量には、既存事業による削減貢献である「CONTRIBUTION IMPACT」と新技術・事業による削減貢献である「FUTURE IMPACT」があり、これら3つのインパクトを合わせて、2050年までに現時点の全世界CO総排出量の約1%にあたる3億トン以上の削減インパクトを目指します。この実現に向け環境行動計画「GREEN IMPACT PLAN

(GIP)2024」を策定しました。GIP2024では3つのインパクトに加え、欧州で進むサーキュラーエコノミー(CE)(注)3の潮流を踏まえ、CE型事業モデルの創出や循環型モノづくりの進化においても目標を設定しています。

 OWN IMPACTに関しては、自社の生産活動により排出されるスコープ1、2のCOゼロ工場の推進を進めており、2030年までに全事業会社での達成に取り組む中、2023年1月パナソニック オートモーティブシステムズ㈱が事業会社で初めて国内外の子会社を含む全14拠点においてCO排出量実質ゼロ化を達成しました。

 CONTRIBUTION IMPACTでは、電化、省エネ、水素を軸に取り組んでいます。電化の取り組みとして、欧州では環境意識の高まりやエネルギー事情により急速にガス・石油から電気への転換が進んでおり、ヒートポンプ式温水給湯暖房機のチェコ工場での増産によりガス・石油機器の電化製品への置き換えを推進、また世界的な自動車のEVシフトに対応するため北米カンザス州に車載電池の新工場建設を決定するなど環境車の普及に貢献します。

 FUTURE IMPACTでは、次世代の太陽電池と呼ばれるペロブスカイト太陽電池や、水素社会の実現に向けてグリーン水素生成技術の開発を進めています。

 一方、この削減貢献量が、企業の製品・サービスを通じた社会へのお役立ちとして適切に評価されるよう、IEC(国際電気標準会議)での国際規格化やWBCSD(持続可能な発展を目指すグローバル企業団体)及び経済産業省のGXリーグ(注)4でのガイドライン策定に参画しています。また社会的認知拡大に向け、経済産業省主催の国際GX会合(注)5やCOP27(注)6でのセミナー、国際市場協会と日本証券業協会共催のシンポジウム、CES(注)72023の記者発表などでグローバルに発信しました。

 PGIの推進を通じて「物と心が共に豊かな理想の社会の実現」を目指し、持続可能な世界のカーボンニュートラル社会実現に幅広く貢献していきます。

 なお、当社グループは、マテリアリティ特定プロセスを経て、地球温暖化進行を当社グループにおける最重要課題とし、気候変動に関するリスクと機会の特定にあたっては、TCFD(注)8提言を踏まえ、シナリオ分析による戦略のレジリエンスを検証しています。また、投資家等とのエンゲージメントを実施することを想定し、TCFDが推奨する開示項目である「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」について情報開示を行っています。

 当社グループのサステナビリティデータブック2022の「環境」に掲載していますのでご参照ください。

 https://holdings.panasonic/jp/corporate/sustainability/pdf/sdb2022j-eco.pdf

 サステナビリティデータブック2023年3月期版は2023年9月頃に下記のウェブサイトに掲載予定です。

 https://holdings.panasonic/jp/corporate/sustainability/data-book.html

 なお、当社グループは2019年5月にTCFD提言への賛同を表明しています。

(注)1 スコープ1~3

 

 

 

 

 

 

 

 

国際的な温室効果ガス排出量の算定・報告の基準である「温室効果ガス(GHG)プロトコル」の中で設けられている排出量の区分。スコープ1は事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)、スコープ2は他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出、スコープ3はスコープ 1、2以外の事業者の活動に関連する他社の排出

  2 バリューチェーン

 

 

原材料調達から製造、流通、販売、アフターサービスにいたるまでの企業の一連の事業活動

  3 サーキュラーエコノミー(CE)

 

 

 

 

循環経済。製品、素材、資源の価値を可能な限り長く保全・維持し、廃棄物の発生を最小限化したり、モノのシェアリングやサービス化などで資源の有効活用を図る経済システム

  4 GXリーグ

 

 

 

 

 

 

カーボンニュートラルにいち早く移行するための挑戦を行う企業群が官・学・金と一体となり経済社会システム全体の変革(GX:グリーントランスフォーメーション)のための議論と新たな市場創造を実践する場として経済産業省が設立した枠組み

  5 国際GX会合

 

 

「削減貢献度」などGXの実現に向けた未解決の課題を取り扱う国際会議。G7から5カ国、2つの国際機関、12の大学・研究機関・民間企業が参加

  6 COP27

 

 

第27回 国連気候変動枠組条約締約国会議。気候変動問題解決に向けた国際会議として197カ国・地域が参加

  7 CES

毎年1月に米国ラスベガスで開催される世界最大のテクノロジー見本市

  8 TCFD

 

 

Task Force on Climate-related Financial Disclosuresの略で、G20財務大臣・中央銀行総裁会議の要請を受けて、金融安定理事会により設置された気候関連財務情報開示タスクフォースのことであり、2017年に提言を公開

②人事戦略

 当社グループは、創業以来、人材を重要な資本として捉える「人的資本経営」の考え方を大切にしてきました。それは一人ひとりが自主責任感に基づき挑戦する社員稼業と、互いに言うべきことを言い知恵を出し合う衆知経営からなる自主責任経営です。私たちはこの経営基本方針の実践をグループ共通の経営戦略とした上で、事業会社が競争力を磨き上げることで「物と心が共に豊かな理想の社会の実現」を具現化していきます。

 今般、社員一人ひとりの更なる経営基本方針の実践に向け、社員に求める行動指針として「Panasonic Leadership Principles(PLP)」を制定しました。私たちは具体的な行動を通じて、より高い付加価値を社会に創出していきます。

 そしてこの付加価値を高める重要な4つの要素が、「ケイパビリティ(階層別の能力開発)」「社員エンゲージメント(自発的な挑戦意欲)」「社員を活かす環境(能力を活かし、働きやすい環境)」「多様な人材」です。

 私たちは、これらの要素の源泉は一人ひとりが心身ともに健康で、挑戦の機会を通じて幸せと働きがいを感じている状態、つまり「社員のウェルビーイング」であると考え、自主責任経営の前提として位置付けています。

 この実現をグループ共通の人事戦略とし、「安全・安心・健康に、はたらく。」、「やりがいを持って、はたらく。」、「個性を活かしあって、はたらく。」の3つの柱で取り組みを推進し、付加価値を創出します。付加価値は財務指標を用いた生産性指標でモニタリングします。

 なお、上述した4つの要素のうち、特に「社員エンゲージメント」と「社員を活かす環境」を最重要と考え、毎年グローバル約15万人が参加する従業員意識調査にて肯定回答率(%)を測定し、これを評価指標としています。調査結果は年々上昇傾向にあり、2022年度の肯定回答率は「社員エンゲージメント」67%、「社員を活かす環境」65%でした。今後もグローバル最高水準を目指して3つの柱の取組みを推進していきます。

(a)安全・安心・健康に、はたらく。

― 安全・安心・健康な職場づくり

 安全・コンプライアンスは事業運営の大前提です。労働安全衛生については、モノづくり現場における重篤・重大災害の防止に向けて、設備安全基準の教育の展開・浸透を図るとともに、リスクアセスメントに基づき非定常作業時における安全確保の徹底を図っています。

 また、衛生管理においても今般の法改正を踏まえ、化学物質管理の自律化に向けた人材育成と職場管理体制の強化に取り組んでいます。健康については、グループ全体に「健康メッセージ」を発信しています。社員のウェルビーイングの実現に向けた健康投資を強化する方針を明確化するとともに、各事業会社においても従来からの会社、労働組合、健康保険組合が一体となった「健康パナソニック活動」に加え、独自の取り組みにも着手しています。定期健康診断や従業員意識調査、ストレスチェックなどの結果をレビューし、成果の確認を行うとともに、更なる改善と強化につなげていきます。

 また、コンプライアンス遵守においては、あらためて社員自らの関わる事業・地域に関する法規制についての教育を実施しています。加えて、グローバルホットライン「EARS」等を活用し、 問題の早期発見・未然防止について周知徹底を図ると同時に、あらゆるハラスメントの根絶に向けた啓発活動の強化に取り組んでいます。

(b)やりがいを持って、はたらく。

― 自発的な挑戦意欲と自律したキャリア形成支援

 当社グループは、一人ひとりが社会へのお役立ちに向かって自発的に挑戦する機会を提供し最大限支援していくことが重要であると考えます。2022年度はグループ横断の公募異動(転籍)や社内複業(他部門の業務を兼務)などに約2,000名の社員が手を挙げ、うち約500名が挑戦しました。

 また、こうした一人ひとりの成長や挑戦を支援する取り組みの1つに、本人と上司との対話の「質」と「量」を高め、一人ひとりの想いを引き出す 1on1 Meetingがあります。2022年度は日本地域では実施率78%、満足度84%となっています。

 さらに、組織と個人の2つの視点から成果の最大化を目指して、働き方に対する取り組みも進めています。まず組織の視点においては、各事業の状況や各人の携わるフィールドに応じて、出社/リモートの働き方のバランスを最適化することで、生産性の向上につなげます。次に個人の視点でウェルビーイングを実現するため、働く「時間」と「場所」の選択肢を拡大していきます。

<経営者づくり>

 当社グループの持続的な成長を実現するためには、事業を牽引する多様な経営者が必要不可欠であり、そのために中長期にわたる後継者のパイプラインづくりを推進しています。具体的には、パナソニックホールディングス(株)執行役員および事業会社社長等の26の重要ポストを対象とし、後継者の早期発掘と「適所適材」を基本に、国籍や職歴、性別、年齢等の属性に限らない多様性あふれる経営者づくりを推進しています。そのためにグループ全体最適視点で後継者の発掘・育成・配置・モニタリングを複眼的に議論・推進するグループタレントマネジメントコミッティーを設置し、現在100名規模の後継者のキャリア開発に取り組んでいます。

<PX、GXを推進する人材の育成>

 PXとはPanasonic Transformationの略です。お客様サービスと事業オペレーションの2つの側面から形成されるパナソニックのデジタルトランスフォーメーションをPXと称し、IT変革、オペレーティングモデルの変革、カルチャー変革を推進しております。経営層も含め、社員一人ひとりが各々の現場で、データ・テクノロジーを利活用し、付加価値創出ができるよう知識・スキルの向上を支援していくとともに、PXを推進する専門人材の採用・育成に注力していきます。また、GXとは国が提唱・推進する「Green Transformation」の略です。当社グループは、環境に関する長期ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」を発信し、サステナブルな地球環境の実現に向けてカーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーなどに関わる知見を有する人材の育成を推進しています。

(c)個性を活かし合って、はたらく。

― Diversity, Equity & Inclusion(DEI)の推進

 Panasonic Group DEI Policyを軸に、3つの視点でDEIを推進しています。1つ目はトップコミットメントです。これは、経営者自らがDEI推進にコミットし、事業戦略に織り込んで推進することです。グループDEI推進委員会を定期的に開催し、経営者と社員の対話を通じてアクションを決定し、取り組みを加速させていきます。2つ目はインクルーシブな職場環境づくりです。これは、社員の多様な個性に気付き、それを活かすマネジメントや組織環境をつくっていくことです。例えばアンコンシャス・バイアストレーニングを各地域で推進しています。3つ目は社員一人ひとりへのサポートです。これは、多様な個性を持つ一人ひとりが、それぞれの挑戦に向き合えるよう支援することです。様々な個性に応じたコミュニティの活動展開の支援や制度・仕組みの構築、運用の見直しなどを実施しています。

<ジェンダーの公平性の取り組み>

 当社グループでは報酬体系上、性別による格差はありません。一方で、とりわけ日本地域では、上級の管理職や意思決定をする職位において、より多くの女性を登用する必要があることを認識し、多様性の確保に注力しています。このため、前述のインクルーシブな職場環境づくりに加え、評価や登用のあり方について公平性の観点から見直しを図っています。また、女性社員向けの勉強会、女性リーダー向けのキャリアアップセミナーの開催、ロールモデルの価値観や仕事観にふれる機会づくりなどにも取り組んでいます。

 さらに、希望する誰もがライフイベントとキャリアを両立できるよう制度の整備と職場風土の醸成に取り組んでおり、男性の育児休業の取得促進策もその1つです。具体的には有給の育児休暇の新設や、育児休業制度の一定期間の有給化等です。また、全ての社員が不安なくスムーズに育児休業に入れるよう、育児関連制度に関する本人・パートナー・上司向けの動画コンテンツの提供や説明会の定期開催等の環境整備も進めています。そして、復職後の両立支援策として定時・短時間勤務に加え、リモートワーク制度の拡充や働く場所と時間の選択肢の拡大にも取り組んでいます。

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