企業兼大株主NTN東証プライム:6472】「機械 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社は、2021年4月より、中期経営計画「DRIVE NTN100」Phase 2に取組んでおります。「DRIVE NTN100」Phase 2では、持続可能な社会の実現に向けて13項目のマテリアリティを設定し、そのうちの3項目は、「エネルギーロスの低減」「自然エネルギーを利用した持続可能な社会の実現」「安全と快適の提供」とし、当社の独創的技術の創造を通じて社会に貢献するポジティブインパクトの強化として取組んでいます。

 研究開発活動は、上記3つのマテリアリティに対して、当社の持続的成長を目的に「基盤商品、基盤技術の強化」と「新たな領域の展開」の二軸で進めています。「新たな領域の展開」では、成長が期待される6つのターゲット分野を設定し、それら分野に対して、当社のコアコンピタンスを活かした製品の開発に取組んでいます。

 なお、当連結会計年度における研究開発活動費はグループ全体で18,678百万円です。

(1)自動車事業

 カーボンニュートラルの達成には、自動車の電動化、EV化が必須であり、車両駆動に必要な電動駆動ユニットには、さらなる高効率化、小型・軽量化が求められて、モータをインバータ及び減速機と一体化したeアクスルの開発が活発化しています。これらに用いられる転がり軸受には、優れた高速回転性能が求められています。当社では、dmn値※1180万のEV・HEV用高速深溝玉軸受をすでに市場展開し、お客様より高い評価を得ています。更なる高速回転性能を追求するため、軸受の発熱と潤滑条件による熱収支のバランスを最適化する供給油量の計算手法の確立、遠心力による変形を抑制するための保持器形状の見直し、軸受の内部諸元の最適化に取組み、オイル潤滑下でdmn値220万の高速運転が可能な深溝玉軸受を開発しました。

 自動車事業の大きな柱である等速ジョイント(CVJ)においては、世界最高水準の伝達効率により自動車の省燃費・電費化に貢献する固定式等速ジョイント「CFJ」を製品化し、モノづくり日本会議と日刊工業新聞社が主催する2022年「“超”モノづくり部品大賞」、及び日本トライボロジー学会の技術賞を受賞しました。従来のCVJの基本構造を大きく変え、内部部品にかかる力を相殺する独自の「スフェリカル・クロスグルーブ構造※2」を採用することにより、従来品の世界最高水準の軽量・コンパクト性はそのままに、トルク損失率を50%以上低減し、さらに高作動角時におけるトルク損失率の増加を大幅に抑えることを可能としました。自動車業界における、カーボンニュートラル達成に向けた、省燃費・省電費に寄与する独創性のある技術として高く評価していただき受賞となりました。

※1.dmn値:軸受の回転性能を表す指標で、軸受ピッチ円径(mm)×回転速度(min-1)

2.スフェリカル・クロスグルーブ構造:隣り合う転動溝を互い違いに傾斜させることで、ボールが内部部品を押す力の向きを交互に振分け、互いに相殺させる構造

(2)産業機械事業

 製造現場の生産性向上に向けて、設備の稼働状態を監視し、そのデータに基づいて的確かつ計画的にメンテナンスや部品交換をすることで、設備のダウンタイム(稼働停止時間)を出来るだけ抑えたいという要望があります。さらに近年では、DXやIoT技術の進展に伴って、場所や時間の制約を受けない装置の遠隔監視や自動モニタリング、さらには、入手した状態監視情報の活用による製造品質の安定化や向上へのニーズも高まっています。当社では、このような状態監視ニーズに対するため、工作機械主軸用「センサ内蔵軸受ユニット」、「産業用IoTプラットフォーム向け軸受診断アプリ」、「NTNポータブル異常検知装置」を開発し、製造現場で多数採用いただいています。さらに、標準転がり軸受に、軸受寸法及び負荷容量を変更することなく、発電ユニット、無線通信デバイスを内蔵し、温度・振動・回転速度のセンシング情報を無線送信する「しゃべる軸受」を開発しました。軸受の回転により発電する電力を用いて、センサや無線通信デバイスを動作させ、センシング情報を自動で発信します。しゃべる軸受は、センサを内蔵しているため、装置ハウジングにセンサを外付けする場合に比べ、感度よく軸受の状態を検出し、より早期での異常検知が可能です。これら製品群により、当社は高度な状態監視を実現し、製造設備の高効率化、生産性向上に貢献します。

 産業用ロボット分野では、ロボットが担う作業の多様化に伴い、動作精度の向上に対する要求が高まる一方で、構成部品点数の削減、部品の小型・軽量化も求められています。当社はロボットの関節機構を支持する深溝玉軸受に磁気リングとセンサを取り付け、回転速度や方向、絶対角の検出機能を持たせた「複列磁気エンコーダ付転がり軸受」を開発しました。当社独自の薄型・高精度角度センサを軸受の内輪に取り付け、外輪に搭載した磁気センサICで「複列磁気リング」の磁極変化を読み取ることで、業界最高水準の角度検出精度(最大20bit、分解能約0.0005°未満)でロボット関節の回転速度や絶対角を検出します。また、本品の適用により、関節機構の軸とロータリーエンコーダを繋ぐ動力伝達装置が不要となり、関節機構の小型・軽量化も合わせて実現します。

(3)新たな6つのターゲット分野

 ロボット周辺モジュール分野では、回転円盤上から部品を供給し、自動で供給できる当社独自のピッキングロボット用フィーダ「TRINITTE」を発売し、ご好評をいただいています。「TRINITTE」は、カメラ、ピッキングロボットと連携接続し、円弧軌道上のワークに追従して移動中のワークを連続ピッキングするのが特徴です。また、「TRINITTE」と組み合わせて用いるピッキングロボット向けの小型・軽量な「ロータリアクチュエータ式ハンド」も開発しました。ロータリーアクチュエータの回転軸を中心にワークを掴むチャック部との締結部が回転することで、位置や姿勢を0から100°の範囲で設定可能です。スカラロボットに装着することで、横方向や斜め方向からのピッキングが可能となります。部品の取り逃がしを大幅に軽減でき、安価な装置構成で、部品の安定した連続ピッキングを実現します。また、すでに市場展開しているロボット向け手首関節モジュール「i-WRIST」については、多数ご要望をいただいた可搬性能の向上に対応するため、最大可搬重量を1kgから3kgに増加させた「IWS-C01」を開発しました。用途の幅が広がったと、市場からご好評を得ています。

 水素関連分野では、水素の活用のために「つくる、はこぶ、ためる、つかう」のあらゆる場面で技術開発が活発に進められています。燃料電池自動車(FCV)の普及に欠かせない水素ステーションの高圧水素圧縮機に用いられる製品は、水素暴露や高圧など特殊環境下で使用されるため、より高信頼性、高耐久性が求められます。当社では、軸受の軌道輪表面に硬質で微細な金属化合物を多数分散させた新規鋼材を開発するとともに、新たに開発した特殊熱処理技術を組合せることにより、水素に起因する軸受の早期破損に対して、当社標準軸受と比較して3倍以上の長寿命化を実現した耐水素脆性軸受を開発し、サンプル納入を開始しました。また、当社の複合材料技術を駆使して開発した樹脂製品が水素環境用シール部材として採用されています。これら製品の更なる高機能化を産学連携で進めるとともに、さらに、水素関連分野のグローバルな連携やサプライチェーンの形成を推進する「水素バリューチェーン推進協議会(JH2A)」にも参画し、水素化社会の実現に貢献します。

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