文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「私達は、お客様に満足していただける最高の商品とサービスを追求し、情熱を持った行動を通じて、心豊かな生活環境の実現に貢献します。」を経営理念として、当社グループの主力商品である「CSセット」の提供を中心に事業活動を行っております。お客様のニーズに合った商品及びサービスの提供を行うことにより、競争力を一層強化するとともに、株主の皆様、従業員なども含めたステークホルダーの期待に応えることにより、企業価値の最大化を図ることを基本方針としております。
(2)経営戦略等
当社グループは、経営理念に掲げる「心豊かな生活環境の実現」に向けて、介護医療関連事業(CSセット)を展開しておりますが、今後は、将来的な行政施策の変更や法改正、または新規参入業者の出現といった諸々の事業リスクにも適宜・適切に対応していくことが必要不可欠と考えております。
中長期的な経営戦略としては、当面はCSセットの全国シェア拡大に注力してまいります。CSセットの利用者や病院その他関係者が求めるサービスとなるよう改善を継続し、一人でも多くの方にCSセットをご利用頂けるよう営業展開をいたします。また、新たな付加価値の開発も重要な課題です。CSセット利用者の個人情報や病院その他関係者との強固な関係を用いた新規ビジネスへの参入を事業提携・M&Aを含めて推進していきます。また、事業規模の拡大、売上高の増加に伴い、人件費等の費用面が増加しておりますが、システム化を含めた生産性の向上にも取り組んでまいります。
さらに、インドや東南アジア諸国等、著しい経済成長を遂げている新興国における事業展開についても積極的に検討してまいります。
(3)経営環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、新たな変異株の出現による感染再拡大がありましたが、新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種の浸透やその後の行動制限の緩和などにより、社会活動が緩やかに再開し、回復の兆しがみられました。その一方で、ウクライナ情勢を受けた世界的な資源価格の高騰及び日米の金利差拡大を背景とした急速な円安の進行を起因とする物価上昇など、わが国経済に大きな影響を与える事象も依然として存在しており、先行き不透明な状況は依然として継続しております。
当社グループが属する医療・介護業界につきましては、2023年1月1日現在、65歳以上人口が3,621万人、総人口の29.0%(総務省統計局人口推計-2023年1月報-)を占めるなど高齢化が確実に進行しており、当社グループに係るサービスの市場規模はますます拡大するものと思われます。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの主力事業であるCSセットは、「衣類、タオル類の洗濯サービス付きレンタルと日常生活用品の提供を組み合わせたサービス」であり、お客様の「困った」を解決し、「笑顔」を届けるサービスです。
当社グループを取り巻く今後の経営環境につきましては、老齢人口の増大に伴い、医療・介護業界の市場規模全体の伸び率が継続的に拡大する方向で推移することが予想されるものの、決して楽観できる状況とは考えておりません。今後の行政施策の変更や法改正が当社グループ事業に多大な影響を及ぼす可能性、また当社グループの業態に類似した新規参入業者の出現など外部環境の変化により、競争が激化することも考えられます。
当社グループといたしましては、そのような外部環境の変化の中にあっても、さらなる事業規模の拡大を推進し、中長期的に企業価値を向上させるべく、第6次中期経営計画を策定して、以下の点に注力していくこととしております。
① 全国的な営業網整備と事業継続対応
当社グループは、2022年1月に金沢支店の分割、2022年10月に松本支店、2022年11月に松山支店を開設いたしました。松本支店及び松山支店の開設により、長野県及び山梨県内並びに愛媛県及び高知県内において、地域に密着したより細やかで迅速なサービスを提供することができるようになりました。
当社グループは、過年度からの計画的な拠点開設及び大規模支店の二分割化の結果、2022年12月末時点で全国27ヶ所の本支店網となり、これらの本支店から全国の病院及び介護老人保健施設等に対して、CSセットの営業活動を進めております。今後も新たな支店又は営業所を開設し、営業拠点から施設までの距離を短縮し、迅速かつ細やかなサービスを提供するための体制を整備してまいります。
さらに、世界規模で進行する気候変動の影響により、我が国でも台風や豪雨、豪雪による災害が増えることが予想されます。火山列島特有の大規模地震災害のリスクも懸念されます。また、新型コロナウイルス感染症に代わる新しい感染症の流行にも備える必要があります。これらの災害リスクやパンデミックによる社会経済活動の停滞リスクは、当社グループにとっても重要な事業リスクであり、これらのリスクに適切に対処することが重要であると認識しております。平時の段階から、物流機能の強化及び在庫の備蓄、情報システム強化、バックオフィス業務の地域分散化及び早期復旧体制の構築等を進めることが重要です。大規模災害やパンデミック等の事業リスクが顕在化しても安定的に事業継続を図ることができるよう、グループ一体となって体制を整備してまいります。
② システム化の促進による収益性の改善
CSセットは、サービス提供を行う施設ごとに各種の仕様決定を行うオーダーメイドタイプのサービスです。そして、CSセットに対するニーズの多様化に伴い、施設に常駐の受付スタッフを配置することや、日常生活用品の納品業務を外部委託すること等が求められるようになりました。このようなニーズの多様化に伴うコストの増加並びに近年の人件費の上昇及び物価高騰に伴う仕入価格の上昇により、売上原価率が押し上げられる傾向にあり、さらに、CSセット利用者数の増大に伴うバックオフィス業務量の増加により、売上高販管費率が押し上げられる傾向にあります。
当社グループは、中長期的な企業価値の向上のためには、システム化の促進が必要不可欠な施策であると認識しており、グループ内の各種業務のシステム化を積極的に推進することで生産性の向上を図り、利益率の改善に取り組んでまいります。
また、今後は、医療機関のデジタル化を促進する電子カルテ事業に参入するなど、AIやIT技術を活用した新たなビジネス展開の可能性を探ってまいります。
③ 顧客満足度の向上
当社グループのお客様は、病院の入院患者や介護老人保健施設等の入所者である個人です。このため、当社グループとしては、当該個人の顧客満足度を高めることが重要な課題であると認識しております。
例えば、当社グループでは、定期的にお客様アンケートを実施し、顧客満足度を調査するとともに、顧客満足度を高めるために、顧客対応業務を行っている株式会社エランサービスにおいて、クレジットカード決済等の支払方法の多様化や外国人からの問い合わせに対応した電話対応の多言語化等を実施しております。また、コンタクトセンターの営業時間のさらなる拡大(キクミミサービスについては24時間対応)を行うなど、顧客満足度の向上に積極的に取り組んでおります。
当社グループは、引き続き、お客様であるCSセット利用者の顧客満足度の向上に向けた取り組みを推進してまいります。
④ 新事業開発と海外展開
当社グループの主力事業であるCSセットは、お客様の「困った」を解決し、「笑顔」を届けるサービスであり、継続的に品質の向上に努めてまいりました。
今後は、さらにお客様へ「笑顔」を届けるべく、キクミミサービスの拡充、当社のオリジナル患者衣「lifte」の普及拡大、退院セット等の在宅時サービスの提供などを展開し、付加価値のさらなる向上を図ります。
また、お客様の生涯を通して必要なサービスを展開するプラットフォームの創出等、新たな事業の開発に注力するとともに、経済成長の著しい諸外国における海外事業のビジネスモデル確立に向けた取組みにも注力してまいります。
⑤ 人材の育成とグローバル人材の登用
当社グループは、従業員の成長なくして企業の成長はなく、当社グループが永続的に成長するためには、従業員の教育、育成による従業員の成長が必要不可欠な重要な課題であると認識しております。先輩従業員から直接指導を受ける実践型の人材教育(OJT)に加え、より短期間で優秀な人材を育成すべく、新卒採用者への教育プログラムとしてのメンター制度の確立や中堅・幹部従業員向けの各種研修を行っております。
また、今後は、グローバルに活躍できる社員の育成及び登用が重要と考えております。グローバル人材の積極採用を開始するとともに、計画的にグローバル人材の育成を行い、海外展開を担う次世代リーダーへの登用、多様な人材が活躍できる組織づくりに注力してまいります。
⑥ SDGs・ESGへの対応
当社グループは、社会的な重要性が高まっているSDGs・ESGへの対応が重要な経営課題であると認識し、「私達は、お客様に満足していただける最高の商品とサービスを追求し、情熱を持った行動を通じて、心豊かな生活環境の実現に貢献します。」との当社グループ経営理念の下、SDGs・ESGに係る諸施策を実施してまいります。
環境面では、当社グループが提供するCSセットの普及拡大を通じて、ご家庭の電気や水の消費量を抑制するなどの環境負荷の低減に貢献します。
社会面では、少子高齢化の進展や単身世帯の増加という社会的課題に貢献するCSセットをさらに普及拡大させるとともに、従業員の雇用拡大と成長促進、公的団体を通じた寄付などによる医療・福祉への貢献、障害者の積極的な採用と継続的な雇用維持、スポーツ・文化振興を通じた地域貢献などに取り組みます。
ガバナンス面では、当社グループの取締役会及び経営会議の実効性を高めるとともに、当社グループが事業活動を通じて社会的課題の解決に貢献し、環境・社会・経済の各側面から地域社会とともに持続的な発展を実現するサステナビリティ経営を推進してまいります。
(5)サステナビリティへの取り組み
当社は、「お客様に満足していただける最高の商品とサービスを追求し、情熱を持った行動を通じて、心豊かな生活環境の実現に貢献します。」との経営理念のもと、事業活動を通じて社会に貢献することにより、持続可能な社会の実現を目指します。当社はサステナビリティへの取り組みを重要な経営課題と位置づけ、サステナビリティ経営を推進することで、事業を通じた「社会課題の解決」と「企業と人の成長」の両立を実現するため、2023年3月1日付でサステナビリティ委員会を設置いたしました。
サステナビリティ委員会は代表取締役社長 社長執行役員COOが委員長となり、業務執行役員及び次世代を担う幹部社員が委員となって活動し、サステナビリティに関する基本方針の策定、マテリアリティ(重要課題)の特定、各部会の活動計画や目標設定ならびにその進捗管理、そして、それらの情報開示に関する事項等の審議及び業務指示を行い、定期的に経営会議に対して、報告及び提案を行います。
当社グループは、多くの入院患者及び施設利用者の生活に影響を与える事業を展開しており、当社サービス利用者の増加に伴い、当社グループの果たすべき社会的責任は年々高まっているものと理解しております。当社グループが社会の持続的発展を踏まえたうえで、中長期的な企業価値向上を図っていけるよう、サステナビリティ委員会では、人的資本や気候変動をはじめとする複数の重要課題を検討し、中長期的な経営戦略への反映等の取り組みを進めてまいります。また、多くのステークホルダーに対する情報開示も当社の重要な役割であることから、人的資本開示や気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への対応等のサステナビリティへの取り組みに関する情報開示の充実化を図ってまいります。
(6)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上高営業利益率及び営業活動によるキャッシュ・フローを重視しております。売上高の増大を図りながら徹底したコスト管理を行い、付加価値の高い商品及びサービスを提供していくとともに、売上債権を確実に回収する体制を構築・維持し、売上高営業利益率の向上及び営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めてまいります。
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