企業JFEホールディングス東証プライム:5411】「鉄鋼 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

(1) 会社の経営の基本方針

 企業理念:JFEグループは、常に世界最高の技術をもって社会に貢献します。

 行動規範:挑戦。柔軟。誠実。

(2) 企業構造

JFEグループは鉄鋼、エンジニアリング、商社の3つの事業を中心とした企業グループです。

 鉄を中核として、エネルギー技術や資源リサイクル技術など幅広い分野に領域を広げており、世界最高の技術に裏打ちされた3つの事業が生み出し続けるシナジーを、持続可能な社会の構築に向けてさらに拡大していきます。

(3) JFEグループの競争力の源泉
(鉄鋼事業・商社事業)

 鉄鋼事業は、世界有数の生産規模と高い技術開発力を有する銑鋼一貫メーカーのJFEスチール㈱を中核としており、お客様や社会の多様なニーズにお応えする鉄鋼製品をグローバルに供給しています。

 また商社事業は、JFE商事㈱を中核として、鉄鋼製品を中心に、鉄鋼原料・非鉄金属・化学品・資機材・船舶から食品・エレクトロニクスまで幅広く取り扱い、サプライチェーン全体の付加価値を向上させるサービスをグローバルに提供しています。

 鉄鋼・商社事業の競争優位の源泉は、①お客様のニーズに基づいた最先端の「技術開発力」と、②製造現場で培われてきた「生産」の実力、および③JFEスチール㈱とJFE商事㈱が一体となって長年築いてきた強固なお客様との信頼関係に基づく「販売力」の3つを基礎としています。これらをベースに、お客様のニーズに沿った新たな価値を創造し、最適なソリューションを提供し続けてきました。これらの競争優位性は私たちが長年の努力により積み重ねてきた貴重な財産であり、他社が容易に真似できない持続的成長のドライバーです。

○新たな価値の創造を可能とする技術開発力(鉄鋼事業)

 世界各地のお客様の高度なご要望にお応えすることで、業界をリードする技術力を蓄積してきました。幅広い分野での高機能・高品質の商品やサービスの開発と提供を通じて新たな価値を創造し、世界中の産業や社会の発展と人々の生活の進化に貢献しています。また、優れた環境保全・省資源・省エネ技術により、世界で最も低いレベルの環境負荷で鉄鋼製品を生産することができ、その技術を世界各地の環境対策に役立てるとともに、成長の機会として活用しています。

○高い競争力を持つ、集約された国内2大製鉄所(鉄鋼事業)

JFEスチール㈱の競争力の第一の源泉は、東西2製鉄所への拠点集約により固定費が抑えられ、高効率生産が可能であることです。特に世界有数の規模を誇る西日本製鉄所は、年間2,000万トンレベルの鋼材を生産でき、コストや商品ラインナップ、技術力の観点からも高い競争力を持っています。現場では長年の努力を通じて優れた製造・商品技術や知的財産、ノウハウ等が無数に蓄積されており、これらにより培われた製造実力は、同社固有の競争力の源泉です。なお、事業環境の変化に対応した国内最適生産体制を構築し、当該競争力を維持・向上させるため、東日本製鉄所京浜地区において2023年9月を目途に高炉を含む上工程(製銑、製鋼)および熱延設備を休止いたします。

 ○ニーズへの対応力と安定したお客様基盤(鉄鋼事業・商社事業)

 長年のお取引による数多くのお客様との双方向のコミュニケーションにより、お客様との信頼関係を構築してきました。お客様との綿密なニーズの摺り合わせや、開発初期段階からの協働等の取り組みを通じて新たな価値を創造し、お客様の課題解決に貢献してきました。結果として、他社が容易に入り込むことができない堅固なお客様基盤を構築しています。

○JFEグループのグローバル鋼材SCM(Supply Chain Management)網(商社事業)

JFEスチール㈱と戦略的に連携を取りながら日本、中国、北米、アセアンの4極を主軸にグローバル展開する鋼材SCMを構築しています。日本で製造されるJFEスチール材のみならず、JFEスチール㈱の海外製造拠点やJFEグループのアライアンス先で製造される鋼材も含めたJFEブランドを、世界各地に製造拠点を展開するお客様へ良質なサービスとともに提供しています。またお客様のニーズに合わせ、スリットなどの切断加工製品や、環境規制・省エネを背景に拡大している自動車用モーターコアや高効率変圧器用トランスコアなどの鋼材加工部品をグローバルに提供できる体制を整えています。

○JFEグループの中核商社としての機能(商社事業)

 変化が激しいグローバル市場においてお客様のニーズを先取りし、中核商社としてJFEグループの全体最適を考えながらトレードビジネスや事業を展開し、お客様への価値貢献を最大化しています。こうした他社にはないグループ全体最適を追求する商社事業モデルを通じ、グローバル市場におけるグループ全体の競争優位性を維持拡大していきます。

(エンジニアリング事業)

 エンジニアリング事業は、JFEエンジニアリング㈱を中核として、ガス・石油・水道パイプライン、再生可能エネルギー発電設備、都市ごみ焼却炉、水処理システム、橋梁・港湾構造物など、人々が生活するうえで不可欠となるインフラの構築等を行っており、それらのEPC(設計・調達・建設)、O&M(運転・維持管理)に加え、リサイクル・発電事業などの事業運営を展開しています。

 また数多くの国内支店・営業所、海外現地法人・海外支店を有することでグローバルかつきめ細かな販売ネットワークを構築しており、長年にわたり、官公庁や、大手電力会社・ガス会社など様々な民間企業のお客様へ高度な技術・サービスを提供しています。

 エンジニアリング事業の競争力の源泉は、時代の変化に対応する先進かつ多種多彩な商品・サービスや、高度なプロジェクト遂行能力、ものづくりのノウハウを強みにした事業運営に至るまでの幅広い事業展開を基礎としています。

○高度な基盤技術、多種多彩な商品技術

 造船事業がベースの加工・組立技術と鉄鋼事業がベースの素材・燃焼技術を融合・進化させた高度な技術力を強みとして、エネルギー・環境や橋梁など幅広い分野で事業を展開してきました。

 とりわけ、世界的な課題となっている地球温暖化に対しても、次世代エネルギーの創出や、高効率発電プラントによるCO排出量の抑制など、課題解決に向けた技術を数多く保有しており、これらの技術に基づいた新たなビジネスモデルの企画・立案・推進に積極的に取り組んでいます。

○豊富な実績と多様な人材によるプロジェクト遂行能力

 エネルギー・環境や橋梁など様々な分野で、設計から引き渡しまで、お客様のニーズに即した高機能・高品質な施設を数多く建設してきました。また、国内最大級の鋼構造物製作工場をはじめとする生産拠点を有しており、高品質・低コストでの製品供給を可能としています。さらに、アジア諸国を中心とした海外拠点にグローバルエンジニアリング体制を構築し、一段と競争力を強化しています。

○ものづくりのノウハウを強みにした事業運営

 環境・上下水などのプラントを中心として、長きに亘りオペレーション・メンテナンスのノウハウを培い、公共サービス分野で数多くの官民連携事業を手掛けています。また、自らが建設したプラントで、リサイクル事業や再生可能エネルギー発電事業を行い、循環型社会、持続可能な社会の構築に取り組んできました。こうした、ものづくりや運営ノウハウを強みにした官民連携事業やエネルギーサービス事業などの運営型事業領域をさらに拡大していきます。

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

JFEグループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルスの感染拡大による落ち込みからの持ち直しや中国のウィズコロナ政策への転換等により経済回復の兆しがみられるものの、エネルギー・資源価格の高騰にともなうインフレの継続や欧米各国の金融引き締めによる景気後退懸念に加えて、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、一部地域における地政学的リスクの高まり等により、先行きの不透明な状況が今後も続くと考えられます。さらに、全世界的に気候変動に対する危機感が従来にも増して高まっており、鉄鋼事業を中心とする当社グループにとって、気候変動問題への取り組みはより一層重要な経営課題となっています。

<第7次中期経営計画>

こうしたなか、当社グループは、第7次中期経営計画(2021~2024年度)で掲げた施策を推進し、社会の持続的発展と人々の安全で快適な生活のために「なくてはならない」存在を目指して、変革に向けた挑戦を続けています。「JFEグループ環境経営ビジョン2050」で示した気候変動問題への取り組みをはじめ、人材の活躍推進、地域社会への貢献やサプライチェーンの人権尊重等の取り組みを推進することにより、環境的・社会的持続性を確かなものといたします。また、鉄鋼事業における構造改革の完遂やDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略の推進等によってコスト競争力を高めるとともに、脱炭素化の進展を事業機会ととらえ、高機能電磁鋼板等の環境負荷低減に資する高付加価値品の供給や再生可能エネルギー発電の拡大等、成長戦略を推進することにより、より強靭な経営基盤を確立し経済的持続性を確保いたします。

 

 

第7次中期経営計画

グループ全体

事業利益

3,200億円

親会社の所有者に帰属する当期利益

2,200億円

ROE

10%

Debt/EBITDA倍率

3倍程度

D/Eレシオ

70%程度

事業会社

鉄鋼事業

 

・トン当たり利益

1万円/トン

・セグメント利益

2,300億円

エンジニアリング事業

 

・セグメント利益

350億円

・売上収益

6,500億円

商社事業

 

・セグメント利益

400億円

(注)1 D/Eレシオ:格付け評価上の資本性を持つ負債について、格付け機関の評価により資本に算入しております。

2 鉄鋼事業のトン当たり利益:(連結セグメント利益÷単体出荷数量)

<各事業会社の取り組み>

◆ JFEスチール㈱においては、人口の減少により国内の鉄鋼市場は縮小に向かう一方、海外では、汎用品の価格競争激化に加え、鉄鋼製品の地産地消の流れが強まることが想定されており、第7次中期経営計画において掲げた「量」から「質」への転換を徹底するとともに、成長戦略を着実に推進してまいります。

同社では、2022年度に東日本製鉄所千葉地区の缶用鋼板製造設備を休止し、西日本製鉄所福山地区に集約いたしました。さらに2023年9月には、東日本製鉄所京浜地区の上工程および熱延設備の休止を予定しており、構造改革の完遂による固定費の削減や、DX推進を通じた生産効率の向上等により大幅なコスト削減を実現し、スリムで強靭な事業構造へと変革いたします。加えて、鉄鉱石や原料炭等の主原料をはじめとする諸物価のさらなる高騰が想定されるなか、従来から取り組んできた販売価格体系の抜本的な見直しを強化し、収益の拡大を目指してまいります。

また特に、高機能電磁鋼板については、世界的な電力需要の拡大や自動車の電動化進展等により需要が急伸することを見据え、供給体制を増強し、伸び行く需要を確実に捕捉してまいります。国内においては、西日本製鉄所倉敷地区の設備増強を進めるとともに、海外においては、インドのJSWスチール社と方向性電磁鋼板製造販売会社の共同設立について基本合意しております。

今後同社では、現地生産化を通じた事業戦略の深化、品種構成の高度化による高付加価値品の製造拡大、さらには環境負荷低減等に関する高度な製造・操業・研究ノウハウを提供するソリューションビジネスの拡大等、成長戦略を着実に推進することで、収益の拡大に努めてまいります。

◆ JFEエンジニアリング㈱においては、『くらしの礎を「創る」「担う」「つなぐ」-Just For the Earth』というパーパスのもと、世界の人々のくらしを支え、地球を守り次世代につなげることを使命として事業を推進してまいります。

第7次中期経営計画の達成に向け、Waste to Resource(※)分野、カーボンニュートラル分野を中心とした受注の拡大に取り組むとともに、既に受注したプロジェクトに対しては、資機材費の高騰への対策や要員の適切な投入等に注力することにより、安定的な収益確保を目指してまいります。

今後拡大する廃棄物発電施設の建替え需要を確実に捉えるとともに、施設操業の遠隔監視等、強みであるDXを活用したサービスを提供し、安定的に収益を見込める運営型事業の展開を加速いたします。さらに、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、従来の太陽光、バイオマスに加え、洋上風力発電や地熱発電分野での取り組みを強化するなど、事業を通じた社会全体のCO排出量削減へ貢献してまいります。

なお、2023年10月に月島アクアソリューション㈱との国内水エンジニアリング事業の統合を実施いたします。引き続きM&Aや業務提携等も活用して競争力強化を図るとともに、安心、安全な社会を創り人々のくらしを支える企業として取り組みを進めてまいります。

※Waste to Resource:リサイクルや廃棄物発電等

◆ JFE商事㈱においては、電磁鋼板の世界No.1グローバル流通加工体制構築に取り組んでおり、現在国内の5拠点に加え、海外では中国、ASEAN、インド、メキシコ、カナダ等11カ国15拠点において事業を展開しております。2022年度には、名古屋および中国・浙江においてプレス加工設備の増強を実施しており、今後も、急速に拡大が見込まれる電磁鋼板の需要捕捉に向け、流通加工体制の構築を着実に進めてまいります。

また、海外建材事業では、鋼製薄板建材製品の製造・販売会社である米国のCEMCO社を買収いたしました。安定した成長が期待される北米の薄板建材の需要を捕捉するとともに、米国JFE商事やJFEスチール㈱の関連会社であるカリフォルニアスチール社等との連携を深め、収益の安定化に努めてまいります。さらに、自動車向け鋼材においては、ニューコア・JFEスチール・メキシコ社に隣接する加工センターにおける加工設備増強を決定するなど、グループ連携によるサプライチェーン強化を図ってまいります。なお、2023年2月に太陽光パネルを静岡の鋼材加工センターに設置し、国内で初めて鋼材加工におけるCO排出量の実質ゼロを実現しており、今後は他の鋼材加工拠点にも取り組みを拡大してまいります。引き続き第7次中期経営計画の達成に向け、マーケットにおけるJFEグループの存在感を高めるとともに、収益の拡大に努めてまいります。

なお、2023年度におけるグループ全体の事業利益は、鉄鋼事業における構造改革完遂によるコスト削減の実現に加え、エンジニアリング事業における一過性の工事損失の影響がなくなること等もあり、2,900億円と当連結会計年度に比べ増益を見込んでおります。引き続き、第7次中期経営計画の収益目標である連結事業利益3,200億円の達成に向けて取り組んでまいります。

<グループ共通の取り組み>

当社グループは、気候変動問題への対応を経営の最重要課題と位置付け、「JFEグループ環境経営ビジョン2050」を掲げ、カーボンニュートラルの実現に向けて「鉄鋼事業のCO排出量削減」「社会全体のCO削減への貢献」を戦略の軸として取り組みを進めています。

鉄鋼事業では、2030年度におけるCO排出量を2013年度比で30%以上削減することを目標としており、既存プロセスの省エネルギー・高効率化および電気炉技術の活用等の取り組みを進めています。また、カーボンリサイクル高炉や水素製鉄(直接還元)等の超革新技術の開発にチャレンジし、2050年カーボンニュートラルの実現を目指しています。

2030年度削減目標の達成に向けて、転炉においてスクラップ使用量の拡大により大幅なCO排出量削減が可能となるプロセスを全地区に導入したことに加え、仙台製造所における電気炉の増強や千葉地区のステンレス製造プロセスにおける電気炉の導入等を決定いたしました。また、倉敷地区においては高炉の改修時期にあわせて高効率・大型電気炉の導入も検討しており、引き続き目標達成に向けて必要な設備投資を実行してまいります。なお、当事業年度における技術開発の進捗等を精査、検証した結果、現時点の削減目標は適切であると判断しておりますが、今後トランジション技術の開発を促進し、さらなるCO削減に向けて目標の見直しを検討してまいります。

さらに、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業の支援を受け、超革新技術の開発を複線的に進めております。千葉地区においては、カーボンリサイクル高炉の試験炉建設工事に着手しており、引き続き研究開発を推進するとともに、超革新技術の早期実装化にも取り組んでまいります。

また、社会の脱炭素化ニーズが急速に高まる中、自社のCO排出削減技術により創出した排出削減量を適用したグリーン鋼材「JGreeX(ジェイグリークス)」の供給を開始いたします。2023年度は20万トン程度の供給を予定しており、カーボンニュートラル社会の実現に貢献できるグリーン鋼材の価値をお客様に認めていただけるよう市場の創出に積極的に取り組んでまいります。

社会全体のCO削減への貢献に関しては、EV向けモーターや変圧器の効率性向上に資する電磁鋼板等の環境配慮型商品の供給や再生可能エネルギーによる発電事業等の拡大にも取り組んでまいります。さらに、洋上風力発電の事業化にグループ全体で取り組んでおり、2022年度には着床式基礎構造物の製造・供給体制を整備すべく岡山県笠岡市においてモノパイル製造工場の建設に着手するなど、カーボンニュートラル社会の実現に向けて取り組みを継続してまいります。

なお、気候変動問題への取り組みを加速させるインセンティブとして、気候変動に関する指標を役員報酬に連動させることを2023年3月に決定いたしました。引き続き、気候変動問題への解決に向けた取り組みを強力に推進することで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

第7次中期経営計画では、DXを創立以来最大の変革の鍵となる重要な戦略として位置付けております。当社グループで長年積み重ねてきた膨大なデータ・ノウハウ・技術は価値創造の源泉であり、それらを最大限に活用したCPS(Cyber Physical System ※1)による高炉操業自動化の実現や製鉄プロセス全体への展開、発電プラント向け操業支援サービスである「RODAS®※2」のお客様への供給開始等、今後も労働生産性の向上や新たな付加価値の提供につながるDX戦略を推進し、差別化を図ってまいります。

さらに、DXを推進するうえでサイバー攻撃や情報漏洩リスクへの対策はさらに重要性が高まっており、深刻化・巧妙化するサイバー脅威に対し、グループ全体のサイバーセキュリティ対策の一層の強化を進めてまいります。

※1 Cyber Physical System:製造プロセスの仮想モデルと現実のプロセスのリアルタイム融合化技術

※2 RODAS®:AI活用技術と操業支援技術を組み合わせたボイラ発電プラント向けDXサービス

2023年、上工程および熱延設備の休止を予定している京浜地区の土地利用転換については、扇町エリアの売却を決定したことに加え、南渡田エリア北地区北側において事業パートナーを選定し、研究開発機能を中心としたまちづくりに着手し、約400haにおよぶ大規模土地利用転換の第一歩を踏み出しました。扇島エリアについては、川崎市が策定する土地利用方針を踏まえて当社の整備方針を策定し、上工程等設備休止時期に合わせて公表する予定です。今後も「土地売却」「土地賃貸」「事業利用」の3つを軸に取り組みを推進してまいります。

中長期の成長に向けた攻めの経営には安定した財務基盤の確立が必要であり、選択と集中に基づく効果的な投資の実行と財務健全性の確保を両立させることが重要です。2022年度には、事業の見直しによるグループ会社株式の譲渡や、政策保有株式の売却、京浜地区一部用地の売却等を実施し、資産圧縮に努めてまいりました。

一方、成長戦略やカーボンニュートラルに資する投資を実施したことに加え、物価高騰や円安の進行等による運転資金増加の影響により、当期末の有利子負債残高は、前期に比べ135億円増加し、1兆8,629億円となりましたが、ネット有利子負債残高(※)は、前期に比べ41億円減少し、1兆7,435億円となりました。この結果、第7次中期経営計画の財務目標として掲げているDebt/EBITDA倍率は3.7倍、D/Eレシオは67.8%となりました。引き続き、事業や資産の見直しによる徹底した資産圧縮と、棚卸資産圧縮等によるCCC(Cash Conversion Cycle)の改善により、投資に向けた必要資金を確保するとともに財務健全性の確保に努めてまいります。

※ネット有利子負債残高:有利子負債残高-現預金および現金同等物

当社グループは、人権が尊重・擁護される社会の実現に向けて人権デューディリジェンスに取り組んでおり、更なる推進に向けて2023年4月にグループ人権基本方針の改正を行いました。今後もサプライチェーンも含めたすべてのステークホルダーに対する人権尊重のために取り組みを拡大してまいります。

また、複雑化・多様化する変化の激しい経営環境下で、当社グループが将来にわたって持続的な成長を成し遂げるためには、人的資本への投資を通じて従業員の能力や活力を最大限に引き出すことが不可欠です。従業員の能力発揮や活性化につながる働き方改革、ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みを進めるとともに、安全で健康的な職場環境の整備に向けた取り組みに注力してまいります。

当社はグループの経営課題を着実に実行するため、株主利益に適うグループ経営および健全なコーポレートガバナンスの要としてその機能を充実させるとともに、さらに効率的な運営を図ってまいります。

 なお、JFEエンジニアリング㈱が2017年6月および2020年6月に沖縄県竹富町と契約した海底送水管更新工事に関して、入札談合等関与行為防止法違反容疑および公契約関係競売入札妨害容疑で、同社社員3名が起訴され、2022年8月に、うち1名(同社元社員)が那覇地方裁判所において有罪判決を受けました。

本事案を厳粛かつ真摯に受け止め、係属している同社社員の裁判の進捗を注視しつつ、原因究明を進めるとともに、再発防止に取り組み、早期の信頼回復に努めてまいります。

JFEグループは、社会との信頼関係の基本である、コンプライアンスの徹底、環境課題への取り組み、安全の確立について、グループをあげて真摯な努力を継続してまいります。また、第7次中期経営計画で掲げた施策を完遂し、企業としての持続的な成長と株主の皆様をはじめすべてのステークホルダーにとっての企業価値の向上に努めることにより資本市場の評価を高めてまいります。

(注)上記の記載には、2023年5月8日の決算発表時点の将来に関する前提・見通し・計画に基づく予測や目標が含まれております。

PR
検索