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企業概要

 当社は2022年度、新長期経営計画Atelier2050、および新中期経営計画Vista2027を開始いたしました。「未来のための、はじめてをつくる。」をコーポレートスローガンに据え、精密有機合成、機能性高分子設計、微粒子制御、生物評価、光制御の5つの従来のコア技術にさらに磨きをかけるとともに新たなコア技術を修得し、新事業領域へ挑戦しています。当社は、物質科学研究所、材料科学研究所、生物科学研究所の3つの国内の研究所を中心に、これら国内の研究所と、韓国、台湾、中国のR&Dセンターにおいて研究活動を行っています。それぞれの研究所、R&Dセンターが連携し、既存事業拡大に向けた開発や新技術の開発を進めております。

 現在、主に材料分野で、機械学習、人工知能を用いたマテリアルズ・インフォマティクスの導入検討を進めており、研究開発の高速化と高度化を図っています。また、2022年度に生物科学研究所に創設したバイオロジカルグループが主体となり、微生物を活用する技術の育成に取り組んでおり、新しいコア技術修得に向け検討を進めております。

 2022年度の研究進捗につきまして、化学品分野では、自社製品や技術をベースとして独自エポキシを半導体実装用途や高周波基板用途に展開しております。また、SDGsへ貢献可能な微生物製剤「ビーナス®オイルクリーン」は、優れた油脂分解力で食品工場の産業廃棄物削減に寄与しております。

 機能性材料分野では、ディスプレイ材料、半導体材料、無機コロイドで既存製品の高品質・高性能グレードに向けた検討を、また、多様化する顧客ニーズに応えた将来の主要事業とすべく新規材料の研究開発を進めております。ディスプレイ材料では光配向材のさらなる高性能化に加えて、OLEDやマイクロLED、フレキシブルデバイス用材料の開発を、半導体材料では既存製品の高品質化とともに今後の世代で必要になる微細加工技術や実装技術の積極的な開発を、無機コロイドではシリカゾルの持つ強みを活かした材料開発を行っております。

 農業化学品分野では、当社オリジナルの殺虫剤原体フルキサメタミドを含有する製品において、野菜、茶、芝向けに続く、果樹用のフロアブルを上市しました(2023年4月発売開始)。スマート農業関連では、ドローン散布への農薬登録の拡大やAI病害虫雑草診断でスマートフォン用アプリケーションへの参加など、各種IT企業とのスマート農業参入に向けた検討が進んでおります。

 ヘルスケア分野では、中分子医薬品の技術開発の取り組みを拡大しており、独自の核酸構造を用いた創薬基盤技術について、数社の製薬企業や国内外のアカデミアとの共同研究により、核酸創薬研究を広く展開しております。また、ペプチド医薬品原薬の供給については、独自の製造技術 SYNCSOL®を活用して安価で高品質な長鎖および環状ペプチドの大量製造が可能となり、顧客ニーズや課題に合致したソリューションを提案しております。さらにジェネリック医薬品原薬や再生医療材料の開発に注力し、事業の拡大を図ってまいります。

なお、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は16,838百万円であります。

セグメント別の主な内訳は以下の通りであります。

(1) 化学品セグメント

 化学品セグメントでは、成長分野の市場ニーズを見据え、自社製品・技術をベースとした新しいファインケミカルの創出、高機能化、用途拡大に取り組んでおります。機械物性と耐熱信頼性を両立する液状エポキシ「TEPIC®-VL」、「TEPIC®-FL」を半導体実装用途に、低誘電正接エポキシ「FOLDI®」を高周波基板用途に展開しております。樹脂添加剤「スターファイン®」は金属基材との密着力を高めることができ、塗料、接着剤、樹脂成型品など採用シーンが拡がっております。

 また、SDGsへ貢献可能な製品の市場開発も進めております。油脂分解力に優れる微生物製剤「ビーナス®オイルクリーン」の採用件数を増加させており、食品工場から出る産業廃棄物の削減を達成しております。

 当セグメントに係る研究開発費は281百万円であります。

(2) 機能性材料セグメント

 機能性材料セグメントでは、船橋、袖ケ浦、富山の3拠点を有する材料科学研究所において、ディスプレイ材料、半導体材料、無機コロイドの研究開発、および将来の事業の柱となる新規材料の研究開発を実施しております。

 ディスプレイ材料では、市場・顧客動向を的確に把握し、これまで培ってきた独自技術をもとに、高性能化、多様化に対応した材料開発に取り組んでおります。特に、IPS/FFS用光配向材では、各種用途での要求に応じ、さらなる高性能化を進めております。また、中国R&Dセンターの解析および評価能力の向上に向けた設備拡充により、拡大する中国市場での顧客対応力のさらなる強化を図っております。

 半導体材料では、半導体デバイスの高集積化の進展に伴い、既存製品の高品質化を進めるとともに、次世代あるいは次々世代の微細加工技術、および実装技術に対応する製品・材料の研究開発にも注力しております。また、このような新製品・新材料の創出に向け、各種コンソーシアムへの参加、産官学およびベンチャー企業との連携に取り組んでおります。

 無機コロイドでは、シリカゾルの持つ機能を活かし、研磨、金属表面処理、ハードコート等向けの製品開発や市場開拓を展開しております。シリカゾル以外では、ジルコニアやチタニアのゾルをスマートフォンやタブレット用の光学フィルムの屈折率調整用途や眼鏡用ハードコート用途向けに開発しております。また、近年はオイル&ガス分野での製品開発に取り組んでおり、米国のみならずアジア地域等への展開を図っております。

 新規材料については、当社のコア技術を深化・発展させると同時に、社内外の共同研究を活用して、本格的な市場拡大が進んでいるOLED向けの材料やディスプレイの表示性能を向上させる材料、フレキシブルデバイス向けの材料など、次世代につながる材料の研究開発を進めております。

 当セグメントに係る研究開発費は7,576百万円であります。

(3) 農業化学品セグメント

 当社が独自に創薬開発した殺虫剤原体「フルキサメタミド」を含有する製品としては、日本では、野菜および茶向けの「グレーシア®乳剤」、芝用の「イザナミ®フロアブル」に続いて、果樹用の「グレーシア®フロアブル」も上市しました(2023年4月発売開始)。海外では、2018年に韓国で発売を開始して以降、2020年にサウジアラビア、2021年にアラブ首長国連邦、インドネシアおよびイランの3カ国、2022年にインドおよびウズベキスタンの2カ国、そして2023年4月にはヨルダンで登録されるなど、製品の販売国は着実に拡大しています。その他東南アジア諸国ならびに中東および西アフリカ地域での評価や登録申請も順次進めており、さらなる販売エリアの拡大と製品の拡販を目指します。

 抵抗性、難防除雑草に卓効を示す水稲用除草剤「ベルダー®(原体名:ジメスルファゼット)」は国内開発に加えて、韓国での開発を行っております。グローバルな展開が期待される新規水稲用除草剤「NC-656(原体名:イプトリアゾピリド)」についても、2019年度からアジアを中心に評価・開発を進めております。

 水稲用除草剤「アルテア®(原体名:メタゾスルフロン)」は、国内においては、高性能な混合剤「ディオーレ®」および「流星®」を一発処理剤第3世代製品として2021年より販売を開始し、2022年には製剤ラインナップを充実させ販売を本格化しました。海外においては、2021年度に本格上市した台湾では、抵抗性カヤツリグサを対象として、販売は順調に推移しています。2022年2月には水稲面積が1,170千ヘクタールのバングラデシュで登録を取得し、2022年11月に販売を開始しました。さらにインドでも登録申請し、東南アジア諸国および中東地域では評価試験を継続します。

 非選択性茎葉処理除草剤「ラウンドアップ®マックスロード」は、ULV5(Ultra Low Volume 5 Litter)散布技術の開発を進め、「ラウンドノズル®ULV5セット 動力用」、「ラウンドノズル®ULV5セット バッテリー・人力用」、「ラウンドノズル®ULV5ブームスプレーヤー用」を販売しております。なお、「ラウンドノズル®ULV5ブームスプレーヤー用」については、北海道仕様の製品の販売も開始しました(2023年4月発売開始)。その他海外開発では、殺菌剤「ライメイ®」がヨルダンで認可されました。

 また、スマート農業関連では、ドローン用散布への農薬登録拡大を進めるとともに、AI病害虫雑草診断「レイミ―*」にも参加しており、各種IT企業とともにスマート農業への参画を検討しています。

 当社発明化合物フルララネルを含む、MSD Animal Health社(またはMerck Animal Health社)の製品は外部寄生虫ノミ・マダニ防除用のイヌ・ネコ用経口投与錠剤(ブランド名:Bravecto®**)を中心に日本を含め世界100か国で販売されております。近年では、内部寄生虫薬とのネコ用混剤「Bravecto® PLUS」や8週齢以上の子犬向けの「Bravecto® 1-Month Chews」等ペット向け製品ラインアップを充実させています。家畜向け製品としては、ニワトリに寄生するワクモ(吸血ダニの一種)防除用飲水添加剤「Exzolt®**」または「エグゾルト®**」が、日本を含むアジアのほか、欧州、南米、アフリカ、中東で承認され、登録国数は70か国を超えました(2023年4月現在)。また、ウシ向けノミ・マダニ防除用「Exzolt®**」は、2022年3月にブラジル、5月にメキシコで承認されました。

 当セグメントに係る研究開発費は4,341百万円であります。

*レイミ―:日本農薬株式会社発表のスマートフォン用アプリケーション。当社は他2社と共に参加。

**ブラベクト®、Bravecto®、Exzolt®およびエクゾルト®は、Intervet International B.V.およびIntervet Inc.の登録商標です。

(4) ヘルスケアセグメント

 当社独自の核酸構造を用いた創薬基盤技術については、製薬企業数社との共同研究が順調に進捗し、2019年より開始した複数のプロジェクトではテーマが進展するなど、提携を拡大させております。また、国内外のアカデミアと新規標的遺伝子に対する共同研究を進めております。

 安価で高品質な直鎖状および環状ペプチドの製造技術 SYNCSOL®の実用化を目的として、直鎖状および環状ペプチド医薬品原薬および周辺医療用材料への展開を図っております。本技術をペプチスター㈱との協業に活かしていくとともに、顧客の抱える課題を解決することで事業を拡大してまいります。

「NTC-801」(不整脈治療薬)については、大阪大学において遺伝性徐脈性不整脈を対象とした医師主導治験を完了、本治験結果をもとに一般徐脈治療薬としての開発可能性を精査するとともに、引き続き提携先を検討しております。

 モジュラス㈱との低分子医薬品に関する戦略的業務提携において、モジュラス㈱の開発化合物について当社の原薬開発・製造技術およびノウハウを提供し、協働してその開発を推進しております。今後、共同で製薬企業への導出を目指します。

 さらに高生理活性ジェネリック医薬品原薬の新規開発、および生体物質付着防止材料 prevelex® や細胞培養材料 FCeM®などの再生医療材料の開発に注力して、事業の拡大を図ってまいります。

 当セグメントに係る研究開発費は436百万円であります。

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