企業兼大株主デジタルハーツホールディングス東証プライム:3676】「情報・通信業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営の基本方針

 当社グループでは、「SAVE the DIGITAL WORLD」を企業理念として掲げております。この企業理念のもと、主力のソフトウェアテストサービスを中心に、受託開発や保守・運用、セキュリティ等、様々なサービスの提供を行うことで、増加するデジタルサービスの品質・安全性向上への貢献を目指しております。

(2) 経営戦略

 当社は、2017年以降、創業事業であるエンターテインメント事業の安定成長の下支えのもと、第二の収益の柱を育てるべく、エンタープライズ事業の拡大に注力してまいりました。2023年3月期において、エンタープライズ事業が連結売上高の5割近くを占める規模にまで伸長するとともに、投資を継続しながらも安定的に利益を創出するなど、確実に第二の収益の柱へと成長させることができました。今後は、引き続きエンタープライズ事業の急拡大に注力するとともに、市場環境が大きく変化しつつあるエンターテインメント事業においても、既存事業の進化及び新たなビジネスチャンスへの挑戦に取り組んでまいります。

 具体的には、エンタープライズ事業において、中核子会社である株式会社AGEST(以下、「AGEST」)を中心に、引き続きエンジニア確保に向けた中途採用を積極的に実施するとともに、未経験者からAGEST独自の教育プログラムを活用しエンジニアへと育成する“ポテンシャル採用”を新たに開始するなど、事業拡大に必要不可欠なエンジニアの増員ペースを加速させてまいります。また、“次世代QAエンジニア”をはじめとするハイスキルエンジニアの増強や、産学連携による研究等を通じた先端品質技術の追求を行うことで、従来にはない高付加価値型の“シフトレフト対応QAソリューション”の確立を目指してまいります。さらに、積極的なM&Aを通じ、人材強化や技術力向上スピードを加速いたします。一方、エンターテインメント事業においては、これまで培ってきたコアコンピタンスを再強化し、デバッグを中心とする既存サービスの高付加価値化等を目指す“DHQ (DIGITAL HEARTS Quality)”の取り組みを推進することで、コンテンツの品質向上をより強力に支援できるソリューションへの進化を目指してまいります。また、ゲームの海外同時展開が主流化するなか、ゲームの翻訳・LQA、マーケティング支援、音声収録等の機能を強化することで、強みとするアジア市場に加えて、欧州や北米市場も視野に入れたグローバル事業の拡大に努めてまいります。 

 さらに、当社では、エンタープライズ事業及びエンターテインメント事業の両事業のさらなる成長と株主価値向上を目的に、AGESTの株式分配型スピンオフ及びAGEST株式の上場準備を開始することを2023年5月11日付で決議いたしました。これに伴い、2024年3月期以降、AGESTを中心とするグループ各社において、管理部門の増強をはじめとする本社機能やガバナンス体制の強化等を実施するとともに、両事業それぞれが自立して持続的成長を実現するための体制構築に努めてまいります。

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループが属するデジタル関連市場は、環境変化のスピードが著しく速く、その変化に即した迅速かつ柔軟な経営判断を行う必要があることから、当社では、単年度毎の売上高・営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益を経営指標としております。

(4) 当社グループを取り巻く経営環境

① 市場環境

 当社グループが事業を展開しているデジタル関連市場においては、IoT(Internet of Things)の進展やDX(デジタルトランスフォーメーション)の加速等を背景に、コンテンツやサービスの多様化が急速に進んでいる一方、各企業においては、その開発及び運用を支えるIT人材が慢性的に不足しています。このため、ソフトウェアの開発、テスト、保守・運用、セキュリティ等の支援サービスを提供している当社グループの収益機会は、今後も引き続き増加するものと見込んでおります。

② 主要サービス

 当社グループでは、ソフトウェアの開発、テストから、保守・運用、プロモーション支援まで幅広いサービスを提供しておりますが、そのなかでも、以下2つを事業の柱となる主要サービスとして位置付けております。

サービス名

概要

システムテスト

業務システムやWebシステム、IoT機器等エンタープライズシステムの不具合検出や脆弱性診断といったセキュリティ検査

国内デバッグ

コンソールゲーム、モバイルゲーム、オンラインゲーム等の不具合検出

③ 顧客動向

 エンタープライズシステムの開発や保守・運営を行う企業においては、昨今深刻化しているIT人材不足に加え、ソフトウェアの複雑化を背景にテストの専門性が高まっていることから、今後テスト工程のアウトソースが急激に加速していくことが見込まれております。一方、ゲームメーカーにおいては、デバッグ工程のアウトソースが既に進んでいることから、今後も安定的な受注が見込めます。

④ 競合他社の状況

 システムテストにおいては、SIerやシステムの受託開発会社等、市場には多数の競合が存在しています。しかし、当社のようなテスト専門企業は少なく、市場が黎明期であり、今後爆発的な成長が見込まれていることから、当社ではシステムテスト市場をブルーオーシャンと認識しております。一方、国内デバッグにおいては、創業以来顧客企業と強固なリレーションを構築しており、また豊富なデバッグ専用機材を有していること等から参入障壁は高く、寡占市場のなかで当社は圧倒的なシェアを有しております。

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、収益基盤の強化を図るとともにさらなる成長を実現するため、下記5点を主要な課題として認識し、その対応に取り組んでまいります。

① 人材の確保及び育成

 当社グループが継続的に企業価値を向上させていくためには、優秀な人材の確保及び将来を担う人材の育成が経営上の重要な課題であると認識しております。

 特に、注力事業であるシステムテストにおいては、エンジニアが計画・設計したテストの実施が求められるほか、マニュアルテストのみならず、脆弱性診断やテスト自動化等、品質向上に関する専門的な知見が必要となることから、エンジニア人材の確保や育成を通じた技術力・専門性の向上が不可欠となっております。

 このため、当社グループでは、株式会社AGESTを中心にエンジニアにとって魅力的な環境を構築することで、新卒・中途採用を強化するとともに、国内外のソフトウェアテストの権威のノウハウ等を凝縮した独自のエンジニアトレーニングプログラムの提供を通じ、優秀な人材基盤の構築に努めております。さらに、フリーランスエンジニアやビジネスパートナー等、社外リソースも積極的に活用することで、急増する需要に対応できる体制を構築しております。

 また、主力の国内デバッグにおいても、顧客企業の流動的な開発スケジュールに合わせて、高品質なサービスをスピーディかつ継続的に提供できる組織体制を整備するため、多数の臨時従業員であるテスターを常時確保することが不可欠となっております。このため、当社グループでは、株式会社デジタルハーツを中心に、テストセンターであるLab.(ラボ)を戦略的に展開することで、豊富なテスターを確保しております。

 今後も、当社グループでは、多様な人材に合わせた働き方や教育体制等を整備することで、人材プールの拡大に継続的に取り組んでまいります。

② サービスの付加価値向上について

 当社グループを取り巻くデジタル関連市場においては、IoTの進展やDXの加速等を背景に、新たなコンテンツ及びサービスの開発が活発化しているため、それらの市場環境の変化及び顧客ニーズの多様化に柔軟に対応することが経営上の重要な課題であると認識しております。

 当社グループでは、エンターテインメント事業を中心に培ってきた競争優位性及び多様性を原動力としつつ、事業及び地域の垣根を越えたグループ全体のノウハウを結集することで、開発から保守・運用までの幅広い工程において包括的なサービスを顧客ニーズにあわせて提供してまいります。また、新サービスの開発にも積極的に取り組むことで、付加価値の高いサービスの提供に取り組んでまいります。

③ サービスの海外展開について

 当社グループは、海外へのサービス展開も持続的な成長を遂げていくためには取り組まねばならない経営上の重要な課題であると認識しております。

 そのため、当社グループでは、米国、英国、中国、韓国、台湾及びベトナム等の海外子会社を通じて、エンタープライズシステムのテストサービスやゲームのデバッグ及びローカライズサービス等の事業を展開しており、持続的な成長に向けた海外事業基盤の構築に努めております。

 今後も、高い収益性と成長性が期待される市場に対してサービスを提供することを基本方針とし、事業運営をグローバルに展開してまいります。

④ 事業領域の拡大及び新規事業の推進について

 当社グループでは、エンターテインメント事業を収益の軸としつつも、多様な収益源による安定的な成長を遂げていくためには、既存の事業領域を拡大するとともに新規事業を推進することが経営上の重要な課題であると認識しております。

 そのため、M&A等を活用した多角的な事業規模の拡大や独自性を追求した新サービスの開発に積極的に取り組んでまいりました。今後も、新たな事業領域の開拓や新規事業の創出・発展に注力するとともに、多様な収益源による安定的な事業ポートフォリオの形成を目指してまいります。

⑤ 安定的な財務基盤の維持について

 当社グループでは、強いキャッシュ・フロー創出力を有するエンターテインメント事業を中心に高い収益性を維持しており、安定的な配当等の株主還元を実施しつつ健全な財務体質を維持してまいりました。

 しかしながら、世界的な経済の長期低迷リスク等、外部環境が激変するなか、財務基盤の強化は従来以上に経営上の重要な課題になっていると認識しております。引き続きキャッシュ・フローマネジメントを強化するとともに、必要に応じて金融機関からの資金調達を含めた機動的な対応を実施するなど、今後とも安定的な財務基盤の確保に努めてまいります。

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