企業兼大株主東急不動産ホールディングス東証プライム:3289】「不動産業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)長期ビジョン「GROUP VISION 2030」について

 2021年5月に長期ビジョン「GROUP VISION 2030」を策定、公表しました。将来の長期的な経営環境について、新型コロナウイルスのパンデミックや急激なデジタル化の加速、脱炭素社会の進展、生活スタイルの多様化など、「VUCA※」といわれる不確実で先が読みにくい時代が続くものと認識しています。このような環境認識のもと、サステナブルな成長を実現するため、従来型の積み上げ型による計画ではなく、バックキャスト発想で10年後の当社グループのありたい姿を見定め、長期ビジョン「GROUP VISION 2030」の策定と理念体系の再整理を行いました。

※Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をつなげた言葉で、予測不可能な社会経済環境を指す。

① 長期ビジョンスローガン「WE ARE GREEN」について

 コーポレートカラーであるグリーンを基調に、当社グループの事業や人財の多様性をグラデーションで表し、多様なグリーンの力で、2030年にありたい姿を実現していく姿勢を表現しています。グリーンは環境への取り組みやサステナビリティの象徴であるとともに、当社グループがめざす「誰もが自分らしく、いきいきと輝ける未来」の象徴でもあります。「WE ARE GREEN」を旗印に、多様なグリーンの力を融合させ、魅力あふれる多彩なライフスタイルを創造していきます。

② 理念体系

 当社グループの成り立ちを踏まえて理念体系を再定義し、「ありたい姿」、「社会との約束」、「創業の精神」を規定しております。

 ありたい姿は、「価値を創造し続ける企業グループへ」を継続して掲げます。そして、「魅力あふれる多彩なライフスタイルの創造を通じて、誰もが自分らしく、いきいきと輝ける未来を実現すること」が、社会的使命(ミッション)です。

 社会との約束では、6つのステークホルダーへの約束を定義しました。当社グループは、あらゆるステークホルダーの満足度の総和が企業価値になると考えています。

③ マテリアリティ

 ありたい姿で規定した「誰もが自分らしく、いきいきと輝ける未来の実現」に向け、「個人」「社会」「環境」それぞれの未来の理想像を描き、それらを実現するための4つの取り組みテーマ「多彩なライフスタイルをつくる」、「ウェルビーイングな街と暮らしをつくる」、「サステナブルな環境をつくる」、「デジタル時代の価値をつくる」をマテリアリティとして定めています。

 上記の4つの事業基盤に関するマテリアリティに加え、「多様な人財が活きる組織風土をつくる」、「成長を加速するガバナンスをつくる」の経営基盤に関するマテリアリティの2つを設定し、当社グループがめざす未来を実現するために、6つのマテリアリティに取り組んでまいります。

④ 「GROUP VISION 2030」の位置づけ

 「GROUP VISION 2030」策定時の課題として4点を認識しております。順調な投資によるBS拡充の一方、新型コロナウイルス感染拡大の影響により収益水準が低下した事業もあり、「BSマネジメントによる効率性向上」と、「強固な事業ポートフォリオ構築」が課題です。管理運営等の人手に頼った事業では、人手不足等の影響に左右されにくい体質へ転換するため、「労働集約型からの脱却」を進めることや、デジタル化など事業の高度化、複雑化への対応が急務であり、「自前主義の脱却、人財育成」に取り組むことも重要な課題です。

 4つの課題認識を踏まえ、2030年までの10年間のうち、前半期を「再構築フェーズ」として、アフターコロナの再成長に向けた稼ぐ力と効率性向上への取り組み期間とします。後半期では「強靭化フェーズ」として、新領域での事業育成など強固な事業基盤の確立を目指し、その後のサステナブルな成長につなげてまいります。

(2)長期経営方針について

 「GROUP VISION 2030」では、現状の課題認識を踏まえ、長期視点であらゆる事業を見直すとともに、経営の羅針盤となる考え方を明確化することで、サステナブルな成長を実現してまいります。

 幅広いアセット、豊富なお客さま接点など、グループの特色を強みに変えるため、全社方針として、「環境経営」と「DX」に取り組み、また、関与アセット拡大モデルの進化のため、知的資産の活用とパートナー共創を進め、強固で独自性ある事業ポートフォリオを構築します。ROE向上、EPS成長、ひいては株主価値・企業価値の向上を実現します。

① 全社方針

 イ.環境経営

 環境ビジョンに基づき、脱炭素社会、循環型社会の実現に向けた「クリーンエネルギー普及など、すべての事業を通じた環境負荷低減」と、「環境に寄与する快適な街と暮らしの創造」に取り組みます。

 気候変動に関する目標については、自社のCO2排出については2025年カーボンマイナスへの貢献を実現します。カーボンマイナスについては、当社グループの強みである再生可能エネルギー事業によるCO2削減量が自社のCO2排出量を上回ることでグループ全体の2025年度の実現をめざす、当社独自の目標となっております。また、サプライチェーンのスコープ3まで含めたCO2については、科学的根拠に基づく削減目標のSBT1.5℃の認定を取得し2030年に実現、2050年ネットゼロエミッション達成をめざします。2100年に気候変動を1.5℃に抑える「1.5℃目標」は、パリ協定において「努力目標」とされるハードルの高い目標設定ですが、強い決意を持って取り組み、環境の取組みについては業界をリードしていきたいと考えております。

 ロ.DX

 もう一つの全社方針の「DX」では、3つの施策を推進します。

 業務フローの電子化・業務自動化など「省力化推進による創造的業務への転換」、オンラインとオフラインの融合(いわゆるOMO)の推進など「顧客接点の高度化による感動体験の創出」、自社開発ツールやサービスモデルの提供など「知的資産活用による新しい価値創造」を通じて、デジタル活用による事業の変革に取り組みます。

 当社グループは多くのBtoC事業を手掛けていることから豊富なお客さま接点を有しており、DXに取り組むことで新たな付加価値を提供できるものと考えております。BtoC事業を強みに変革するためにDXを推進いたします。

② 目標指標

 2030年度の目標指標は、マテリアリティごとにそれぞれのKPIを定めております。

 また財務指標としては、2030年度のありたい姿として、ROE10%以上、ROA5%以上、D/Eレシオ2.0倍以下、営業利益1,500億円以上、当期純利益750億円以上を参考指標として掲げました。なお、2030年度のありたい姿の具現化に向けて、「GROUP VISION 2030」に沿った中期経営計画を策定しています。

(3)「中期経営計画2025」について

 2022年5月に2025年度を目標年度とする「中期経営計画2025」を策定、公表いたしました。

 本計画は、長期経営方針における「再構築フェーズ」と位置付け、長期経営方針で定めた全社方針および事業方針に従い、アフターコロナの再成長に向けた稼ぐ力と効率性の向上を推進し、強固で独自性ある事業ポートフォリオの構築、ありたい姿の実現をめざします。

①中期経営計画2025の概要

 長期経営方針で定めた全社方針「環境経営」「DX」を通じた独自性のある価値創出を図ります。資産活用型ビジネス(都市開発事業/戦略投資事業)では、「資金の効率的投資や共創型開発等を通じた資産効率性の向上」、人財活用型ビジネス(管理運営事業/不動産流通事業)では、「労働集約型からの脱却と知的資産の有効活用による生産性の向上」をそれぞれ推進しつつ、DXを通じてグループのサービスをつなぐことで新たな収益モデルの確立、環境を起点とした事業機会の拡大を図り、グループの特色を強みに変えてまいります。

②経営基盤の強化

 長期ビジョン「GROUP VISION 2030」の達成に向けた経営基盤の強化を着実に推進いたします。財務資本戦略では、最適な財務資本構成のもと効率性を意識した利益成長の実現に向けた施策を実施していきます。人財・組織風土では、多様な人財が活躍できる組織づくりや健康経営の促進などによる働きがい・働きやすさの向上に加え、サプライチェーンの人権配慮にも取り組みます。ガバナンスでは、公正かつ透明性の高いガバナンス体制の構築に向けて、役員報酬制度の見直しや指名・報酬委員会の独立性強化などを推進します。

③事業ポートフォリオマネジメント

 強固で独自性のある事業ポートフォリオの構築に向け、定量評価と定性評価の2軸で主要事業を評価し、各事業の方向性を「推進」「修正して推進」「抜本的再構築」に整理いたしました。「抜本的な再構築」と位置付けたハンズ事業は新しいパートナーへ株式を譲渡、レジャー事業は、TCFDシナリオなども踏まえ、アセットライト化を推進いたします。「修正して推進」とのボーダーに配置しているヘルスケア事業のフィットネス事業は、コロナ後の会員数回復は限定的となる想定のもと、店舗事業を中心に抜本的な再構築を進めます。商業施設事業は、EC化の進展に伴い、都心施設を中心に体験型消費・共感型消費に対応する施設への転換や、資産ポートフォリオの入れ替えを推進していく方針です。

※上記は中期経営計画策定時のものです。2023年3月期末までの進捗状況については、P22をご参照下さい)

④2025年度の目標指標

 マテリアリティに基づき、財務・非財務を統合した目標指標を定めております。2025年度の財務指標は、効率性指標としてROE9%、ROA4%、EPS90円以上、利益目標として営業利益1,200億円、当期純利益650億円、財務健全性としてD/Eレシオ2.2倍以下、EBITDA倍率10倍以下の達成をめざします。

⑤キャピタルアロケーション

 2025年度末のD/Eレシオは2.2倍以下を前提として、ネット投資額は5,700億円の計画としています。グロス投資額は2兆2,000億円、そのうち2兆円を資産活用型の都市開発および戦略投資事業に投下する計画です。資産活用型事業の期待リターン目線として、保有型事業ではNOI利回り5.0%前後、回転型事業ではIRR6.5%前後を目指します。なお、記載の投資額は2021年度~2025年度の5年累計の数値です。

(4)経営環境及び対処すべき課題

 資産活用型ビジネスの都市開発事業及び戦略投資事業では、効率的投資や共創型開発等により資産効率性の向上を図りつつ、当社グループの強みである幅広いアセットの活用、事業プロデュース力を活かした施策を展開いたします。人財活用型ビジネスの管理運営事業及び不動産流通事業では、労働集約型からの脱却、知的資産の有効活用による生産性向上を図りつつ、当社グループの強みである豊富なお客さまとの接点、人財と運営ノウハウを活用した事業拡大を推し進めてまいります。

 また、事業環境認識について、長期経営方針で示した長期的な環境認識の視点に加え、コロナ禍での影響も加味した事業環境の変化として、「脱炭素化の加速/環境課題の多様化」、「デジタル化の加速」、「金融・経済の動向」、「ライフスタイルの多様化」の4点に着目しております。

① 都市開発事業セグメント

 都市開発事業セグメントでは、独自性ある施設づくりと事業推進力、再開発・エリアマネジメントのノウハウ、総合デベロッパーの強みを活かし、まちのにぎわいを創出して、社会課題や地域課題の解決に貢献する「再開発事業や複合開発の強化」と、ライフスタイルの変化をとらえた「CX(カスタマー・エクスペリエンス)を高める都市ライフの提案」を推進します。

② 戦略投資事業セグメント

 戦略投資事業セグメントでは、既に1GW超の発電能力を有する再生可能エネルギー事業、業界トップクラスのREIT・私募ファンド運用資産額、海外における自社開発の実績とノウハウを活かし、エネルギー政策、産業構造の変化なども踏まえ、「再生可能エネルギー事業の拡大」、「物流・産業施設の高度化」、「投資領域および規模の拡大」を推進します。

③ 管理運営事業セグメント

 管理運営事業セグメントでは、業界トップクラスの管理戸数と幅広い管理領域、専門性の高い人財と運営ノウハウ、豊富なお客さま接点・地域接点を活かし、デジタル基盤整備による「管理業のソリューション提供型モデルへの進化」、顧客体験価値向上に取り組みながら「新たなウェルネス事業モデルの構築」を推進し、労働集約型から知的資産集約型への転換を図ります。

④ 不動産流通事業セグメント

 不動産流通事業セグメントでは、高いブランド力と豊富なお客さま接点、豊富な不動産流通情報と情報加工力、多様なニーズに対するオーナー提案力を活かし、情報の最有効活用・提案力の強化やオペレーションの効率化などを進め「情報価値の変化を見据えた不動産仲介事業モデルの進化」、DXによる生産性向上と付加価値提案強化により「賃貸住宅サービス事業の規模拡大および効率性向上」を推進いたします。

(5)中期経営計画の進捗状況

①中期経営計画の進捗状況(財務目標)

 2023年3月期は、不動産売買マーケットの好調、コロナ収束化による国内及びインバウンド需要の回復等により、いずれの目標指標も通期業績予想を上回ることができ、営業収益1兆円・営業利益1,000億円の節目を超えました。

 2024年3月期は、不透明な事業環境下ではあるものの、好調な不動産売買マーケットの継続、ホテル等のインバウンド需要の一層の回復などを見込み、営業利益や当期純利益は2023年3月期を上回る計画です。ROEは、2023年3月期は7.3%に改善し、さらに2024年3月期は8.8%となる計画です。中期経営計画の目標達成に向け、いずれの指標についても順調に進捗しております。

②事業ポートフォリオマネジメントの進捗状況

 抜本的な再構築の対象とした「レジャー事業」「ヘルスケア事業」「商業施設事業」については、資産入替や資産売却によるアセットライト化、資本提携などにより、構造改革を実行しました。今後は、「修正して推進」と位置付けた事業を中心に、引き続き「稼ぐ力と効率性の向上」を主眼に各事業の変革と成長を進めてまいります。

③企業価値・市場評価向上に向けた取り組み

 「中期経営計画2025」で掲げた取組みを着実に推進して、中期経営計画のテーマである「稼ぐ力と効率性の向上」を図り、株主資本コストを上回るROEを継続的に達成するとともに、「長期経営方針」で掲げた全社方針「環境経営」「DX」に取り組み、事業方針である知的資産活用、パートナー共創を進め、中長期にわたる持続的な成長を実現してまいります。これらを実現するために、財務資本戦略・人財組織風土・ガバナンス・株主の皆さまとの関係構築など、経営基盤を強化する考えです。以上の取り組みにより、企業価値・市場評価の向上を図ってまいります。

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