企業兼大株主味の素東証プライム:2802】「食品業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

「2020-2025中期経営計画」フェーズ1(2020-2022中計)の振り返り

 「2020-2025中期経営計画」フェーズ1(2020-2022中計)では、この先の持続的な成長を実現するために、徹底的な構造改革に取り組み、着実なオーガニック成長の実現や重点事業への集中、有形資産を軽くするアセットライトを推進しました。また、2022年4月からは「スピードアップ×スケールアップ」を掲げ、意思決定と執行のスピードを速める企業文化の変革を進め、不透明な社会状況の中での原料安定調達やコストアップへ迅速に対応する等、当社の適応力向上を加速させています。

 「2020-2025中期経営計画」フェーズ1(2020-2022中計)で掲げた財務・非財務の各目標は、ほぼ達成し、1年前倒しで再成長ステージに入ることができました。重点事業売上高比率及び従業員エンゲージメントスコアは未達となりましたが、従業員エンゲージメントスコアについては、より実態を把握できる測定方法に変更した上で、無形資産の価値を高める源泉である人財資産の強化に継続して取り組み、ASVの志で結ばれた個人と組織の共成長を図ることで、このスコアを更に高め、企業価値向上につなげていきます。

“Our Philosophy” ~食と健康の課題解決、その先へ~

 味の素グループでは、これまで3か年の中期経営計画を策定し取り組んできました。しかし、常に変化する社会や経済情勢下において、先行きが不透明な3年先の経営数値を精緻に作り込むことに主眼がおかれ、挑戦的な取組みや成長が不十分ということが課題となっていました。そのため、3年分の数字を精緻に積み上げすぎて計画倒れや計画疲れになりがちだった従来型の中期経営計画を廃止し、長期視点のありたい姿から挑戦的な「ASV指標(*1)」を掲げ、バックキャスト(*2)して2030年までのありたい姿への道筋である「中期ASV経営 2030ロードマップ」を策定することとしました。

 「中期ASV経営 2030ロードマップ」を描くにあたり、味の素グループの「志(パーパス)」を「アミノ酸のはたらきで食と健康の課題解決」から「アミノサイエンス®(*3)で人・社会・地球のWell-beingに貢献する」へと進化させ、味の素グループの理念体系である“Our Philosophy”をより簡潔かつ明確に整理しました。その上で、「ASV指標」による「中期ASV経営」へのマネジメント変革を行い、食と健康の課題解決のその先へ、アミノサイエンス®により人・社会・地球のWell-beingへ貢献、そして“Eat Well, Live Well.”を実現していきます。

 *1 味の素グループが事業を通じて得た財務パフォーマンスを示す経済価値指標と、提供・共創したい価値に基づく社会価値指標から成る、更なる成長やチャレンジを後押しする指標。

 *2 未来を起点に現在を振り返り、今何をすべきか考える未来起点の発想法。

 *3 創業以来、アミノ酸のはたらきに徹底的にこだわった研究プロセスや実装化プロセスから得られる多様な素材・機能・技術・マーケティング・サービスを総称したもの。また、それらを社会課題の解決や“Well-being”への貢献につなげる、味の素グループ独自の科学的アプローチ。

味の素グループにとっての重要な事項(マテリアリティ)

 多様な関係者の皆様とも対話を重ね、社外有識者を中心としたサステナビリティ諮問会議からの答申を基に、長期視点で味の素グループにとっての重要な事項(マテリアリティ)とそのつながりを次のようにユニークに整理しました。

 図中にある「アミノサイエンス®によるWell-being」とは、人間が求める豊かさの質を“Well-being”へと転換し、アミノサイエンス®の力で地球環境を再生し可能性を広げることでサステナブルに成長していく味の素グループの未来に向けての考え方を示しています。また、無限大のメビウスの輪は、サステナブルな成長を意味しています。そして、このポジティブな成長の考え方はまさに、「アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献する」という「志(パーパス)」と重なるわけです。「志(パーパス)」とマテリアリティのつながりを意識し、今後具体的な取組みや目標KPI等を経営戦略の一環として設定・測定・開示しながら、多様な関係者の皆様と対話をしていきます。

 なお、サステナビリティ諮問会議の議長を務めていただいた立教大学のデイヴィス スコット教授を社外取締役に招聘し、この取組みを絵に描いた餅ではなく、確実に実行していきます。

「中期ASV経営 2030ロードマップ」

(1)中期ASV経営へのマネジメント変革

 「中期ASV経営 2030ロードマップ」の1つ目のポイントは、「中期ASV経営」へのマネジメント変革です。計画中心から継続的に実行力を磨き込む経営に進化させていきます。中期経営計画の策定を廃止し、「ASV指標」への挑戦をし続ける「中期ASV経営」を推進します。そのために、「2030年のありたい姿」に向けて、挑戦的な指標を掲げ、そこからバックキャストして2030年度までの道筋(ロードマップ)を策定しました。その指標が「ASV指標」であり、「ASV指標」は経済価値だけでなく、経済価値へとつながる社会価値の指標も示しています。

 これを進める中ではうまくいく事ばかりではないと思います。その兆候をしっかりと捉えて機敏に打ち手を打ち続けることで実行力を磨き込んでいきます。高い目標に対し挑戦を続けることで従業員一人ひとりも成長し、それらも原動力に企業価値を飛躍的・継続的に向上させていきます。

 なお、単年度ごとの業績予想はこれまで通り公表して、その実現を目指していきます。

(2)ポートフォリオマネジメントの進化

 2つ目のポイントは、最適な資産配分を検討するポートフォリオマネジメントの進化です。事業・機能・地域等の各種ポートフォリオについて、その配分を「志」と「中期ASV経営」に照らしてシフトさせていきます。これまでは、成長性と効率性の軸で、特に、6つの重点事業への集中やアセットライト(資産の保有を抑え、財務を軽くすること)を優先して進めてきました。今後も効率性向上やアセットライトは継続しながら、より中長期の成長性を意識していきます。新たなポートフォリオの考え方では縦軸に中長期の成長性を、横軸には競争優位性の構築や持続可能性を取り、成長分野に経営資源を集中させ、高収益な事業構造への転換を図ると同時に、将来を見据えた種蒔きを続け、機敏な撤退判断も行いながら、①集める、②変える、③始める、④止める、によってポートフォリオを常に新しく進化させていきます。

(3)無形資産への重点投資

 最後のポイントは、無形資産への投資です。当社における競争優位の源泉は技術資産・人財資産・顧客資産・組織資産といった無形資産にあると考えており、その「見える化」を進めながら更に磨き込んでまいります。

 まず、技術資産には、おいしさ設計技術®や先端バイオ・ファイン技術に代表されるアミノサイエンス®が挙げられます。この技術資産には、生活者の心がどう動くかということを見極める、マーケティングの技術も含まれています。無形資産の中で一番重要なものは、人財資産です。「志」への「熱意」あふれる人財や、顧客と技術をマッチングさせイノベーションを生み出す人財、現地・現場に寄り添う人財が味の素グループの強みであり、今後は、更に多様な価値を創出できる人財を獲得・育成していきます。顧客資産では、B2B、B2C、業種、エリア等多様かつグローバルな顧客との関わりがあることが強みです。最後に、組織資産とは、企業で共有されている組織全体としての力を指しますが、「志」とそれへの熱意や「ASV経営」、「味の素グループWay」やコーポレートブランドが味の素グループの強みです。一方で成長へとシフトしていくためには、現地・現場で起こるイノベーションを「スピードアップ×スケールアップ」していく仕組みを強化する必要があると考えています。そのためにも、2030年までに約1,000億円の人財投資を行い、ワークショップや研修を通じて学ぶ機会を増やし、統合的に組織資産、組織風土を活性化させていきます。

 これら無形資産投資・強化の取組みは、ASVの実現と密接に関わると考えており、ASV実現プロセスを、従業員エンゲージメントスコアを測定する項目として毎年確認していくことで、継続的に企業価値を向上させていきます。

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(多様性・公平性・包括性)

 多様性を高めるため、重点3指標(性別、国籍、グループ企業所属籍)の取組みを進めます。その一環として、執行役では2023年4月より女性3名、外国籍2名を登用し、社外取締役では外国籍1名を候補としました。また、既に導入されているポジションマネジメント(*4)の仕組みを活かして、味の素グループの優秀な人財が企業や国を超えて更にグローバルに活躍できるよう人財委員会も活用して取り組んでいきます。リーダーシップ層においても、2030年に多様性3指標30%を実現していきます。そのための人財プールの充実化と見える化、グローバル人財育成プログラム「味の素グループアカデミー」での能力開発、地域間異動なども含めた適所適財の人財登用を推進していきます。

 *4 事業戦略の実現のために組織に必要な職務を明確化し、それぞれの職務の要件とその職務を担うために必要な人財の要件を決定すること。

リスクマネジメント体制の強化

 近時、事業環境の変化は激しく、これまで以上に包括的なリスクマネジメントが重要であると認識しています。このため、2023年4月、経営リスク委員会を設置しました。それまでは、味の素グループにとっての重要な事項(マテリアリティ)に基づく全社経営課題のリスク及び機会の対策を立案するサステナビリティ委員会の下部機構であるリスククライシス小委員会がリスクマネジメントを担う体制としていましたが、パンデミックや地政学リスク等について十分に先取りした対応ができていなかったとの反省がありました。新設の経営リスク委員会は、「中期ASV経営 2030ロードマップ」の実現の妨げとなるリスクを早期に特定し、味の素グループへの影響評価を実施して対応策を立案することで、味の素グループのリスクマネジメント力を向上させます。マテリアリティに基づくリスクと機会である環境課題やサプライチェーンにおける人権課題等は、今後もサステナビリティ委員会が対応していきます。経営リスク委員会とサステナビリティ委員会の緊密な連携を通じて、味の素グループのリスクを適切に管理します。

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