企業JCRファーマ東証プライム:4552】「医薬品 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)企業理念

 当社は「医薬品を通して人々の健康に貢献する」を企業理念としています。

 この企業理念のもと、遺伝子・タンパク・細胞を軸とした研究とモノづくりを続け、画期的な新薬と基盤技術を創出し、希少疾患の患者さんとその家族に貢献することを、重要なミッションとしております。その実践にあたっては、社員一人ひとりが患者さんとその家族のことを第一に考え、以下のコアバリュー(価値観)に則り挑戦を続けております。

 コアバリュー(価値観)

 信頼:私たちは、法令遵守はもとより、高い倫理観をもって行動することにより、全てのステークホルダーから信頼される会社を築きます。

 自信:私たちは、世界へ通用する医薬品提供を目標に、独自の視点で研究・開発を進め、自信をもって品質の高い製品と情報を提供します。

 信念:私たちは、基本理念のもと、“自ら考え、自ら行動する”を信念として、更なる企業成長を目指します。

 基本経営方針

 以下に提唱する経営方針は3つのコアバリューをもとに、より具体的に企業のあり方を示したものです。

1.顧客満足を念頭に置いた経営

 顧客に対し、常に高品質の製品、正確な情報及びきめ細かなサービスを提供し、顧客満足を高めます。

2.法令・社内規則を遵守する社会的良識に基づいた経営

 円滑に企業活動を行うために、コーポレート・ガバナンスに基づくコンプライアンスを推進し、内部統制システムの確立を図ります。その為の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(「医薬品医療機器等法」)、会社法、独占禁止法などの関係法令及び、業界内の規約・ガイドライン等を遵守します。

3.世界に通用する医薬品開発を目指した経営

 希少疾病分野での研究を基盤に、未来への更なる発展を目指して、世界に通用する治療薬の研究・開発に、独自の視点も盛り込みながら、積極的に取り組みます。

4.職場環境への配慮を忘れない経営

 製薬企業として信頼性の高い商品提供のために、各事業所の安全かつ働きやすい環境づくりを徹底します。

5.自ら考え、自ら行動する人材を育成する経営

 「自ら考え、自ら行動する」ため、部署間の連携を基盤に、明確な目的意識と責任感を持つ仕事のプロの育成を目指します。

6.経営効率を高め、JCRファーマの長所を最大限にのばせる経営

 競争の激しい医薬品市場でビジネスを展開する為、市場を見極める視点を忘れずに経営の基本となる「人・物・経費」の効率化を図ります。 また、社内連携をより強化することで、JCRファーマだからこそ取り組める個性ある事業を展開していきます。

(2)製薬産業の環境認識および対処すべき課題

 国内製薬産業を取り巻く環境は、大きく変化し続けています。

 少子高齢化の進展に伴い増加する社会保障費の圧縮が喫緊の課題とされ、薬剤費抑制政策の推進や後発品の使用促進等が進められています。その一方で、アンメットメディカルニーズへの対応、人々の健康寿命延長やQuality of Life向上の実現を目指し、個別化医療に応じた、これまで以上に安全性と有効性が高い、革新的な医薬品等を生み出すイノベーションを評価する制度の拡充を求める議論が活発に行われており、一部は薬価制度等において実現されてきました。また、生活習慣病を中心に、多くの疾患では薬剤の貢献により治療満足度が上昇した結果、新薬開発の難易度が高くなりました。そのため、世界有数の製薬企業においても、抗体医薬品や再生医療等製品へのモダリティ変化を進めているほか、アンメットメディカルニーズの高い希少疾患に対する医薬品の開発に取り組んでおります。

 当社においては、独創的な研究開発により医薬品を創製し、さらに、革新的な創薬基盤技術を創出し続けることで、希少疾病領域をはじめとした様々な疾患の患者さんとその家族の方々に貢献することを使命と考えております。

(3)経営戦略等

 中期経営計画~変革~(2020年度-2023年度)を振り返って

「グローバルで存在感のある研究開発型企業」を目指す当社は、2020年5月に、3ヵ年中期経営計画「変革」を公表し、以下に記載する6つの重要経営課題に対する取り組みを進めました。2021年5月には、独自の血液脳関門通過技術「J-Brain Cargo®」を適用したイズカーゴ®を日本で発売し、患者さんとそのご家族のもとにお届けすることができました。

 また、このJ-Brain Cargo®技術を適応した17種類を超えるライソゾーム病治療薬の開発に取り組んでおり、グローバル臨床試験および将来の商用品製造を見据えた戦略的な設備投資を実施しました。

 さらに、本格的なグローバル活動の実現のため、2020年にブラジル連邦共和国にJCR DO BRASIL、2022年にオランダ王国へJCR Europeとルクセンブルク大公国にJCR Luxembourgを設立しております。

 これらの成果を基盤とし、新たな価値創出のための戦略的な投資を続け、2020年代後半以降の本格的なグローバル化を果たします。

<前中期経営計画「変革」における6つの重要経営課題>

①希少疾病領域におけるJCRの重要性がさらに高まることを踏まえた品質保証体制の質・量的拡充

②今後数年間の収益基盤強化に向けた既存製品の持続的成長のための取り組み

③ライソゾーム病領域の次を見据えた基礎研究・応用研究の拡充

④本格的なグローバル化を見据えた生産・研究への積極的な設備投資の検討・着手

⑤将来におけるライソゾーム病治療薬の事業価値最大化のためのエビデンス構築を含む製品戦略の立案

⑥本格的なグローバル化以降の業容拡大を見据えた業務および組織構造改革・人財育成

 前々中期経営計画「飛躍」の初年度である2015年度と比較すると、売上高、営業利益ともに倍増、研究開発費は約3倍に拡大、社員数も約1.6倍と着実に成長しましたが、様々な挑戦の結果、ガイダンスとして掲げておりました2022年度の各数値に対しては営業利益が未達という結果になりました。

 

売上高

営業利益

研究開発費率

22年度(目標)

320-360億円

70-100億円

20.0%目安

22年度(実績)

343億円

49億円

25.6%

 営業利益が未達となった主な要因は、ライソゾーム病開発品目であるJR-171、JR-441、JR-446といったライソゾーム病治療薬およびそれ以外の分野で想定していたライセンス契約が2022年度中に契約締結には至らなかったことなどによる契約金収入の計画未達によるもの、ならびに売上高研究開発費率がガイダンスを上回ったことによるものです。

 また、配当性向は30%を目安に対し、営業利益の未達により65.9%という結果になりました。

 当社は、2023年5月に、5ヵ年中期経営計画「Reach Beyond, Together」を公表しました。本計画はこれからの5年間を過去の中期経営計画である「飛躍」と「変革」において見出した強みをさらに強化し、「創業以来培ってきた独自の「研究開発力」と「モノづくり力」を結集し、患者さんが極めて少ない疾患であっても、患者の皆さんとそのご家族のために、「JCRでなければできないこと」を追求していきます。」という当社のありたい姿の実現に向けて進むプロセスと位置付けています。そしてこの5年間の取り組みとして以下の5つを挙げています。

「革新的な基盤技術の創製」

 当社は血液脳関門(Blood Brain Barrier)を通過して薬剤を脳内に届ける独自技術J-Brain Cargo®を創製し、2021年に世界で初めて血液脳関門通過を実証した酵素補充療法治療薬イズカーゴ®を日本で上市しました。このJ-Brain Cargo®には豊富なバリエーションがあり、薬剤の特性に合わせた最適な分子が選択可能であり、タンパク質工学の応用によって受容体との結合親和性を最適化したバイオ医薬品を創製することができます。基盤技術であるJ-Brain Cargo®の有用性を背景として、脳以外の臓器、例えば眼、骨格筋、軟骨等に様々なモダリティ(タンパク、核酸、遺伝子・細胞治療薬、抗体等)を運ぶことを可能とする新たな基盤技術の創出に取り組みます。これにより、現在取り組んでいるライソゾーム病のみならず、神経変性疾患、眼疾患、骨系統疾患、筋疾患等を標的とした薬剤を創製できる可能性があります。自社での研究開発活動と並行して他社とのアライアンスの機会を活用しつつ、革新的な医薬品の創製に挑戦して行きます。

「グローバル基準の生産能力発揮」

「グローバル品質保証体制の質・量的拡充」

 当社は創業以来、バイオ医薬品の製造に携わり、研究開発と並んでモノづくりを強みの一つとしています。我々は15年以上のシングルユース技術を用いた製造経験を有しており、研究段階から製品までの統合された品質管理体制を敷いています。製造に携わる社員は現在約400名、いずれも創業以来の「モノづくり」への思いを継承し、高いスキルを有しています。また当社の5つの生産拠点と2つの研究拠点はいずれも近接しており、部門を超えた緊密な連携が我々の強みとなっています。

 一方で当社はグローバルサプライを視野に入れ、自社での設備投資、海外のCMOへの投資に400億円投じて供給能力を拡大中です。原薬製造では2,000ℓのバイオリアクターを8基有しております。また、2027年度の稼働を目指して新製剤工場の建設準備を進めております。またロジスティクス面ではグローバル流通管理の欧州拠点をルクセンブルク大公国に2022年に設立しました。

「希少疾病品目の早期上市」

 当社は現在基礎段階から臨床試験第3相に至るまで17のライソゾーム病治療薬のパイプラインを有しています。これらをできるだけ早く進捗させ、世界で数百例しか報告されていないような超希少疾患群においても、当社が創業以来培ってきた「研究開発力」と「モノづくり力」を結集して治療薬開発に成功させることが、当社が果たすべき責務だと考えております。

「成長を支える人材育成」

2020年以降、研究開発の進捗やワクチン事業への早急な対応により、社員数は約150名増加しております。2020年代後半に予測される更なる事業拡大を担う次世代リーダー育成のため、「人材管理」「貢献度の評価」「貢献度に応じた賃金処遇」「人材開発」を軸とした人材戦略に取り組んでまいります。

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