文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは以下の方針を掲げ、インターネットで何かを始めたい方のツールとして、様々なインターネットサービスを提供しております。企業理念である「もっとおもしろくできる」を通じ、個人の表現活動だけでなく、すべての企業活動において、もっとおもしろいものを自由に表現できる環境を目指します。「人類のアウトプットを増やす」というミッションのもと、ひとりひとりが持つ力や可能性をひろげるために、インターネットと表現の可能性を追求しながらサービスを運営していくこと、そして新しいものを生み出していくことで、誰もが活躍できる環境を創造してまいります。
(2)対処すべき課題
当社グループは以下を主な経営課題として認識しております。
①成長性の高い市場への新サービス投入による戦略的な事業成長
ストック型のビジネスモデルをもつホスティング事業やEC支援事業の各サービスを通じ獲得できる安定的で高い収益力を活かし、フロー型のビジネスモデルであるEC支援事業、ハンドメイド事業、金融支援事業などの成長性の高い事業への投資を行うほか、ブランド力、顧客基盤及び運営ノウハウを活かした新サービスやシナジー効果の高い関連企業などに資金を投入し、事業領域の拡大を図ります。
②優秀な人財の確保
エンジニア、デザイナー、ディレクターなどサービスを創り出す優秀な人財を集める環境を整備するため、給料水準の引き上げや、福利厚生の充実を図るとともに、社内教育や人事制度の整備などにおいても積極的に取り組むほか、リモートワークとオフィスワークのそれぞれの利点を生かしたハイブリッドな勤務体制の構築や業務効率化で生産性の向上を図り、そこから生まれた利益をより専門性の高い人財の確保に投資することで、企業としてのブランド及び企業価値の向上に繋げるための環境構築を図ります。
当社グループは、ユーザーの多岐にわたる表現活動をサポートする企業として、有機的に事業成長し続けるために、これらの経営課題に対し、成長スピードに応じたリスク管理体制・法令遵守体制などコーポレート・ガバナンスの強化を図ってまいります。
(3)事業戦略
①事業ポートフォリオの基本的方針
当社グループは、個人や企業向けにインターネットサービスを提供しており、事業環境及び入手可能な情報に基づき、最善の経営方針を立案するよう努めております。経営環境を取り巻く諸要素に鑑み、ホスティング事業、EC支援事業、ハンドメイド事業、金融支援事業の4つの事業ポートフォリオを構築し、決算説明会資料等において業績の進捗や見通しを開示しているほか、2026年にむけた中長期の目標を策定し、持続的な経営効率の向上と事業成長を目指しております。
②中長期の事業戦略
当社グループでは、中長期的な経営目標として2026年12月期に連結営業利益15.7億円を掲げております。中長期の経営目標を達成するため、ストック型のビジネスモデルであるホスティング事業の「ロリポップ!」、「ムームードメイン」や、EC支援事業の「カラーミーショップ」の安定的で高い収益力を活かし、フロー型のビジネスモデルであるEC支援事業の「SUZURI」、ハンドメイド事業の「minne」のほか、金融支援事業の「FREENANCE」や新規事業など成長性の高い事業への投資を行い、中長期的な企業価値の向上を目指しております。
(4)サステナビリティに関する基本的方針
①サステナビリティの基本方針
GMOペパボは「もっとおもしろくできる」という企業理念のもと、インターネット事業者として事業活動を継続すること自体が社会課題の解決につながると考えております。各サービスを通じ、人類のアウトプットを増やし、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。将来にわたり企業理念「もっとおもしろくできる」を実現し続けるため、事業を通じて中長期的に取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を特定し、ホームページ・ブログの制作、ネットショップの開設・運営、オリジナルグッズの販売、ハンドメイド作品の販売、フリーランスの活動をしている個人や個人事業主だけでなく、事業規模を問わないすべての表現活動を行う人々を支援しています。事業を通じて表現者を支援することで企業価値の向上を図り、持続可能な社会の実現を目指します。
②サステナビリティの重要課題(マテリアリティ)
当社のサステナビリティに関する3つの重要課題(マテリアリティ)に基づいた取り組みを企業ホームページにおいて記載しており、「ESG」の定量データ開示や具体的な取り組み事例等の情報開示を実施しております。
(3つの重要課題)
1.環境負荷の低減を通じた地球環境への配慮と保全
2.あらゆる人々を支援し人類のアウトプットを増やす
3.ガバナンスの強化による健全で透明性のある企業経営
③地球環境への配慮と保全:気候関連財務情報開示(TFCD)について
世界では気候変動をはじめとする環境課題が深刻化しています。日本国内でも異常気象による大規模な自然災害が多発するなど大きな影響をもたらし、今や気候変動は企業にとって看過できない状況となっています。
このような中、当社グループにおいても、気候変動に伴うリスクや機会は、事業戦略に大きな影響を及ぼすものと認識しており、2021年度に新たに特定した3つのマテリアリティのうち、「環境負荷の低減を通じた地球環境への配慮と保全」を重要なマテリアリティと位置づけ、TCFDの提言に準じた気候変動シナリオの分析やガバナンス/リスク管理体制の開示を進めています。
④TCFD提言が推奨する4つの開示項目に沿った情報開示
TCFD提言は、すべての企業に対し、「ガバナンス」「リスク管理」「戦略」「指標と目標」の4つの項目に基づいて開示することを推奨しています。
当社グループは、TCFD提言の4つの開示項目に沿って、気候関連情報を開示致します。
ガバナンス | ・ペパボ向上委員会において、ESG気候変動リスク・機会、TCFDのシナリオ分析等の結果を年に一度報告し、議論を実施(年1回以上) ・ESGマテリアリティの1つを「環境」と特定し、環境負荷の低減を通じた地球環境への配慮と保全を推進 |
戦略 | ・TCFDが提言する気候変動のシナリオ分析と気候変動リスク・機会の選定、財務インパクトの評価を実施 ・当社グループの中期戦略に基づき、社会課題の解決と中長期の企業価値向上を意識した議論を実施 |
リスク管理 | ・当社にとっての重要リスクの特定を行い、事務局管理のもと、ペパボ向上委員会において報告と議論を実施(年1回以上) ・取締役会においてペパボ向上委員会での活動報告を実施(年1回) |
指標と目標 | ・中長期的な温室効果ガス(GHG)の排出削減目標の達成を考慮し、実績の把握と目標設定等の開示に向けた取り組みを実施 |
(ガバナンス)
当社は自らの社会的責任を果たし、持続可能な社会の実現を目指すために取締役が担当となる「ペパボ向上委員会」を設置し、TCFDが提言する気候変動のシナリオ分析と財務インパクトの評価と検討を行った上で、年1回取締役会において、ペパボ向上委員会での活動報告を実施しております。
管理体制図
(戦略)
TCFD提言が推奨するシナリオ分析の手法により、将来の気候変動が当社事業に影響を及ぼし得るリスク・機会を特定しています。IPCCやIEA等 のシナリオを参考に、当社を取り巻く自然環境や社会環境の変化を想定したシナリオを設定し、気候変動に関するリスク・機会を特定しました。
(事業戦略への影響)
大:リスクにおいては自然災害発生によるデータセンターや工場の稼働停止、機会においては技術革新による 表現活動の変化等の可能性が広がることから、事業戦略への影響または財務的影響が大きいことが想定されます。
中:リスクにおいてはステークホルダーからの評判や信頼の低下、機会においては消費者の嗜好の変化や表現の多様化に対応したサービス展開による事業戦略への影響または財務的影響が中程度と想定されます。
小:炭素税の導入に伴うコストアップや気温の上昇によるリスクがあるものの、事業戦略への影響または財務的影響が小さいことが想定されます。
区分 | 気候変動がもたらす影響 | リスク 機会 | 期間 | 評価 | 対応方針 |
移行 | 政策 規制 | ・炭素税の導入等によるオペレーションコスト増加 ・配送等のコスト増による販売需要の減少 | リスク | 中長期 | 小 | 再生可能エネルギーの利用促進と配送業者等の複数選定、デジタルコンテンツへの商材転換 |
評判 | ・ステークホルダーからの評判や信頼度の低下 | リスク | 短中期 | 中 | 気候変動に関連する開示の充実とGHG排出量の明確化 |
物理的 | 急性 | ・自然災害による工場やデータセンターの稼働停止 | リスク | 短中期 | 大 | データセンターや提携工場の調達先候補の複数選定 |
慢性 | ・気候変動に伴う海面上昇によるコスト増や工場移転等の間接的な影響 | リスク | 中長期 | 小 | 取引先や提携工場の複数選定によるリスク回避 |
製品/サービス | ・環境意識の高まりや消費者の嗜好の変化、技術革新による表現方法の多様化 | 機会 | 短中期 | 中 | SUZURIやminneにおけるデジタルコンテンツ取り扱いや、minneカレッジ等の消費者の嗜好変化に応じた多様な表現活動への対応 |
市場 | ・Web3領域やAIの活用等の技術革新を通じた表現活動の変化と新しい市場の構築、気候変動に伴う電気量削減等、効率化への技術的対応 | 機会 | 中長期 | 大 | ペパボ研究所・ペパボ3推進室による新たな技術研究や情報収集による技術力の保有など長期的な成長機会への対応 |
(リスク管理) リスク管理体制および議論
当社にとって、重要なサステナビリティを軸に3つのマテリアリティを特定しているほか、TCFDの提言に準じた気候変動シナリオ分析に基づいたリスク管理を行い、事務局管理のもとペパボ向上委員会において報告と議論を実施しております。(管理体制はガバナンスに記載の管理体制図の通り)
(指標と目標)
中長期的な温室効果ガス(GHG)の排出削減目標の達成を考慮し、Scope1,2,3についても目標設定等の開示に向けて取り組んでまいります。
GHG排出量 (単位:t-CO2)
| 2020年12月期 | 2021年12月期 | 2022年12月期 |
Scope1 *1 | 0 | 0 | 0 |
Scope2 *2 | 70.5 | 86.7 | 120.2 |
*1 Scope1:企業が自ら排出するGHG排出量
*2 Scope2:購入した電力・熱等の間接的な排出量、空調は地域の電力料金に基づき概算で算出
(単位:t-CO2)
| 2020年12月期 | 2021年12月期 | 2022年12月期 |
Scope3 *3 | 7,441.6 | 8,456.6 | 8,138.0 |
category 1 (購入した製品) | 7,010.1 | 7,440.7 | 7,496.4 |
category 2 (資本財) | 245.0 | 827.0 | 450.6 |
category 3 (燃料・エネルギ-(Scope1,2以外)) | 18.9 | 13.7 | 10.8 |
category 6 (出張) | 57.5 | 60.1 | 61.8 |
category 7 (通勤) | 110.1 | 115.1 | 118.4 |
*3 Scope3:当社の活動に関連する他社の排出量、サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(Ver.3.1)を基準に原単価を算出
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