企業兼大株主DIC東証プライム:4631】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

 当社グループは、経営ビジョン「彩りと快適を提供し、人と地球の未来をより良いものに - Color & Comfort -」の実現に向けて、光学・色彩、有機分子設計、高分子設計、分散など既存基盤技術の深耕に加え、新たな基盤技術として無機・バイオ材料設計の確立に取り組んでいます。さらに、これらの技術を複合化することで、持続的成長につながる次世代製品・新技術の開発を積極的に推進しています。

 日本国内の研究開発組織は、事業に直結した製品の開発・改良を担う技術統括本部とDICグラフィックス㈱の技術本部、基盤技術の深耕と創生を担うR&D統括本部、戦略的な新事業創出と事業部門の次世代製品群の事業化を担う新事業統括本部よりなり、これに加えて海外では、サンケミカルグループの研究所(米国、英国及びドイツ)、青島迪愛生精細化学有限公司(中国)、主に中国、アジア・パシフィック地域における技術開発活動の拠点となる印刷インキ技術センター、ポリマ技術センター、藻類研究センター、ソリッドコンパウンド技術センター、顔料技術センター、テープ技術センター、3Dプリンティング材料研究室などが一体となってグローバルに製品・技術の開発を行っています。

 また、データサイエンスセンターを軸に、研究開発へのMI(Materials Informatics)などAI技術の活用とAI分野のスペシャリスト育成を進めており、CVC(Corporate Venture Capital)や産官学連携などオープンイノベーションも積極的に活用し、研究開発の効率化を加速しています。

 当連結会計年度における研究開発費は、17,189百万円であり、このほか、当社及びDICグラフィックス㈱における製品の改良・カスタマイズなどに関わる技術関連費用は、14,981百万円です。主な研究開発の進捗状況は以下のとおりです。

(1) パッケージング&グラフィック

 印刷インキ分野では、印刷適性を向上させたLED対応高感度UVインキ新製品の販売を開始、ヒートシール剤では医薬品用PTP(Press Through Package)向け水性タイプやPVC容器フィルムを含む各種容器向けに低温領域から性能を発揮する新製品を開発しました。また、硝化綿やホルムアルデヒド未使用で従来型と同レベルの耐熱性を有するOP(Over Print)ニスの展開を開始しました。

 イージーピールフィルムでは、フードロス削減に対応したコンビニ向け総菜容器用や冷凍宅配弁当容器用の蓋材が実績を拡大しており、オーブン等高温加熱調理の場面で使われる耐熱C-PET容器にシールできるタイプも開発しました。

 海外ではサンケミカルグループがサステナビリティ戦略のもと、インキ、コーティング剤、接着剤の開発に取り組んでおり、様々な包装のリサイクル化を進め、欧州の新しい「使い捨てプラスチック指令」に準拠する天然由来の原料をベースにしたバリアコート剤、剥離剤、ヒートシール剤を開発しました。新製品のレトルトフィルム用水性インキは印刷適性が大幅に向上し、シュリンクラベル用の水性インキは高速フレキソ印刷を可能にしました。

(2) カラー&ディスプレイ

 有機顔料では、ディスプレイのカラーフィルタ用顔料の新製品開発に注力しているほか、新たにインクジェットインキ用顔料を製品化しました。サンケミカルグループにおいては、小粒径タイプのエフェクト顔料の新しい製品群の販売を開始、高い鮮映性、輝度感を有することから自動車等の塗料用途で色空間の幅を広げています。また、防腐剤や防カビ剤等のバイオサイドを含まない水系塗料向け易分散顔料の製品ポートフォリオや、抗酸化作用を有しメイクアップ化粧品・スキンケア製品に使用できる天然色素製品を発表しました。

(3) ファンクショナルプロダクツ

 合成樹脂では、次世代通信規格5G、6G用の電子回路基板用低誘電樹脂の開発を進めているほか、合成皮革用の環境配慮型水系ウレタン樹脂の新製品を市場に投入しました。本製品は最終製品の臭気、GHG、VOCの低減に貢献し、かつ溶剤系同等の性能を発揮します。界面活性剤では有機フッ素化合物「PFAS」フリーの環境対応型新製品を開発、ディスプレイ、半導体、自動車、塗料等の用途で従来品を代替していきます。硫黄系添加剤では既存の天然油脂よりも環境に優しい藻類油が原料の新製品を開発、潤滑油の摩擦低減と酸化安定性改善等に貢献し、自動車(特にEV)や金属加工用潤滑油等への採用が見込まれます。工業用テープでは、スマートデバイス向けに易解体性・貼り直し性に優れるノントル型粘着製品のラインアップを拡充し、またUV照射により剥離可能な光学部品製造工程用の粘着テープを量産化しました。

(4) その他

 当社の新たな基盤技術の創生への取り組みとして、バイオ材料関連では、天然由来ポリアスパラギン酸とそれを活用した生分解性を有する高吸水性ポリマの開発においてパイロット生産設備の計画準備や、藍藻類スイゼンジノリから抽出したヒアルロン酸の5倍以上の保水力を持つ「サクラン®」の安定供給に向けた培養スイゼンジノリの小規模生産を開始しました。無機材料の分野では、2022年に量産サンプルの提供を開始した放熱フィラーに加え、圧電フィラー、誘電制御フィラー、磁性フィラーの開発も進んでいます。リチウムイオン二次電池の関連部材では、優れた膨張抑制効果や低い内部抵抗率等の特長により電池の長寿命化に貢献する負極用水系バインダーのサンプルワークを開始しました。

PR
検索