企業兼大株主野村総合研究所東証プライム:4307】「情報・通信業 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

 文中の将来に関する記載は、当年度末現在において当社が判断したものであり、当社としてその実現を約束するものではありません。

(1) 経営方針

 当社グループは、コーポレート・ステートメントである「Dream up the future. 未来創発」を掲げ、「新しい社会のパラダイムを洞察し、その実現を担う」、「お客様の信頼を得て、お客様とともに栄える」ことを使命としています。さらに、「夢と可能性に満ち、豊かさを実感する、活力ある社会」、「人々の英知がつながり、環境にやさしい持続可能な社会」、「強くてしなやかな、安全で安心に満ちた社会」を当社グループが創発する社会とし、これらを企業理念の中に位置づけています。当社は、1965年に国内・民間初の総合シンクタンクとして誕生したルーツを持ち、創業時における設立趣意書で「産業経済の振興と一般社会への奉仕」を目的に掲げました。経済価値と社会価値の一体的な追求は、創業時から50年以上にわたり当社グループにおいて培われてきました。

 今後、社会課題はますます複雑化し、産業構造の流動化、技術の進化とコモディティ化、価値観・働き方の多様化など、企業を取り巻く経済環境も大きく変化していくことが予想されます。そのような事業環境下において当社グループは、未来のありたい姿を洞察し、それをデジタル技術で実現するというユニークな強みを有しています。当社グループは、このような複雑で予測できない環境変化のうねりの中でこそ、自社の強みを活かし真価を最大限発揮することができるものと自負しています。

2023年4月に発表した「NRI Group Vision 2030」(以下「V2030」という。)においては、ビジョン・ステートメントを「Envision the value, Empower the Change(まだ見ぬ価値をともに描き、変革にさらなる力を)」とし、当社グループが2030年に目指す姿を「経営とテクノロジーの融合で時代を先駆け、DXの先にある豊かさを洞察し、デジタル社会資本で世界をダイナミックに変革する存在へ」としました。今後、コア領域の深化・進化と、DX(デジタルトランスフォーメーション)領域やグローバルでのさらなる成長を志向します。このV2030では、「持続可能な未来社会づくり」と「NRIグループの成長戦略実現」を一体的に追求する上で、2030年に向けて重点的に取り組むテーマとして「創出する価値」、「価値を生み出す資本」、「経営基盤(ESG)」の3層で計8つのマテリアリティを特定し、当社グループのサステナビリティ基本方針に位置づけました。これらのマテリアリティは、当社グループの2030年に目指す姿及び成長戦略の実現を確かなものにする重要な要素です。

●マテリアリティ:2030年に向けて重点的に取り組むテーマ

●創出する価値:「持続可能な未来社会づくり」を実現

マテリアリティ

2030年に目指す姿(目標)

デジタル社会資本の充実を通じた活力ある未来社会の共創

優れた人的資本・知的資本と、そこから価値を生み出すためのデジタル社会資本が充実し、あらゆるひとが豊かに暮らす、活力ある社会の実現に貢献している。

社会資源の有効活用を通じた最適社会の共創

ビジネスプラットフォームの共同利用、データによるリアル空間の可視化や予測等を通じて、社会資源 (人材・公共財・知的財産等を含む) の有効活用や自然資源の循環等、スマートな社会の実現に貢献している。

社会インフラの高度化を通じた安全安心社会の共創

社会インフラやデータが、災害やサイバーリスクに強く高度で安定稼働するIT基盤によって守られ、あらゆるひとが安心して様々なデジタルサービスを享受できる、強くてしなやかな社会の実現に貢献している。

●価値を生み出す資本:「人的資本」及び「知的資本」が価値共創を支える

マテリアリティ

2030年に目指す姿(目標)

多様なプロフェッショナルの挑戦・成長による人的資本の拡充

高い専門性や多様な価値観を持つ人材が集い、プロフェッショナルとして自律的に挑戦・成長し続ける場を生み出し、価値創出につながっている。

個々の知を組織力に昇華させる知的資本の創出・蓄積

個々の知を組織力に昇華させる優れた知的資本 (ビジネスモデル・ブランド・ケイパビリティ) を創出・蓄積し、価値創出につながっている。

●経営基盤(ESG):NRIらしいESGを、サプライチェーンへ拡張

マテリアリティ

2030年に目指す姿(目標)

ビジネスパートナーとの協働による地球環境への貢献

再生可能エネルギーのさらなる高度利用を進めるとともに、Scope3を視野にビジネスパートナーと協働しながら、自然資本への配慮と持続可能な地球環境づくりに貢献している。

ステークホルダーとの関係強化による社会的責任の遂行

ステークホルダー (ビジネスパートナー、従業員、社会など) との良好な関係を形成し、健全な雇用・労使関係、人権への配慮等、サプライチェーン全体で社会的責任を遂行している。

戦略的なリスクコントロールを実現するガバナンスの高度化

グループ・グローバル全体で長期視点のリスクコントロールを実現するため、戦略に応じたリスクテイクも含む、バランスの取れたガバナンスに取り組んでいる。

●V2030の全体像

(2) 経営戦略

<中期経営計画>

 企業はグローバルで進展するデジタル社会に適応し、より競争力を高め且つ効率的にビジネスを行うために、DXを活用したビジネスプロセスやオペレーションだけでなく、ビジネスモデル自体の変革も推進しています。一方で、DXを推進するために必要な新技術の導入や社内システムの再整備、それらを支える専門組織の確立や技術者の確保が重要な経営課題となっています。また、ガバナンスの強化や個人情報保護・情報セキュリティへの対応、さらにそれらを遵守させるための社内浸透活動や社員教育など、企業が対応すべき経営課題は多岐に亘ります。

 このような事業環境のもと、当社グループはV2030の実現に向け、2023年4月に前半3か年の「NRIグループ中期経営計画(2023-2025)」(以下「中計2025」という。) を策定しました。中計2025では、コアビジネス領域、DX進化 、グローバル、マネジメントの4つの領域でそれぞれ成長戦略の柱を掲げており、顧客との価値共創を通じて、当社グループの持続的成長と持続可能な未来社会づくりを目指します。

 中計2025の成長戦略の柱

・コアビジネス領域:コンソリューション(ビジネスITを企画・構想する段階からコンサルティングとソリューションが並走し、顧客に継続的に価値を創出するビジネスモデル)で顧客との価値創造をさらに深める「コア領域の深化・拡大」と、ビジネスプラットフォーム拡大と抜本的な生産革新で圧倒的な競争力と高付加価値を実現する「コア領域の進化」を同時に実現

・DX進化:顧客の業務プロセス変革・インフラ変革(DX1.0)、ビジネスモデルそのものの変革(DX2.0)に加え、企業や産業を超えて社会にインパクトをもたらすDX3.0に挑戦

・グローバル:日本・アジア、豪州に加え、巨大かつ高い成長力をもつ市場である北米への展開を通じ、世界3極での事業運営に向けた体制を整備

・マネジメント:人的資本の拡充と、サステナビリティ経営や環境対応を強化し、経営基盤を盤石化

 当社グループは、中計2025の最終年度(2026年3月期)に、売上収益8,100億円、うち海外売上収益1,500億円、営業利益1,450億円、営業利益率17.9%、ROE20%以上を目指します。

(3) 目標とする経営指標

 当社グループは、事業の継続的な拡大を通じて企業価値を向上させていくことを経営の目標としています。経営指標としては、事業の収益力を表す営業利益及び営業キャッシュ・フローを重視し、これらの拡大を目指しています。また、資本効率の観点からROEを重視し、持続的な株主価値の向上に努めています。

(4) 経営環境及び対処すべき課題

<経営環境の認識>

 当社グループはこれまで、国内市場においては主として金融業や流通業における顧客基盤の構築や金融分野でのビジネスプラットフォームの提供を通じて、グローバル市場においては日本企業のグローバル化への対応と、主にアジア、豪州に加え、北米での事業基盤拡大を通じて成長してきました。近年では、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に顧客企業におけるDX関連のIT投資が増加し、業務プロセスを変革するだけでなくビジネスモデルそのものを変革するニーズが急速に高まっています。

V2030ではこうした経営環境を踏まえ、成長戦略と一体であるサステナビリティ基本方針を中核とし、2030年に目指す姿とそこに至る成長ストーリーを策定しました。またV2030の前半にあたる中計2025では、当社グループが今後さらなる成長を実現するため、ITソリューション及びコンサルティングサービス等の国内外既存事業(コアビジネス領域)における付加価値と生産性を高めることで競争優位を維持拡大しつつ、DX領域において顧客から信頼されるパートナーとしての地位を確立し、顧客との取引を大型化する必要があると考えています。このような成長戦略により、社会課題の解決と持続可能な未来社会の実現に貢献してまいります。その実現にはDX事業やグローバル事業を推進する人材の確保が必要であり、採用と育成の強化が重要であると認識しています。

<コアビジネス領域の深化と進化>

 コアビジネス領域では、従来型のビジネスモデルに加えプラットフォーム型事業のさらなる成長と様々な生産革新により、確かな利益成長を実現していきます。

 コンサルティング部門では、実行支援型コンサルティングサービスの提供により顧客の変革を継続的に支援するとともに、コンサルティングとソリューションの連携をさらに強化することで事業領域の拡大を目指します。金融ITソリューション部門では、金融ビジネスプラットフォームを拡充し高付加価値な事業モデルへのシフトを図ります。産業ITソリューション部門では、デジタルIP(知的資産)の拡充と適用範囲の拡大によりシステム開発における生産性の向上を図り、さらなる競争優位性の確保を目指します。IT基盤サービス部門では、企業における老朽化したITシステムの刷新対応やクラウド上でのアプリケーション開発のニーズを捉え、従来のプライベートクラウドに加えパブリッククラウドを活用したサービスを拡充し、また同時に情報セキュリティを中心としたサービスのさらなる拡充にも取り組みます。

<DX事業の推進>

DX領域においては、AIやブロックチェーンといった新しい技術の活用が進んでいます。顧客の業務プロセス、ビジネスモデルを変革していくためには、戦略策定からソリューションの実装まで、顧客とともに仮説検証を繰り返しながらビジネスを創出する必要があります。当社グループは、顧客のDXパートナーとしてコンサルタントとシステムエンジニアが一体となり切れ目なく変革活動を支援し、顧客の業務プロセス変革・インフラ変革(DX1.0)からビジネスモデルそのものの変革(DX2.0)、さらには単独の企業では実現が難しい社会課題解決のためのパラダイム変革(DX3.0)にも取り組みます。その実現に向けて当社グループでは、シンクタンク機能を強化しDX2.0/3.0の創出を加速させるとともに、マイナンバー関連サービスやNRI-CTSなどのデジタル社会資本の実績を積み上げて、新領域の開拓・拡大を目指します。

<グローバル事業の推進>

 グローバル事業では、これまでアジア・北米を中心に当社グループが設立した現地法人による内部資本での成長に加え、豪州・北米ではM&Aによる事業拡大を進めてきました。引き続きグローバルでの競争力確保に向けて、日本・アジア、豪州、北米の3極におけるシナジーを活かした取り組みを進めていきます。

 また、2030年のグローバル事業目標の実現と経営基盤の確立に向けて、豪州で培った知見を北米事業にも活用し、サービス拡充と事業基盤の大型化を目指します。また、豪州はNRIブランドの下に結集し、安定成長と収益力の向上を目指します。引き続きグローバル戦略を着実に推進していくために、グローバル本社機構を中心として、グローバル戦略の策定や実行をしていくとともに、海外子会社のCEOを支える経営層の充実とガバナンスの強化を図っていきます。

<マネジメントの高度化>

 これらの施策を着実に実行していくには、付加価値の源泉である人材の確保と育成が不可欠です。現状では特にDX領域やグローバル事業を着実に推進できる人材の確保が急務となっており、新卒・キャリア採用の強化と人材育成に取り組みます。

 また、価値観や働き方の多様化に伴い、多様な従業員が活躍・チャレンジできる風土の醸成を推進し、グループ全体で従業員エンゲージメントの向上を図っていきます。

 サステナビリティ基本方針においては、「創出する価値」、「価値を生み出す資本」、「経営基盤(ESG)」の各領域で定めたマテリアリティへの取り組みを通じて当社らしさを進化させるとともに、グループ・グローバル、さらにサプライチェーン全体を意識した活動へと広げていきます。

PR
検索