企業兼大株主積水化学工業東証プライム:4204】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりである。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

(1) 経営理念および行動準則

 積水化学グループは、経営に対する理念を体系化している。企業活動の根底にある考え方や方針を示す「社是」、社是をうけて中長期で当社グループが目指す姿を示した「グループビジョン」、グループビジョンを実現していくための具体的な「経営戦略」により構成されている。

①社是「3S精神」

 当社の社章は、創業当時の社名「積水産業」の頭文字の「S」3つを化学記号ベンゼン環の中に配置して、

「水」という文字をかたどったものである。1959年11月、当社は、このマークに「3S精神」という明確な定義づけを行い、社是として制定した。

 「企業活動を通じて社会的価値を創造する(Service)」「積水を千仞の谿に決するスピードをもって市場を変革する(Speed)」「際立つ技術と品質で社会からの信頼を獲得する(Superiority)」の3S精神は、積水化学グループの理念体系の根幹をなすものであり、約2万7千名の全社員の間で、しっかりと共有されている。

<社是「3S精神」>

・Service  :企業活動を通じて社会的価値を創造する

・Speed   :積水を千仞の谿に決するスピードをもって市場を変革する

・Superiority:際立つ技術と品質で社会からの信頼を獲得する

②グループビジョン

 積水化学グループは、ステークホルダーの期待に応え、社会的価値を創造し、事業を通して社会に貢献することを目指している。

 地球規模での人口増加や気候変動、先進国を中心とする高齢化、都市基盤の老朽化などに加え、これらすべてに関連する資源エネルギー問題がこれまで以上に喫緊な社会的課題になりつつある中、グループがこれまで蓄積してきた「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」の分野に関する経験・知見を活用して、これらの社会課題の解決に資する価値を創造し続けることを目指している。

<グループビジョン>

積水化学グループは、際立つ技術と品質により、「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」のフロンティアを開拓し続け、世界のひとびとのくらしと地球環境の向上に貢献します。

③積水化学グループ企業行動指針

 積水化学グループは、グループの役員・従業員が従うべき行動指針である「積水化学グループ企業行動指針」を定め、日々の事業活動を通じて社会的信頼を高め、より一層魅力ある会社を目指している。

<企業行動指針>

1 社会の発展に役立つ事業活動を行う。

2 個人の能力を最大限に発揮し、活力ある組織をつくる。

3 お客様・取引先・株主・地域など広く社会から信頼される企業をめざす。

4 あらゆる企業活動において法およびその精神を遵守し、誠実に行動する。

5 よき企業市民として、サステナブルな視点で地球環境問題と社会貢献に取り組む。

(2) グループビジョンを実現するための経営戦略

 積水化学グループは、社是「3S精神」の下、グループビジョンに掲げる「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」を両輪として成長していくため、長期ビジョン「Vision 2030」、ならびに2023年度から2025年度までの3か年を対象期間とした中期経営計画「Drive 2.0」を策定し、以下の取り組みを推進している。

①長期ビジョン「Vision 2030

 長期ビジョン「Vision 2030」では、積水化学グループがイノベーションを起こし続けることにより、「サステナブルな社会の実現に向けてLIFEの基盤を支え『未来につづく安心』を創造していく」という強い意志を込めたビジョンステートメント「Innovation for the Earth」を掲げている。レジデンシャル(住まい)、アドバンストライフライン(社会インフラ)、イノベーティブモビリティ(エレキ/移動体)、ライフサイエンス(健康・医療)の4つの事業領域を設定し、「ESG経営を中心においた革新と創造」を戦略の軸にして現有事業の拡大と新領域への挑戦に取り組み、2030年の業容倍増を狙う。

<ESG経営>

 積水化学グループの「ESG経営」では、「サステナブルな社会の実現」と「当社グループの持続的な成長」の両立の実現を目指し、その鍵となる以下の3つのステップをステークホルダーとともに取り組んでいる。

 イ)環境・CS品質・人材の「3つの際立ち」と「ガバナンス」の磨き上げ

 ロ)3つのアプローチ(量を増やす・質を高める・持続的に提供する)で社会課題解決を加速

 ハ)4つの事業領域で「未来につづく安心」という価値の創出・拡大

 このESG経営を加速するため、当社グループ主要施策について中長期目標を定めるとともに、今中期経営計画ではESG強化費550億円(設備投資+費用)を設定し、重大インシデントにつながるリスク軽減に向けた取り組みやDX(デジタル変革)・人材・環境など経営基盤の強化を推進する。

②中期経営計画「Drive 2.0」

<中期経営計画「Drive 2.0」の全体像>

 長期ビジョンの第2フェーズとなる中期経営計画「Drive 2.0」では、積水化学グループの業容倍増に向け、“持続的成長”と“仕込み充実”により、長期ビジョンの実現を目指すことを基本方針とし、①戦略的創造、②現有事業強化、③ESG経営基盤強化の3つの基本戦略に取り組み、企業価値の向上を推進する。

 <中期経営計画の数値目標>

 

2025年度目標

中期経営計画

中期増分

売上高

14,100億円

+1,674億円

営業利益(率)

1,150億円(8.2%)

+233億円(+0.8%)

親会社株主に帰属する当期純利益

820億円

+127億円

ROIC(投下資本利益率)

8.5%

+0.9%

ROE(自己資本利益率)

11.0%

+1.0%

海外売上高(比率)

4,800億円(34%)

+1,049億円(+4%)

EBITDA
(利払い前・税引前・減価償却前利益)

1,750億円

+329億円

<基本戦略>

 中期経営計画「Drive 2.0」の基本戦略は、ESG経営を実践し持続的に企業価値を向上させていくために、長期ビジョンの第2フェーズとして①戦略的創造、②現有事業強化、③ESG経営基盤強化の3つに取り組むこと、それらを牽引するドライバーとしてサステナビリティ貢献製品の創出と拡大を加速させることにある。

 イ)戦略的創造(Strategic Innovation)

 新事業領域の創出を目指した仕込みの具体化

 ロ)現有事業強化(Organic Growth)

 現有事業の着実な成長とポートフォリオの磨き上げ

 ハ)ESG経営基盤強化(Strengthen Sustainability)

 持続的成長と仕込み充実に資するESGマネジメント強化

<投資・財務戦略>

 中期経営計画「Drive 2.0」の3年間に獲得するキャッシュに加え、適切かつ機動的な資金調達を行うため、投資枠6,000億円を設定する。設備投資枠(戦略投資+通常投資)、M&A投資枠としてそれぞれ3,000億円を設定し、市場開拓に伴う増産投資や、M&Aによる技術やノウハウ、グローバルの販路獲得などに活用する。また、環境負荷低減、人的資本投資、デジタル変革など長期的に資本コストを抑制し、企業価値向上に寄与する取り組みを実行するために、ESG強化費550億円(設備投資+費用)を設定している。

<株主還元>

 中期経営計画「Drive 2.0」では、株主の皆様への「剰余金の配当等に関する基本方針」の内容を見直し、株主還元のコミットを強化・明確化した。連結配当性向40%以上、総還元性向50%以上(D/Eレシオ(負債資本倍率)が0.5以下の場合)としつつ、DOE(自己資本配当率)3%以上を確保し、業績に応じ、かつ安定的な配当政策を実施する。

③気候変動課題への取り組み

 当社グループは、気候変動は大きな社会課題であると同時に、当社グループにとって大きなリスクであると認識し、その解決に積極的に取り組んできた。2018年、化学業界初となるSBT認証(注)を取得し、2030年にGHG排出量削減率を2013年度比で26%とする目標を掲げ、前中期は老朽設備更新の促進などの「エネルギー消費革新」、今中期は購入電力の再生可能エネルギー(以下、「再エネ」)転換や自家消費型太陽光発電設備の導入などの「エネルギー調達革新」を進めてきた。

(注)SBT(Science Based Targets)認証:企業が定めた温室効果ガス削減目標が、長期的な気候変動対策への貢献と科学的に整合していると、国連グローバル コンパクトをはじめとする共同イニシアチブにより認証されたもの。

 そして、気候変動がさらに喫緊の社会課題となる中、燃料使用設備の電化や低炭素燃料への転換、さらに「生産プロセス革新」による燃料由来GHG排出量の削減という技術的難易度の高い取り組みを前倒しで行い、2030年のGHG排出量削減率を以下の通り引き上げるという意思決定を2022年10月に行った。またこれらの目標値はSBT認証を再取得している(2023年3月)。

(注)1.Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出

(燃料の燃焼、工業プロセス)

   2.Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出

   3.Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出

(事業者の活動に関連する他社の排出)

④サステナビリティ貢献製品による「持続可能な開発目標(SDGs)」への貢献

 気候変動などの社会課題が深刻化し、持続可能な社会の実現に貢献することを企業に求める声が高まってきていることを背景に、グループビジョンの中で「世界のひとびとのくらしと地球環境の向上に貢献する」ことを掲げる企業として、積水化学グループはさまざまな製品や事業を通じて、持続可能な社会の実現のために2030年までに世界が成し遂げるべき「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けた企業活動を推進している。
 中でも、自動車向け遮音・遮熱中間膜や太陽光発電システム搭載住宅、管路更生SPR工法といった、地球および社会環境における課題解決への貢献度が高い製品をサステナビリティ貢献製品と認定し、連結売上高に占めるサステナビリティ貢献製品比率を高めている。

⑤ダイバーシティ経営の取り組み

 積水化学グループは、長期ビジョンの実現に向け「全員が挑戦したくなる活力あふれる会社」を目指している。上司自らが各組織の長期ビジョンを部下に伝える活動を、当社グループの全組織で継続して展開し、ビジョンの浸透を図っている。また全てのグループ会社でプロジェクトを構成し、ダイバーシティ、働き方改革、健康経営といった共通の課題の解決を目指している。

 イ)ダイバーシティ

 当社は社会課題に対応するべく、多様な人材(女性、両立支援、シニア等)の活躍を推進している。2022年度には取締役会直轄の諮問機関として、ダイバーシティ推進委員会を立ち上げ、各種審議を重ねている。核となる女性活躍推進については、2022年度は、管理職候補者に向けた育成プログラムや、若手・中堅層向けのキャリア研修などを実施した。またシニア層の活躍機会を増やすべく、2023年3月までに当社およびグループ会社28社にて定年延長(60歳から65歳)を実施した。2025年度中に全グループ会社で定年延長を実施する予定である。
ロ)働き方改革
 生産性向上や柔軟な働き方(リモートワーク、ペーパーレス等)の推進を通じ、グループ従業員の労働時間削減を図ってきた。各種制度やツールを活用し、時間や場所に捉われない働き方を実践している。2022年度からは、労働の質の改善を図るべく、従業員一人ひとりが自律的に働くことで、生産性を向上させる取り組みを進めている。
ハ)健康経営
 健康管理(従業員のからだとこころの健康、組織の健康)を通じ、働きがい・やりがい・生産性の向上を図っている。2019年度に策定した「健康経営基本方針」に基づき、健康アプリの活用による「7つの健康習慣」応援プログラムに加え、全従業員対象・管理職対象・人事総務担当者対象のメンタルヘルス研修を実施している。

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

2023年度目標

連結売上高   13,120億円

親会社株主に帰属する当期純利益 700億円

連結営業利益   1,000億円

ROE(自己資本利益率)     10.0%

 2023年度は、中期経営計画「Drive 2.0」の初年度として、持続的な成長に向けた施策とESG経営基盤の強化を推進していく。

 事業環境には不透明な要素があるものの、グローバルの自動車・スマートフォンなどの市況および住宅着工数は、下期に向けて徐々に回復していくと見込んでいる。環境変化を着実にとらえ、社会課題解決に資する高付加価値事業・製品販売の拡大を図るとともに、固定費削減・生産最適化・事業構造改革など収益体質強化策を推進し、全てのセグメントで増収・増益、全社の売上高の過去最高更新、営業利益および親会社株主に帰属する当期純利益の過去最高益を更新の見通しである。

 また、長期ビジョン達成のための仕込み、ペロブスカイト太陽電池やバイオリファイナリーの事業化、DX 推進、研究開発強化や賃上げなども含めた人的資本投資などの成長投資も加速していく。

<住宅カンパニー>

 2023年度は、物価高騰影響の継続など厳しい事業環境が見込まれる中、新築住宅やリフォーム、不動産など各事業の売上増大やコスト削減により、増収・増益の見通しである。

 新築住宅事業では、スマート&レジリエンスやデザインを改善した商品の投入など競争力の強化に取り組み、受注棟数増大や棟単価上昇による売上高の増大を図る。また、施工の平準化など生産性改善や生産体制最適化などの収益性改善に取り組み、経営体質強化に注力する。

 リフォーム事業では、営業人員増員や定期診断の拡充、スマート&レジリエンスに対応した商材の拡販により、収益の増大を図る。また、セキスイハイムオーナー以外の一般リフォーム市場における需要の獲得に向けた取り組みに注力する。

 不動産事業では、買取再販住宅「Beハイム」などの拡大に注力する。

 なお、4月1日付でカンパニーの組織改正を実施し、東日本営業統括本部および西日本営業統括本部を新設し、全国グループ販売会社のガバナンスの強化を図るとともに、従前のまちづくり事業推進部をまちづくり事業部に昇格させ、業容拡大に向け注力する。

 

 

<環境・ライフラインカンパニー>

 2023年度は、国内非住宅、住宅市況の低迷が継続すると想定するが、社会課題解決に資する重点拡大製品の拡販と海外事業の拡大に注力するとともに、原燃料価格高騰に対応した売値改善によりスプレッドを確保し、増収、過去最高益更新を目指す。また、2022 年度下期に行った事業ポートフォリオ組替えによるシナジーの早期発現を目指す。

 パイプ・システムズ分野では、引き続き人手不足やインフラ老朽化などの社会課題解決に資する重点拡大製品の拡販を図るとともに、好調が見込まれる半導体向けプラント設備投資需要、塩素化塩ビ(CPVC)樹脂需要を確実に取り込み、売上拡大を図る。

 住・インフラ複合材分野では、不燃性ウレタン製品を中心に耐火材料事業の拡大、大型高排水システムや介護用製品のさらなる拡販を推進する。また合成木材については、海外での鉄道まくらぎ用途の採用を加速させるとともに、建設中である欧州生産工場の2023 年下期からの稼働開始に向けた準備を着実に進める。

 インフラ・リニューアル分野では、管路更生の海外での受注拡大、タンクリニューアルの販売強化などにより売上拡大を図る。

 

 

<高機能プラスチックスカンパニー>

 2023年度は、原燃料価格高騰については一服感がある中、戦略分野においてさらなる成長施策へのシフトを推進するとともに売値の改善効果を継続させることで、増収・増益の見通しである。

 エレクトロニクス分野では、低迷を続けるスマートフォン市況の下期に向けた回復を見込むとともに、基板・半導体関連をはじめとする非液晶分野での拡販を加速させ、増収を図る。

 モビリティ分野では、市況回復が見込まれる中、売値の維持を図り、ヘッドアップディスプレイ用を中心とした高機能中間膜の拡販を推進し、増収を図る。また放熱材料の北米生産拠点の稼働本格化に向け着実に準備を進める。

 インダストリアル分野では、市況が徐々に回復すると見込み、成長領域に定めているフォーム材、長尺クラフトテープなどの施工省力化製品や環境対応製品の拡販を推進するとともに、売値改善の継続により増収を図る。

 

<メディカル事業>

 2023年度は、国内外の検査需要の回復を見込み増収、3期連続の最高益更新を目指す。検査事業では、米国においてCOVID-19検査薬で一般用医薬品(OTC)市場参入を図るとともに、中国において血液凝固分析装置・試薬の拡販により血液凝固領域の拡大を図る。医療事業では、引き続き新規原薬の拡販や新規受注獲得に注力する。

(4) 株主との建設的な対話に関する基本方針

 持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向け、株主との対話を行うことは極めて重要である。当社は、社長および経営戦略部担当取締役を中心に、株主総会はもとより四半期毎の決算説明会や国内外の投資家面談などを積極的に行い、株主との建設的な対話に努めている。

 当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向け、株主との建設的な対話に関して、以下の基本方針を定めている。

①中長期的経営戦略の立案およびIRを統括する経営戦略部担当取締役を責任者と定め、投資家との間で建設的な対話を実現するための体制整備・取り組みを行う。

②経営戦略部担当取締役は、各カンパニー、経営管理部、法務部、コーポレートコミュニケーション部、その他関係部署を中心に、インサイダー情報の漏洩に留意しつつ、対話を補助する部門間での情報共有を確実に行うなど有機的な連携を確保する。

③株主との建設的な対話を促進するため、株主構造の把握に努め、また対話の手段として、以下の取り組みを実施し、対話の充実に努める。

 イ)社長や経営戦略部担当取締役などによる四半期毎の決算説明会の実施

 ロ)国内外投資家との個別面談の実施

 ハ)株主・投資家向け事業説明会などの適宜実施

 ニ)当社ウェブサイトにおける国内外投資家へ向けた情報開示の充実(統合報告書、決算説明会資料、音声など開催模様含む)

 ホ)当社ウェブサイトにおける意見投稿機会の確保

④経営戦略部担当取締役は「企業情報開示規則」に則り、対話によって得られた投資家の意見などを取りまとめ、適時適切に取締役会などで共有し、経営に活かす。

⑤「企業情報開示規則」および「インサイダー取引規制規則」に則り、情報管理を強化していく。株主との対話においても細心の注意を払う。

PR
検索