企業兼大株主極東証券東証プライム:8706】「証券業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社及び連結子会社(以下「当社グループ」という。)の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度(以下第2 事業の状況において「当期」という。)末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営の基本方針

 当社グループは、創立以来、「信は萬事の基と為す」を経営の基本理念として、信頼を原点としたFace to Face(お客さまとの対面での直接対話型)のビジネスモデルと健全経営による安定的成長確保を経営の基本方針としております。この基本方針を堅持しながら、当社グループしか提供できない商品やサービスの独自性を追求してまいります。これらの事業活動を通じて、お客さまを含め国民全体の資産形成に資することで社会全体に付加価値をもたらし、ひいては、国民経済全体の発展に貢献することを念頭に置きながら、持続可能な事業を展開することに努めてまいります。

 当社グループは、自らが採択した「お客さま本位の業務運営に関する方針」に基づき、お客さまの立場に立って、親切・丁寧な対応を心がけるとともに、お客さまの利益を最優先に考え、それぞれのニーズにあった商品やサービスを提供してまいります。

 また、株主資本の効率的な運用という観点から、当社グループを取り巻く環境の変化を的確に捉えながら、適切なリスク管理の下、新しい収益分野や投資対象への取組みを推進し、収益力の向上と収益源の多様化を図ってまいります。

(2)中長期の基本戦略

① 基本的な考え方

 当社グループは、経営の基本理念に則り、独自のビジネスモデルを堅持し持続的な成長を目指してまいります。そのため、当社グループは、以下に掲げるサステナビリティ基本方針に基づき、全てのステークホルダーをこれまで以上に意識しつつ、当社グループの企業価値の向上及び金融・資本市場を通した持続可能性への貢献を行ってまいります。

 また、東京証券取引所プライム市場上場企業として、企業価値の向上に向けた資本コストや株価を意識した経営及び株主との対話の推進に取り組むとともに、より高い水準のコーポレート・ガバナンス体制の構築に努めてまいります。

 (サステナビリティ基本方針)

 当社グループは、企業理念に基づき、金融商品取引業者としての事業を通して、サステナビリティ(持続可能性)の向上に取り組んでまいります。

② Face to Faceのビジネスモデルを通した企業価値の向上

 当社グループを取り巻く競争環境は更に厳しくなるという認識の下、オンライン証券会社や他の中堅証券会社との差別化を図るため、お客さまとの直接対話を行う対面による営業スタイルを堅持いたします。更には、その営業スタイルの質的な向上を図るとともに、他社では提供できない多様な商品を取りそろえ、マーケット変化を捉えた機動的な運用提案を行うことで、お客さまの満足度を高め、信頼を獲得してまいります。お客さまと当社との強固な信頼関係こそが、当社グループ独自の企業価値であります。こうした当社グループ独自のビジネスモデルを強化することで、厳しい競争環境下においても、当社グループの持続可能な事業展開が可能になると考えております。

③ 当社グループ独自の企業価値を生かした持続可能性への貢献

 当社グループは、ESG要素を含む中長期的な社会全体の持続可能性の向上に貢献するため、金融・資本市場の一層の機能強化に資することや、事業以外の分野における社会貢献活動に積極的に参画してまいります。具体的には、当社グループ独自の商品やサービスの提供により、国民の資産形成を促進することで、社会全体に付加価値を生み出し、国民経済全体の発展に貢献してまいります。また、様々なステークホルダーに貢献するために、地球温暖化や気候変動等の環境問題、全ての役職員にとって働きやすい職場環境を確保する等の働き方改革、金融リテラシー向上に貢献するための金融教育及び地域社会の発展について積極的に取り組んでまいります。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

① 顧客基盤・預り資産の拡大

 当社グループは、国内外の証券市場で売買される金融商品の販売をその事業基盤としていることから、その顧客基盤や預り資産についても、市場環境によって大きく左右されると考えております。当期においては、株式市況が比較的好調に推移したことから、顧客口座数、預り資産ともに増加いたしました。顧客基盤や預り資産について、単にその水準をもって経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標とすることは困難でありますが、それらを当社グループの収益基盤の大きな柱として認識しつつ、加えて、お客さまの属性や投資行動等を詳細に分析する仕組みを検討し、そこから得られる様々なデータを活用した客観的な指標の構築に向け、更に検討を続けてまいります。

② 顧客満足度の向上

 当社グループの持続的な成長のためには、提供する商品やサービスに対するお客さまの評価や満足度の向上が不可欠であります。お客さまの満足度を測る指標は、お客さまの投資パフォーマンスの向上、提供されるコンサルティングサービスの評価など、様々であり、当社ではお客さまの満足度を評価する指標として、「既存のお客さまによる新規顧客のご紹介」に関するものをこれまでも採用してまいりました。

 新規に口座開設をしていただいたお客さまのうち、口座開設の契機が既存のお客さまによるご紹介の比率は高水準(当期実績 53.8%)を保っております。また、当期におきましてお客さまロイヤルティ調査を行いました。同調査において、当社は対面証券会社平均と比べてロイヤルティ指標が高いとの結果が出ており、これは当社のFace to Faceのビジネスモデルがお客さまから評価されているものと考えております。このトレンドを今後も維持できるように既存のお客さま評価や満足度を更に高めるとともに、当社グループ自身の認知度を向上させ、新規のお客さまの獲得に努めるとともに、お客さまの満足度の向上に努めてまいります。

③ 収益性

 当社グループの収益性を評価する指標として考えられるものは、以下のとおりであります。

 イ.資本コストと資本利益率

 当期における当社グループの資本コストは、株主資本コストが2.3%及び加重平均資本コストが1.9%であります。当社グループとして、自己資本利益率(ROE)や投下資本利益率(ROIC)が資本コストを上回ることを目標といたします。当期の各指標の実績につきましては、自己資本利益率は2.5%、投下資本利益率は△0.5%となりました。

 ロ.各収益源の利益への貢献度合(安定性)

 当社グループは、市場環境に大きく影響を受けない安定した収益構造を確保するために、収益構造の多様化を図ってまいります。その成果を判断する指標としては、手数料収入、トレーディング収益、金融収支等の安定的なキャッシュ・フローがバランスよく貢献していることを検証することとしております。なお、当期においては、お客さま向け外国債券販売が伸び悩んだことから、トレーディング損益(前連結会計年度(以下「前期」という。)比20億14百万円減少(66.5%減少))が減少しております。

(4)経営環境

 当社グループの経営者は、経営の基本方針に則った中長期の経営戦略を実行するうえで、以下に掲げる環境事象が当社グループの経営に影響を及ぼすと考えております。

 国内外の経済情勢は、新型コロナウイルス感染症の感染者数が大きく減少し、世界的に経済活動の再開が進みました。一方、インフレを抑制しようと主要国の中央銀行が大幅利上げを繰り返したことから、累積効果により多くの国で景況感が悪化しました。もっとも、当期後半にはインフレが鈍化傾向となり、先進国・新興国とも利上げ打ち止めが視野に入ってきました。3月には米国の地域銀行の破綻や欧州クレディ・スイスの経営危機で、金融システムや経済への悪影響が懸念されましたが、2008年のリーマン・ショックの経験を踏まえた主要金融当局の対応を受け、一旦落ち着きを見せました。

 今後については、国際通貨基金(IMF)が2023年4月に公表した世界経済見通しによると、「金融部門の混乱や高インフレ、ロシアによるウクライナ侵攻の影響、3年にわたるコロナ禍を受けて、見通しは再び不透明に」とあります。また、世界経済の成長率予測は2023年が2.8%、2024年が3.0%、日本については2023年が1.3%、2024年は1.0%とされております。

 また、2023年4月に開催された日本銀行の政策委員会・金融政策決定会合における基本的見解は、「日本経済の先行きを展望すると、今年度(2023年度)半ば頃にかけては、既往の資源高や海外経済の回復ペース鈍化による下押し圧力を受けるものの、ペントアップ需要の顕在化などに支えられて、緩やかに回復していくとみられる」とありますが、一方で、「海外の経済・物価動向、今後のウクライナ情勢の展開や資源価格の動向など、わが国経済を巡る不確実性はきわめて高い」としていることから、当面はその動向を注視していく必要があります。

 そのような中で、証券取引を取巻く規制環境の変化、大手業者による預り資産の拡大戦略、顧客層の高齢化、更には新型コロナウイルス感染症の収束後の投資行動の変化の可能性など、当社の持続的成長の脅威となる要因は多数あり、当社グループを取り巻く競争環境は更に厳しくなると考えられます。

 わが国では、政府の資産所得倍増プランの下、様々な施策が実施されつつあります。また、国民の高齢化は着実に進行しており、高年齢層の金融リテラシーの向上のための施策、資産を安定的に運用するための適切なアドバイス、これらの世代に適合した商品の提供といった新しいニーズが生まれつつあります。

 このような環境において、富裕層向けの金融サービスをその事業の柱としてきた当社グループとして、そのビジネスの独自性を更に追求することで、その存在意義が高まり、厳しい競争環境下においても、持続可能な事業展開が可能であると考えております。

(5)対処すべき課題

① 独自のビジネスモデルの追求

 当社グループの直接対話型のビジネスモデルを堅持し、事業を持続的に発展させるためには、お客さま満足度の向上を目指す必要があると考えております。そのため、お客さまへの分かり易く、親切、丁寧な対応に努め、特色ある旬の商品を引き続き提供してまいります。また、営業活動をサポートするツールの導入を引き続き行うとともに、お客さまロイヤルティ調査結果に基づいたサービスの向上を図ってまいります。

 当社グループの収益の中心は、上記の直接対話型のビジネスから得られる手数料収入等でありますが、これらは市場環境の変化の影響を大きく受けやすいものとなっております。当社グループは、株主資本の効率的・積極的運用により、手数料収入以外の収益源を確保し、当社グループの収益力を強化するために、有望な商品や投資分野の開拓に努めてまいります。

② 人材の多様性及び人的資本への投資

 当社グループの企業価値を他社と差別化している要因は、「お客さまからの信頼」というブランドと「特色ある旬の商品の提供」というノウハウであると考えています。これらを活用して、今後の環境変化に柔軟に対応し、持続的な成長を図るためには、人的資本をこれまでにも増して充実させることが重要であると考えています。

 そのため、様々な経験・技能・属性を有する人材の確保及び中核人材の登用、当社のサービスに必要なスキルの習得、多様な働き方が出来るような社内体制整備を積極的に行ってまいります。

 これらの人的資本への投資が、最終的にはお客さまの利益最大化につながると考えております。

③ 規制環境の変化への対応

 顧客本位の業務運営を確保するための法令等の改正に的確に対応し、よりお客さまに寄り添った対応を行ってまいります。当社グループは「お客さま本位の業務運営に関する方針」を更に徹底し、役職員全員がより高い金融知識や倫理観に基づいて業務を遂行してまいります。

④ 社会への貢献

 当社グループは、本来の事業以外の分野においても、社会に貢献することが、当社グループの企業価値向上にもつながるものと考えております。そのため、国民全体の金融リテラシー向上のみならず、質の高い教育や研究を発展させる目的で、学術活動や教育分野への支援を積極的に行ってまいります。また多様な価値観のもと豊かな社会を築いていくために、メセナ活動の一環として文化、芸術活動への協賛を行ってまいります。

⑤ 持続可能な地球環境への対応

 気候変動対策や脱炭素化に向けた世界的な動きに対応するため、中長期的観点から、お客さまのESG投資に係るニーズを的確に把握し、それらのニーズに適った金融商品の提供を検討してまいります。併せて、脱炭素社会に向けて推進される代替エネルギーの開発など有望分野への自己資金による投資について積極的に取り組んでまいります。

 また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)のフレームワークを用いて、気候変動が当社グループの事業活動に与えるリスク及び機会を充分に分析し、そのうえで気候変動に係るビジネス戦略を策定し、当社グループ及び社会の持続的な発展につなげてまいります。

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