企業兼大株主東洋電機製造東証スタンダード:6505】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの研究開発活動は、お客様に十分満足していただける製品を追求し、その創造と拡大にチャレンジすることを基本に、既存事業における技術開発及びそれを支える基盤技術開発、ならびに業容を拡大するための新商品開発を積極的に行っております。

 なお、研究開発費は、総額で755百万円であり、その内訳は、交通事業部284百万円、産業事業部99百万円、ICTソリューション事業部18百万円、その他(共通)352百万円であります。

 当連結会計年度の主な開発成果は、以下のとおりです。 

 (1)交通事業部門

  ①回生吸収用と非常走行用蓄電池を搭載した回生電力貯蔵装置の開発

 回生電力貯蔵装置は、車両制動時の余剰回生電力を蓄電池に蓄え、力行などによる架線電圧低下時に放電を行うことで、回生電力を有効に利用する機能を有しますが、近年は、停電により架線への送電が停止した際、駅間に停車してしまった車両を最寄り駅まで退避させる非常走行用電源としての機能も要求されることが増えました。非常走行運転に必要な電力量が大きい場合は、回生吸収用と非常走行用の蓄電池を組み合わせて用途別に使い分けることにより蓄電池容量を最適化できるため、回生吸収用と非常走行用の蓄電池をそれぞれ搭載した回生電力貯蔵装置を開発しました。

  ②耐寒耐雪電気式戸閉装置の開発

 耐寒耐雪電気式戸閉装置を試作し、寒冷地の営業列車で半年に及ぶ長期耐久試験を実施しました。試験終了後、車両から取り外した戸閉装置の分解調査を実施し、各部品の摩耗・劣化や防水箇所への浸水はなく良好な結果が得られ、電気式戸閉装置が寒冷地でも使用可能なことが確認できました。

  ③常電導磁気浮上型リニア推進方式車VVVF装置の更新

17年前に納入した常電導磁気浮上型リニア推進方式車用のVVVF装置の更新にあたって、主回路素子としてハイブリッドSiC素子を適用し、従来2バンク構成としていたインバータを1バンク構成にまとめ、また装置内ユニット構成を見直して各種機器を最新世代とすることにより、軽量、省メンテナンス化を実現しました。

 (2)産業事業部門

  ①自動車試験用1000V級直流電源装置の開発

 自動車の急速なEV化の中で、車両搭載用バッテリーの容量増加に伴い、充電時間を短縮するため高電圧化に移行する動きが加速しています。これに対応し、自動車試験装置におけるバッテリー試験装置やバッテリー模擬電源装置として適用可能な、1000V級直流電源装置の開発を完了しました。
 今後も、自動車のEV化に対応した試験装置に適用する製品ラインナップの拡充を進めていきます。

  ②大容量EDモータのCEマーキング、IP55対応

 海外での生産設備の大型化に伴い、大容量EDモータの海外規格対応や耐環境性向上が求められてきております。これに対応するため、EDモータへの欧州CEマーキング対応や防塵防水構造(保護等級:IP55)対応の大容量機種への拡大を一部構造の見直しや部品の見直しを実施いたしました。これにより、環境の厳しい設備や欧州向けの大型設備に対しても、対応できる様になりました。

 (3)ICTソリューション事業部門

  ①汎用端末車内補充券発行機の共通システム開発

 お客様の導入コスト低減とキャッシュレス決済のニーズにお応えするため、発行機本体は専用端末ではなくキャッシュレス対応の汎用端末を採用し、データの設定、変更で各鉄道事業者での使用が可能となる共通ソフトの開発と、パブリッククラウドを活用した上位集計システムの開発を開始しました。

 また、汎用端末を活用したシステムとして、購入、乗降時は乗客のスマートフォンを使用し、発売・利用情報を管理するサーバとタブレット端末を簡易改札機とする出改札システムのデモ機を開発しお客様へのPRを開始しました。今後もスマートフォン、タブレットなどの汎用端末とクラウドを活用した、安価で柔軟なシステムの開発を進めていきます。

  ②AI技術の調査及びAI搭載システムの試作

 顔認証技術の調査を進め、実際にオープンソースを利用して顔認証や年齢判別、性別判定などの技術を確認、検証しました。顔認証による入退場システムなどへの展開も視野に今後も研究開発を進めていきます。

 また、人物の異常行動について、画像認識で検知した人物の座標情報の動きから判定する仕組みの開発にも着手しました。

 (4)開発センター

  ①IoT端末の開発と適用拡大

IORemoterⅡ(クラウド型遠隔監視・制御システム端末ユニット)を鉄道車両用向けに適用し、京成電鉄株式会社様にてVVVFインバータ装置の遠隔監視システムとして試験搭載していましたが、愛知高速交通株式会社様のHSSTシステム車両においてVVVF装置に初納入し営業運転を開始しました。
 状態基準保全(CBM)に向けた車両状態監視システムへの適用では、車両の制御装置やモータのデータ(電圧・電流・温度など)を自動的にクラウドサーバーに転送することが可能となり、PCやタブレット端末などで閲覧できるようになります。そのため、現地に赴いての作業が不要で省力化が図れるほか、リアルタイムにデータを確認して装置の異常を早期に発見することが可能となり、安全性の向上にもつながります。

  ②オンデマンドモータ・制御装置

 インホイールモータの開発から始まり、お客様のご要求を満足する車載用電機品(制御装置、モータ)を試作開発、製品化してまいりました。その技術を駆使し、車載用だけでなく、ビルトイン(機電一体)型商品の開発も進めております。

  ③ADAS(先進運転支援機能)に対応した評価設備

近年、EV化の加速とともに先進運転支援技術や自動運転技術も実用化されつつあり、産業事業部で開発したインタイヤハウスダイナモを適用しADAS評価に最適な試験設備として、ラインナップを整えるための開発に取り組んでいます。

 そのほか、自動化/電動化に伴う新しい評価方法のご相談や試験設備の拡張性などのボトルネックに対し、当社の技術を駆使して最適なテストソリューションをご提案するとともに、インタイヤハウスダイナモならではの、将来性(テストコースで行っていた試験の模擬など)のある開発にも取り組んでいきます。

  ④鉄道用歯車装置の加工技術の研究

 鉄道用歯車装置は長寿命・高信頼性が要求され、強度確保工程の一つとして焼入れ処理があります。焼入れ処理の際には歯先にひずみが生じてしまうため、調整のための再加工が必要ですが、焼入れ後は強度が増しているため加工に多くの時間を要しています。本研究は、加工時間の短縮による生産能力の向上とコストの低減を目的としており、焼入れによるひずみを予測した加工を先に行うことにより、焼入れ後再加工の最小限化が可能であることを実験により確認しました。

  ⑤モデルベース開発の調査・研究

 近年、自動車業界では、※CAEや部分毎の評価を行うための※HILSを用いた安全かつ効率的な開発が行われており、当社の自動車試験機システムもその一役を担っています。本調査・研究では自動車用動力伝達技術研究組合(TRAMI)がモデルベース開発を推進するために提供しているトランスミッションなどのモデルについて調査を行い、さらに当社の自動車試験システムを用いた場合の効果について検討を行っています。

 ※CAE:Computer Aided Engineering HILS:Hardware In the Loop Simulator

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