企業兼大株主東ソー東証プライム:4042】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

急激な国内産業構造の変化および国際的な社会課題が変化する中、CSV(*)を意識した研究開発を基本方針とし、基盤事業の強化・拡大と当社の持続的成長への新規事業の創出に向けて、8つの研究開発部門およびオルガノ株式会社の開発センターが中心となった研究開発活動を推進しております。

(*)Creating Shared Valueの略。社会課題を解決する「社会的価値」と企業が追求する「経済的価値」を両立させる考え方。

 具体的には、アドバンストマテリアル研究所およびライフサイエンス研究所では機能商品事業分野、ファンクショナルポリマー研究所、高分子材料研究所、ウレタン研究所では石油化学事業分野およびクロル・アルカリ事業分野、無機材料研究所、有機材料研究所では機能商品事業分野、技術センターでは各製品に関わるプロセス開発、オルガノ株式会社の開発センターではエンジニアリング事業分野の研究開発を担っております。

 技術革新が急速に進む中、当社グループ単独での研究開発を補完すべく、オープンイノベーションにも積極的に取り組んでおり、国内外の研究機関との共同研究、大学との社会連携講座の開設、さらには、ベンチャーキャピタルファンド投資や米国への研究員派遣により、技術情報収集力の強化と外部技術の獲得を進めております。特に、社会的課題であるCO2の分離回収や有効利用技術、多層プラスチックフィルムのリサイクル技術の検討を進めるため、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の先導研究プログラムに参画しております。中でもNEDOの「グリーンイノベーション基金事業/CO2等を用いたプラスチック原料製造技術開発」において、CO2排出量削減とその利用を目的にCO2からのポリウレタン原料製造技術の検討を進めております。

 また、研究開発体制の強化として、四日市事業所では研究本館・カスタマーラボ棟が竣工し、ポリマー・ウレタン製品関連研究の集約、南陽事業所でも研究本館・ベンチ棟が竣工し、高機能材料・有機化成品関連研究設備の刷新を図りました。また、東京研究センターに設置したマテリアルズ・インフォマティクス(MI)専門グループを中心に、2023年度よりMIセンターの運用を開始します。全研究所へ導入した電子実験ノートの活用により、社内データベースの構築を進め、更に、増強したクラスタ計算機を用いた材料シミュレーションにより、MIに必要なデータの拡充を進めています。

 当連結会計年度における当社グループ全体での研究開発要員は約1,100名であり、研究開発費は約214億円であります。

 セグメント別の主な研究開発活動の状況を概観すると、次のとおりであります。

 石油化学事業

 石油化学事業に関しては、既存ポリマー製品の改良、周辺技術の強化及び新規ポリマー材料の開発を推進しております。

 ポリエチレン関連では、新規ポリエチレンを使用した耐熱輸液バッグが国内外で採用に向けた評価が進んでいます。また、通常では困難な複合プラスチックの繰り返しリサイクルを可能とする改質剤「メルセンS」を開発し、市場展開を開始しました。PPS関連では、新規に開発した金属接着性に優れるグレードがEV関連部品で着実に採用されております。

 一方、CR、CSM、ペースト塩ビ、石油樹脂の機能性ポリマーについても、より付加価値の高い製品の開発を継続しており、CRは医療向け手袋グレードの開発に注力しております。また、NEDOの助成事業「炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー(CNF)関連技術開発」に参画し、バイオマスを利用した製品の社会実装に取り組んでいます。

 電子関連への展開としては、液晶用光学材料、有機EL用光学材料など、当社独自コンセプトに基づく新規ポリマー材料の開発を積極的に進めております。

 なお、本事業分野における研究開発費は約25億円であります。

 クロル・アルカリ事業

クロル・アルカリ事業に関しては、ビニル・イソシアネート・チェーン関連技術の更なる強化へ向けて継続的な製造技術の革新に取り組んでおります。具体的には、塩ビモノマーの原料となる二塩化エタンを製造するオキシ塩素化工程において、活性・選択性・耐久性の全てに優れ、世界をリードする独自触媒への転換を進めております。この触媒技術は一般社団法人触媒学会の2019年度学会賞(技術部門)を受賞しました。また、電解関連においても、食塩電解の継続的な技術改良による省エネルギー化に取り組んでおり、開発した活性陰極による省エネルギー化技術は日本ソーダ工業会の2022年度技術賞を受賞しました。

ポリウレタン関連では、原料であるイソシアネートの機能性向上と製造プロセスの開発、機能性ポリオールの開発、および、ポリウレタンフォーム、エラストマーおよびコーティングを始めとするウレタン関連製品の処方開発に積極的に取り組むと共に、他の事業分野との連携による開発にも注力しております。具体的には、軽量で快適な乗り心地性を実現する自動車用All-MDI系シートクッションや、薄くて防音性に優れたフォームの開発に進展がありました。また、コーティング・合皮用途においては、耐薬品性に優れたウレタン樹脂やポリカーボネートポリオール、低粘度や低温硬化性を特徴とする環境ニーズに適合した硬化剤の開発を積極的に進めております。

なお、本事業分野における研究開発費は約37億円であります。

 機能商品事業

機能商品事業に関しては、ライフサイエンス、環境・エネルギー、電子材料などに関する研究開発を実施しております。

ライフサイエンス関連における免疫診断事業関連では次世代装置と試薬の開発、遺伝子検査事業関連では感染症診断のための新規製品開発を進めております。分離精製剤事業関連では、急速に市場が成長しているバイオ医薬品(抗体医薬品、ウイルス医薬品、細胞医薬品)の分離剤や分析用液体クロマトグラフィーカラムの開発に注力しており、世界初の抗体医薬品活性分析用カラムの実用化に続き、製造用ゲルの開発を進めております。さらにウイルス医薬品、細胞医薬品向けの分析カラムや分析装置、バイオプロセス上流工程向けの細胞培養器材等の新規製品開発に鋭意取り組んでおります。

また、セラミックス材料の開発では、歯科用透光感ジルコニアや装飾用カラージルコニアの新グレード開発を加速させると共に、東京大学に設置した社会連携講座を継続し、次世代ジルコニアの創出を目指しています。

環境・エネルギー関連では、今後も需要拡大が予想されるリチウム二次電池の材料開発、コンデンサの高容量化に寄与する新規導電性高分子(セルフトロン®)の開発が進展しております。また、自動車排ガス浄化触媒用ゼオライトの開発では、脱硝性能、触媒耐久性の改良を進めると同時にゼオライトの革新的・高効率合成プロセス構築を東京大学との社会連携講座で推進しています。更には、水質・大気浄化用のゼオライト設計にも取り組んでおります。アミン誘導体としてはVOC低減に有効なウレタン発泡触媒(RZETA®)の拡販、アルデヒド捕捉剤(エミデリート®)の開発が進展するとともに、工場等から排出されるCO2の回収に利用する高性能CO2回収用アミンを開発しました。さらに、重金属処理剤(飛灰処理用、排水処理用)の技術サービス拠点を上海に設置し、拡販活動に注力しています。

電子材料関連におけるディスプレイ関連では、低消費電力化・高画質化を達成する有機EL用材料、更に半導体関連では、高品位スパッタリングターゲット、将来の半導体素子の微細化に対応した次世代配線用の有機金属化合物、製造プロセスを刷新可能なGaNスパッタリングターゲット、次世代半導体製造装置用の高機能石英部材などの開発を推進しております。有機EL用材料は、電子輸送材料の開発に関して科学技術振興機構の第47回井上春成賞を受賞しました。また、プリンテッドエレクトロニクス関連では、塗布型有機半導体材料、光硬化型絶縁材料、親撥処理膜材料、保護層材料等の一連の材料開発を産学連携で進めております。

 なお、本事業分野における研究開発費は約126億円であります。

 エンジニアリング事業

エンジニアリング事業に関しては、オルガノ株式会社の開発センターを中心に開発を行っています。

 水処理エンジニアリング関連では、純水、超純水、上水等の用水処理装置、下排水処理装置などの大型水処理設備、バイオ医薬精製工程向けクロマト分離装置、溶剤・薬液などの分離精製装置、および高度分析・センシング技術などの開発を実施しており、半導体工場向け大型電気再生式脱塩装置(大型EDI)を完成・上市しました。また、新実験棟を活用した最先端半導体工場向けの次世代型超純水製造技術や高度分析技術、高純度薬液精製システム及び水回収・再利用システム、公共下水向け高機能処理設備、バイオ医薬精製工程向け連続クロマト分離装置、リチウムイオン二次電池向けのn-メチルピロリドン回収精製装置、水処理プラントの高度運転監視システムなどの研究開発を推進しております。

 機能商品関連では、ラボ・医療機関向け小型超純水製造装置、水処理薬品、新規機能材料、加工食品向けの食品添加物・素材の開発を実施しており、RO処理向け薬注制御システム「オルスマートRO」やRO膜用新規殺菌剤、ユニット型ろ過装置(LUシリーズ)を完成・上市しました。また、ラボ向け超純水装置や水処理用分離膜向け高機能薬剤などの研究開発を推進しました。

 なお、本事業分野における研究開発費は約26億円であります。

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