企業兼大株主本田技研工業東証プライム:7267】「輸送用機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社および連結子会社の研究開発は、先進の技術によって、個性的で国際競争力のある商品群を生み出すことを目的としています。製品に関する研究開発につきましては、当社のほか、㈱本田技術研究所、ホンダディベロップメントアンドマニュファクチュアリングオブアメリカ・エル・エル・シーを中心に、また、生産技術に関する研究開発につきましては、当社のほか、ホンダディベロップメントアンドマニュファクチュアリングオブアメリカ・エル・エル・シーを中心に、それぞれ現地に密着した研究開発を行っています。

 当社はハードとソフトやサービスを融合させた新価値創出の強化をはかるため、事業開発機能とソフトウェア・電動コア技術を集約した事業開発本部を新設しました。従来の二輪、四輪、パワープロダクツといった製品別の事業本部から独立させて1つの組織体制に束ねることで、機動力を高めるとともに、製品間で技術と事業を融合させ、シナジーを強化していきます。

 当連結会計年度に発生した研究開発支出は、8,520億円となりました。

 また、当社および連結子会社では研究開発支出の一部について、無形資産に計上しています。連結損益計算書に計上されている研究開発費の詳細については、連結財務諸表注記の「21 研究開発費」を参照ください。

 セグメントごとの研究開発活動の状況につきましては、以下のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月23日)現在において当社グループが判断したものであり、将来生じうる実際の結果と大きく異なる可能性もあります。詳細は「3 事業等のリスク」を参照ください。

(二輪事業)

 二輪事業では、「チャレンジする組織風土を最大化し、今後の環境変化を乗り越え、手の届く価格で、お客様に喜んでもらえる商品を創造し続けられるものづくり集団となる」を方針として、研究開発活動に取り組んでまいりました。

 主な成果として、2023年3月にアドベンチャースタイルの大型二輪スポーツモデル「XL750 TRANSALP」を発表しました。新開発の水冷・4ストローク・OHC・4バルブ直列2気筒のエンジンを搭載し、防風性能と空力性能を兼ね備えた機能的な大型ウインドスクリーン、車両の情報を集約し表示する5.0インチTFTフルカラー液晶マルチインフォメーションディスプレイを採用しました。また、あらかじめ設定された出力特性を選択できる「ライディングモード」や「HSVCS」など各種の先進装備を採用し、ライダーの利便性を高めています。

2022年9月に「HAWK 11」を発売しました。経験豊かなベテランライダーを中心としたお客様に、新たな価値観と充実したバイクライフを提案する日本市場向けの大型モーターサイクルになっており、水冷・4ストローク・OHC・直列2気筒1,082cm3エンジンに、6速マニュアルトランスミッションと、ライディングをサポートする電子制御技術を搭載し、ゆったりと走るシーンから、軽快にワインディング走行を楽しむシーンまで、ライダーの充足感を追求した、扱いやすい車体パッケージとしています。

 また、2023年1月には、アドベンチャースタイルの軽二輪スクーター「ADV160」を発売しました。水冷・4ストローク・4バルブ・156cm3単気筒の新エンジン「eSP+」を搭載し最新の排出ガス規制(注)に対応させることにより、環境にも配慮しています。

 さらに、2023年2月に発売した大型クルーザーモデル「Rebel 1100T」はロー&ロングなスタイリッシュなデザインと、長距離走行時の快適性に配慮し、ライダーへの走行風をやわらげる大型フロントカウルを採用し快適なロングツーリングに対応したモデルとしています。

「地球環境負荷ゼロ」へ向けた取り組みとして、2040年代にすべての二輪製品でのカーボンニュートラルを実現することをめざし、ICE(内燃機関)の進化にも継続的に取り組みながら、今後の環境戦略の主軸として二輪車の電動化を加速させていきます。

 具体的には、2025年までにグローバルで、電動二輪車を合計10モデル以上投入し、2026年に100万台、2030年にHondaの総販売台数の約15%にあたる年間350万台レベルの電動二輪車の販売をめざしていきます。

 その先駆けとして、2022年11月にイタリア・ミラノで開催されたEICMA 2022において、Hondaが初めてヨーロッパで販売する電動二輪車「EM1 e:」を発表しました。若者向けに手軽で楽しいアーバンライディングを提供します。街中での走行や通学・通勤を、効率よく、静かに、クリーンに走る「EM1 e:」は、現代のニーズやライフスタイルに最適なモデルです。

 また、電動二輪車の最大市場である中国では、2023年1月に上海で開催されたオンライン発表会において、中国国内のZ世代(ジェネレーションZ)の若い消費者に向けた電動二輪車、「Honda Cub e:」「Dax e:」「ZOOMER e:」の3モデルを発表しました。従来のモデルの特徴的なデザインをモチーフに、先進的な機能・装備などを加えることにより、新しい価値観を提供し、中国の若い消費者にさらなる驚きと選択肢をもたらすことを狙いにしています。

 二輪事業に係る研究開発支出は、703億円となりました。

(注) 2020年排出ガス規制

(四輪事業)

 四輪事業では、「魅力ある強い商品のために総合力を発揮し、ものづくりプロセスの深化により、四輪事業を永続的に成長させる」を方針として研究開発に取り組んでまいりました。

 主な成果として、2022年4月に中国においてEV「e:NS1」、同年6月に新型EV「e:NP1」を発売しました。独創、情熱といった当社グループのものづくりのDNAと、最先端の中国の電動化・知能化技術を融合し開発した「e:N」シリーズの第1弾として、「心動 未体験EV」をコンセプトとし、乗る人の心を揺さぶる新しい価値を数多く取り入れました。2022年7月に発売した新型「CIVIC e:HEV」、同年9月に発売した新型「CIVIC TYPE R」が国産車として初めて、2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー(主催:日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会)で「パフォーマンス・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞しました。ハイブリッドカーである「CIVIC e:HEV」は、洗練されたパワートレインにより、現代的でスマートな走りがしっかり作り上げられたスポーツサルーンとして評価されました。また、「CIVIC TYPE R」は、優れたシャシー性能と空力ボディ、滑らかな回転フィールのVTECターボエンジンにより、街乗りからサーキット走行まで幅広くカバーするパフォーマンスを実現し、ドライバーに素直な感動を与えてくれる点に多くの評価を集めることが出来ました。

 グローバルでは、新型「CR-V」、新型「ACCORD」を発売しました。パワートレインは1.5L直列4気筒DOHC直噴ターボエンジンに加え、旧型よりさらに進化した2モーター式ハイブリッドシステムを搭載しました。また、安全運転支援システム「Honda SENSING」の機能も刷新し、先進の予防安全技術を提供します。

北米においては、2022年12月に新型「PILOT」を発売しました。新型プラットフォームの採用により、室内空間は拡大し、特に3列目シートはゆとりある設計になりました。また、当社グループ初の組み合わせとなる3.5LV6エンジンと10速オートマチックトランスミッションを搭載し、力強い走りを実現しています。

また、北米では2022年6月に発売したAcuraブランドの新型「INTEGRA」が、そのスポーティなデザイン、魅力的なドライビング エクスペリエンス、多彩なパッケージ、プレミアム機能が評価され、2023 North American Car, Truck and Utility Vehicle оf the Year Awardsの受賞式において「2023 North American Car оf the Year(2023北米カー・オブ・ザ・イヤー)」を受賞しました。昨年の「CIVIC」に続き、2年連続の受賞になりました。

「地球環境負荷ゼロ」へ向けた取り組みとして、バッテリー開発と市場変化に合わせたEV製品の投入を進めていきますバッテリーにおいては、2020年代後半のEV拡大期に合わせ、次世代電池技術に対する、独自開発へのチャレンジに取り組んでいきます。具体的には、㈱GSユアサと高容量・高出力なリチウムイオンバッテリーの開発に向けて協業を進めていきます。また、半固体電池では、SES AI コーポレーションの出資を通じた共同開発を進めるとともに、全固体電池については、自前開発に向けた研究を進めていきます。

品の投入については、現在から2020年代後半までは主要地域ごとの市場特性に合わせた商品を投入していきます。北米では、ゼネラルモーターズ(GM)と共同開発の中大型クラスEを2024年に2機種投入します。中国では、HondaブランドEとなる「e:N」シリーズの開発を更に加速させ、2027年までに10機種を投入します。また、日本においては、2024年中に、軽商用Eの投入を計画しています。そしてE普及期と想定される2020年代後半以降は、グローバル視点でベストなEを展開していきます。ハードウェアとソフトウェアの各プラットフォームを組み合わせたE向けプラットフォーム「Honda e:アーキテクチャー」を採用した商品を2025年からの投入に向けて、開発を進めています。また、GMとのアライアンスを通じて、従来のガソリン車と同等レベルの競争力を持つ量販価格帯のEを、2027年以降に北米から投入する計画です。

 当社グループは電動化へ向けた開発を更に加速していきます。

「交通事故死者ゼロ」へ向けた取り組みとしては、2022年12月に「Honda SENSING 360」と「Honda SENSING Elite」の次世代技術を発表しました。

「Honda SENSING 360」に次世代技術として、ドライバー異常や周辺環境を検知し事故のリスクを減らすことで、ドライバー運転負荷をさらに軽減する新機能を追加し、2024年よりグローバルで順次適用開始していきます。また、「Honda SENSING Elite」の次世代技術として、Honda独自のA技術を活用した認知・理解技術により、従来の高速道路に加え一般道路も含めた自宅から目的地までシームレスな移動を支援する技術を新開発しました。これらの技術を2020年代半ばから順次適用開始していきます。

 四輪事業に係る研究開発支出は、7,541億円となりました。

(パワープロダクツ事業及びその他の事業)

 パワープロダクツ事業では、「暮らしの“未来”を創造し「役立ち」と「喜び」を更なる高みへ」を方針として、研究開発活動に取り組んでまいりました。

 主な成果として、2022年夏に大型除雪機「HSL2511」を一部改良し発売しました。「HSL2511」は、電子制御燃料噴射装置を採用したエンジンの搭載により、優れた始動・メンテナンス性に加え、高い燃費性能を実現した大型除雪機です。また、Honda独自のオーガ操作支援機能「スマートオーガシステム」の採用で使いやすさとパワフルな除雪能力を両立させたモデルとしてご好評をいただいています。

地球環境負荷ゼロ」へ向けた取り組みとしては、2022年10月にバッテリー交換ステーション「Honda Power Pack Exchanger e:」の販売を開始し、バッテリーシェアリング事業を行う株式会社Gachacoに納品しました。「Honda Power Pack Exchanger e:」は、交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:」を複数同時に充電し、電動二輪車をはじめとする「Honda Mobile Power Pack e:」ユーザーのスムーズなバッテリー交換を可能にするバッテリー交換ステーションです。ユーザーは街の中のステーションで必要な時に充電済みバッテリーにアクセスすることができ、充電時間を待つことなく、効率よく電動モビリティを利用することが可能になります。

「新たな価値創造」へ向けた取り組みとしては、より良き社会実現に向けた、QOL(Quality Of Life:生活の質)、QOW(Quality Of Work:仕事の質)向上のためのソリューションシステムの開発を進めています。そのための技術として、作業システムの知能化、IoT化を進化させ、社会課題の解決に寄与する活動を加速させています。2023年3月には米国・ラスベガスで開催された「CONEXPO-CON/AGG 2023」において、プラットフォーム型自律移動モビリティの実験用車両「Hоnda Autonomous Work Vehicle(以下「Honda AWV」という。)」の3代目となるプロトタイプを公開しました。Honda AWVは、CES 2018に出展した「3E-D18」のコンセプトを基に、アタッチメントやツールが追加され、運搬をはじめ、さまざまな作業に活用できるプラットフォームとなっています。なお、Honda AWVはGPSによる位置情報、レーダーやライダーによる障害物検知機能、その他のセンサー類を駆使して自律的に走行します。

また、研究開発中の自動芝刈り機のプロトタイプモデル「Honda Autonomous Work Mоwer(以下「Honda AWM」という。)」を、2022年10月に米国・ケンタッキー州ルイビル市で開催された「Equip Exosition 2022」で展示しました。1回目に手動で芝刈り作業ルートを記録することで、自動運転するルートを教示し、2回目以降の作業を自動化する、ティーチング&プレイバック機能だけでなく、障害物を検知して停止する機能も搭載しています。

 当社グループはこれからも、「新たな価値創造」へ向けた取り組みを加速していきます。

 航空機においては、Honda独自の最先端技術を開発して、空の世界においても新しい価値を創造し、長期的な観点から航空機ビジネスを成長させていくためのビジネス基盤の構築をしてまいりました。

2022年10月に米国フロリダ州オーランドで開催された世界最大のビジネス航空ショー、ナショナル ビジネス アビエーションにおいて、小型ビジネスジェット機「HondaJet」の最新型としてアップグレードされた「HondaJet Elite II(以下「Elite II」という。)」を発表しました。Elite IIは、燃料タンクの拡張および最大離陸重量の増加により、航続距離を延長し、より遠くの目的地へ移動することが可能になりました。機体構造の改良においてはグランドスポイラーを主翼に初搭載し、着陸時の機体ハンドリングと安定性を向上させました。また、空の領域における新たな安全技術の取り組みとして、最新の自動化技術であるオートスロットル機能と緊急着陸装置の導入を推進しています。

 アフターサービスに関しては、高水準のサービスと技術者の専門性が評価され、昨年度に続き、米国連邦航空局(FAA)から最高レベルである「ダイヤモンドレベルAMT賞」を受賞しました。

 今後もビジネスジェット市場のさらなる活性化へ向けた体制整備に取り組みます。

 パワープロダクツ事業及びその他の事業に係る研究開発支出は、275億円となりました。

次世代技術として、人、機械、社会の共働・共生をサポートする独自のAIである協調人工知能「Honda CI(Cooperative Intelligence)」を活用した「Honda CIマイクロモビリティ」と活用技術を公開しました。2022年11月から茨城県常総市内の複数エリアにて技術実証実験を順次開始しています。今後、少子高齢化やアフターコロナの社会において、ますますマイクロモビリティによる人とモノの自由な移動ニーズが増加することが予想されます。当社グループは、2030年ごろの実用化を見据えCIマイクロモビリティの技術をさらに進化させることで、「移動と暮らしの進化」と「交通事故ゼロ」を両立する「Honda CIマイクロモビリティ」の実現をめざします。また、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、製品の電動化の促進のみならず、エネルギーキャリアとしての水素の活用拡大にも積極的に取り組み、水素事業の拡大をめざしていきます。水素事業のコアとなる燃料電池システムのさらなる進化に取り組み、耐久性の向上、コストの削減を進めています。具体的には、燃料電池システム活用のコアドメインを、燃料電池自動車(FCV)、商用車、定置電源、建設機械の4つと定め、他社との協業にも積極的に取り組んでいきます。

 なお、これらの取り組みに係る研究開発支出は各事業に配分されています。

 当連結会計年度末時点において、当社および連結子会社は、国内で15,000件以上、海外で27,100件以上の特許権を保有しています。また、出願中の特許が国内で5,800件以上、海外で14,200件以上あります。当社および連結子会社は、特許の重要性を認識していますが、特許のうちのいくつか、または、関連する一連の特許が終了または失効したとしても、当社および連結子会社の経営に重要な影響を及ぼすことはないと考えています。

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