企業日東電工東証プライム:6988】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び当社の関係会社、以下同じ)が判断したものであります。なお、業績見通し等の将来に関する記述は、当社グループが現時点で入手している情報や合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、経営理念の核である「新しい発想でお客様の価値創造に貢献します。」というミッションのもと、ESG(環境・社会・ガバナンス)を経営の中心に据えて、事業を通じた社会課題の解決に努め、持続可能な未来を実現するために、地球環境と社会に貢献しながら成長し続ける企業グループを目指します。

 当社グループには、これまでの歴史で培ってきた基幹技術、多様な事業領域や強い知的財産、さらには幅広い業界における顧客基盤といった強みがあります。これらの強みを結集し、当社グループ独自のマーケティング活動である「三新活動」(新用途開拓と新製品開発に取り組むことで、新しい需要を創造する活動)と、「ニッチトップ戦略」(成長するマーケットで、先行者のいないニッチ分野を見出し、独自の技術でシェアNo.1を狙う戦略)で、イノベーションを加速させ、地球環境や社会に貢献できる製品やソリューションを創出していきます。

 また、気候変動や人権問題等の世界共通の社会課題に対し、企業としての社会的責任を果たし、ステークホルダーとの信頼を構築してまいります。

※「グローバルニッチトップTM / Global Niche TopTM」「エリアニッチトップTM / Area Niche TopTM」は、当社の登録商標です。

(2)中長期的な会社の経営戦略

前中期経営計画「Nitto Beyond 2023」の振り返り

 当社グループは、前連結会計年度において、2021年度から2023年度を実行期間とする中期経営計画「Nitto Beyond 2023」を策定し、外部環境の影響を受けにくい強靭な企業体質の構築を実現するために、「ESG経営の推進」「イノベーションの加速」「経営インフラの強化」を重点課題として取り組んでまいりました。当連結会計年度は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を契機としたエネルギーや一次産品価格の高騰、日米金利差の拡大による急激な円安進行、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う都市ロックダウン等の防疫措置によるサプライチェーンの混乱などによって、非常に厳しい事業環境となりましたが、当社グループは、2023年度末における経営上の目標として掲げた、売上収益9,200億円、営業利益1,400億円、営業利益率15%及びROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)12%を1年前倒しで達成することができました。

 当該中期経営計画期間では、2件の買収を実行し、重点分野のひとつである「ヒューマンライフ」分野の事業成長に向けた取組みを加速したほか、トランスポーテーション事業部のNVH事業の一部を譲渡するなど、事業ポートフォリオの変革を進めました。

 また、当社グループ製品を環境貢献・人類貢献の二つの視点で独自の基準により評価し、特に高い貢献が認められた製品をPlanetFlagsTM(環境貢献製品)、HumanFlagsTM(人類貢献製品)として認定する仕組みを設けました。将来のPlanetFlagsTM/HumanFlagsTM認定が期待できるテーマに開発リソースを優先的に配分することで、事業を通じた社会課題の解決と経済価値の創造の両立を加速しています。

2030年ありたい姿と新中期経営計画「Nitto for Everyone 2025」の策定

 新たな中期経営計画の策定にあたっては、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の観点で2030年に向けた外部環境の変化を想定し、「起きてほしくない変化こそ、想定を超える速さで起こる」ことを念頭に、2030年ありたい姿を、“ニッチトップクリエーターとして驚きと感動を与え続ける「なくてはならないESGトップ企業」”と設定しました。「Nittoらしさ」である、「チャレンジを楽しむ」社風・文化を土壌に、「環境・人類に貢献するニッチトップ」を創出し、お客様に最高の「驚きと感動」を提供することで、豊かな未来に貢献します。当社グループは、お客様やパートナーと共創イノベーションで新たな価値を生み出し、持続可能な地球環境・人類社会になくてはならない存在として、ステークホルダーからの信頼と期待に応えてまいります。

 この、2030年ありたい姿「なくてはならないESGトップ企業」を実現するための実行計画として、当社グループは、2023年度から2025年度までを実行期間とする新中期経営計画「Nitto for Everyone 2025」を策定いたしました。「Nitto for Everyone 2025」では、脱炭素社会・循環経済社会への移行、デジタル技術の高度化などの社会変化に対応するため、重点分野について、「情報インターフェース」を「デジタルインターフェース」へ、「次世代モビリティ」を「パワー&モビリティ」へ見直しました。「デジタルインターフェース」「パワー&モビリティ」「ヒューマンライフ」の3つの重点分野とそれらが交わる領域で、当社グループの強みである技術や顧客基盤などを活かし、なくてはならない存在を目指します。

「Nitto for Everyone 2025」重点項目

① 環境・人類に貢献する事業ポートフォリオ変革

 経済価値と社会価値の両軸で見極めた“伸ばすもの”に対しては重点投資を進める一方で、将来の成長が見込まれない、環境化学物質規制で製造できなくなる可能性があるなど、“残さないもの”に対しては、撤退・売却も含めた打ち手で構造改革を進めます。M&Aやスタートアップ企業への出資を含む戦略的アライアンスを積極的に活用し、新規領域では、環境ビジネス・ソリューションビジネス創出にもチャレンジすることで、事業ポートフォリオの変革を進めます。

② ニッチトップを生み出すイノベーションモデルの進化

 当社グループは、独自のイノベーションモデルを進化させ、なくてはならないニッチトップソリューションを創出するためには、「社会課題へのフォーカス」「事業開発力の強化」「ステークホルダーとの共創」の3つが重要であると考えています。社会課題に対してソリューションを提供する差別化技術を磨き、PlanetFlagsTM/HumanFlagsTMを生み出すこと、マーケティング力の強化で事業開発力を高めること、お客様やパートナーとの共創による事業化の加速を進めることで、これまで当社グループが培ってきた勝ち方に加えて、新しい勝ち方の確立を進めていきます。

③ 人財・チームの挑戦を加速する組織文化の改革

 当社グループは、「人財は最も重要な財産」と位置付けています。持続的な成長に必要となる新しいイノベーションを生み出すために、チャレンジする機会の拡充と人事・育成制度の変革を行います。また、多様な事業展開や新たな勝ち方の構築を加速するために、事業開発人財や異業種人財を育成・獲得し、その活躍を支えるインクルージョン施策に取り組みます。

 全ての従業員が活き活きと働く会社を目指し、「Nittoらしい」人的資本経営を進めてまいります。

④ 変化を先取る経営インフラへの変革

 当社グループが目指す「ニッチトップ戦略×Nitto流ESG戦略」の実践には、取り巻く事業環境の変化を先取りすることが必要です。地政学リスクをはじめとしたサプライチェーンリスクへの先見力と対応力の向上や、デジタル活用によるデータドリブン経営の実現、事業を支える強靭な財務体質の維持・向上など、「なくてはならないESGトップ企業」を支える強靭な経営インフラへ、変革を進めます。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、「Nitto for Everyone 2025」において、2025年度末における経営上の目標を、営業利益1,700億円、営業利益率17%及びROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)15%と定めました。

 また、当社グループでは、現時点では未だ財務には至っていないが将来的に財務となり得る要素、あるいは財務に転換していく要素を“未財務”と呼び、前中期経営計画「Nitto Beyond 2023」から継続する3つの未財務指標に加え、「Nitto for Everyone 2025」では「なくてはならないESGトップ企業」の実現に向けて、新たに6つの未財務指標を設定しました。これら未財務指標の目標達成に向けた活動を推進することで変革を加速し、企業価値向上を図ります。

 サステナビリティに関する考え方及び取組みについては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。

未財務指標

2022年度
実績

2025年度
目標

2030年度
目標

継続

新製品比率(1)

41%

35%以上

35%以上

新規

ニッチトップ売上収益比率(2)

47%

50%

50%以上

新規

PlanetFlagsTM/HumanFlagsTM
カテゴリ売上収益比率(3)

17%
※貢献製品認定品

40%

50%以上

継続

CO₂排出量(4)

571kton/年

550kton/年

470kton/年

新規

廃プラスチック
リサイクル率(5)

46%

50%

60%

新規

サステナブル材料使用率(6)

17%

※国内

20%

30%

継続

女性リーダー比率(7)

19%

24%

30%

新規

エンゲージメントスコア(8)

74

(2021年度)

78

85

新規

チャレンジ比率(9)

42%

70%

85%

(1)当社グループの競争力の源泉である新製品の創出度合を計る指標

(2)なくてはならないNitto製品の拡大を計る指標

(3)Nitto流ESG経営の根幹であるPlanetFlagsTM/HumanFlagsTM製品の拡大を計る指標

(4)「Nittoグループカーボンニュートラル2050」に向けた取組みの進捗を計る指標

(5)サーキュラーエコノミーに対する取組みの進捗を計る指標

(6)環境やサプライチェーンの人権を考慮したサステナブルな材料の調達度合を計る指標

(7)組織を牽引する女性リーダー増加によるダイバーシティの促進を計る指標

(8)組織の業績成長との関係性が強い、従業員の「帰属意識・貢献意欲」「生産的な職場環境」「心身の健康・活力」の3要素を計る指標

(9)新たな価値創造に向けて自分の経験や可能性を拡げるチャレンジをした従業員の割合を計る指標

(4)各報告セグメントの戦略と取組み

 各報告セグメントにおける主な戦略と取組みは、次のとおりです。

・インダストリアルテープ

 半導体やセラミックコンデンサー向けの工程用材料は、需要が回復することが見込まれます。自動車材料では、今後の成長が期待されるCASE(コネクティッド、自動化、シェアリング、電動化)領域での拡販と新製品創出に取り組みます。また、脱炭素に向けた中長期的な取組みとして無溶剤化を推進し、新たな事業機会を創出することで、インダストリアルテープ全体として安定的に高い利益率を生み出せる事業基盤の構築に取り組みます。

・オプトロニクス

 情報機能材料では、スマートフォンを中心にディスプレイ市場が成熟化する中で、光学フィルムとその他周辺部材を合わせたトータルソリューションで、顧客の生産性向上や環境負荷低減に貢献します。一方、新たな成長点として車載やVR向け光学フィルム市場を位置付け、今後の事業拡大に向け、経営資源を投入していきます。

 回路材料では、データセンター向けHDD市場において高容量化が一段と進み、需要が再び増加していくことが想定されます。当社グループは、ベトナム拠点に新工場を建設し生産能力を増強するとともに、BCPへの対応を強化し安定的な供給体制を構築していきます。ハイエンドスマートフォン向け高精度基板は、国内の拠点において供給拡大に向けた生産能力の増強や生産性向上に取り組みます。

・ヒューマンライフ

 ライフサイエンスでは、核酸医薬市場での受託製造において、希少疾患からより多くの患者を対象とした治療薬の商用化が期待されており、当社グループが保有する後期臨床案件の需要が堅調に推移することが見込まれます。また、核酸医薬市場の拡大に伴い、その製造に使用される合成材料(NittoPhaseTM)の需要が増加することが想定されます。これら成長が見込まれる需要に対して、核酸受託製造事業においては、米国マサチューセッツ州の拠点に新設する工場が2023年度上期中に完成する予定です。また、核酸合成材料は国内及び米国カリフォルニア州の拠点に新工場を建設中で、2024年度以降の稼働を計画しています。核酸創薬においては、肺線維症のPhase2の治験結果の解析を進めており、ライセンスアウトの交渉を進めていきます。

 メンブレンでは、水不足や各国における環境規制強化を背景に市場は中長期的に成長すると見込んでいます。また、脱炭素市場へ向けた製品開発を進め、環境・人類に貢献する製品ポートフォリオへの変革に取り組みます。

 パーソナルケア材料では、おむつ向け衛生材料の新製品を投入し、事業の拡大を目指します。今後は、コア材料である高機能性フィルムや不織布の強みを活かし、環境対応製品の創出と販売エリアの拡大に取り組みます。

・その他

 新規事業では、大容量高速通信を可能とするプラスチック光ファイバーについて、市場の高速伝送ニーズに対応するために、全社R&D部門からICT事業部門へ事業移管し、世界各国に向けて本格展開を目指します。また、デジタルヘルス、フレキシブルセンサ、次世代半導体関連等、PlanetFlagsTM/HumanFlagsTMの候補となるテーマに経営資源を集中的に投入し、早期の事業化を目指します。

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