当社における経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものです。
(1)経営方針
当社は、「世界に通用するクリーンエアーシステム技術を確立し社会に貢献する」を社是としており、株主、従業員、関連会社に利益を還元し社会貢献することを目標としております。2022年12月に制定した「きれいな空気で、未来を支える。」とのパーパスのもと、当社の技術は自らの研究・実験に基づく事を主とし、創業以来これまで蓄積された技術力により顧客ニーズに合致した製品を連続的に創造する専業メーカーとして、収益性を維持しつつ企業規模の拡大を図ります。そのため、従業員の創造性を第一とし自主性を重んじております。また、ESG・SDGs関連施策に取組み環境側面・社会側面の双方から持続可能な社会と当社の持続的成長の実現を目指し、情報開示を充実させ、企業価値を継続的に向上させてまいります。
(2)経営戦略等
当社は、クリーンエアーシステムの専業メーカーとして半導体・電子工業分野及びバイオロジカル分野の双方に多数の製品及び設計・施工技術を有しております。現在、微粒子・菌・ウイルス等を必要とされるレベルまで除去又は制御する設備機器は、分野を問わず幅広く導入されており今後益々その需要と必要分野は拡大しております。
そのような状況において当社では2022年度から2026年度における中長期方針を以下のように定めており、拡大する需要を取込み成長してまいります。
方針1は、標準・準標準品の売上比率の向上であります。2026年度における標準品比率の目標を60%としております。従来は45%前後でありましたが、2022年度は60%となりました。本方針に沿って製品開発・改良を進め、販売に注力しております。
方針2は、差別化であります。単なる価格競争に陥らないよう高付加価値化に取組み、ブランド価値の向上に努めております。
方針3は、グローバル化であります。コロナ禍により停滞しておりましたが、再度米国への進出を検討しており、その初期調査を開始しております。
方針4は、新市場進出への積極的な取組みであります。クリーンエアーシステム(空気清浄化)を必要とする市場は年々拡大しております。その基幹部品・技術である高性能フィルター需要は年々拡大しており、2022年8月より稼働した赤城スマートファクトリーではフィルター生産能力を従来より50%増加させました。また、2020年からの新型コロナ感染症対策製品の拡販により、新たな市場・販売店網・顧客とのつながりができており、これを深耕し、新市場への売上増加を図っております。
方針5は、クリーンエアーシステム技術を通じたサステナビリティ経営への取組みであります。2022年8月に「サステナビリティ委員会」を設置し、気候変動を含むサステナビリティに関する基本方針や重要課題の策定、目標の設定や達成に向けた活動の実施、活動状況の確認を行い、適宜取締役会への報告等を行っております。2023年2月にはTCFD提言への賛同を表明し、TCFD提言に準拠した気候関連財務情報開示を行いました。各種産業・研究機関の顧客を通じて社会の安全、快適な暮らし、人々の健康を支える企業として日本、そして世界に貢献してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、持続的な利益を確保し、成長することを目標としております。継続的な成長を目指し新製品の開発に注力し、また生産性の向上やサービス業務の拡大に取組んでおります。「営業利益」及び「経常利益」を重要な経営指標として位置づけております。
また、当社は2022年4月に行われた株式会社東京証券取引所の市場区分の見直しに伴い、プライム市場に株式を上場しております。当社の移行基準日時点におけるプライム市場の上場維持基準への適合状況は、以下のとおりとなっており、「流通株式時価総額」については、2022年12月末時点において88.4億円と基準を充たしておりません。そのため当社は、流通株式時価総額に関し、2024年12月期末までに上場維持基準を充たすために「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」に基づき、その達成に向け6項目を定め、各種の取組みを進めております。
① 中期経営計画(2022年度~2026年度)の推進による業績向上
② 流通株式比率の向上
③ 株主還元施策
④ IR・広報活動の強化による当社への理解及び認知の向上
⑤ サステナビリティ経営による社会価値の向上
⑥ コーポレートガバナンス・コードへの適合
これらの施策により、情報開示の充実、ESG・SDGs関連施策の推進を加速し、環境側面・社会側面の双方から持続可能な社会に貢献しつつ、企業価値を継続的に向上させることにより「時価総額の向上」を図ります。また、「流通株式比率の向上」に向けた取組みも併せて実施することで、「流通株式時価総額」の向上を図り、プライム市場の上場維持基準適合を目指します。
| 流通株式数 | 流通株式 時価総額 | 流通株式 比率 | 売買代金 (1日平均売買代金) |
当社の状況(注)1.(移行基準日時点) | 78,655単位 | 99.3億円 | 75.7% | 5.5億円 |
当社の状況(注)2. (2021年12月末時点) | 76,829単位 | 95.9億円 | 73.5% | 2.2億円 |
当社の状況(注)3. (2022年12月末時点) | 77,316単位 | 88.4億円 | 73.8% | 0.6億円 |
上場維持基準 | 20,000単位 | 100億円 | 35% | 0.2億円 |
計画書に記載の項目 | | 〇 | | |
(注)1.当社の状況は、株式会社東京証券取引所が移行基準日時点で把握している当社の株券等の分布状況等(2021年6月末時点)をもとに算出を行ったものです。
2.当社の状況は、株式会社東京証券取引所が公表している算出基準に基づき、当社が把握している当社の株券等の分布状況等(2021年12月末時点)をもとに算出を行ったものです。
3.当社の状況は、株式会社東京証券取引所が本事業年度末時点で把握している当社の株券等の分布状況等(2022年12月末時点)をもとに算出を行ったものです。
(4)経営環境
当事業年度における世界経済は、経済活動の再開が見られたものの、ウクライナ紛争長期化に伴う資源・食品関連をはじめとするインフレの進行や各国金融政策による金利上昇等の理由により景気の回復は鈍化しました。一方、国内経済は新型コロナウイルスの行動制限は段階的に緩和され、個人消費の緩やかな回復基調となりました。企業活動においては原材料・エネルギー価格の高騰や極端な円安の影響を受けながらも堅調に推移しました。
海外においては新型コロナウイルス感染対策としての渡航制限の緩和が進んだ一方で、中国ではロックダウンの影響により生産、物流、人流等の活動が制限された不透明な状況が継続しました。国内においては厚生労働省による令和4年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(医療分)及び介護施設等における感染拡大防止対策に係る支援(地域医療介護総合確保基金)による感染症対策設備整備等が継続又は延長されておりますが、感染症対策製品の受注は漸減傾向にあります。バイオロジカル分野においては、再生医療分野の細胞加工用クリーンルーム、医薬品工場及び感染症関連研究施設等への設備投資が堅調であります。電子工業分野では、半導体をはじめとする多様な電子部品及び材料の供給不足が長期化しております。その対応として半導体・電子部品・材料関連企業の工場及び製造設備等の国内における設備投資計画が相次ぎ、本分野は好調に推移しました。一方で、サプライチェーン混乱による各種電子部品等の供給停滞及び原材料の高騰による影響が継続しており、代替部品の調達及び設計変更等により対応しております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社における事業環境は、電子工業分野では、国内半導体関連の投資は一部延期等の減速感はあるものの、半導体製造能力増強を図る政府方針を受けた新規半導体工場設立及び既存設備の改造等による関連投資は高い水準にて継続することが見込まれます。また、脱炭素化の流れが加速し、省電力(脱炭素対応)製品の競争力及び優位性が向上します。一方、バイオロジカル分野では、製薬工業分野の設備投資は堅調であり、再生医療やがんの免疫治療への設備投資も復調が見込まれます。新型コロナウイルス感染症対策機器の販売はさらに減少すると見ておりますが、感染状況によらず医療及び新分野への拡販を行ってまいります。
そのような状況において当社の主な取組みは、以下のとおりです。
① 研究・新製品開発においては、「送風機の研究」「HEPAフィルターの研究」「エアーシャワーの開発」「サーマルクリーンチャンバーの開発」等に取組み、省エネルギー化を推進し特徴を有する新製品の拡販に努めます。
② 「赤城スマートファクトリー」(群馬県桐生市)における生産を安定稼働させ、半導体製造装置向けのPTFEフィルターの拡販及び交換用HEPAフィルターの需要増加に対応します。
③ 草加工場近隣に取得した土地(約1,750㎡)へ倉庫や事務所等を建設し、草加工場の機能を一部移転することで草加工場の建替えを進め、生産能力をさらに向上させる計画です。
④ 昨年拡充した東北サービスセンター(仙台市若林区)に続き、本年は4月開所予定の静岡出張所及びサービスセンター(静岡県富士市)を設置します。サービス体制の充実を図り、顧客満足度を高めてまいります。
就職・転職をするときに最低限チェックしておきたい項目をまとめました。
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