山形銀行 【東証プライム:8344】「銀行業」 へ投稿
企業概要
当行グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
経営理念 | 地域とともに成長発展し すべてのお客さまにご満足をいただき 行員に安定と機会を与える |
当行は上記経営理念のもと、「地域の皆さま」、「お客さま」、「株主の皆さま」、「従業員」などのステークホルダーを重視した経営を行うとともに、「安全・安心」の銀行として、より一層の信頼を確保することを基本方針としております。
(2) 中長期的な経営戦略
人口減少、少子高齢化に伴う地域経済の縮小や中小企業における後継者難に加え、ポストコロナへの対応、原材料価格の高騰、為替相場の急激な変動など、県内経済は依然として厳しい状況にあります。こうしたなか、持続可能なビジネスモデルを確立するためには、長期的な取り組みとして、「地方創生等による持続可能な地域社会の構築」及び「お客さま本位のビジネスと付加価値創造」の実現が必要不可欠です。
当行は2021年4月に、10年後に目指す姿として、「お客さまの価値を共に創造し、地域ポテンシャルを最大化する金融・産業参画型ハイブリッドカンパニー」を長期ビジョンに掲げ、それに向けたフェーズ1として、第20次長期経営計画「Transform」(2021年4月~2024年3月)をスタートさせました。2023年度は、その最終年度であり、計画で掲げた課題に対して結果を出す重要な1年となります。地域の課題解決のため、金融領域にとどまらず、産業領域への参画を深めることで、総合的なソリューションを提供できるビジネスモデルの構築を目指します。
《第20次長期経営計画「Transform」4つの重点戦略》
1.コロナ禍・ポストコロナでのお客さまに寄り添った支援
2.コンサルティングビジネス強化と事業領域拡大に向けた取り組み
3.質の高いサービスを提供するための構造改革とコストマネジメント
(店舗ネットワーク改革・デジタル戦略・事務改革)
4.有価証券運用、リスク管理の高度化とリスクアペタイト・フレームワークの活用
また、当行は2021年12月に、当行グループにおけるサステナビリティを巡る課題への取り組みを一層強化するため、「サステナビリティ方針」を策定しております。引き続き、地域の課題解決に真摯に取り組み、持続可能な地域社会の実現に貢献していくとともに、当行の中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
重点戦略1 |
コロナ禍・ポストコロナでのお客さまに寄り添った支援
■ 足許のコロナ禍において、引き続き、お客さまの資金繰り支援に注力するとともに、山形の発展に責任を持つ企業として、経営改善や事業継続支援等、課題解決に向けたソリューションを提供してまいります。
重点戦略2 |
コンサルティングビジネス強化と事業領域拡大に向けた取り組み
■ 現状の「総合金融ビジネス」は引き続きコアビジネスとして追求していくとともに、コンサルティング能力を強化していくことで、産業創造・参画型のビジネスモデルを目指します。
■ 当行がこれまで実践してきた「山形成長戦略」「ものづくり支援」「事業承継・M&A」「プライベートバンキング」「企業再生支援」などの取り組みを、全行を挙げた戦略として統合し、地域産業規模にまで強化してまいります。
重点戦略3 |
質の高いサービスを提供するための構造改革とコストマネジメント(店舗ネットワーク改革・デジタル戦略・事務改革)
■ 店舗ネットワークの最適化を図るとともに、広域型営業体制として、ブロック統括店に営業人員を集約することで、お客さまに提供するコンサルティング機能の高度化に取り組んでまいります。
■ デジタル技術を活用し、非対面チャネル等によるお客さまの利便性を向上するとともに、事務の効率化及びワークスタイルの変化を実現してまいります。
■ 事務改革では、お客さまの手続きの簡素化や営業店の受付事務の軽量化、不採算事務の削減、本部集中業務の拡大に取り組んでまいります。
■ 経費削減策として、削減ポテンシャルの高い重要テーマを中心に、トップダウンアプローチによりコストマネジメントに取り組んでまいります。
重点戦略4 |
有価証券運用、リスク管理の高度化とリスクアペタイト・フレームワークの活用
■ 有価証券の運用とリスク管理の高度化によって、収益力を強化してまいります。多様なリスクテイクによるベースライン収益の底上げなど、金融市場の見通しを踏まえたポートフォリオ運用の構築により、中期的な評価益の増加を目指します。
■ リスク管理では、多様なリスクテイクによる市場部門の収益増強に向けて、リスクマネジメントに充分な組織体制を構築するために、運用規模拡大に相応しい体制を整備してまいります。また、リスクアペタイト・フレームワークを通じた経営陣ならびに所管部とのリスクコミュニケーションを拡充し、フォワードルッキングな視点で「取るリスク・取らないリスク」を明確化したマネジメントにより、長期的収益の安定確保と財務の健全性を目指します。
また、重点戦略を支える取り組みとして、主要施策を大きく以下の3つに分け、11個の各テーマについて施策を展開してまいります。
《主要施策》
Ⅰ.提供価値:高品質・高付加価値サービス | ① 付加価値の高い融資の推進 |
Ⅱ.仕組み:事業構造と体質の強化 | ④ 戦略的店舗ネットワーク改革と収益基盤強化 |
Ⅲ.根幹:成長と変革の土台構築 | ⑧ プロフェッショナル人財の育成と活用 |
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
第20次長期経営計画「Transform」のもと、以下の指標を目標とし、各種施策に取り組んでおります。
目標とする指標 | 算出方法 | 当該指標を利用する理由 |
コア業務純益 | 実質業務純益-債券関係損益-金融派生商品損益(債券関係) | 事業の収益性を追求するため |
当期純利益(当行単体) | 財務諸表上の数値 | |
コアOHR(当行単体) | 経費÷コア業務粗利益 | |
総貸出金残高 | 財務諸表上の数値 | 業容の質的向上を追求するため |
総資金利鞘 | 資金運用利回-資金調達原価 | 事業の収益性を追求するため |
自己資本比率(国内基準、当行単体) | 自己資本の額÷リスク・アセット等の額 | 経営の安全性を追求するため |
設定した目標値等
目標とする指標 | 目標数値(2023年度) | 実績(2022年度) |
コア業務純益 | 60億円 | 104億73百万円 |
当期純利益(当行単体) | 25億円 | 32億88百万円 |
コアOHR(当行単体) | 80%未満 | 65.20% |
総貸出金残高 | 1兆7,000億円 | 1兆8,011億円 |
総資金利鞘 | プラスを維持 | 0.29% |
自己資本比率(国内基準、当行単体) | 9%以上維持 | 10.25% |
(4) 経営環境
国内経済は、海外経済減速の影響を受けつつも、新型コロナウイルス感染拡大の影響が徐々に緩和するなかで、総じてみれば緩やかな持ち直しの動きをたどりました。個人消費は、外的要因などから約40年ぶりとなる大幅な物価上昇の動きがみられたものの、行動規制の緩和を背景に、穏やかに増加しました。企業収益は、急激な円安や資源価格の高騰による下押しを受けながらも底堅く推移しました。
また、当行の主要営業基盤である山形県内経済は、一部に弱い動きがみられましたが、総じてみれば持ち直しの動きをたどりました。企業の生産活動は、海外経済減速の影響などから弱含みに転じましたが、個人消費は、行動規制の緩和が続く中で、徐々に持ち直しの動きを強めました。
(5) 対処すべき課題
当行の営業基盤である山形県においては、人口減少、少子高齢化に伴う地域経済の縮小や中小企業における後継者難など多くの課題を抱えております。また、原材料価格の高騰や為替相場の急激な変動などにより先行きに対する不透明感が高まっており、県内経済は依然として厳しい状況にあります。
こうした状況を踏まえると、地方創生や地域経済の活性化に果たすべき当行の役割は一層重要性が高まっているものと認識しております。
他方、SDGsや脱炭素をはじめとしたサステナビリティへの取り組みやDX推進など、地域や企業の皆さまの課題はこれまで以上に多様化、複雑化しております。課題解決に向け、高いコンサルティング機能と専門性を発揮できるプロフェッショナル人財の育成強化を図るとともに、マネー・ローンダリングやテロ資金供与の防止、サイバーセキュリティ強化への対応など、経営管理態勢強化にも引き続き取り組んでまいります。
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