企業兼大株主大気社東証プライム:1979】「建設業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当連結会計年度における研究開発費は1,149百万円であります。

当社は、技術開発センター(神奈川県)、テクニカルセンター(神奈川県)の2研究開発組織において、空調設備及び塗装設備の各分野における技術開発を前期に引き続き精力的に実施し、多くの成果を得ました。また、株式会社ベジ・ファクトリー(埼玉県)において、植物事業の分野における技術開発と改良を精力的に実施し、多くの技術開発としての成果を得ました

 セグメントごとの研究開発は以下のとおりであります。

(1)  環境システム事業

 当連結会計年度における研究開発費の金額は515百万円であります。

① 直膨空調システムの拡充

 当社では、冷凍機の冷媒で空気を直接冷却する直膨空調システムの開発を進め、主に環境試験室用途に導入してまいりました。

 当連結会計年度は、昨年度実施した直膨輻射空調システムの拡販へ向け、より低コストで既存システムへ容易に導入できる方式を検討し、技術開発センター新研究棟へ検証設備が導入できるよう、計画を進めております。本システムは小型熱源とセットで導入できるため、竣工後のテナント工事として室単位で容易に直膨輻射システムが導入可能となります。これにより、多くの顧客へ快適性と経済性を両立させたウェルネス空調を提供することができます。

 当社では、この直膨空調システム拡販のため、技術開発センターに快適性や省エネ性を体感・検証できる設備を導入し、引き続き顧客へのPRを行ってまいります。

② ロボット制御技術

当社では、将来へ向けた取り組みの一つとしてロボット制御技術に取り組んでおります。この取り組みは、当社の施工現場での活用のみならず、DX要素技術の集合体であるロボット開発を通じ、専門技術を持つ顧客との協働関係の構築・強化なども目指しております。また、この開発で得た技術や知見を他の開発へ展開することも視野に入れ、活動に取り組んでおります

 当連結会計年度は、昨年度実施した自走式温湿度計測ロボットを改良し、産業空調の現場で利用するために、大空間での自己位置特定、指定ポイントへの高精度の移動、計測器との連携技術の開発を実施しました。実際の現場での試運転も完了し、工事進捗に合わせ室内環境の計測を実施いたしました。これらの活用を通じての生産性を検証することで、作業効率改善の評価も実施してまいります。

 また、電子部品工場や製薬工場等で利用する超高性能フィルターのリーク試験の自動化にも着手いたしました。今までは作業員による計測、結果の評価を行っておりましたが、対象のフィルター枚数が非常に多く設置されるため大きな作業負荷が発生していました。同作業の自動化を行うことにより、大きな作業効率改善が期待できると考えております。あわせて同装置を実現場で活用し、その効果の評価とさらなる改良を計画しております。

 これらIT技術を積極的に導入することで、作業効率改善のみならず、働き方改革を実現することができると考えております。

③ 人追従空調(FOLLOAS)

 当社では、工場などの作業場での環境改善と省エネルギーを両立させる技術として、可動式ノズルを利用した人追従空調技術の開発を実施しています。

 従来のスポット空調は空調空気を一定の方向に、作業員の有無にかかわらず給気し続けていました。本技術はセンサーカメラで空調ターゲット(人)の位置を特定し、可動式ノズルによりそれを追従し空調気流を供給し続けます。これにより、作業場所毎に設置していた吹出ノズルを集約し、快適性を確保したうえで大幅な省エネルギーを実現することができます。

 この技術は、倉庫や搬出入ヤードなど、作業員の移動が多い空間や、作業の特性上囲いができない場所でのスポット空調技術として広く活用できます。

 当連結会計年度は、試作機を製作し、顧客環境でフィールド試験を行い、基本動作、快適性、実用にあたっての要望事項などの確認を実施いたしました。その改良版による再試験も行ったことにより、実用化に向けての要求性能の評価が完了いたしました。今後、早期の量産化に向けて取り組みを進めてまいります。

④ 室圧制御技術

 当社では製薬工場などで必要とされる室圧制御技術の開発を実施し、これまで統合室圧制御装置タイコム、外風圧除去装置等の技術を提供してまいりました。これらの技術により、製造環境の安定化は大幅に向上いたしました。しかしながら、台風時などの強風や風向の変動が大きい場合、製造環境が所定の条件から逸脱する場合があります。当社は、これらの気象条件においても製造環境が維持できるシステムの開発を行っております。

 当連結会計年度は、室圧制御のカギとなる設備である、圧力制御ダンパー、変動の物理的な抑制技術に着目し、室圧変動の改善効果について検証いたしました。

 圧力変動を周波数分析したところ、圧力制御ダンパーは周波数の低い領域では変動抑制効果を発揮していましたが、比較的高い周波数領域では、変動に追従できておらず、制御ができていませんでした。この部分を改善するために、単純適応制御(当社の環境試験室等でも利用している制御技術)を導入した結果、低い周波数から高い周波数まで圧力制御ができていることが確認できました。

 同様に、高い周期の変動を物理的に吸収するために、変動に合わせて可動する部分を設けた圧力変動抑制チャンバーを導入し、高い周波数領域の変動の影響を低減できることが確認できました。

 これらの技術検証のため、技術開発センター内に専用検証室(Nicomac Taikisha Clean Rooms Private Limited社製パネル利用)を設け、その効果を確認いたしました。検証結果をもとに、顧客環境でのフィールド試験を実施する計画です。

 今後は外乱に強い室圧制御技術をPRしながら多くの顧客への導入を目指すとともに、いかなる状況でも製造環境を維持できるシステムを目指して開発に取り組んでまいります。

(2)  塗装システム事業

 当連結会計年度における研究開発費の金額は633百万円であります。

① 水素バーナー乾燥炉開発

 自動車製造工場において塗装工程からのCO2排出量は非常に高い割合を占めており、当社では塗装設備からのCO2排出量削減に対し、様々な取組みを行っております。2021年には自動車塗装工程における1台あたりCO2排出量を65kg-CO2/台まで削減し、2030年以降には50kg-CO2/台を達成することを目標としております。これは2050年温室効果ガス実質ゼロを見据えた再生可能エネルギーや水素燃料など、エネルギー供給側の転換や塗装工程の進化を加味した目標値であり、水素燃料の塗装工程への導入や、塗装設備のオール電化の取組みも進めております。

 自動車塗装工程で排出されるCO2のうち約37%が塗装ブース、約24%が塗装乾燥炉から発生しておりますが、これは自動車の塗装品質を確保するために塗装ブース内温湿度の熱源や塗膜乾燥に必要な乾燥炉の熱源に、多量の天然ガスを消費するためです。昨今、CO2を排出しないエネルギーとして水素燃料が注目されており、水素燃料の活用技術の革新も進んでおります。当社では2022年度に水素用バーナーを用いた設備をテクニカルセンターに導入し、水素燃料による塗装設備の商品化のためのNOx、水分などの発生影響への対処、安全性の検証などを進めており、顧客への導入準備も始めております。

 引き続きカーボンニュートラル実現へ向けてエネルギー変革や塗装工程の進化に対応し、顧客の要求に応えられるシステムを開発推進してまいります。

② 少風量ブース「i-LAVB」の開発

 当社の主力設備である塗装ブース設備の稼働によるCO2排出量は、前述のとおり、自動車塗装工場全体の約37%を占めております。そこで近年ニーズが高まっている環境負荷低減技術として、この度ブース給気量を削減し、同時にCO2排出量の削減が可能な少風量ブース「i-LAVB」を開発しました。

 少風量ブース「i-LAVB」は、ブース天井部に配置した半円ダクトからのコントロールされた局所給気によって、より少ない風量で従来の塗装ブースと同等の塗装環境を作り出すことができます。現在、多くの顧客から問い合わせがあり、すでに一部では導入も始まっております。

 さらに現在、従来の少風量ブース「i-LAVB」の半円ダクトで培った技術を発展させ、様々な部品ラインに適応可能な小型の少風量ブースの開発も進めております。シンプルな形状とすることで、局所気流のコントロール性の向上及びメンテナンス性の向上を実現しております。

 同技術を導入することで、より幅広い分野で温湿度制御に必要な空調エネルギー及びCO2削減が可能となります。

 今後も継続して省エネルギー・環境負荷低減技術での社会への貢献を目標に「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けた開発を推進してまいります。

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