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企業概要

 当社グループは、社会及び顧客の多様なニーズに応えるため、環境保全、エネルギー対策等の社会に貢献する技術や、生産性向上、品質確保、コストダウン等に資する工法や技術のほか、事業領域の拡大を図るための技術開発など多岐にわたる分野の研究開発活動を実施している。

 また、研究開発活動の幅を広げ、効率化を図るため、国内外の大学、公的研究機関、異業種企業との技術交流、共同開発も積極的に推進している。

 当社グループの当連結会計年度における研究開発に要した費用の総額は153億円であり、主な研究開発成果は次のとおりである。

 なお、当社は研究開発活動を国内建築、海外建築、国内土木、海外土木、不動産及びその他の各セグメントには区分していない。

(1) 当社

① 製造工程でのカーボンネガティブを実現する「クリーンクリートN®」を開発

 カーボンニュートラルを実現するためのコンクリート技術として、カーボンネガティブ(CO2排出量を実質ゼロ以下に抑える)と廃棄物削減を実現する「クリーンクリートN®」を開発した。

「クリーンクリートN®」は、製造時のCO2排出量を最大で80%削減できる「クリーンクリート®」(2010年開発)に、CO2を吸収し固定化した炭酸カルシウムを主成分とする粉体を混ぜ合わせ、その比率によりCO2排出量を差し引きゼロからマイナスにできるもので、プレキャスト製品だけでなくコンクリートプラントで製造、現場打設ができ、鉄筋コンクリートの材料として工事適用を目指す。加えて混合する粉体は、コンクリート産業から発生するセメント系廃棄物を原料としているため、CO2の排出量削減と同時に廃棄物の削減にも貢献できる。

② 金属箔複合シートによる不燃化LIMEX製天井材を開発し、国土交通大臣が定める不燃材料認定を取得

 金属箔複合シートによる不燃化技術と石灰石を主原料とした素材LIMEX(ライメックス)(※)を利用した天井材を、㈱TBMと共同で開発し、国土交通大臣が定める不燃材料認定を取得した。

 建物の天井は用途や規模に応じて建築基準法に基づき、燃えにくい材料を用いる必要があるため、多くの天井には金属パネルや石膏ボードが使用されているが、これらの天井材は重く、震災時などの落下による被害が想定されるため、東日本大震災以降、安全・安心な天井材へのニーズが高まっている。

LIMEX製天井材は、3層中空ハニカム構造に成形加工した軽量な中空シートの表面に、不燃材料である金属箔複合シートを貼ることで、一般的なアルミ天井パネルの半分以下の重量を実現しており、震災時の安全性向上と施工コストの低減に貢献する。また、LIMEXは、従来のプラスチックと比較して製造時のCO2排出量を削減できるほか、表面の金属箔複合シートを剥がすだけで基材と分離でき、LIMEXとしてのマテリアルリサイクルも可能であるため、環境負荷も低減することができる。

※ LIMEX(ライメックス):LIMEXは㈱TBMが開発した石灰石を主原料とした素材で、炭酸カルシウムなど無機物を50%以上含む、無機フィラー分散系の複合素材。プラスチックや紙の代替製品として、石油や水、森林資源等枯渇リスクの高い資源の保全に貢献する。使用後はリサイクルが可能。

③ 日本初の高層純木造耐火建築物「Port Plus®」の建設に耐火木造技術「オメガウッド®」や高い剛性・耐力・靭性を有する「十字型の剛接合仕口ユニット」を適用

 当社は、全ての地上構造部材(柱・梁・床・壁)を木材とした日本初の高層純木造耐火建築物「Port Plus®」の建設において、当社独自の木造建築に関する開発技術である耐火構造材「オメガウッド®」及び高い剛性・耐力・靭性を有する「十字型の剛接合仕口ユニット」を適用した。

「オメガウッド®」は、㈱シェルターとの技術協力により開発した耐火木造技術である。木材に燃え止まり層(耐火層)として石膏ボード、燃えしろ層として木材を設けることで、3時間耐火までの木造建築が可能となった。

「十字型の剛接合仕口ユニット」は、接合具と接着剤で木材を接合するGIR工法(Glued in Rod)と、柱と柱を貫通させて連なる貫構造を組み合わせた3層構成で、柱と梁の接合部の剛性・耐力・靭性を確保する接合法である。

 当社は、上記の開発技術を適用することで、木材の耐火性と耐震性を確保しつつ、CO2排出量を削減する、環境に配慮した木造建築の施工を実現した。

④ 渋滞防止に貢献する工事車両管理支援システム「FUTRAL®(フュートラル)」を開発

 工事車両の建設現場への入退場予定や走行記録を可視化し、渋滞の防止や現場作業の円滑化に貢献する工事車両管理支援システム「FUTRAL®」を開発した。大阪府大阪市此花区夢洲内の2つの建設現場で工事車両管理における有用性を実証した。

 建設現場では資機材を運搬する多量の工事車両が日々入退場することから、周辺道路の渋滞や通行禁止エリアの通行を防止するためには、工事管理者が特定の時間に工事車両の入退場が偏らないように調整し、通行ルートの順守を徹底する必要がある。しかし大規模開発プロジェクトにおいては区域内に複数の建設現場が近接して稼働しているため、現場間での調整が必要で時間と手間がかかる。

 「FUTRAL®」は、個々のシステム上で行う工事車両の入退場予約、位置や移動状況の把握、メッセージの送受信などのデータをダッシュボード上で集約・加工することで、工事車両管理に必要な情報を表示できるシステムである。工事管理者は、「FUTRAL®」を通じて複数現場の入退場予定を確認しながら、通行ルートごとに渋滞発生を回避するための調整や指示ができる。また、複数の施工会社で一つのプロジェクトを管理する場合は、入退場予定に関するデータを各社のシステムを通じて連携させることが可能である。

⑤ 3Dプリンターとロボット打設技術によるコンクリート構造物の自動化施工システムを開発

 セメント系材料を使用した3Dプリンターによる外殻製造技術と、コンクリートの吹き付けまたは流し込みをロボットにより行う技術を用いた、コンクリート構造物の自動化施工システムを開発した。

 本自動化施工システムは、セメント系材料を使用して3Dプリンターで外殻をプリントし、コンクリートの打設経路をプログラミングしたロボットアームで、コンクリートを吹き付けまたは流し込むことにより、コンクリート構造物を自動で施工するものである。本システムにより、従来、コンクリート構造物の製造において必要であった鋼製型枠の製作・組み立て・解体作業やコンクリート打設作業が不要となり、従来の3分の1まで省力化が可能となるほか、コストダウンにもつながる。

⑥ コンクリート打設時の先送りモルタルが不要な「ノンモルタル工法®」を開発

㈱エコスティックと共同で、コンクリート打設時の先送りモルタルが不要になる「ノンモルタル工法®」を開発した。

 従来、ポンプ車で圧送を行うコンクリート打設は、配管が詰まることを防ぐために、モルタルを先行材として使うことが一般的で、それら全てが産業廃棄物として処分され、廃棄されるモルタルは国内建設現場全体で年間60万m³(当社試算)、また、原料であるセメントの生産時CO2排出量は年間23万t(当社試算)に上る。

「ノンモルタル工法®」では、圧送整流プラグを配管の先頭部に設置することで、プラグの強い配管抵抗により疑似的に配管内を満水状態にし、生コンクリートを構成する水・セメント・砂・砂利の流れが制御されるため、先送りモルタルがなくても配管の詰まりを防ぐことが可能となる。また、内面が平滑化されたハイブリッド配管を使用することで接続部の伸縮やブームの揺れを防ぎ、配管内が詰まらず高品質なコンクリートを打設することができる。

⑦ シールドマシンカッタービットの摩耗状況を色と匂いで知らせる「摩耗検知ビット」を開発・実用化

 トンネル工事で使用されるシールドマシンカッタービットの摩耗状況を色と匂いで知らせる「摩耗検知ビット」を開発し、実用化した。

 シールド工法では、多数のカッタービットを装備したカッターを回転させることで地盤を切削するが、カッタービットは掘進に伴い摩耗し、そのまま使い続けるとカッターが損傷して掘進不能となる。摩耗状態を電気の導通や油圧の低下により把握する従来の方式の摩耗検知ビットでは、摩耗情報をシールドマシン内に伝達するためのケーブルや配管が必要であり、配置スペースの制約から摩耗検知ビットを多数装備できず、ビットの摩耗が想定以上に進行していることがあった。

 今回開発した方式の「摩耗検知ビット」は、カッタービットが摩耗すると染料や香料を噴出させ、掘削土砂に付着した色や匂いで摩耗状況を把握できるものであり、シールドマシンから離れた位置でもカッターの健全度を容易に確認できるほか、装備のためのケーブルや配管が不要になり、多数の摩耗検知ビットを装備することができるため、従来方式より正確に摩耗状況を評価し、カッタービットに起因するトラブルを未然に防止できる。

⑧ 山岳トンネル工事におけるロックボルト遠隔打設専用機「ロボルタス®」を開発

 山岳トンネル工事におけるロックボルト打設作業を遠隔操作で行うことができるロックボルト遠隔打設専用機「ロボルタス®」を開発した。

 ロックボルト打設作業は掘削後の山岳トンネルを構造的に保持するために行う支保工の一つである。この作業は、作業員が切羽付近での騒音や粉じんなどにさらされながら、重量物であるロックボルトを取り扱う過酷な作業であるうえに、作業員の技量で施工スピードや品質が左右される。

 「ロボルタス®」は、山岳トンネル工事におけるロックボルト打設に必要な、削孔からのモルタル注入、ロックボルト挿入までの一連の作業を遠隔操作で行うことができ、機械化による安全性向上、高品質確保及び作業の省人化を実現した。

⑨ 苗木を安定的に栽培、育成する「人工光苗木育成技術」を開発

 木造建築物の構造部材として利用可能なカラマツをはじめとした苗木を、室内で人工光による環境制御を行い安定的かつ効率的に育成する技術を開発した。

 植林用苗木の生産は従来より露地栽培で行うため、天候に左右されて発芽率や育苗期間が変化し、発芽率が10%まで低下する場合もあるなど育成数量が安定しないことが課題であった。

 「人工光苗木育成技術」では、室内で苗木を育成し人工光による環境制御を行うことで、環境や季節にとらわれず、植林に適した苗木を出荷時期に合わせて育成し、安定的に供給することが可能となる。本技術における幼苗期の発芽率は、60~70%程度に安定し、かつ根元が太く植林後も順調に根付く苗木を育成することができる。また、室内栽培により、冬季も含めて育苗期間と育成数量が安定するため、植林用苗木を、必要な出荷時期に必要な出荷量で確保することができる。

(2) 大林道路㈱

 ダンプトラック等荷台設置製品「楽フロン」を開発

 高い滑りやすさをもったフッ素樹脂板で表面を覆ったステンレスをダンプトラックの荷台隅角部に取り付けることで、土砂類を積み下ろす際の残土を削減する製品「楽フロン」を㈱ヒロテック、大蓉ホールディングス㈱と共同開発した。

 通常のダンプトラックでは荷下ろし時の土砂付着率が10%程度とされ、運搬効率の悪さなどが問題となっている。

 本製品をダンプトラックの荷台に設置することで、付着残土を大幅に減らすことができ、荷台清掃を効率化できるだけでなく、運搬効率の向上やそれによる燃料の削減、CO2排出の削減効果が得られる。

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