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企業概要

DNPグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は次のとおりであります。

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、DNPグループが判断したものです。

(1)会社の経営の基本方針

DNPグループは、サステナブルな社会の実現を目指し、「人と社会をつなぎ、新しい価値を提供する。」ことを企業理念に掲げています。この理念に基づき、持続可能なより良い社会、より心豊かな暮らしを実現するため、長期を見据えて、自らがより良い未来をつくり出していく事業活動を展開していきます。

 さまざまな活動を通じて、社会課題を解決するとともに、人々の期待に応える新しい価値を創出し、それらの価値を生活者の身近に常に存在する「あたりまえ」のものにしていきます。人々にとって「欠かせない価値」を生み出し続けることで、DNP自身が「欠かせない存在」になるように努めており、こうした姿勢を「未来のあたりまえをつくる。」というブランドステートメントで表明しています。

 経営の基本方針に沿った取り組みを通じて、持続的に事業価値・株主価値を創出していきます。事業活動の評価指標としてROEとPBRを用いて、価値向上の達成状況を評価していきます。

(2)中長期的な会社の経営戦略

DNPグループは、経営の基本方針に基づき、2026年3月期を最終年度とする3か年の新しい中期経営計画を2023年4月から実行しています。この計画では、「事業戦略」を中心に持続的な価値創出の具体策を実行するとともに、それを支える経営資本の強化に向けて「財務戦略」と「非財務戦略」を推進し、事業価値・株主価値を高めていきます。

<三つの戦略>

〔1:事業戦略〕

〔1-1:中長期の事業ポートフォリオの考え方〕

 新しい「事業戦略」では、「市場成長性・魅力度」と「事業収益性」を基準に、目指すべき中長期の事業ポートフォリオを明確に示しました。「市場成長性・魅力度」が高い「成長牽引事業」と「新規事業」を「注力事業領域」と位置付けています。この「注力事業領域」の五つの事業に集中的にリソース(経営資源)を投入し、必要な組織・体制なども十分に整備して、利益の創出を一層加速・拡大させていきます。また、コアバリューの進化と深耕、独自の強みを持った企業に対するM&A、DNPならではの社会・関係資本である多様なパートナーとの共創などによって、「NO.1」を獲得していく戦略を推進していきます。

*成長牽引事業:デジタルインターフェース関連、半導体関連、モビリティ・産業用高機能材関連

*新規事業:コンテンツ・XRコミュニケーション関連、メディカル・ヘルスケア関連

 一方で、市場成長性・魅力度の伸び率は低水準ながら収益性の高い「基盤事業」は、事業効率を高め安定的にキャッシュを生み出していきます。また、市場成長性が低く収益性の厳しい「再構築事業」については、生産能力や拠点の縮小・撤退を含めた最適化を進めるとともに、注力事業領域へのリソースの再配分や、その中でも強みを持つ製品・サービスの強化による構造改革を推進していきます。

*基盤事業:イメージングコミュニケーション関連、情報セキュア関連

*再構築事業:既存印刷関連、飲料事業

〔1-2:各セグメントにおける戦略〕

 事業領域とその戦略をより明確化し、具体的な施策の実行を加速させるため、セグメントの名称を2023年度から、「情報コミュニケーション部門」を「スマートコミュニケーション部門」に、「生活・産業部門」を「ライフ&ヘルスケア部門」に変更します。それにともない、快適な人々の暮らしに一層寄与していくため、関係の深い「飲料事業」を「ライフ&ヘルスケア部門」に移行し、「飲料部門」のセグメントを廃止します。

〇スマートコミュニケーション部門

 当部門では、投下資本とキャッシュ創出のバランスを見ながら効率的・効果的な投資を行うほか、DNPのコアバリューを活かし、国内外の企業との協業・サービス開発を進めていきます。また、「再構築事業」の紙メディア印刷関連は、市場規模に対応した合理化・適正化を進めます。

 当部門の「注力事業領域」である「コンテンツ・XRコミュニケーション関連」では、リアルとバーチャルの空間をシームレスかつセキュアに行き来できる世界を実現し、人々の体験価値を拡大していきます。日本だけでなく世界中の多様なIP(Intellectual Property:知的財産)ホルダーやクリエーターとのネットワーク、アーカイブ事業や情報セキュア関連事業で培った高精細画像処理技術や版権処理の実績と信頼、そして、個人や情報を安全に認証しながら大量のデータを流通させ、複雑なビジネスプロセスを統合・最適化させる能力などのDNPならではの強みを活かしていきます。また、着実に事業収益を積み上げる「基盤事業」として、写真プリント等の多様な製品・サービスをグローバルに展開する「イメージングコミュニケーション関連」、企業・団体等の最適な業務プロセスを設計して関連業務を受託するBPO事業、国内トップシェアのICカード関連事業、各種認証サービス等の「情報セキュア関連」事業を推進します。

 具体的な施策としては、「イメージングコミュニケーション関連」や、「情報セキュア関連」ではグローバルでの拡大投資を進めるほか、企業や自治体の業務効率化、DX化のニーズを捉えたBPO事業の拡大も図ります。「コンテンツ・XRコミュニケーション関連」では、国内外の多数のパートナーとの連携を深めて、新規市場を創出していきます。

〇ライフ&ヘルスケア部門

 当部門の「注力事業領域」の一つである「モビリティ・産業用高機能材関連」では、世界シェアトップのリチウムイオン電池用バッテリーパウチのEV向けのグローバル拡大展開を積極的な設備投資で推進します。この製品と、モビリティ(移動用車両)用の多様な内外装加飾材を起点として、2040年、2050年に向けてEVの航続距離の延伸や自動運転、快適な移動空間の実現に取り組んでいきます。もう一つの「注力事業領域」である「メディカル・ヘルスケア関連」では、出版・包装・半導体等の事業で培った画像処理技術やカラーマネジメント技術、無菌・無酸素充填技術、ミクロ・ナノ造形技術や精密有機合成技術などを掛け合わせて、原薬製造、製剤、剤形変更、医療パッケージ製造などの製薬サポート事業を展開します。また、画像診断やオンライン診療などのスマートヘルスケア事業の拡大に努め、人々の健康寿命の延伸に貢献していきます。

 一方、競争の厳しい包装関連事業等では拠点の再編などによる収益性の改善・向上を図るとともに、DNP-IB(Innovative Barrier)フィルム等の独自製品や環境配慮包材の拡大による構造改革を進めます。

 具体的な施策としては、リチウムイオン電池用バッテリーパウチの米国拠点検討やバリアフィルム、環境配慮包材等のグローバル供給能力拡大のほか、メディカル・ヘルスケア関連では、社外のパートナーとのシナジー最大化などにも取り組んでいきます。

〇エレクトロニクス部門

 当部門では、積極的な設備投資を推進するほか、コアバリューを活かした新製品開発や、社外のパートナーとのアライアンスによる半導体サプライチェーンへの提供価値拡大などにより事業を拡大していきます。

 当部門の「注力事業領域」の一つである「デジタルインターフェース関連」では、有機ELディスプレイ製造用メタルマスクやディスプレイ用光学フィルムなど、グローバルシェアNO.1の製品を中心に、技術革新の潮流を活かし、リアルとバーチャル、アナログとデジタルをつなぐことで新しい価値を創出していきます。もう一つの「注力事業領域」である「半導体関連」では、自動運転や遠隔教育・遠隔医療、クラウド環境やデータセンターなど、データ流通量がワールドワイドで飛躍的に増大するなかで、半導体サプライチェーン全体に不可欠なファインデバイスを開発・提供していきます。

〔2:財務戦略〕

 持続的な事業価値と株主価値の創出に向けて、財務の安定性を維持した上で、キャッシュを成長投資に振り向けるとともに、株主還元にも適切に配分していきます。

〇キャッシュ・アロケーション戦略

「注力事業領域」への積極的な投資と既存事業の効率化を推進することで、成長投資の原資となる営業キャッシュ・フローを安定的に創出していきます。資産効率の改善に向けて、政策保有株式の売却を加速し、遊休不動産の縮減に着実に取り組んでいきます。また、有利子負債の活用を含む、適切な資金調達方法を検討するなど、資金効率の最大化に努めていきます。

 創出したキャッシュは、「注力事業領域」に集中的に投資を行うとともに、経営基盤の構築に向けた投資にも配分していきます。長期にわたって企業活動を推進し、社会や人々に価値を提供していくために、成長投資の推進と株主還元のバランスを考慮した上で、株主還元にも積極的に配分していきます。

〔3:非財務戦略〕

〇人的資本の強化

DNPグループは、2022年に「人的資本ポリシー」を発表し、これに基づいて積極的に進めている「人への投資」をより明確に企業価値の向上に結びつけていくため、グローバルでの「人的創造性(付加価値生産性)」を飛躍的に高めていくことを目指し、以下の取り組みを進めていきます。

 価値創造に向けた社員のキャリア自律支援と組織力の強化に向けて、DNP版「よりジョブ型も意識した処遇と関連施策」を展開しており、複線型のポスト型処遇とキャリア自律支援に向けた人的投資、競争力の高い報酬水準・体系の維持・確保、組織開発の充実などを進めています。

 また、「DNPグループ健康宣言」に基づき、多様な個の強みを引き出すチーム力の強化とマネジメント改革に向けて、「DNP価値目標制度(DVO制度:DNP Value Objectives)」の浸透や組織のエンゲージメントを高める施策を展開し、社員の幸せ(幸福度)を高める健康経営を推進します。

 事業戦略に対する適材適所の実現については、タレントマネジメントシステムを活用したICT人材・DX人材のスキルレベルの可視化や、人材ポートフォリオに基づく採用・育成、人材再配置に必要となるリスキリングの強化を進めていきます。

DNPグループはまた、多様な社員を活かし、一人ひとりの強みを掛け合わせることが価値の創出に欠かせないと考え、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の推進に取り組んでいます。D&I推進の基本方針である「多様な人材の育成」「多様な働き方の実現」「多様な人材が活躍できる風土醸成」の具現化に向けた施策を進めていきます。

〇知的資本の強化

DNP独自の強みと社外のパートナーとの連携を活かして、知的資本を強化していきます。

 研究開発の方針として、DNPがつくり出したい“より良い未来”の姿を描き、それを起点とした“未来シナリオ”を実現していくため、独自の技術を強化し、新製品・新サービスの開発・提供につなげていきます。「注力事業領域」を中心とした新規テーマの創出、基盤技術の強化と新製品開発、オープンイノベーションによる戦略的な技術の獲得と製品化・事業化などを推進していきます。また、ライフ&ヘルスケアの領域を中心とした海外展開の加速や、海外マーケティング・研究開発の強化にも努めます。これまで多様な事業で獲得してきた特許等の知的資本の新製品・新サービスの開発への展開、社内外の強みを積極的に掛け合わせる組織風土の構築などにより、既存事業と新規事業の両方で新しい価値を創出していきます。

DNPグループにとってのDXは、アナログとデジタル、リアルとバーチャル、モノづくりとサービスなど、両極端ともいえる強みを融合し、独自のビジネスモデルや価値を生み出すことだと位置付けています。この基本方針に沿って、新規事業の創出と既存事業の変革、生産性の飛躍的な向上、社内の情報基盤の革新などを進めていきます。

〇環境への取り組み

DNPグループは常に、事業活動と地球環境の共生を考え、環境問題への対応を重要な経営課題の一つに位置付けています。「価値創造(事業の推進)」と「基盤強化」の両輪で環境課題の解決に取り組むことで、「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現に貢献していきます。

「価値創造(事業の推進)」については、環境負荷の低減と事業の付加価値の向上をともに実現する事業ポートフォリオへの転換、環境をテーマとした新規事業の創出、低炭素材料・素材の開発・活用、製品単位のCO排出量の算定と削減、循環型社会に向けたリサイクルスキームの構築、リサイクル材の活用促進などに取り組んでいきます。

「基盤強化」では、環境負荷の見える化、再生可能エネルギーの導入、環境負荷を考慮した省エネ設備への投資、生産拠点の最適化、プラスチックを中心とした資源の効率的な利用、原材料のトレーサビリティの確保、生態系への負荷の低減などに取り組んでいきます。

〔4:ガバナンス〕

DNPグループは、環境・社会・経済の急激な変化等、経営に大きな影響を与えるリスクを評価して中長期的な経営戦略に反映し、また、そのリスクを事業機会に転換していくプロセスの強化に取り組んでいます。

 この取り組みを一層加速させるため、2022年4月に代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を始動させました。「サステナビリティ推進委員会」は、中期経営計画を実行していく過程で、環境・社会・経済の急激な変化をとらえて、適切に経営戦略に反映すべく、経営会議・取締役会に報告・提言していきます。

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