文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループでは、2020年度におけるマネジメント体制の刷新を機に、2030年度までの中長期ビジョン「DNE W
AY」を策定し、「すべてのステークホルダーから信頼され、期待され、愛される企業集団を目指し、技術とアイデ
アで社会に貢献する」という企業理念の実現に向け、新たな一歩をスタートしました。この「DNE WAY」では、
2021年からの3年間をPhase1と位置付け、「収益力向上による経営基盤の強化」及び「従業員一人一人が『挑戦』で
きる環境の整備」を事業方針として取り組んでおります。また、中期経営計画最終年となる2023年度の経営方針は、
4つの重点施策『①利益率の向上 ②生産体制の強化と生産性向上 ③健康経営の推進と人材育成 ④SDGs、E
SG推進』を掲げ、全社一丸となり日々業績向上に向け取り組んでおります。
(2)経営環境
当社グループの主たる事業は、車載機器、医療機器、産業機器(半導体製造装置)、オフィス機器、社会生活機
器、その他機器に使用するプリント配線基板への電子部品実装部門と、実装したプリント配線基板も含めた機構組立
部門(最終製品に組み込まれるユニット)を有するEMS(エレクトロニクス・マニュファクチャリング・サービ
ス)であり、EMS業界は次々に新しい電子機器が誕生し続けていること、また、大手セットメーカーにおける開発
設計部門への特化傾向等により需要は年々増加しており、市場規模は今後も拡大が見込まれております。
一方、欧米におけるインフレ抑制のための金融引き締め、ウクライナ情勢長期化によるロシア制裁継続等、世界経
済全体が停滞感を強め、不確実性が高まるとともに、国内外における労働力不足、各種原材料価格高騰の影響等、
EMS業界を取り巻く経営環境は年々厳しさを増しております。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
(前期の振り返り)
上記のような経営環境において、2021年度スタートの中期経営計画に基づき、①経営基盤の強化、②経営基盤の拡
充、③人材育成に対する取組強化を優先的に対処すべき課題として取り組んでまいりました。各課題に対する昨年
度の主な取組内容は次の通りであります。
① 経営基盤の強化
・中国の深圳子会社の工場を閉鎖し恵州子会社に生産移管(2022年5月)
・第三者割当増資の実施(2022年11月)
2022年12月期末連結自己資本比率:17.7%(2021年12月期末:16.2%)
・中国の無錫子会社と恵州子会社の生産体制を一元管理(2022年12月)
・外部コンサルタントを交えた生産改善活動(継続実施)
② 経営基盤の拡充
・ベトナム現地法人量産スタート(2022年4月)
・JAXA革新的衛星技術実証4号機の実証テーマに選定(2022年9月)
実証テーマ:超小型宇宙機用インテリジェント電源ユニットの軌道上実証
・中国の「無錫栄志電子有限公司」の出資持分58.0%を取得し子会社化(2022年11月)
・カーボンニュートラル宣言に向けた準備
温室効果ガス算定基準である「GHGプロトコル」に準拠してスコープ1.2の数値を算定(2022年11月)
太陽光パネル自家発電(2022年実績:234,296kWh)
「とちぎ SDGs推進企業登録制度」への登録(2022年10月)
③ 人材育成に対する取組強化
・ジョブ型人事制度の導入(2021年10月試行、2022年4月運用開始)
・健康経営推進(メンタルヘルス相談窓口設置、工場毎に目安箱設置、ストレスチェック他)
(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
当社グループを取り巻く経営環境も半導体不足、中国経済の停滞、競争の激化等、厳しい状況が続くと見られますが、中期経営計画(2021年~2023年度)の最終年として、①経営基盤の強化、②事業領域の拡充、③人材育成に対する取組強化、④SDGs/ESG経営の推進を対処すべき課題として取り組んでまいります。なお具体的な内容につきましては次の通りです。
① 経営基盤の強化
ア.生産効率の向上
生産効率向上を目的とするQMS(Quality Management System)すなわち生産革新活動が最重要課題であると
の認識の下、生産効率の向上に向け当社グループを挙げて取り組んでおります。外部コンサルを交えた生産改善
活動を継続するとともにQMS生産革新活動がグループ全体の企業文化として定着するよう引き続き注力してま
いります。
イ.購買部門強化と在庫管理の徹底
EMS事業を拡大していくうえで電子部品の購買・在庫管理は、生産効率と並ぶ最重要課題であります。最も
基本的な顧客要求であるQCD(品質、コスト、納期)に対応するため、外部プロ人材を招聘し新たに営業部
門、海外拠点とも連携する購買センターを立ち上げ、購買力強化と顧客対応力向上を図ってまいります。
また、在庫管理手法のあるべき姿を再構築するため、全社横断的なプロジェクトチームを組成いたしました。
本プロジェクト推進により、グループ全体として電子部品・補助材料を適時・適量・適切価格で購入、在庫管理
できる仕組みの再構築を図ってまいります。
ウ.海外子会社の効率化
当社グループの海外製造拠点は2022年11月より「無錫栄志電子有限公司」が加わり、中国/無錫(2ヵ所)・恵
州、タイ/チョンブリ、ベトナム/ハノイの5拠点、香港には部材調達・製品販売機能を持った拠点を配してお
り、各拠点が立地する産業クラスターに合わせた事業展開をしております。
今後は、特に中国における生産体制の一元管理を加速させ、生産ノウハウ共有による生産効率の向上と重複す
る機能(管理部門等)のスリム化による管理コストの削減を目指してまいります。
エ.自己資本の充実
2022年12月期末での連結自己資本比率は17.7%となっており、この引き上げが喫緊の課題となっております。そ
のため、国内・海外グループが安定的に利益を確保する体制を再構築するとともに、製品・仕掛品・原材料の
適正在庫水準維持に注力すること、また、資産のオフバラ化による負債の圧縮を検討・実施すること等によ
り、財務の安全性の判断基準となる自己資本比率の向上を図ってまいります。
オ.品質向上・環境対応への取組み
顧客の多層化推進の観点から、車載機器・医療機器等高い品質保証レベルを求める顧客獲得のために、先ず各
製造拠点のターゲット顧客の要求に即した特定業種向けISOマネジメント・システムの定着を進め、もう一
段レベルアップした品質保証体制の確立を目指してまいります。環境対応については、社会的にも環境問題が
大きく取り上げられ、顧客からの環境関連の要求が急増している中、当社グループとして迅速かつ効率的に環
境対策に取組むことができる体制を構築することは、当社の強み=顧客からの信頼につながるばかりでなく、
各種環境関連法規に抵触しないための予防対策(=潜在的リスクの軽減)としても有効であると認識し、ISO
14001に基づいた全社的管理体制をさらに強化してまいります。
② 事業領域の拡充
ア.顧客の多層化
車載向け液晶パネルに強みを持つ「無錫栄志電子有限公司」の既存顧客ネットワーク活用により、中国国内は
もとより、アセアン地区(タイ・ベトナム)における新規顧客獲得等、顧客多層化に向けたシナジー効果を発
揮してまいります。
また、海外における資本提携も視野に入れた車載ビジネス拡大を目指すとともに、国内で取得した医療ISO
13485をベースに医療機器分野における高付加価値製品の受注拡大を目指してまいります。さらに、リチウムバ
ッテリーリユース事業や航空宇宙関連事業等、比較的新しい産業分野での受注獲得も目指してまいります。
イ.開発製造型EMS機能の拡充
当社グループは電子部品実装技術という製造力をベースに、顧客に対して新製品立上げの設計段階から関与
し、調達・製造・物流まで受託するEMSとして発展してまいりました。2023年1月には、開発設計案件の受注
獲得を強化するため開発・設計室を開発事業本部に組織改編いたしました。これまで以上に開発製造型EMS
機能の拡充を図ってまいります。また、グループ会社の株式会社NCネットワークファクトリーが保有する車
載や産業設備向けを中心とした小ロット部品に関する開発力を活かし、当社グループを最先端の顧客ニーズに
フレキシブルに対応できる新しい形のEMSに進化させ、企業価値の向上を図ってまいります。
ウ.アライアンスの推進
当社グループはこれまで自社単独では取り組めないような事業を、パートナー企業や団体の力を活用し行って
きました。今後もアライアンス推進による新規事業開始や事業拡大を図るとともにパートナー企業の優れたノ
ウハウ吸収に努め、当社グループのレベルアップに努めてまいります。
③ 人材育成に対する取組強化
ア.人事制度再構築
昨年、ジョブ型人事制度の本格運用を開始いたしましたが、当期はさらに専門人材の獲得を目的とした報酬制
度の導入、従業員満足度向上を目的として退職金制度の見直しを実施いたします。社員一人ひとりのやる気を
伸ばし、全ての社員が持てる能力を最大限に発揮することにより当社グループの持続的な発展を目指してまい
ります。
イ.健康経営への取組
社員の心と身体の健康づくりに向けた保健指導やメンタルヘルス対策、ノー残業デーや有給取得率の向上を推
進することにより、社員のエンゲージメントとモチベーションの向上に繋げ、会社組織の活性化を図ってまい
ります。
ウ.教育・研修プログラムの拡充
新たな階層別研修及びWEB研修等をさらに充実させることにより、個人の成長を促し組織の成長に繋げてま
いります。
④ SDGs/ESG経営の推進
ア.SDGsへの取組
経営を取り巻く環境が激変する中で社会と共生しながら新しい世界で創出される事業機会を獲得し、企業価値
の向上を目指してまいります。また、社会や地域に貢献する活動を通し役職員に様々な気付きの機会を与え、
企業活動の本質は社会貢献であることへの理解を深めてまいります。
イ.ESG経営の推進
具体的な取組内容は次の通りです。
E:カーボンニュートラルの推進、リチウムバッテリーリユース事業による環境に良いモノづくり推進
S:地域公園や直売所の運営による地域活性化や貢献、ワークライフバランスへの取組強化
G:監査等委員会設置会社としてのガバナンス強化
ウ.コーポレートガバナンスの強化
当社は不祥事発生防止に向けた体制を強化すべく、2020年度に監査等委員会設置会社に移行いたしました。ま
た、内部監査室を設置し監査機能の強化をしておりますが、コーポレートガバナンスコードに基づき、全ての
ステークホルダーの信頼を更に高めるためコーポレートガバナンスを強化した経営体制の確立に注力してまい
ります。
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