企業兼大株主大和ハウス工業東証プライム:1925】「建設業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループでは、「人・街・暮らしの価値共創グループ」として、社会に役立つ価値の創造を目指し、官公庁、国内外の大学、異業種企業とも密接に連携を図りながら、基礎・応用研究から新技術・新商品開発、これらの新技術の建築物や街づくりへの活用・検証まで多岐にわたる研究開発活動を行っております。

 なお、当連結会計年度の研究開発費は10,427百万円となっております。

 当連結会計年度の主な活動は次のとおりです。

(1) 戸建住宅事業、賃貸住宅事業、マンション事業

・当社は、ZEH-M(※1)に対応した賃貸住宅商品「TORISIA(トリシア)」を発売いたしました。オーナー様の長期安定経営を支えるため、「地球環境・ご入居者・街への3つの持続価値」をコンセプトに掲げ、当社オリジナルの「外張り断熱通気外壁」をはじめ、建物全体を高断熱化するとともに、省エネルギー設備を導入することで、ZEH-M Oriented(※2)を実現いたしました。また、太陽光発電システムを搭載(※3)することで、政府が目指すべき水準(3階建て以下)であるZEH-M、Nearly ZEH-Mの普及促進をしております。あわせて、一次防水に加え、外壁の内部にも防水層を設けた独自の「二重防水構造」を標準採用したことで、構造躯体・防水の初期保証期間を30年(※4)とし、オーナー様の大切な資産を長期にわたりサポートいたします。

※1.ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス・マンションの略称。外皮の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備え、再生可能エネルギー等により、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した集合住宅。

※2.強化外皮基準に適合し、一次エネルギー消費量(再生可能エネルギー等を除く)を20%以上削減した集合住宅。提案内容や一部エリアにおいては対応できない場合あり。

※3.オプション対応。

※4.初期保証30年は、全戸が住宅・賃貸住宅用途の物件に限る。

・当社は、SNSの普及やコロナ禍による住宅展示場への来場者数の減少に伴い、Webサイトを通じて資料請求や情報収集をするお客様が増加(※5)する中、「LiveStyle PARTNER(リブスタイル パートナー)」というデジタル展示場サイトを開設いたしました。当サイトでは、アバター(※6)を用いてお客様と当社担当者がコミュニケーションを図りながら仮想空間上の住宅展示場を自由に見学できる「メタバース住宅展示場」を業界で初めて(※7)公開いたしました。今後もリアルとデジタルを融合し、お客様の理想の家づくりをサポートいたします。

※5.株式会社リクルート「2021年注文住宅動向・トレンド調査」より。

※6.インターネット上の仮想空間で動作するユーザー分身のこと。

※7.当社調べ。

・当社は、株式会社バンダイナムコ研究所と株式会社ノイズの3社で、築90年以上の歴史ある古民家を改装した「XR HOUSE 北品川長屋1930」において、建物とデジタル技術を組み合わせることで創出される新しい価値を検証する共同実証実験を行いました。本実証では「XR(※8)技術」を活用し、リアル世界とバーチャル世界の共生を目指した空間や、「人」の動きに「家」が音と光で反応し、家が人格を持ったように感じさせる空間を創出しております。今後、この実証結果をもとに「少し先の未来の暮らし」を具現化するために、XR技術をどのように社会に実装させていくかを検討し、住宅・建築業界の新しい価値の創出につなげていきたいと考えております。

※8.AR(拡張現実)、VR(仮想現実)、MR(複合現実)といった現実世界と仮想世界を融合する表現技術の総称。

・大和ライフネクスト株式会社(以下「大和ライフネクスト」)は、セントラル警備保障株式会社、セーフィー株式会社とともに、大和ライフネクスト管理受託マンションに対し、遠隔地でも工事品質を担保できる新たなサービスとして、ウエアラブルカメラ(身体等に装着しハンズフリーで撮影することを目的とした小型カメラ)を活用した大規模修繕工事の工事監理業務を実施いたしました。大和ライフネクストの工事監理業務を一部遠隔化し、経験のある工事監理担当者がウエアラブルカメラを活用してリモート監理を実施することで、遠隔地でも大規模修繕工事の品質を担保しながら、担当者の移動経費を削減し、リーズナブルな工事監理の提案が可能となりました。

 なお、当事業に係る研究開発費は4,356百万円です。

(2) 商業施設事業、事業施設事業、環境エネルギー事業、その他の事業

・当社は、工場や倉庫での熱中症対策のため、室内の暑さの原因となる屋根の放射熱(※9)を一般的な折板屋根と比較して80%以上抑制する「低放射折板屋根」を日鉄鋼板株式会社、ニチアス株式会社の技術協力を得ながら開発し、全国36都府県(※10)にて本格運用を開始いたしました(※11)。「低放射折板屋根」は、折板屋根の下面に低放射裏貼材を接着することで放射熱を抑えることができる屋根材です。アルミ系遮熱シートとガラス繊維系断熱材を組み合わせた独自の低放射裏貼材が、日射で高温になった屋根の放射熱を抑制し、室内の暑さを軽減いたします。一般的な折板屋根と同等の高い施工性を維持しつつ、暑さの軽減効果を高めることのできる、費用対効果の高い屋根材です。

※9.物体表面から放出される電磁波(遠赤外線)が他の物体に吸収されて発生する熱のこと。高温の物体ほど強い電磁波を放出する。

※10.北海道、青森県、秋田県、岩手県、山形県、宮城県、新潟県、富山県、石川県、福井県、沖縄県以外の36都府県。

※11.関連特許出願済み。

・当社は、生物多様性の損失ゼロに向けて、生物多様性に配慮した施設整備に取組んでおります。当社で開発中の「Dプロジェクトみえ朝日町」では、中部地方(※12)の物流施設として初、当社の物流施設としても初めて、「いきもの共生事業所認証(ABINC認証)(※13)」を日本トランスシティ株式会社とともに取得いたしました。今後も、生物多様性に配慮した施設整備における知見の蓄積と在来種による緑化等の標準化を図ることで、当社の様々な物件で生物多様性配慮技術の実装を促進し、自然と共生した社会の実現や生物多様性の主流化に貢献してまいります。

※12.新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県。

※13.一般社団法人いきもの共生事業推進協議会(ABINC)が、一般社団法人企業と生物多様性イニシアチブ(JBIB)の開発した「いきもの共生事業所®認証ガイドライン」及び「土地利用通信簿」を評価基準として、高い生物多様性への取組みを評価・認証する制度。

・当社と株式会社フジタ(以下「フジタ」)は、静電気除去機能付エアシャワーと花粉のアレル物質作用抑制効果のある吸着性光触媒コーティング(※14)を組み合わせた花粉症対策空間「リフレッシュエアルーム」を開発し、フジタのグループ会社である藤田商事株式会社が販売を開始いたしました。「リフレッシュエアルーム」については、奈良県立医科大学監修のもと「『リフレッシュエアルーム』を用いた花粉除去及び花粉のアレル物質作用抑制による花粉症症状の軽減効果確認」(※15)に関する共同研究を実施し、花粉症症状のある被験者の同症状軽減による有意なストレス値の低下を確認しております(※16)。今後、ホテルや商業施設の他、事務所等にも展開してまいります。

※14.スギ花粉のアレル物質の作用低減化性能試験を、ITEA株式会社 東京環境アレルギー研究所で実施。コーティング有無のガラス板について、4℃で8時間後のアレル物質の作用成分の濃度を測定。

※15.奈良県立医科大学倫理委員会にて承認された内容。

※16.大和リゾート株式会社が運営するリゾートホテル「THE KASHIHARA」にて、「リフレッシュエアルーム」に15名、「一般客室」に5名の被験者が心拍センサをつけて宿泊した結果。

・当社と大和リース株式会社(以下「大和リース」)、フジタの3社は、建設現場向けの自走掃除ロボットを共同開発いたしました。本ロボットは、作業員による床の清掃作業にかかる労働時間40時間/月に相当する業務の全てを自動化することが可能です。砂利であれば15mm程度、小ねじ・釘なら50g程度のものまで、現場に散乱するさまざまな対象を清掃できます。連続4時間稼働が可能で、一度に最大15リットル分のゴミを回収できます。移動速度は0.5m/sで、1日(8時間)当たり約3,000㎡を清掃できます。これにより、作業の合間に行っていた清掃をロボットが自動で行うことで、作業員が本業に専念できるため、生産性が向上し、衛生的な職場環境の維持も可能となります。また、ロボット本体は、各ユニットに簡単に分割でき、軽量化・小型化して、作業員による持ち運びも可能です。

・フジタは、株式会社センシンロボティクスと共同で、全球測位衛星システム(GNSS)が受信不能な屋内かつ暗所のトンネル坑内等の環境でも、安定したドローンの自律飛行を実現させ、工事の進捗情報収集を自動化する「トンネル坑内自動巡視ドローンシステム」を開発いたしました。本技術では、ドローンに搭載した360度カメラで取得した画像情報を、VR空間が生成できる現場モニタリングシステムと連携させることで、建設現場の各施工段階を網羅的に記録し、BIM/CIMとあわせて施工管理情報を一元化できます。これにより遠隔拠点及び現場内において迅速な情報共有・分析を行うことを可能とし、現場巡視点検の自動化、省人化を実現、業務の効率化・高度化につなげております。

・フジタは、日本コンクリート工業株式会社と共同で、既存杭の撤去孔を効率的に、均質な改良土で埋め戻す「FUNC-RES 工法」を開発いたしました。本工法は、既存杭の撤去孔に堆積した超軟弱土を適切な強さ、かつ均質な土質に改良することで、その後の新設杭打設の施工効率を向上させ、施工期間や施工機械の稼働時間を短縮し、CO2排出量の削減や工事現場周辺の生活環境の負荷低減を実現可能とするものとして開発され、建築技術性能証明を取得いたしました。また、2021年、千葉県柏市内のマンション建替え工事において本工法を採用し、その実効性を確認いたしました。

・フジタは、株式会社三井三池製作所と共同で、山岳トンネルの掘削ズリ(掘削によって発生する岩塊)の自動かき込み、積み込みを可能とする、AI機能を搭載した積み込み機「AIロックローダ」を国内で初めて(※17)開発いたしました。本機は、発破後に切羽(掘削の最先端箇所)から運搬されたズリをかき寄せる「掘削ブーム」から直接ズリを重ダンプ等に積み込む「排土ベルコン」、センシング機器、GPU盤(AI自動運転盤)等で構成され、AIによりズリのかき込みから積み込みまでの一連の作業をオペレータ不要とすることで、省力化・省人化を実現いたしました。また、発破後の切羽のズリを迅速に処理、切羽作業エリアを早期解放し、速やかな次工程(支保工作業)への移行により、トンネル掘削サイクルの効率化を可能としました。本機は羽ノ浦トンネルの施工現場で試行・実用化し、円滑な施工性や掘削作業の省力化・安全性向上を確認いたしました。

※17.2022年8月2日発表時点。フジタ調べ。

・フジタは、株式会社河本組と共同で、水底に溜まった泥土砂(堆砂)により機能が低下している水深が深いダム湖の水質を汚濁させることなく、水底の堆砂を20m以上の高さから吸い上げ除去可能な「ハイリフト無濁浚渫工法」を開発いたしました。本工法は高性能な真空発生装置と、堆砂を搬送するため高い搬送能力を発揮する独自開発の中継ポンプユニットを搭載、効率よく堆砂を除去でき、大型の連続泥土回収タンクも開発したことで、吸引作業と土砂排出作業の切り替え動作を改善、作業にともなう水質汚濁の発生を抑え、長時間の連続吸引作業を可能といたしました。

 ・大和リースは、東京製鐵株式会社(以下「東京製鐵」)と株式会社ナベショー(以下「ナベショー」)と、使用済みとなったリース用建築部材の再資源化に関する枠組みを確立し、3社による協定(建材アップサイクル(※18)コンソーシアム)を締結いたしました。本取組みは、大和リースが従来処分していた使用済みのリース用外壁(金属サンドイッチパネル(※19))を、東京製鐵が鋼材の鉄源としてリサイクルし、その鋼材を大和リースが鉄骨材として購入・製品化することで鉄源の循環を構築するものです。ナベショーは金属サンドイッチパネルが排出された時点から東京製鐵に納入されるまでの物流・加工処理のフローを管理いたします。また、本取組みでは、循環型経済(サーキュラーエコノミー)の実現に貢献するだけでなく、製造時のCO2排出量が高炉鋼材の約1/4である電炉鋼材(※20)を使用するので、脱炭素社会の実現と、2050年のカーボンニュートラルの達成にも貢献いたします。

※18.捨てられるはずだったものに新しい価値をプラスして元の状態より価値を高めること。

※19.表面と裏面の塗装鉄板の間に硬質ウレタンフォーム(断熱材)を挟み込んだ外壁・内壁一体の建材のこと。

※20.高炉鋼材は、鉄鉱石(酸化鉄)の中から鉄を取り出すので、石炭(コークス)を用いた酸素の除去(還元)が必要となり、その際に大量のCO2を排出いたします。電炉鋼材は、鉄スクラップを電気で融解して鉄を製造するので、電気を発電する際に生じるCO2が主な排出量となります。

・株式会社フレームワークスは、経済産業省公募事業である令和4年度「流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(物流施設におけるサプライチェーン横断的な自動化機器の効果的導入・活用事例の創出)」において、物流施設における自動化機器の制御・管理システムに係る標準化や、商慣行に係る業務対象物の標準化のモデルケース創出の実証実験の提案が採択され、異種の複数事業者(※21)で標準化検討・実証実験を実施いたしました。これらの活動で得られた結果をもとに、今後も経済産業省が推進している、ロボットを導入しやすい環境(ロボットフレンドリー(ロボフレ)環境)の実現に貢献するとともに、サプライチェーン・物流の効率化による生産性の向上と流通・物流業の持続可能な成長に取組みます。

※21.自動化機器に関するシステムインテグレーターやメーカー、及びサプライチェーンにおける発荷主・着荷主・物流事業者。(株式会社フレームワークス、株式会社アンシェル、株式会社FAプロダクツ、株式会社オフィスエフエイ・コム、キリンビバレッジ株式会社、ロジスティード株式会社、BIPROGY株式会社、株式会社Mujinの8社)

 なお、当事業に係る研究開発費は6,070百万円です。

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