企業古野電気東証プライム:6814】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「会社存立の原点は社会の役に立つことである」「経営は創造である」「社員の幸福は会社の発展と共にある」との経営理念を掲げております。また、当社グループ社員の行動指針は、「未来に向かう」「最良に挑む」「独創を貫く」「率直を好む」を謳っております。今後も、これらを普遍的な価値観として尊重しつつ、2018年12月に迎えた創立70周年を機に、2030年までに目指す姿を示す新たな経営ビジョン「FURUNO GLOBAL VISION“NAVI NEXT 2030”」を策定しました。

 当社グループは、2030年までの目指す姿を「事業ビジョン」と「人財・企業風土ビジョン」で構成する新たな経営ビジョンとして明示し、その実現に向けた諸活動を展開することを通じて、顧客提供価値と企業価値の両面を持続的かつ発展的に高める方針です。

「FURUNO GLOBAL VISION“NAVI NEXT 2030”」の概要は、次のとおりです。

① 事業ビジョン「安全安心・快適、人と環境に優しい社会・航海の実現」

 この事業ビジョンは、「当社グループのすべての事業は、海でも陸でも、安全安心かつ快適であることを前提に、人と環境に優しい社会や航海の実現を目指す」という、“わたしたちが最も優先する価値”を表現しています。これまで当社グループが事業活動で重視してきた「安全安心」「環境」という提供価値を、「安全安心」と「快適」、「環境」と「人」の視点へ拡大することで、既存事業での顧客提供価値の拡充や周辺領域での新規事業育成を推進するための新たな道しるべとします。

 当社グループは、世界初の魚群探知機実用化を成し遂げた1948年の創立当時から現在に至るまで、「事業を通じた社会的課題の解決」を果たすべき使命としてまいりました。一方で、国連が採択したSDGs(持続可能な開発目標)の考え方が国際社会の共通認識となる中、企業が事業活動を通じてその実現に貢献することが求められております。当社グループは今後も、創立当初からの価値観を大切に受け継ぎながら、企業運営並びに事業活動の基本方針の中にSDGsを積極的に取り入れることにします。

② 人財・企業風土ビジョン「VALUE through GLOBALIZATION and SPEED」

 企業運営における重要な経営資源である人財と企業風土については、経営理念並びに行動指針を普遍的な価値観として尊重した上で、事業ビジョンの実現に向けて重点的に強化・評価する基軸として「VALUE through GLOBALIZATION and SPEED」を謳い、3つのポイントを定めました。

(VALUE)さらなる価値共創への挑戦

 わたしたちはビジョンを深く理解し、高い自律性を持って行動していくことで、社会へのさらなる価値を、当社グループに関わるすべてのステークホルダーと「共に」創り上げていきます。

(GLOBALIZATION)グローバリゼーションの浸透

 わたしたちはグローバルマインドセットを醸成し、ビジョン実現に向けて、社内外の資源を所属、地域、国等の属性に依らず最適かつ最大限に活用いたします。

※グローバルマインドセット:異なる文化・習慣・価値観を持つ人たちやグループに対して影響を与えることを可能とする思考を意味しています。

(SPEED)迅速かつ柔軟な判断と行動

 わたしたちは変化することに躊躇せず、新しい時代を創り続けることを目指します。

 当社グループは、創立から間もない1955年に「世界のフルノ」を宣言し、海外展開を加速してまいりました。現在では連結売上高のうち海外売上比率が6割を超え、世界80カ国以上に開発・生産・販売・サービス拠点を有するようになりました。今後は、顧客提供価値と企業価値の最大化を目標に、事業と市場の特性に応じて当社グループの人財と組織機能をグローバリゼーションの観点からより有機的に活用するとともに、顧客や取引先との連携を積極的に推進することで「名実ともに世界のフルノ」となることを目指します。

「FURUNO GLOBAL VISION “NAVI NEXT 2030”」の実現は、次の3つのフェーズに分けて段階的かつ速やかに挑む方針です。

 フェーズ1・・・変える

 事業の体質改善による資源の捻出・体力強化のフェーズ(2021年2月期~2023年2月期)

 フェーズ2・・・つなぐ

 技術と事業の柱・収益構造の構築に向けた行動のフェーズ(2024年2月期~2026年2月期)

 フェーズ3・・・変わる

 あるべき企業規模・収益性・事業構造を実現するフェーズ(2027年2月期~2031年2月期)

 これらすべてのフェーズが完結する2030年度の成長目標は、連結売上高1,200億円、営業利益率10%、新規事業構成比率30%です。

(2)中期経営計画及び目標とする経営指標

当社グループは、2023年2月に、2024年2月期から2026年2月期までの3年間を対象期間として、フェーズ2となる中期経営計画を策定いたしました。フェーズ2では利益水準向上の取り組みとして、フェーズ1で未達に終わった施策を完遂させるとともに、売上規模拡大による利益の確保も進めてまいります。また将来成長に向けた投資を推し進め、企業価値を向上させてまいります。経営指標としては利益の確保に加え、資本効率の観点から、自己資本経常利益率向上※による企業価値の増大に努めてまいります。また、株主還元に当たっては連結配当性向を重要な経営指標としております。最終年度にあたる2026年2月期には、自己資本経常利益率10%以上を計上し、配当性向30%以上を安定的に実現できる経営基盤を構築いたします。

2010年2月期から2018年2月期の平均自己資本経常利益率は6%

 主な基本施策

① 利益水準の向上

体質改善・体力強化による収益性改善に焦点をあてたフェーズ1の取り組み(品質水準向上、在庫適正化、商品開発機能・総合モノづくり機能の最適化)を完遂させます。

② 売上規模の拡大

将来成長への投資を進めていくさらなる原資獲得に向け、リモート管理による高品質なサービスの提供、舶用Digitalization等を中心とした舶用DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、成長期待事業へのリソース投下等を推し進め、売上規模の拡大を目指します。

③ サステナブル経営の実行

未来に向けた将来事業の道標となる長期方針を表明し、戦略的な投資枠を活用した事業創出の強化、新規事業・領域拡大事業の早期事業化、人財投資、ダイバーシティ等を推し進め、サステナブル経営の実現を目指します。

 個別事業戦略

(舶用事業)

 新造船竣工時から保守メンテナンス、機器換装に至るまで、船のライフサイクルを通して顧客に寄り添う「ライフサイクルサポート」を舶用事業の共通理念とし、市場及び地域別の戦略・戦術によるグローバルな販売・サービスを推し進めます。また新規取り組み分野における売上の拡大と舶用DXの推進を加速させます。

① グローバルに展開する販売体制を最適化しつつ、市場に近い現場での製品・ソリューション開発を強化することで新たなグローバル戦略の進化を図ります。

② サービス品質のさらなる向上とともに、予兆サービス及びリモートメンテナンスを促進し、顧客の満足度と収益力向上を目指します。

③ 舶用事業で培った強みを活かし、養殖や洋上風力等、新たな取り組み分野での事業展開を加速させます。

④ データを活用した製品・サービスを市場投入し、新たな顧客価値の創造を目指します。また既に獲得した自律航行支援技術の普及によって、「安全安心・快適、人と環境に優しい社会・航海の実現」に貢献していきます。

(産業用事業)

 事業ポートフォリオを見直し、防衛装備品事業やモバイル基地局向けに製品展開する時刻同期事業等、今後市場の成長が見込まれる成長期待事業にリソースを集中させ、収益の向上を図ります。

(無線LAN・ハンディターミナル事業)

 顧客の求めるDXの実現に貢献する新たなシステムソリューションを展開し、無線LANアクセスポイントの文教市場でのさらなるシェア拡大とともに、新たな市場を開拓し事業領域の拡大を目指します。

 フェーズ1 主な基本施策の取り組み結果について

 当社グループは、2021年2月期から2023年2月期までの3年間を対象期間とするフェーズ1に取り組んでまいりました。最終年度である当連結会計年度は、自己資本営業利益率3.0%、配当性向は58.5%となりました。

 ※2010年2月期から2018年2月期の平均自己資本営業利益率は5%

① 在庫管理の強化及び適正在庫の実現

本施策では、生産量の適正化、在庫管理の強化により、在庫廃棄や評価損による費用はフェーズ1開始前の2020年2月期と比較し6億1千7百万円減少しました。しかしながら、フェーズ1期間中に半導体をはじめとする部材の入手が困難となり、生産遅延が急激に拡大したことから、在庫が大幅に増加しました。今後も、関連費用の発生を抑えた管理の徹底を継続していくとともに、在庫の早期適正化に取り組んでまいります。

② 品質水準の更なる向上

本施策では、役員直属の品質統括部門を中心に事業部横断での品質改善活動等の取り組みを推し進めた結果、品質ロスコストはフェーズ1開始前の2020年2月期と比較し4億3千3百万円減少しました。またクレーム件数も減少したことにより、顧客満足の向上にも繋がりました。今後も、さらなる品質ロスコスト削減を推し進めるとともに、サイバーセキュリティ対策も含めた品質向上に取り組んでまいります。

③ 商品開発機能の最適化

本施策では、現行機の原価低減活動の他、新商品開発において共通化設計を用いる等の開発業務の効率化により、フェーズ1期間中において、累計3億9千9百万円のコスト削減を実施しました。取り組みを通じて得たノウハウを今後の新商品開発や設計変更に水平展開し、品質水準を落とすことなく利益創出への貢献を継続してまいります。

④ 総合モノづくり機能の最適化

本施策では、国内外の工場における生産や購入部材の最適化、生産工程の自動化等を推し進め、必要とされる時期に、必要なモノを、必要な量だけ生産・出荷する体制の構築に取り組みました。しかしながら、部材の入手困難に伴う生産遅延の発生により、顧客にご迷惑をお掛けする事態となりました。まずは受注に対する未生産品の解消を最優先に、一刻も早く正常な生産活動に戻す取り組みを進めてまいります。また、生産リードタイムの大幅な短縮を目指した工場のスマート化に向けた仕組みの構築に取り組んでまいります。

⑤ 戦略投資枠の新設

本施策では、新規事業の創出・育成、先端技術領域を含む研究開発の推進、洋上風力事業への参画を始めとした既存事業の領域拡大の取り組み、またインフラ整備等、フェーズ2以降の将来成長に向けた投資を進めました。新規事業では養殖支援事業や建設テック事業を立ち上げ、事業化に向けた取り組みが加速しています。また海外での製品開発力強化を目的とするM&Aや、研究開発部門を集約した研究開発棟の新設等、積極的な投資を行いました。今後も、新たな事業創出の取り組みや研究開発活動を推し進め、将来成長に向けた投資を継続してまいります。 

(3)経営環境及び対処すべき課題

 世界経済の状況は、政策金利の上昇、ウクライナ情勢の長期化や米中対立等の地政学リスクの高まりから、先行き不透明感が増しており、不安定で不確実性の高い状況にあります。このような状況の中、当社グループは増加した受注に対する未生産品の解消に取り組むとともに、フェーズ2で掲げる利益率向上の取組みを推し進め、産み出した経営資源を将来成長に向けた投資に充てることで、当社グループの持続的成長を可能とする基盤構築に努めてまいります。また、以下の施策に取り組むことによりグループ全体の企業価値を高めてまいります。 

 
① 新たな価値の創造

 商船向け事業における「ライフサイクルサポート」戦略の奏功、漁業向け事業におけるハード・ソフト両面から漁業者を支える「勘と経験の見える化」ソリューションのグローバル展開等により、当社グループの収益性は中長期的に向上傾向にありますが、依然改善の余地は大きいと認識しております。また、主力の舶用事業は中期的に安定した売上収益を獲得することが見込まれ、総じて成熟傾向にありますが、船舶のDX(デジタルトランスフォーメーション)を見据えた製品やソリューションの研究開発として、自律航行船実現に向けた動きや、漁業先進国を中心に資源管理型漁業推進の流れが加速しており、当社グループは舶用電子機器のグローバルトップメーカーとして関連技術の研究開発をリードしていく必要があります。産業用分野においても、高齢化や人手不足等、当社グループが解決すべき社会的課題はより多様化し、ますます顕在化しており、対応する商品やソリューションを産み出し続けることが求められております。

② 働き方改革の推進

2019年4月より働き方改革関連法が順次施行され、2020年4月には派遣労働者の同一労働同一賃金の実現に向けた改正労働者派遣法の施行、70歳までの雇用延長の法令化が検討される等、従来の雇用や勤務のあり方を見直す動きが広がっております。当社は経営理念のもと、従業員一人ひとりが心身ともに健康で、明るく活き活きと働くことができるよう、従業員の健康意識向上と、安心して働きつづけることのできる職場環境の整備に向けた取り組みを推進しており、経済産業省と日本健康会議が共同で進める「健康経営有料法人(ホワイト500)」に2019年度から連続で認定されております。また、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を推進する一環として長時間労働の削減、有給休暇取得の奨励、在宅勤務対応やフレックスタイム制度の拡充、人事処遇制度の改革等を推進してまいります。

③ 人財の育成、確保

 当社は、従業員は、まさに「人財」であり重要な経営資源と認識しております。現状としては、中核人財に占める中途採用者はかなり多く、また海外現地法人を多数有することから中途採用者・外国人という観点では比較的に良好な水準にありますが、持続的な成長に向けて、優秀な人財の育成、確保が不可欠であります。特に当社グループのグローバルビジョン「NAVI NEXT 2030」の事業像で描かれている新規領域を実現するためには、イノベーションや新しい価値創造の源泉である人財の多様性確保は欠かすことのできない施策であり、多様なスキルや個性をもった全ての人財が成長・活躍できる環境の整備に取り組んでまいります。また、失敗を恐れない価値の共創、自主性・自律性の高い人財を増やすこと等を目的に各事業部門及びグループ会社毎の表彰に加え、その中からグループ全体の最優秀賞を選出する社員表彰制度を設けております。なお、多様な人財を活用するため、ダイバーシティ(多様性)を推進するとともに、性別、国籍、年齢等に関係なく採用、評価等を行っており、先進的かつ独創性のある人財発掘等に努めております。

④ 配当政策

 当社は、配当政策を経営における最重要政策のひとつと位置付けております。現在の中期経営計画(2024年2月期~2026年2月期)では、配当性向30%以上を安定的に実現できる経営基盤を構築することを目標に掲げております。また、内部留保につきましては、将来を見据えた投資や企業体質の一層の強化のために活用してまいりたいと考えております。

⑤ 株主、機関投資家等との建設的な対話

 当社は、毎年、株主や機関投資家等と継続的な対話を行うことで、経営方針や成長戦略等についての理解促進に努めております。また、株主、機関投資家、顧客等ステークホルダーとの建設的な対話から得られた意見等を経営層と共有し、持続的な成長と企業価値向上に活かしております。

 その他、当社のホームページ等を通じて株主総会や決算内容等の情報を提供していることに加え、ご要望ご質問等に対して迅速かつ、適切に対応するよう心掛けてまいります。

⑥ コーポレート・ガバナンスの取り組み

 当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでおります。また、経営の健全性や透明性を高めるため、任意の指名・報酬諮問委員会及びコンプライアンス委員会を設置する等、ガバナンスが機能する組織体制を構築することによりリスク回避や不祥事防止に努めております。また、コーポレート・ガバナンス強化の観点から、執行役員制度を導入することにより、経営と執行を分離し、取締役会の意思決定・監督機能と経営方針・戦略立案機能に重点を置いた体制強化を図るとともに、業務執行機能を強化することで、事業環境の変化に迅速適切に対応できる体制を構築してまいります。

⑦ サステナビリティへの取り組み

 当社は、会社の持続的な成長とともに持続可能な社会を実現するため、ESG(環境・社会・企業統治)やSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みを重視した経営を進めてまいります。環境(環境汚染防止と予防、空調の省エネ化や照明のLED化等電力やCO2排出の削減への取り組み、産業廃棄物の削減等)、社会(多様な人財の活用、事業活動、社会活動による貢献等)及び企業統治(健全なコーポレート・ガバナンス体制の確立、社外取締役比率の向上、指名・報酬委員会の設置等)を勘案した経営戦略を推進しており、ステークホルダーの皆様(株主、投資家、顧客、取引先、債権者、従業員、地域社会等)との信頼を構築することにより企業価値の向上に努めてまいります。

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