企業兼大株主双日東証プライム:2768】「卸売業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

有価証券報告書に記載しております、事業の状況、経理の状況などに関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、将来事項に関する記述につきましては、当期末現在において入手可能な情報に基づく当社の判断、目標、一定の前提又は仮定のもとでの予測などであります

当社グループは、総合商社としてグローバルかつ多角的に事業を行っており、展開する事業の性質上、様々なリスクにさらされております。また、ロシアのウクライナ侵攻といった世界情勢の不確実性の高まりや、デジタル化の加速、価値観・ニーズの多様化など、外部環境は著しく変化し続けており、常に、新たなリスクへの対応をする必要があると考えております。特に、当社グループのみならず、仕入先、販売先、業務委託先などを含めたサプライチェーン全体でリスクを捉え、準備、対応することも重要と認識しております。

このようなリスク・著しい変化を機会と捉え、事業やビジネスモデルを変革し続けることを目指し、当社グループは、2023年度を最終年度とする中期経営計画2023において企業価値向上に向けた各種施策に取り組んでおります。

全社レベルでのリスク管理として、「リスク管理基本規程」に則り、社長管下の業務執行機関である内部統制委員会が、業務遂行に伴う様々なリスクを認識・分類・定義した上で、新たな事業や環境の変化により生じるリスクの確認と対応の検討を継続的に行っております。リスクについては、リスクテーマ毎に細分化、網羅的な把握がなされた上で、各々のリスク項目毎に任命されたリスク管理責任者が年度初めに「リスク管理運営方針・運営計画」を策定し、これに基づくPDCAサイクルを展開しております。リスク管理運営計画の進捗は、四半期毎に内部統制委員会がモニタリングを行い、必要に応じて改善施策の協議、担当部署への指示を行っております。また、モニタリング結果は、四半期毎に経営会議、取締役会に報告されます。

 取締役会では、リスク管理に関する重要事項の付議、定例報告などを通じてリスク管理運営状況の監督及びリスク管理体制・プロセスの実効性を評価しております。また、期中で新たなリスクが識別された場合には、リスク管理体制、対応状況の確認を行うことで、リスク対応の検証を行っております。

 なお、当社グループのリスクのうち、市場、事業、信用、カントリーの4つのリスクについては、リスクアセットを計測し、リスクに対する収益性を確認する指標として活用するほか、財務の健全性を維持すべくリスクアセットを自己資本の1倍以内に収めることを目標としております。2023年3月末のリスクアセットは自己資本の0.6倍であります。


 また、中期経営計画2023において、内部統制の基本的な考え方である3線ディフェンス(第1線:営業本部、第2線:コーポレート、第3線:監査部)における第1線、及び第2線のリスクマネジメント力の強化に加え、新たな事業領域への参画に伴い発現するリスクへの対応強化を進めております。

 期中で新たなリスクが識別された場合には、都度全社的なリスク体制、対応状況の確認を3線ディフェンスの考え方に基づき行うことで、リスク対応の検証を実施しております。


 具体的には、研修、eラーニングなどによる業務管理の最前線を担う営業本部管理職のリスクマネジメント意識の向上や組織毎にリスクポイントをチェックする自己点検を実施することにより、全社員へリスクの重要性についての意識を浸透させております。

 また、昨今における外部環境や事業領域の変化を踏まえサイバーセキュリティ、安全保障貿易管理及びBtoCビジネスに対するリスク対応について、重要性を鑑みた管理体制強化に努めております。

2022年4月には、リスクの多様化やサプライチェーンの広がりに対応するため、トレード事業におけるリスク管理組織を再編し、サプライチェーンリスク管理部を設置しております。同部では、個々のリスクをサプライチェーン全体で捉え、突発的なリスク発現時においても速やかに影響度合いを把握し、機動的に対応することを通じた、レジリエンス(回復力)強化に取り組んでおります。2022年度には、地政学的リスク、災害リスク、品質リスク、環境・人権リスクそれぞれについてシナリオを策定し、営業本部・コーポレートとの対話並びに経営会議での議論を通じて、リスク発現時の対応策などを確認しております。

 また、環境変化のスピードが加速し、企業を取り巻くリスクが多様化していることなどから、従前以上に問題発生から解決までの対応・判断スピードが重要性を増しております。そのため、必要な経営判断を迅速に行い、リスクが拡大する可能性を最小化することを目的として、現場から経営への第一報を上げる報告プロセスと体制を整備しております。

 当社グループは、こうした様々なリスクに対処するため、適切なリスク管理体制を整備し、リスク管理にあたっておりますが、これらの全てのリスクを完全に回避できるものではありません。

 当社グループの事業に関しては、以下のようなリスクがあります。

(1) マクロ経済環境の変化によるリスク

当社グループは、グローバルにビジネスを展開し、事業活動は多岐に亘っており、当社グループの業績は、日本及び関係各国の政治経済状況や世界経済全体の影響を受けます。そのため、世界的あるいは特定地域における経済動向は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります

(2) 市場リスク

当社グループは、貿易業や事業投資を通じた外貨建の取引などに伴う為替変動リスク、資金の調達や運用などに伴う金利変動リスク、営業活動における売買契約・在庫商品などに伴う商品価格変動リスク並びに上場有価証券の保有などに伴う価格変動リスクなどの市場リスクにさらされております。当社グループは、これらの市場リスクを商品の売買残高などの資産・負債のマッチングや先物為替予約取引、商品先物・先渡取引、金利スワップ取引などのヘッジ取引によって極小化することを基本方針としております

① 為替リスク

当社グループは、外貨建の輸出入取引・外国間取引を主要な事業活動として行っており、その収益・費用などは主に外国通貨による受払いとして発生する一方、当社グループの連結決算上の報告通貨が日本円であることから、外国通貨の対日本円での為替変動リスクにさらされております。この為替変動リスクに伴う損失の発生又は拡大を未然に防ぐために、先物為替予約などのヘッジ策を講じておりますが、これらの対応を行っても為替変動リスクを完全に回避できる保証はなく、予期せぬ市場の変動により当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海外の事業会社からの受取配当金、海外連結子会社・持分法適用関連会社の損益の多くが外貨建であり、日本円に換算する際の為替変動リスクを負っています。さらに、当社グループは、海外に多くの現地法人・事業会社などを保有しており、財務諸表を日本円に換算する際の為替変動により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、為替の収益感応度(米ドルのみ)は、1円/米ドル変動すると、売上総利益で年間7.5億円程度、当期純利益(当社株主帰属)で年間3億円程度、自己資本で20億円程度の影響があります。

② 金利リスク

当社グループは、営業債権などによる信用供与・有価証券投資・固定資産取得などのため金融機関からの借入又は社債発行などを通じて資金調達を行っております。資産・負債を金利感応度の有無により分類し、金利感応度のある資産と負債との差額を金利ミスマッチ金額と捉え、固定・変動調達比率を調整することで金利変動リスクを管理しておりますが、金利変動リスクを完全に回避できるものではなく、金利水準の急上昇による調達コスト増大が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、2023年3月末の当社グループの有利子負債残高は8,837億4百万円であり、平均利率につきましては、短期借入金は4.48%、1年内返済予定の長期借入金は2.79%、長期借入金(1年内返済予定のものを除く)は1.62%となっております。

③ 商品価格リスク

 当社グループは、総合商社として様々な事業分野において多岐に亘る商品を取扱っており、相場変動などによる商品価格変動リスクにさらされております。取扱い商品については、社内組織単位毎にポジション(ロング・ショート)限度額とMax Loss Amount(MLA)を設定の上、ポジション・損失管理を行うと共に、損切りルール(評価額を含む損失額がMLAの90%に抵触した場合、MLAの範囲内に収めるべく速やかにポジションを解消するルール)を設定し運用しておりますが、これらの対応を行ってもリスクを完全に回避できる保証はなく、予期せぬ市場の変動などにより当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、各商品ポジションに関しては、モニタリングの上、本部別に増減内容の分析を行うなど、適正水準にコントロールするための施策を行っております。

④ 上場有価証券の価格リスク

 当社グループは、市場性のある有価証券を保有しております。中期経営計画2023において、2020年12月末比で2024年3月末までに政策保有株式を半減させるという方針のもと、実行時期も含めた具体的な売却計画を策定し、計画に基づく着実な売却を実行しております。また、引き続き保有する上場株式については、個別銘柄毎の保有意義の見直しを毎年実施しております。

 保有上場株式の株価が大幅に下落した場合、有価証券の公正価値の変動によって、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 信用リスク

 当社グループは、多様な商取引を行う中で国内外の取引先に対し信用供与を行っております。これらの商取引においては、販売先の業績不振や経営破綻などにより、当社の債権が回収できないリスクが存在します。また仕入先において、経営不振などにより仕入契約どおりに当社商品供給がなされない場合、当社グループが主契約者として販売先に販売契約の義務を果たせず、契約履行責任を問われるなどのリスクも存在します。

 これらのリスクについて、取引先に対し11段階の信用格付けを付与し、当該格付や当社が負うリスクの類型により取引先毎に取引限度を設定し、債権残並びに契約残を設定された限度の範囲内でコントロールしております。また、定期的に取引先信用状況やサプライチェーン全体を俯瞰し取引条件を見直し、かつ取引先の信用状況やその変化に応じ、担保・保証の取得や保険の付保など保全措置を講じ、信用リスクが顕在化した場合に、予想される損失の軽減にも努めております。さらに、債権査定制度を導入し、回収に懸念のある債権については、当該取引先の信用状況、債権回収実績、保全内容などを基に回収可能性について査定を行い、回収が難しいと判断する債権額を算定し適時に貸倒引当金を計上しております。

 しかしながら、こうした信用リスクの管理を行った場合でもリスクを完全に回避できる保証はなく、取引先の破綻などにより債権の回収不能などの事象が発生した場合には当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 事業投資リスク

 当社グループは、様々な事業領域において企業買収や新規事業会社設立といった事業投資を行っております。事業投資は、事業計画どおりに収益獲得ができないリスク、投下資本回収リスク、事業撤退時に損失が発生するリスクが存在します。事業投資から発生する損失の予防と抑制を目的として、当社グループは事業投資案件の実行の判断時、また投資実行後の管理や撤退に関して事業投資基準を設けて、管理しております。

 新規事業投資案件の実行時においては、取り組み意義やキャッシュ・フロー計画を含めた事業計画を厳格に評価しております。特に収益性の評価に関しては内部収益率(IRR)を指標とし、これに対しハードルレートを設定した上で、これを上回る案件を取り上げることとしており、事業投資実行の判断において、当社グループの株主価値を向上させ、かつリスクに見合う収益が得られる案件を選別する仕組みを構築しております。

 実行済の事業投資案件については、投資案件毎にROIC(Return on Investment Capital)や、キャッシュリターンベースでのROICであるCROIC(Cash-Return on Investment Capital)が資本コストを超えているかを測定し、定期的に事業性を評価しながらそれぞれの事業の問題点を早期に把握し、適時適切に改善策の実行、あるいは撤退を進めることで当社グループのバランスシートの劣化を防ぎ、企業価値の維持・向上につなげております。

 このように、事業投資の実行時、実行後の仕組みを整備しておりますが、期待通りの収益が上がらないリスクや事業計画を達成できないリスクを完全に回避することは困難であり、事業投資先で損失が発生する、又は当該事業からの撤退などに伴い損失が発生する可能性があります。これらの場合において、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(5) カントリーリスク

当社グループは、カントリーリスク発現時の損失の発生を最小化するためには、特定の国・地域に対するエクスポージャーの集中を避ける必要があると考えております。また、カントリーリスクが大きい国との取り組みでは、貿易保険などを活用し案件毎にカントリーリスクヘッジ策を講じることを原則としております。

カントリーリスクの管理にあたっては、各国・地域毎にカントリーリスクの大きさに応じて客観的な手法に基づく9段階の国格付けを付与すると共に、国格付けと国の経済規模に応じてネットエクスポージャー(エクスポージャーの総額から貿易保険などのカントリーリスクヘッジを差し引いたもの)の上限枠を設定し、各々の国のネットエクスポージャーを上限枠内に抑制しております。また、当年度は、特定地域におけるリスク発現シナリオを検討・協議し、当社の取引、並びに経営への影響度を確認しました。

しかしながら、これらのリスク管理やヘッジを行っていても、当社グループの取引先所在国や当社グループが事業活動を行う国の政治・経済・法制度・社会情勢の変化によって計画どおりの事業活動を行えない可能性や損失発生の可能性を完全に排除することはできません。このような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(6) 固定資産に係る減損リスク

当社グループが保有する不動産、機械装置・運搬具、のれん、鉱業権などの固定資産及び使用権資産については、減損リスクにさらされております。当社グループでは、対象資産に対し当期末時点において必要な減損処理を行っております。しかしながら、今後価格下落などによりこれらの対象資産の価値が著しく減少した場合、必要な減損処理を行う結果として当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(7) 資金調達リスク

当社グループは、事業資金を金融機関からの借入金又は社債発行などにより調達しております。金融機関との取引関係の維持、一定の長期調達比率の確保などによる安定的な資金調達を行っておりますが、金融システム・金融資本市場の混乱や格付会社による当社グループの信用格付けの大幅な引下げなどの事態が生じた場合には、資金調達が制約されると共に、調達コストが増加するなどにより、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(8) 環境・社会(人権)リスク

 当社グループは、グローバルに事業を展開しており、事業活動とそのサプライチェーンは多岐・広範に亘っておりますが、その当社グループの事業活動及びサプライチェーンにおいて、環境問題や労働安全衛生、人権などにかかわる問題が発生した場合、又は環境・人権保護団体などから環境や労働安全衛生、人権などにかかわる問題に関与していると批判を受けた場合に、事業活動の停止・中止、汚染除去・浄化費用の支出、被害・損害の補償、訴訟や損害賠償などの負担が発生するリスク、当社グループがサプライチェーンから外される、又は当社グループの社会的評価に悪影響を及ぼすリスクがあります。

 また、気候変動を抑制できずに温暖化が進行した場合に、当社事業の収益や資産価値に影響を及ぼす可能性のあるリスクとして、気候変動抑止のために法規制が強化されるなどの移行リスクと、気温上昇により洪水などの災害が発生し、被害が生じる物理的リスクがあります。

 当社グループは、長期ビジョンとしてサステナビリティ チャレンジを策定し、環境方針や人権方針などの個別の方針も策定して、それらの環境・社会(人権)リスクに対応しております。

 環境・社会(人権)リスクについては、第2事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ チャレンジ リスク管理(22ページ)を併せてご参照ください。

(9) コンプライアンスリスク

当社グループは、様々な事業領域で活動を行っており、事業活動に関連する法令・規制は、会社法、税法、汚職など腐敗行為防止のための諸法令、ハラスメント防止のための諸法令、独占禁止法、関税法、外為法を含む貿易関連諸法令や化学品規制などを含む各種業界法など広範囲に亘っております。これらの国内外の法令・規制を遵守するため、当社グループではコンプライアンスプログラムを制定し、コンプライアンス委員会を設け、グループ全役職員にコンプライアンスマインドを浸透・定着させるための取り組みを、全社をあげて実施しております。また、安全保障貿易管理委員会を中心とした安全保障貿易に関する実行体制の整備・運用にも取り組んでおります。しかしながら、このような取り組みによっても事業活動におけるコンプライアンスリスクを完全に排除することはできるものではなく、関係する法律や規制の大幅な変更、予期しない解釈の適用などが当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(10) 法務リスク

事業活動に関連して、当社グループが国内又は海外において訴訟、仲裁などの法的手続きの被告又は当事者となることがあります。訴訟などには不確実性が伴い、その可能性の程度や時期、結果を現時点で予測することはできませんが、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(11) システム・情報セキュリティリスク

 当社グループは、情報資産を適切に保護・管理するため、各種規程を整備し、チーフ・インフォメーション・セキュリティ・オフィサー(CISO)を議長とする情報・ITシステムセキュリティ委員会を中心とした管理体制を構築し、情報セキュリティに係る体制を強化しております。また、重要な情報システムやネットワーク設備については、これらの機器設備を二重化するなど障害対策を施すと共に、ファイアウォールによる外部からの不正アクセスの防止、システムの脆弱性を悪用するウイルス対策、暗号化技術の採用などによる情報漏洩対策の強化にも努めております。

 当期からは、グループ全体のセキュリティガバナンス強化に重点的に取り組んでおり、グループ全体のIT資産・脆弱性の一元的な管理、サイバー攻撃を早期に検知し影響を抑え込むソフトウエアの導入、不審メールに対する訓練など、従来から本社中心に取り組んでいたセキュリティ対策をグループ全体に展開しております。

 さらに、2021年度から取り組んでいる本社、子会社のセキュリティリスクアセスメントを当期も実施し、必要に応じたセキュリティ対策の指導を行いました。本取り組みは毎年繰り返し、PDCAを通じた継続的な対応改善を図ると共に、当社グループが抱えるセキュリティ上の課題・リスクを可視化し、優先度をつけた中長期的なセキュリティ対策を実施してまいります。

 このように総合的な情報セキュリティの強化と事故防止に努めておりますが、近年急増しているサイバー攻撃やコンピュータへの不正アクセスなどにより、個人情報を含めた重要な情報資産が漏洩又は毀損、予期できない自然災害や障害を原因として情報通信システムが不稼働の状態に陥る可能性は排除できません。その場合に被害の規模によっては当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(12) 災害等リスク

 地震、風水害などの自然災害や感染症の大規模な流行により事務所・設備・従業員とその家族などに被害が発生し、当社グループに直接的又は間接的な影響を与える可能性があります。災害対策マニュアル並びに感染症マニュアルの作成、防災訓練、従業員の安否確認システムの整備、事業継続計画(BCP)の策定などの対策を講じております。

 大規模な災害時における取引上のサプライチェーン維持の取り組みとして、代替取引先・代替商品の検討を行い取引継続の強靭化に取り組むと共に、サプライチェーンへの影響の可視化と保険の付保を行うなどして被災した場合の損害の低減を講じております。しかしながら、被害を完全に回避できるものではなく、サプライチェーン寸断により当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(13) ウェブサイト・SNSを介した企業情報発信に関するリスク

当社グループのウェブサイト・SNSは、システムの脆弱性に起因する掲載情報の改ざんリスクや収集した個人情報の流出リスク及び運用に起因する批判・非難の集中や著作権・商標権・肖像権の侵害リスクにさらされております。システムの脆弱性に関しては、上記(11)の「システム・情報セキュリティリスク」に記載のとおり、可能な限りの安全対策に努めております。また、運用に関しては、グループ共通のSNS運用ポリシーや規程類に基づき、ウェブサイト・SNSを保有する組織毎に、投稿に関する事前承認手続きやウェブサイトの定期見直しなどをルール化、明文化することを義務づけております。しかしながら、このような取り組みによっても、リスクを完全に排除できるものではなく、当社グループの信用やブランド価値に悪影響を及ぼす可能性があります。

(14) 品質に関するリスク

当社グループでは、事業投資の実行に伴い、事業領域が拡大・多様化しており、製造業やサービス業への進出も増加しています。これに伴い、全社に共通する品質管理の基本方針を「双日グループ・品質管理ポリシー」として制定し、これに基づく現場での自律的、主体的な品質管理を推進しております。また、提供するモノ・サービスの品質を適切に管理する全社横断組織として品質管理委員会を設置し、下図に示すように、事業現場での品質管理状況を網羅的にモニタリングする体制を整えております。


 また、個々の事業においては、品質に起因したリスク発現に対して、事業特性も考慮しながら、顧客対応を実践しており、品質管理委員会では、その実践状況を議論・研究し、成果や気付きを全社に共有の上、他事業への応用・品質改善につなげる取り組みをしております。とりわけトレード事業においては、個々の商流のサプライチェーン全体を見据えた品質起因のリスクの洗い出しとリスク対応の点検を行っております。なお、当年度は、個別取引のリスク発現シナリオを検討し、想定される損害や保険などによるヘッジ状況を確認しました。

 しかしながら、品質問題の発生を完全に抑制することは困難であり、当該問題により生じた損害について、当社グループが責任を負う可能性があります。このような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(15) 人材リスク

 当社グループは、人材を会社の資本、価値の源泉と捉え、価値創造できる人材を輩出し続ける人的資本経営を推進しており、経営戦略・事業戦略の実現に向けた人材の確保・育成に努めております。

 人材確保に関しては、人材ポートフォリオを意識した、多様性の推進、イノベーションの創出、機能強化を目指したM&Aやデジタル人材など専門性の獲得を目的としてキャリア採用に力を入れています。2022年度のキャリア採用人数は40名(採用目標人数:新卒採用100名、キャリア採用40名~50名)となり、キャリア採用の強化を通じて、30代から40代前半が少ない当社社員の年齢構成の適正化を図ります。

 人材育成に関しては、多様性と自律性を備える「個」の集団形成を目指す人材戦略の中で、経営人材、デジタル人材、外国人人材など事業戦略の実現に必要となる人材育成を強化しています。重要テーマについては人材KPIを設定し、進捗や効果を定量的にモニタリングする体制を整備しています。

 このように人材戦略に基づいた様々な取り組みを行っていても、高齢化に伴う労働人口の減少や、人材の流動化により必要な人材の確保・育成が十分にできない場合、事業計画の進捗に遅れが生じる可能性があります。

 人材リスクについては、第2事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)人材戦略に関する基本方針 リスク管理(33ページ)を併せてご参照ください。

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