企業兼大株主住友金属鉱山東証プライム:5713】「非鉄金属 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループでは資源、製錬及び材料をコアビジネスとして選択と集中を進めるなか、研究開発においても研究開発費の重点配分を行い、「製錬プロセス技術」、「粉体合成・表面処理技術」、「結晶育成・加工技術」、「探鉱・採鉱・選鉱技術」をコア技術と位置付けています。また、「評価解析技術」、「数理解析技術」を基盤技術と定め、技術ドメインを明確にして重点的な開発を実行しております。

 具体的には、資源開発及び非鉄製錬分野における新規プロセス・技術開発、また、材料分野では、社会的ニーズの高い環境・エネルギー分野及び情報通信分野の高機能材料・新技術開発を中心に、国家プロジェクトへの参画や産学連携を含め取り組んでおります。さらに、将来を見据えた粉体材料に関する新規技術獲得のために、粉体基礎研究にも取り組んでおります。

 また、「2030年ありたい姿」実現に向け、資源、製錬、材料の3部門連携を推進し、リチウム精製、電池リサイクル、新製錬技術等のプロセス開発を継続するとともに、温室効果ガス(GHG)排出を抑制できる製品として電池正極材、当社独自技術による近赤外線吸収材料の開発も継続し取り組んでおります。

 なお、当連結会計年度に投入した研究開発費は9,216百万円であり、研究所の費用を管理上、各報告セグメントに配分した後の調整額等893百万円が含まれております。

 報告セグメントごとの研究開発活動の状況は次のとおりであります。

(1) 資源セグメント

 鉱床を探す探鉱技術、鉱床から最大限に鉱石を取り出す採鉱技術、鉱石中の有価金属を分離濃縮する選鉱技術に関する技術開発を進めております。資源系人材育成の教育システムを強化・充実させるため、北海道大学大学院工学院と九州大学大学院工学府が民間企業及び公的機関と連携して2022年に設立した「資源系教育コンソーシアム」に参画しました。非鉄金属原料鉱石の処理に関して、精鉱の品質及び実収率の改善のためのパイロット設備を利用した浮遊選鉱等の選鉱技術開発や探鉱技術及び鉱石採掘法の効率化の技術開発等を行っております。

 当セグメントに係る研究開発費は148百万円であります。

(2) 製錬セグメント

 非鉄金属事業において、原料対応力、コスト競争力強化、GHG排出量削減に繋がる製錬技術の開発や新プロセス技術の開発を行っております。また、ハイブリッド自動車や電気自動車の廃リチウムイオン二次電池からニッケル、コバルト、リチウム等のメタルを回収し、電池材料に再資源化するリサイクルプロセスの開発も進めております。本プロセスは、乾式製錬工程と湿式製錬工程とを組み合わせるもので、関東電化工業株式会社との共同開発により、乾式製錬工程にて回収されたスラグから電池材料として再利用可能なレベルの高純度リチウム化合物として再資源化する技術を世界で初めて確立しております。電池リサイクルプロセス開発につきましては「蓄電池リサイクルプロセスの開発と実証」とのテーマで国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金助成事業として採択され、早期事業化に向け実証試験を進めております。なお、リチウムについては、塩湖かん水からの直接回収技術の確立も進めております。

 九州大学と組織対応型連携契約を締結し、共同研究と人材育成を継続してきております。革新的な湿式製錬技術や排水処理技術の開発などに取り組んでいるほか、九州大学全体のシーズを活用して資源・製錬分野を中心にさまざまなテーマでの連携を進めております。

 また、国内非鉄金属製錬業の持続的発展のための研究を目的とし、2023年4月から2028年3月の5ヶ年にわたり、東北大学多元物質科学研究所に共同研究部門(第二期)を設置いたしました。引き続き、国内の非鉄製錬企業等とも連携を深め、非鉄金属製錬講座の維持・拡大を支援するとともに、技術者の育成と確保に貢献していくことを目指します。

 当セグメントに係る研究開発費は3,430百万円であります。

(3) 材料セグメント

 カーボンニュートラル実現に貢献する新技術・プロセスの研究を推進しております。二次電池関連では、リチウムイオン二次電池の正極材料であるニッケル酸リチウムについて、コスト・容量・出力及び安全性確保などの機能向上を図り、ハイブリッド自動車、電気自動車用電池への積極的な展開に取り組んでおり、開発した新規材料の量産移行を進めております。また、次世代の高性能ニッケル正極材や全固体電池用正極材の開発を目的に進めていた電池研究所(愛媛県新居浜市)の拡張整備は2022年7月に完工し、運用を開始しております。さらに、電池材料事業の拡大に資する高性能かつ低コストの正極材料及びその製造プロセスを開発する研究開発基盤を強化するため、パイロット設備の導入とそれらの設備を収容する建屋(電池研究所第2開発棟)の建設を行うことを決定しました。建設開始は2023年12月、完成は 2025年12月を見込んでおります。なお、全固体電池を含む高性能正極材料とGHG排出量低減プロセスの開発につきましては、「次世代蓄電池用高性能正極材料の開発と実証」とのテーマでNEDOのグリーンイノベーション基金助成事業として採択され、実用化を目指し活動を進めております。

 また、GHG削減に貢献する新材料として、人工光合成光触媒材料の研究に取り組んでおり、水分解による水素製造や二酸化炭素の再資源化など、太陽光エネルギーを利用し化学反応を促進する高性能光触媒材料の創出に取り組んでおります。なお、二酸化炭素を一酸化炭素に変換する二酸化炭素還元光触媒の研究開発を加速させるべく、2022年6月に二酸化炭素有効利用に関する産学共同講座を京都大学内に開設しました。

 産学連携による研究開発推進のため、東北大学と包括的な共同研究と人材教育を進める組織的連携協力協定を締結し、同大学の広範囲にわたる研究機能を活用して、機能性材料や評価技術の開発及び人材育成を進める体制を整備しております。また同大学とは、2050年に向けたビジョン共創型パートナーシップに基づく取り組みも行っております。この取り組みでは、2050年をターゲットとした「ありたい姿」と「ビジョン」を策定し、そこからバックキャストした具体的なステップとして、材料系素材の共同研究・開発に取り組み、事業化・社会実装を実現することで、新たな価値の創造を目指します。なお、ビジョン達成に向け取り組むべきテーマの探索活動を促進すべく、2022年10月にGX材料科学(注)に関する研究開発テーマの企画・計画立案を目的とした共創研究所を設置しました。今後、2050年の循環型社会を見据えた水素活用材料などに関する共創研究テーマを探索し、新規共同研究課題やその成果の創出を目指します。

 なお、2022年10月にドイツのメッセ・デュッセルドルフで開催された国際展示会「K2022」に、開発中の鉄・ガリウム磁歪合金単結晶を出展し、脱炭素社会に貢献する機能性材料として紹介いたしました。

 当セグメントに係る研究開発費は4,735百万円であります。

(注)2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、GHGを発生させない再生可能なクリーンエネルギーに転換し、経済社会システムや産業構造を変革させて成長に繋げるための新材料開発に資する材料科学。

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