企業兼大株主住友ゴム工業東証プライム:5110】「ゴム製品 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループにおいては、当社の研究開発組織・施設を核として世界各地に所在する子会社・関連会社群との密接な連携のもと、タイヤ・スポーツ・産業品他事業、幅広い領域・分野で研究開発を推進しております。

 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、27,340百万円であります。

 セグメント別の主要な研究開発活動は、次のとおりであります。

(1)タイヤ事業

 当社グループのタイヤ技術研究開発は、神戸本社に隣接したタイヤテクニカルセンターを中心に、欧州・米国のテクニカルセンターと連携して「タイヤが地球環境の為に貢献できること」をテーマに、「低燃費性」「原材料」「省資源」の3つの方向性で環境配慮商品の開発に取り組んでおります。

 また、当社はCASE/MaaSなどの自動車業界の変革に対応するためのタイヤ開発及び周辺サービス展開のコンセプトである「SMART TYRE CONCEPT」を掲げております。例えば、タイヤの摩耗、経年による性能低下を抑制し、新品時の性能を長く持続させる「性能持続技術」や、商品ライフサイクル全体で環境性能を高めて循環型社会の実現に寄与する「ライフサイクルアセスメント(LCA)」の考え方を採り入れた商品開発を推進するとともに、デジタルツールを用いて得られるさまざまなデータを利用した新たなソリューションサービスの展開を目指しております。

 ソリューションサービスの分野では、当社はトラック配送などの車両管理にメンテナンス・保険・リースなどを組み合わせたトータルフリートマネジメントサービスの実現を加速すべく、AIを活用した車両故障予知ソリューションサービスを提供する米国のベンチャー企業であるViaduct Inc.(以下「Viaduct(バイアダクト)社」)と共同実証実験を開始しました。実証実験では、Viaduct社のAIを活用した車両故障予知ソリューションサービスと、当社の自動車の車輪速解析技術をベースとする独自のセンサーレスのセンシング技術「センシングコア」を組み合わせることで、タイヤに加え、エンジンやブレーキなどを含めた車両状況をリアルタイムで把握することを目指します。車両全体のモニタリングが可能になることで、走行時の安全性向上に繋がるとともに、車両の稼働率向上やメンテナンスコストの削減が期待できます。また、Viaduct社への出資を行ったことにより、戦略的パートナーシップをさらに強固なものとしました。両社の情報面・技術面での連携を通じて、より高度なトータル車両故障予知ソリューションサービスの展開を加速させます。

 材料開発の分野では水や温度などの外部環境にシンクロしてゴムの性質がスイッチする独自の技術である「アクティブトレッド」を開発しました。当技術は、2023年10月に東京ビッグサイトで開催された「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」において初めてその詳細を公開しました。路面に接する唯一の部品であるタイヤが、ウエット路面や凍結路面など路面状況の変化に反応して、ゴムの性質がアクティブ(能動的)に変化することで、最適な性能を発揮し、安全・安心なドライブを続けることができます。2024年秋に「アクティブトレッド」技術を初めて搭載した次世代オールシーズンタイヤを発売することに加え、今後も「アクティブトレッド」の技術開発を進め、EVタイヤの性能向上や、自動運転での安全な走行を支えるタイヤの開発に活用していきます。さらに将来は、地域・季節に関わらず使い続けることができるタイヤを目指しています。タイヤの履き替えを減らすことで、地球環境負荷を低減してサステナブルな社会の実現にも貢献していきます。

 また、DUNLOPブランドでバイオマスとリサイクル原材料を使用したサステナブル原材料比率76%のレースタイヤを開発しました。開発したタイヤは天然ゴムや天然由来の原材料の活用、またリサイクル鉄から再生した材料を使用することで従来のレースタイヤからサステナブル原材料の比率を高めたレースタイヤで、2023年12月にモビリティリゾートもてぎにて行われた「Honda Racing THANKS DAY 2023」のNSX-GT Last Raceに投入しました。今後は、DUNLOPがタイヤ供給を行うトップクラスから入門クラスまでの幅広いカテゴリーへの投入も視野に、更なる改良・チューニングを行うことで、サステナブルなモータースポーツの実現に貢献してまいります。

 当社はサーキュラーエコノミー(循環経済)の実現に向けて、住友理工株式会社、住友電気工業株式会社と協業して、炭素回収・変換技術を有する米国のバイオ技術会社LanzaTech Global, Inc.(以下「ランザテック社」)とのリサイクル技術の開発に取り組みます。ランザテック社が有する「微生物による生合成技術」を活用し、タイヤなどの廃棄物をガス化・ガス精製した後、微生物による生合成反応を経て、新たにゴム原料となるイソプレンを生産することを目指し、最終的には、原料メーカーとの協業を進め、イソプレンを再び、ゴム・樹脂として利用するリサイクル技術の確立を見込んでいます。また、廃棄物をガス化する過程で回収した金属をリサイクルし、原材料として再利用することを検討していきます。当社独自の循環型ビジネス構想「TOWANOWA※1」で目指すカーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーなど、サステナブルな社会の実現に向けた取り組みを加速させてまいります。

 サステナブルな社会の実現は個社の取り組みだけで達成することは困難であり、業界内にとどまらず産学官の多くのステークホルダーとの連携が必要になります。当社は、今後も循環型ビジネス構想「TOWANOWA」の各プロセスの取り組みを加速させ、データ活用で社内の開発を効率化するとともに、外部のさまざまなステークホルダーとつながることで新しい情報や技術を共有して、社会課題の解決やサステナブルな社会の実現に貢献してまいります。

 当事業に係る研究開発費は22,503百万円であります。

 ※1 「TOWANOWA」はタイヤ事業において効率的なモノの流れと資源の循環を目指す「企画・設計」、

    「材料開発・調達」、「生産・物流」、「販売・使用」、「回収・リサイクル」の5つのプロセス

 で構成された「サステナブルリング」と、「データリング」で構成されています。「データリン

 グ」は、バリューチェーン上の各プロセスから収集したビッグデータ、例えば原材料のデータやタ

 イヤの使用データなどを連携させ、シミュレーション技術、AI技術をさらに進化させる取り組みを

 指します。ビッグデータの収集には、当社独自のセンシング技術である「センシングコア」が活用

 されています。

(2)スポーツ事業

 スポーツ事業本部並びに米国のRoger Cleveland Golf Company, Inc.に研究開発部門を設置しており、コンピューターシミュレーション技術等を用いて新技術・新商品の開発並びに評価、試験に取り組んでおります。兵庫県丹波市の「ゴルフ科学センター」では、スイングマシーンによるテストに加え、トッププロからアベレージゴルファーまでの様々な方のヒューマンテストを行い、クラブやボールの特性に加え、スイングとクラブの関係など、膨大なデータを集積し、総合的に測定・解析・評価を行っております。

 これらの取り組みにより、ゴルフクラブでは13代目ゼクシオゴルフクラブ「ゼクシオ 13(サーティーン)」「ゼクシオ エックス」を開発し、2023年12月に発売しました。フェースの外周部の剛性をトウからヒールにかけて最適化することで高反発エリアを拡大、飛距離性能を向上させました。また、ダウンスイング時のヘッド挙動を安定させることで、ボールをより芯でとらえやすくなりました。

 ゴルフボールでは、「スリクソン Z-STAR(ゼットスター)シリーズ」3機種を開発し、2023年2月に発売しました。ボールコア中心付近の硬度変化をより大きくし、ドライバーショットでの高初速化、アイアンショットでのスピン量増加を実現する一方、コア表面付近の硬度変化を緩やかにすることで、優れたアプローチショットスピン性能も同時に実現しています。また、ボール表面のコーティングについても配合を一新し、インパクト時のボールの滑りを抑制し、フェースに食いつくような打感を実現しました。3機種展開で、「スリクソン Z-STAR XV(エックスブイ)」ではドライバーでの飛距離を、「スリクソンZ-STAR」ではソフトなフィーリングとアプローチスピンを、「スリクソンZ-STAR ◆(ダイヤモンド)」は、ロング・ミドルアイアンでのスピン性能を優先するゴルファー向けに、それぞれ専用の技術を搭載しています。

 テニスラケットでは、コントロール系テニスラケット「CX(シーエックス)」シリーズを開発し、商品化しました。従来よりも長方形に近いフレーム断面形状の採用とフェース部とフレーム部の剛性を調整することで、パワー・スピン性能を向上させながら、安定性とより柔らかな打球感を実現しました。なお、同シリーズの開発については、2023年10月に開設した「テニス科学センター」での解析・評価なども活用しております。

 これらのほか、地球環境に配慮したサステナブルな取り組みとして、ゴルフボールでは植物由来のバイオマス素材を一部に使用し、現行モデルと同性能を実現した「スリクソン Z-STAR+e(ゼットスタープラスイー)」(非売品)を開発、発表しました。また、テニスボールでは、容器のふたやプラスチックラベルを紙化し、容器をリサイクルPET配合材に変更するなど、地球環境に配慮した開発にも積極的に取り組みました。

 当事業に係る研究開発費は2,894百万円であります。

(3)産業品他事業

 ハイブリッド事業本部では、高減衰ゴムを用いた制振部材、医療用ゴム製品、ヘルスケア用品等、安心・安全・快適をテーマとする事業活動に積極的に取り組んでおります。

 制振事業では、地震対策用の制振ダンパーの製造・販売を通じて社会の安心・安全に貢献できるよう取り組んでおります。1月に発生した令和6年能登半島地震におきましても、被災されたお客様から当社の制振ダンパーの安全性に対し感謝のお言葉をいただくことができました。近年では全国展開の住宅事業者様での導入など普及が進んでおり、被災経験を持つ企業として、安心・安全の提供に一層努めてまいります。制振事業のみならず、カーボンニュートラル、プラスチック削減等、社会課題の解決を目指し、より安心・安全・快適な毎日の暮らしに貢献する商品の研究開発を行っていきます。

 当事業に係る研究開発費は1,943百万円であります。

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