企業兼大株主伊藤園東証プライム:2593】「食品業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年7月27日)現在において当社グループが判断したものです。

(1)当社グループの経営の基本方針

 当社グループは創業以来、「お客様第一主義」の経営理念に基づき、全社員が「STILL NOW(今でもなお、お客様は何を不満に思っているか)」を考え、「自然・健康・安全・良いデザイン・おいしい」の製品開発コンセプトに基づき、お客様にお喜びいただける製品の開発と、お客様に密着したサービスに努めてまいりました。

 当社グループの考える「お客様」とは、「消費者の皆様・株主の皆様・販売先の皆様・仕入先の皆様・金融機関の皆様・地域社会の皆様」であり、単に消費者の皆様にとどまらず、当社グループと関わりを持たれるすべての方々を「お客様」と定義しております。

 全社員が「STILL NOW(今でもなお、お客様は何を不満に思っているか)」の精神を持ち、「お客様」にお喜びいただける最良のサービスをご提供することが、最良の経営につながるものと確信しております。

 今後も、当社グループは「お客様第一主義」の経営理念に基づき、継続的に企業価値を高め、より一層株主価値を向上させる経営に努めてまいります。

(2)当社グループの中長期的な経営戦略

 日本経済においては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される一方で、世界情勢の急激な変化など、経済・社会が激変するなか、当社グループにおける事業環境も同様に変化し続けていくことを想定しています。

 当社グループは、外部環境の変化に対して、グループ経営理念「お客様第一主義」のもと、すべてのお客様からのご期待にお応え続けていく、中長期経営計画を2022年6月に策定しました。新・中長期経営計画では、お客様の健康で豊かな生活と持続可能な社会を実現するため、5年間で「5つの重点戦略」に注力します。また、「収益性重視」「利益・シェア向上のための持続的成長」「株主資本利益率の向上」といった成長に対する考え方のもと、2027年4月期の定量目標を定めました。

 当社グループは、新・中長期経営計画における「5つの重点戦略」を実行するうえで新たな価値の創造に努め、お客様の健康で豊かな生活と持続可能な社会を実現し、唯一無二の永続企業を目指してまいります。

(3)当社グループの対処すべき課題

 当社グループは今後、法令及び社会的規範の遵守、製品の安全性並びに品質管理体制等、企業の社会的責任に消費者の厳しい目が向けられる中、経営理念であります「お客様第一主義」を徹底し、企業価値を高め、一層の株主価値を向上させるために、以下の項目を中心に取り組んでまいります。

① ブランドの確立

1.製品開発

 当社は、「自然・健康・安全・良いデザイン・おいしい」を製品開発コンセプトに、全社員が「STILL NOW(今でもなお、お客様は何を不満に思っているか)」を考え、当社独自の提案制度であるVoice制度(お客様のご不満やご要望を製品開発に取り入れる提案制度)を活用し、積極的に新製品の開発及び既存製品の改良を行っております。今後もVoice制度を積極的に活用し、お客様のニーズに即した製品開発・改良に努めてまいります。

2.研究開発

 当社の研究開発において、特に「健康」、「安全」、「おいしい」、更には、持続可能な社会への貢献として「環境」に重点をおいて、基礎・応用研究を進めております。当社が提供する製品が、人々の健康維持に有用であることを、様々な試験を通じて検証し、常に最新情報を発信し続けます。更に健康価値を表示できる特定保健用食品や機能性表示食品の開発にも力を注いでいきます。また、飲料のおいしさに関与する成分研究、物性に関する研究を進め、より優れた製品開発に向けた技術提案を行ってまいります。環境については、「お~いお茶」などの飲料製造工程で発生する茶殻を、肥料や飼料の再利用のほか、新たなアップサイクル製品へと生まれ変わる「茶殻リサイクルシステム」を開発しました。

3.ブランド強化政策

 「伊藤園(ITO EN)」という「総称ブランド」を軸に、「お~いお茶」「健康ミネラルむぎ茶」「TULLY'S COFFEE」「1日分の野菜」などの「個別ブランド」の強化を図ってまいります。

 特に主力製品であります「お~いお茶」につきましては、1985年の発売から続いている原料と製法にこだわり、無香料・無調味の自然のままのおいしさを引き出し、お客様へご提供してまいります。また、緑茶飲料が様々な飲用シーンでお楽しみいただけるよう、容量、容器バリエーションの充実を図るとともに、緑茶飲料を初めて発売した当社ならではの技術力で、季節に合わせた製品や「濃い茶・ほうじ茶・抹茶入り・玄米茶」など、茶葉の特徴を取り入れ、飲用価値を訴求した製品を発売し、より一層のブランド強化に努めてまいります。今後も品揃えを強化し、お客様にご満足いただける本物のおいしさをご提供してまいります。

② 営業基盤の強化

1.ルートセールス

 ルートセールスとは、「製品、サービスをお客様へ直接ご提供する販売システム」のことであります。当社はこのシステムを採用することにより、当社とお客様をダイレクトに結びつけ、地域に密着した営業活動を展開しております。

 また、機能性、携帯性に優れたルートセールス担当営業員用のポータブル端末を活用することで、お客様に効率的かつ的確なサービスをご提供できるよう努めております。

2.お客様へのサービスの強化

 これまでもルートセールスにより、お客様へのサービスに努めてまいりましたが、確固たる営業基盤を築くため、新しいお客様の開拓に努めるとともに、既存のお客様への訪問の強化を行っております。また、お客様のご不満を聞き、お客様にご満足していただける製品開発や魅力的な売り場づくりなど、総合的なご提案をルートセールスにより行っております。

③ 総コストの削減

1.委託生産方式

 飲料製品におきましては、「ファブレス(fabless 工場を持たない)」方式により、設備投資リスクの軽減を図り、市場環境の変化に迅速に対応できる体制にしております。

 また、全国を5つの地域に分けて生産管理を行う5ブロック生産体制を敷くことにより、迅速な製品供給を行うとともに、物流の効率化も可能となっております。

2.原材料調達力の強化

 当社は、緑茶のトップメーカーとして国内荒茶生産量の約4分の1を取扱い、長年にわたり生産者との信頼関係を築き上げた結果、高品質の原料茶を安定的に確保できる極めて強力な原料調達力を持っております。また、これまでに蓄積したノウハウと高い製造技術により、高品質の飲料用原料茶を自社製造で調達することができる飲料メーカーであります。国内では就農者の高齢化と後継者不足のため、就農人口、茶園面積の減少が進んでおります。そこで当社は、日本農業の課題解決と、今後も需要増加が見込まれる緑茶飲料用を中心とした原料の安定調達の両立を目指して1976年より茶産地育成事業を行っております。各地の茶農家から茶葉を全量買い取りする“契約栽培”と、荒廃農地などを大規模な茶園に造成して茶葉を生産する“新産地事業”とで茶産地をサポートしています。新産地事業では、九州5県に加え静岡県及び埼玉県にて、苗木の選定から茶園づくり、そしてその茶園を機械化、IT化により低コストで管理できる栽培及び荒茶加工ノウハウを、当社から農家に対し提供することで、生産性と環境保全を両立した茶園経営を推進し、より高品質な原料茶の安定調達を目指すとともに、荒廃農地の活用及び生産農家の後継者育成ならびに雇用の創出など茶業界と地域の活性化にも寄与しております。

④ 海外事業の強化

 連結子会社であるITO EN (North America) INC. が米国における緑茶市場の創造と開拓を進めるため、全米のナチュラルフードマーケットや、ナショナルチェーン店等に対し営業活動を行い、本物の日本茶を米国に普及させると同時に、「ITO EN」ブランドの確立を図っております。ティーバッグ製品ITO EN「MATCHA GREEN TEA」につきましては、これまで米国市場には無かった高品質の緑茶ティーバッグとして、お客様に大変なご好評をいただくとともに、米国での日本茶市場の拡大に大きく貢献しており、今後も強化してまいります。また、中国、東南アジア、豪州につきましても、引き続き販売強化を進めてまいります。

⑤ サステナビリティ経営の推進

 当社グループにとって、サステナビリティへの対応は、持続可能な成長を実現するための重要な経営基盤です。経営理念「お客様第一主義」に基づき、自然由来の製品を主として、誠実なサービスでお客様の健康で豊かな生活と持続可能な社会の実現に貢献する「健康創造企業」として、サステナビリティ経営の推進と実践により、社会・環境課題の解決と企業価値向上の両立(共有価値の創造:CSV)を目指しています。

 「伊藤園グループサステナビリティ基本方針」のもと、7つのサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)を経営戦略に据え、中長期経営計画と相互に連動させた取り組みを推進しています。

<7つのマテリアリティ>

マテリアリティ

コミットメント

食生活と健康への貢献

人生100年時代を見据えた研究開発・各世代の健康に資する製品・サービスを通じて、お客様の健康的で豊かな生活に貢献します。

持続可能な国内農業への貢献

茶産地育成事業を通じて、高付加価値原料の開発や環境配慮型農業の推進により、国内農業の活性化に貢献します。

環境

自然由来の製品を主として事業活動を営む企業として、人類共有の地球環境を守る課題に取り組みます。

地域社会・コミュニティとの

つながりの深化

様々なステークホルダーとの対話を通じ、地域社会の課題解決に貢献します。また、お茶を介したコミュニケーションにより、心身ともに健康をサポートします。

持続可能なサプライチェーン

への貢献

サプライヤーとの持続的なパートナーシップにより、社会・環境課題の解決と双方の持続的な収益の両立を実現します。

多様な人財と全員活躍の推進

バリューチェーンにおける全ての人々の人権を尊重するとともに、全従業員が健康でいきいきと活躍する組織づくりに取り組みます。

コーポレート・ガバナンス

サステナビリティ経営の推進と実践で、社会・環境課題への対応とリスク管理を強化し、企業価値を向上させます。

<食生活と健康>

 世界的な健康志向の高まりや人生100年時代を背景に、健康寿命の延伸や生活習慣病の予防が社会課題となる中、当社グループは、緑茶や抹茶成分の機能性をはじめとする長年の研究成果を活かし、栄養改善や健康に資する特定保健用食品や機能性表示食品の開発強化に取り組んでいます。

 また、お茶の健康価値を研究者などによる講演とパネルディスカッションで発信する「伊藤園ウェルネスフォーラム」を継続的に開催するなど、健康的な生活に役立つ情報を発信するとともに、「お茶」を通じたつながりを創出し、心と体の両面からお客様の健康をサポートしてまいります。

<持続可能な国内農業>

 国内農業においては就農人口の高齢化や後継者不足などを背景に、農地面積が減少を続けており、荒廃農地の発生等が社会課題となっています。緑茶を主力原料とする当社グループでは、1976年より茶産地育成事業に取り組んでおり、高品質な原料茶の安定調達に加え、荒廃農地などの茶畑への転換による国内農業の活性化に貢献するとともに、環境配慮型農業を推進しております。世界的な減糖・無糖意識の高まりを受けて、今後の需要拡大が見込まれる海外市場に向けて、減農薬や有機栽培の産地育成にも力を入れております。茶産地育成事業では、農業生産工程管理の認証制度「GAP認証(※)」を100%取得しており、今後も安心・安全に配慮した製品の提供を続けるとともに、世界各国の基準・認証を取得した原料茶の生産と調達を実現し、事業機会の拡大につなげてまいります。

(※)食品安全や環境保全のほか、人権の尊重、労働安全、農場管理等の取り組みを行う農場に与えられるGAP

 認証制度には、世界基準である「グローバルGAP」のほか、日本GAP協会が展開する「JGAP」「ASIAGAP」等があり、ここではこれら3つの認証のうちいずれかを取得した農園を指します。

<環境課題>

 当社グループは、自然由来の製品を主として事業活動を営む企業として、人類共有の地球環境を守り、次世代に継承することが最重要課題の一つであると考えております。気候変動、水資源、プラスチックを中心とする廃棄物等の環境問題や、それらと密接に関わり合っている生物多様性の問題を背景に、「伊藤園グループ環境方針」のもと中長期環境目標を設定し、グループの事業活動におけるバリューチェーン全体の環境負荷低減と課題解決に取り組んでいます。

・気候変動への対応

 当社グループは気候変動に関わる諸課題の解決に向けて、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明しています。TCFD提言に基づき、主力原料である緑茶からシナリオ分析を開始し、2021年度からは対象をバリューチェーン全体に拡大して、気候変動に伴うリスクと機会が事業活動に与える影響評価と対応策の検討を進め、詳細を統合レポートや当社ウェブサイト等に掲載しております。

・水資源

 持続可能な水資源の利用を目指し、生産活動における水使用量の削減等の取り組みを推進しております。毎年、自社及び協力工場を対象とした水リスクの評価・特定を行って必要な対策を講じているほか、協力工場と協働して、工場周辺の取水源となる水源地保護につながる森林保全活動等を推進しています。

・容器包装

 脱炭素社会と循環型社会の実現に向けて、「伊藤園グループプラスチックに関する方針」「伊藤園グループ容器包装に関する方針」に基づき、ペットボトル、キャップ、ラベルなどの資材の軽量化、ラベルレス製品の拡充、植物由来の生分解性素材といった環境配慮素材や再利用可能容器への代替など、容器包装の3R(リサイクル、リデュース、リプレイス&リユース)+クリーン(環境保全)に取り組んでいます。

・生物多様性

 豊かな自然の恵みを活かして事業活動を行っている当社グループにとって、気候変動と同様、生物多様性の保全と回復は喫緊の課題であると認識し、「伊藤園グループ生物多様性保全に関する方針」を全面改定しました。本方針に基づき、2022年度は事業バリューチェーンの各段階における生物多様性・自然資本への依存度と影響度を評価し、優先的に対応すべき項目を認識しました。今後も、生物多様性の保全と回復に向けた取り組みを推進してまいります。

<人権課題>

 人権の尊重は全ての事業活動の土台であるとの認識の下、当社グループは、「伊藤園グループ人権方針」「伊藤園グループサプライヤー基本方針」のもと、バリューチェーンにおける全ての人々の人権尊重の取り組みを推進しています。2022年度は、グループ会社を含む経営層向けの人権講習会や、管理職を対象とした人権ワークショップを開催しました。今後は、サプライチェーンにおける人権デューデリジェンスの実施に取り組んでまいります。

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