企業兼大株主九州電力東証プライム:9508】「電気・ガス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループは、「ずっと先まで、明るくしたい。」をブランド・メッセージとする「九電グループの思い」のもと、「低廉で良質なエネルギーをお客さまにお届けすることを通じて、お客さまや地域社会の生活や経済活動を支える」ことを使命に、事業活動を進めている。

 なお、当社は、2023年3月、公正取引委員会から独占禁止法に基づく排除措置命令及び課徴金納付命令を、九電みらいエナジー株式会社は排除措置命令を受けた。また、2023年4月、当社と九州電力送配電株式会社は、非常災害時等の対応業務以外で、九州電力送配電株式会社が所有するシステムを当社従業員が使用するなどにより、新電力顧客情報等を閲覧していたことが判明した件について、経済産業省より業務改善命令等を受領した。これらの事案の発生を受け、再発防止及びコンプライアンスを最優先にした事業活動をより一層徹底していく。

1 経営環境

 世界情勢の不安定化に伴う燃料価格の高騰、電力需給のひっ迫などが発生し、人々の生活や社会経済活動を支える電力を低廉かつ安定的に供給することの重要性がこれまで以上に高まっている。

 また、世界的な脱炭素の潮流は、国内ではクリーンエネルギー中心の社会経済や産業構造への転換に向けた動きとして、2023年2月に閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」にも色濃く反映されている。

 当社グループは、日本政府の方針である「2050年カーボンニュートラル」や「2030年温室効果ガス排出削減目標」の達成に向け、エネルギー事業者としての積極的な貢献が期待されている。

 さらに、デジタル技術の進展に伴うお客さまニーズの多様化や柔軟な働き方に対応すべく、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進によるビジネスモデルや業務プロセスの抜本的変革が必要不可欠となるなど、現在の経営環境は大きな転換期にある。また、企業の価値創出の原動力として、人的資本経営の重要性がより一層高まっている。

2 中長期的な経営戦略

 当社グループは、九州から未来を創る企業グループとして、経営環境が大きく変化するなかにおいても、事業を通じて「社会価値」と「経済価値」の双方を創出し、サステナブルな社会への貢献と九電グループの企業価値の向上を実現するサステナビリティ経営を推進している。

 そのうえで、中長期の目指す姿として「九電グループ経営ビジョン2030」と「九電グループ カーボンニュートラルビジョン2050」を定め、グループ一体となって取組みを進めている。

 さらに、これらのビジョン実現に向けた経営上の重要課題「マテリアリティ」を特定し、その解決に向けた取組みを中期経営計画として具体的に反映させることで、着実な実践を図り、お客さまから信頼され、選ばれ続ける企業グループを目指していく。(図1、2)

[図1 マテリアリティ(サステナビリティ実現に向けた経営上の重要課題)]


[図2 サステナビリティに係る理念等の体系]


[九電グループ経営ビジョン2030(2019年6月策定)]

2030年のありたい姿の実現に向けた3つの戦略を掲げるとともに、その実現に向けた中間目標として、2025年度を対象に、財務目標(連結経常利益・自己資本比率)を設定している。(図3、4)
 さらに、2023年度から経営指標としてROIC(投下資本利益率)を導入し、「事業部門による主体的・自立的なROIC改善」と「ポートフォリオ管理の強化」を柱としたグループ大のマネジメントサイクルを推進することで、これまで以上に資本効率性を意識した経営を目指していく。(連結ROIC目標値:2025年度2.5%、2030年度3.0%)

[図3 九電グループ経営ビジョン2030]

〇 2030年のありたい姿


 

〇 経営目標(2030年度)


 

[図4 財務目標(2025年度)]

項 目

目 標

〇連結経常利益

・国内電気事業

・成長事業

1,250億円以上

750億円

500億円

〇自己資本比率

20%程度

 

                          ※ハイブリッド社債の資本性を考慮

 

[九電グループ カーボンニュートラルビジョン2050(2021年4月策定)]

日本の脱炭素をリードする企業グループとなることを目指した「九電グループ カーボンニュートラルビジョン2050」において、「電源の低・脱炭素化」と「電化の推進」に取り組む方針を定めるとともに、その実現に向けたアクションプランでは、2030年の経営目標(環境目標)や、KPI(重要業績評価指標)を設定するなど、カーボンニュートラル実現への道筋を示している。(図5)
 2050年のサプライチェーン温室効果ガス(GHG)排出量の「実質ゼロ」に挑戦するとともに、九州の電化率向上への貢献などにより、社会のGHG排出削減に大きく貢献していくことで、当社グループの事業活動全体の「カーボンマイナス」を2050年よりできるだけ早期に実現していく。

 

[図5 カーボンニュートラルの実現]

〇 九電グループが目指す姿


 

3 中長期的な経営戦略の実現に向けた取組み

戦略Ⅰ エネルギーサービス事業の進化

 エネルギー情勢やお客さまニーズの多様化など、環境変化を先取りし、エネルギーサービスを進化させ、環境に優しく、低廉なエネルギーを安定的にお届けし続ける。

○ 発電・販売事業については、S(安全)+3E(エネルギーの安定供給、環境保全、経済性)の観点から、容量市場など新たな電力取引市場も最大限活用しつつ、最適なエネルギーミックスを追求していく。

 再生可能エネルギーについては、グループ内の再エネ事業の統合を進め、国内外で開発を推進し、主力電源化を図っていく。

 原子力発電については、CO排出抑制面やエネルギーセキュリティ面等で総合的に優れた電源であり、安全の確保を大前提として最大限活用していく。原子力の自主的かつ継続的な安全性向上に取り組むとともに、川内原子力発電所の運転期間延長認可取得に向けた対応などを着実に進めていく。また、分かりやすい情報発信やフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーション活動を継続することで、地域の皆さまに「安心できる」と感じていただけるよう取り組んでいく。

 火力発電については、最新鋭のLNG火力発電所の開発や、非効率石炭火力のフェードアウト対応に加え、水素・アンモニアの混焼に必要な技術の確立やサプライチェーンの構築など、環境面やコスト競争力、供給安定性のバランスを追求しつつ活用していく。

 電力の安定供給については、電力需給変動リスクや燃料価格変動リスク等を踏まえた供給力の確保や燃料調達等を徹底するとともに、電力販売については、競争環境や、社会全体の環境意識の高まりを踏まえ、引き続きお客さまにお選びいただけるよう、エネルギーサービスの充実を図っていく。

○ 送配電事業については、九州電力送配電株式会社を中心に、公平性・透明性・中立性の確保に重きを置いた運営に努めていく。そのうえで、安定供給とコスト低減の両立を実現するとともに、再生可能エネルギーの最大限の受入れや効率的な設備運用等を目指し、送配電ネットワークの次世代化を推進していく。また、これまで培った技術力や資産などを活用し、事業領域の拡大に取り組んでいく。

○ 海外事業については、不安定な世界情勢や資源価格の大幅な変動などの多様化するリスクの見極めを行いつつ、当社がこれまで蓄積したノウハウやネットワークを活かして、進出エリアや事業領域の更なる拡大を図り、一層の収益拡大を目指していく。

戦略Ⅱ 持続可能なコミュニティの共創

 地域・社会の課題解決に向けて、グループの強みやエネルギーサービス事業とのシナジー等を発揮できる都市開発やICTサービス等の事業に加え、新規事業・サービスの創出にも取り組んでいく。

○ 都市開発事業については、エネルギーやデジタルなど当社グループならではの付加価値の高い事業を展開し、収益を拡大するとともに、交流人口拡大や賑わいの創出など地域・社会の持続的発展に貢献していく。

○ ICTサービス事業については、DXが進展するなか、光ブロードバンド事業やモバイルサービス事業、データセンター事業等の既存事業に加え、ドローンサービスや地域情報プラットフォームサービスなど、地域・社会のニーズにお応えする新たなサービス創出にグループを挙げて取り組んでいく。

○ 自治体や地域団体との協働による産業振興や交流人口拡大に向けた事業など、地域課題解決に資する取組みを通して、九州地域全体の地方創生や当社グループの新たな事業創出につなげていく。

戦略Ⅲ 経営基盤の強化

 持続的成長と中長期の企業価値向上に向けたグループ一体の挑戦により、経営を支える基盤を強化していく。

○ 事業活動に関する積極的かつタイムリーな情報発信や、広聴・提言機能の強化により、お客さまや地域の声を踏まえた経営を推進していく。

○ 安全と健康を最優先する企業活動を徹底することで、事業に関わる全ての人たちの安全を守り、その先にある安心・信頼につなげるとともに、全ての従業員が心身ともに健康で、活き活きと働ける会社をつくっていく。

○ 人的資本経営については、社員の自律性を刺激し活かす仕組みづくりや、知・経験の多様性を活かし共創する組織風土づくり、時間や場所に捉われず柔軟な働き方ができる仕組みづくり等、従業員エンゲージメントを高め、人財の価値を最大限引き出す取組みを推進していく。これらの取組みを通じて、人と組織が成長し続ける文化を醸成し、未来の価値を創出する企業グループを目指していく。

○ ICTを用いた業務効率化・高度化などDXの取組みを通じて、生産性の向上と新たな企業価値創造の強固な基盤を創っていく。

○ コーポレート・ガバナンスの充実や、コンプライアンス経営の推進、情報セキュリティの確保の徹底を図っていく。

 特にコンプライアンス経営については、独占禁止法に基づく行政処分を受けた件について、厳粛に受け止めるとともに、各命令の内容を精査・確認のうえ、今後の対応を慎重に検討していく。あわせて、今回の命令内容を踏まえた対策も織り込みながら、独占禁止法遵守に向けた取組みの一層の強化を図っていく。

 また、新電力顧客情報等の閲覧に関して、経済産業省より業務改善命令等を受領した件については、二度とこのような事態を引き起こすことがないよう、社長を筆頭とする経営層のリーダーシップのもと、社外の知見もいただきながら、全社員が一丸となって再発防止に取り組み、信頼回復に努めていく。

○ 財務基盤の安定化に向けて、当社は、株式会社みずほ銀行、株式会社日本政策投資銀行及び株式会社三菱UFJ銀行に対して、第三者割当の方法により、2,000億円の優先株式を発行することを2023年6月28日開催の定時株主総会に付議し、承認を得た。

 さらに、株主価値向上に向け、財務体質を改善し、株主還元の更なる充実に取り組んでいく。

 当社グループとしては、これらの取組みを通じて、ステークホルダーの皆さまへの価値提供を果たしていく。

(文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したもの)

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