(1) 会社の経営の基本方針
①当グループの原点
日本では明治時代以降に信託制度が導入され、1922年には「信託法」、「信託業法」が制定されました。これらにより、信託制度が確立され、本格的な発展期を迎えることとなりました。
1924年には「信託業法」に基づく日本最初の信託会社として三井信託株式会社が設立されております。1925年には住友信託株式会社が設立され、1962年には中央信託銀行株式会社が設立されております。これら信託会社・信託銀行が当グループの中核子会社たる三井住友信託銀行株式会社の母体となっており、「信託」が当グループの原点となっております。
当グループは、「信託」の受託者精神に立脚し、「信託」の力で各時代におけるお客さまのニーズや社会の要請に応じて、新たな価値創出に「挑戦」し、日本の発展に貢献する「開拓」の姿勢を、創業以来貫いてまいりました。
例えば、戦後の高度成長期には、重厚長大産業向けの設備投資資金ニーズに応える「貸付信託」を中心に、日本の経済成長を支えてきました。
1960年代からは、企業年金の制度設計・資産運用・資産管理を三位一体で提供する「年金信託」の受託者として、勤労者の充実した老後の生活を支援しております。
2000年以降は、「信託法」、「信託業法」の改正を契機に、時代に合った新たな商品・サービスの提供を通じて、社会課題に向き合っております。
当グループはまさに「信託」を原点とし、「信託」とともにその歴史を歩んでおり、今後もさらなる飛躍に向けて歩みを進めてまいります。
(三井住友信託銀行株式会社の主な変遷)
(三井住友信託銀行株式会社の信託財産残高推移)
(※)2012年3月期以前の信託財産残高については、三井住友信託銀行株式会社統合前の各社の信託財産残高を
合算して算出しております。
②当グループの基本方針
当グループは、目指す企業グループ像を明確にするため、次のとおり存在意義(パーパス)、経営理念(ミッション)、目指す姿(ビジョン)、行動規範(バリュー)を定めております。
信託の力で、新たな価値を創造し、お客さまや社会の豊かな未来を花開かせる
①高度な専門性と総合力を駆使して、お客さまにとってトータルなソリューションを迅速に提供してまいります。
②信託の受託者精神に立脚した高い自己規律に基づく健全な経営を実践し、社会からの揺るぎない信頼を確立
してまいります。
③信託銀行グループならではの多彩な機能を融合した新しいビジネスモデルで独自の価値を創出し、株主の期待
に応えてまいります。
④個々人の多様性と創造性が、組織の付加価値として存分に活かされ、働くことに夢と誇りとやりがいを持てる
職場を提供してまいります。
「The Trust Bank」の実現を目指して
当グループは、信託の受託者精神に立脚し、高度な専門性と総合力を駆使して、銀行事業、資産運用・管理事業、
不動産事業を融合した新しいビジネスモデルで独自の価値を創出する、本邦最大かつ最高のステイタスを誇る
信託銀行グループとして、グローバルに飛躍してまいります。
当グループの役員・社員は、グループ経営理念を実践するため、以下の6つの行動規範を遵守してまいります。
お客さま本位の徹底 -信義誠実-
私たちは、最善至高の信義誠実と信用を重んじ確実を旨とする精神をもって、お客さまの安心と満足のために
行動してまいります。
社会への貢献 -奉仕開拓-
私たちは、奉仕と創意工夫による開拓の精神をもって、社会に貢献してまいります。
組織能力の発揮 -信頼創造-
私たちは、信託への熱意を共有する多様な人材の切磋琢磨と弛まぬ自己変革で、相互信頼と創造性にあふれる
組織の力を発揮してまいります。
個の確立 -自助自律-
私たちは、自助自律の精神と高い当事者意識をもって、責務を全うしてまいります。
法令等の厳格な遵守
私たちは、あらゆる法令やルールを厳格に遵守し、社会規範にもとることのない企業活動を推進してまいります。
反社会的勢力への毅然とした対応
私たちは、市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力に対して、毅然とした姿勢を貫いてまいります。
(2) 金融経済環境
当連結会計年度の金融経済環境を見ますと、海外では、欧米を中心に高インフレと金融引き締めによって景気の減速感が強まりました。2023年3月に米国の地方銀行が利上げの影響を受けて破綻すると、欧米の金融システムへの懸念が広がりました。国内では、サービス部門を中心に景気は総じて持ち直しの動きが続きましたが、輸出は海外経済の減速を受けて2022年12月頃から弱さが目立ち、個人消費には物価上昇が重荷となりました。
金融市場では、世界的な景気後退懸念が株価の下押し要因となり、日経平均株価は27,000円を中心に軟調に推移しました。10年国債利回りは、日本銀行が設定する変動許容幅の上限の0.25%近辺で推移してきましたが、2022年12月に変動許容幅が拡大されると0.50%前後まで上昇し、2023年3月に米国の2023年内の利下げ観測が強まると、0.30%前後まで急低下しました。ドル円レートは、日米の金融政策スタンスの違いを反映して、2022年10月には150円前後まで円安が進みましたが、米国のインフレ率のピークアウトが明確になると、130円台まで円高方向へ調整されました。
(3) 事業の経過
当グループは、「信託の力で、新たな価値を創造し、お客さまや社会の豊かな未来を花開かせる」という存在意義(パーパス)のもと、事業運営を推進しております。
SDGs・ESG経営の加速やデジタル化の進展に加え、食料・エネルギー価格高騰によるインフレや海外での金融引き締めによって景気の減速感が強まる中、中期経営計画の最終年度にあたる2022年度は、パーパスの実現に向け、以下3つの重点テーマの取り組みを進めました。
① 好循環を加速する事業ポートフォリオの強化
当グループは、付加価値の高い商品・サービスの提供と、新たな価値を創出するための投資等を通じ、様々なステークホルダーによる「資金・資産・資本の好循環」を促進・先導していくことを目的として、三井住友信託銀行において、個人・法人・投資家のお客さまを軸とした事業体制への組織再編を実施しました。
個人のお客さまには、三井住友信託銀行において、「人生100年時代」を見据え、幅広いお客さまの資産形成をサポートするスマートフォンアプリ「スマートライフデザイナー」の提供を2022年4月に開始しました。預金・株式等の金融資産から、住宅ローン、年金まで、資産・負債に関する情報を一元的に把握し、ライフプラン設計と計画的な資産形成を後押しする取り組みを進めています。
UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメント株式会社では、UBSグループの資産運用・証券サービスと当グループの相続・資産承継、不動産等の幅広い商品・サービスを組み合わせ、多様かつ複雑なニーズを抱えるお客さまに最適なソリューションを提供しています。
住信SBIネット銀行株式会社では、ネット銀行ならではの利便性とセキュリティを両立したアプリや、決済・預金・貸出などの銀行機能をパートナー企業に提供するNEOBANKサービスが高く評価され、預金口座数は600万件、預金総残高は8兆円を突破しました。また、2023年3月には東京証券取引所スタンダード市場へ上場し、引き続きグループ各社と新たな金融サービス実現に向けた協業を進めてまいります。
法人のお客さまには、「ESG/サステナブル経営」への取り組みが重要となる中、グループ各社が連携し、脱炭素へのトランジション(移行)に向けた対応、ガバナンス体制の整備、人的資本経営等へのソリューションを拡充しました。
三井住友信託銀行では、次世代エネルギー等の先進的な技術の社会実装や、企業の脱炭素やトランジションを後押しする「インパクト・エクイティ投資」の取り組みを本格化しました。
2023年1月には、米国の電力エネルギー・環境インフラに特化したプライベートエクイティマネージャーであるEnergy Capital Partners(ECP)と業務提携を行いました。ECPのエネルギー・環境に関する知見と投資ノウハウを活用し、トランジションにつながるソリューションを拡充・強化するとともに、脱炭素領域における市場創造を通じたお客さまへの投資機会提供に向けた取り組みをスタートさせています。
企業年金・公的年金基金や金融法人など投資家のお客さまには、当グループの投資機会の発掘力・商品の組成力を発揮し、不動産や非上場株式等のプライベートアセットの提供を拡大しました。三井住友信託銀行においては、株・債券以外の非伝統資産や実物資産などを運用対象とするオルタナティブ投資の商品開発・拡充を進め、預かり残高を拡大させました。
資産運用業務においては、グループ一体での運用戦略の下、三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社において、ESG投資の世界的な拡大を捉え、気候変動対応や森林保護等の国際的なエンゲージメント活動に注力するとともに、日興アセットマネジメント株式会社においては、競争力のある運用商品の開発とラインアップの拡充を通じ、国内外のお客さまの多様なニーズにお応えしました。
資産管理業務においては、株式会社日本カストディ銀行や三井住友信託銀行を中心に、お客さまのニーズを起点に機能強化・サービス向上を図りました。また、デジタル技術を活用した業務プロセス改善や基幹システムの共通化による効率化・コスト削減を進め、競争力の強化に取り組みました。
② 持続的成長に向けた戦略投資の推進
お客さまや社会が抱える課題解決への貢献と、当グループ自身の持続的成長の両立に向け、新たな成長機会や市場創出に向けた戦略的な投資を加速しました。
オルタナティブ運用において世界トップクラスの実績を有するApolloグループと業務提携を行い、同グループが運用するプライベートアセットポートフォリオに、三井住友信託銀行が総額15億ドルの投資を行いました。同グループのビジネス基盤とノウハウを活用した海外市場へのアクセス強化や新たな運用商品開発により、国内のプライベートアセットの市場創出、投資機会の提供拡大によるソリューション強化に向けた取り組みを開始しました。
一方、政策保有株式については、「従来型の安定株主としての政策保有株式は原則すべて保有しない」方針のもと、三井住友信託銀行において、法人のお客さまとの丁寧な対話を重ね、取得原価ベースの削減目標(2年間)1,000億円を達成しました。これにより生み出された投資余力を活用し、気候変動対策・脱炭素などの取り組みを自らが投資者となって後押しするインパクト・エクイティへの投資を進めるなど、持続的成長に向けた経営資源の有効活用に取り組んでいます。
③ お客さまの信任に応える経営基盤の高度化の取り組み
イ.業務品質の向上
当グループでは、ステークホルダーへの価値提供の源泉となる、「業務品質」を競争優位の重要な要素と位置づけ、強化しています。
リスクの低減や未然防止に向けたガバナンス態勢強化という「守りの品質強化」の観点から、リスク管理・コンプライアンス態勢の分野への重点的な人員配置やシステム投資を行いました。
また、業務フローの集約や共通化による生産性の向上、お客さま評価を起点とした業務プロセス変革により、お客さまの期待を超えるサービス品質を確保するという「攻めの品質強化」の取り組みを進めています。
ロ.人材活躍の推進・人的資本投資
当グループ特有の専門性の高い業務を支えるのは、社員一人ひとりであり、社員が能力を最大限に発揮することが、お客さまや社会への価値の提供につながると認識しています。
ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを一層加速するため、女性活躍推進、育児や介護と仕事の両立、人権・LGBTQに資する環境・人事制度の整備に向けた取り組みを進めました。その結果、Bloomberg社より、男女平等を推進する企業として「2023 Bloomberg Gender-Equality Index」に2019年以降5年連続で選定されました。
脱炭素やデジタル化等の注力領域では、テクノロジー・ベースド・ファイナンスチームをはじめ、専門知識を有するエキスパート人材の確保に注力し、多様な人材ポートフォリオの構築を進めました。
また、お客さまや社会への貢献や新たな価値創造の実現に向け、社員への人的資本投資強化の一環として、三井住友信託銀行の社員向けインセンティブ・プランであるRS信託(株式報酬制度)を導入しました。
ハ.サステナビリティ経営
2022年度はNet-Zero Banking Alliance(NZBA)やNet-Zero Asset Managers initiative(NZAMI)の枠組みに即した2030年中間目標の設定に関する状況のほか、当グループの機能を活用した脱炭素社会の実現に向けた取り組みについて公表しました。
また、環境・社会・経済に好影響を与える活動の継続的な支援を目的とする「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の取り組みや、インパクト評価に関する各種アドバイザリー業務などの商品・サービスの提供を拡大しています。こうした活動が評価され、21世紀金融行動原則「2022年度最優良取組事例環境大臣賞(総合部門)」を受賞いたしました。
(4) 中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
2022年は、信託法・信託業法の制定から100年の節目の年でした。2024年には、当グループの創業100年を迎えます。「信託の力」で各時代のお客さまのニーズや社会の要請に応じて、新たな価値の創出に果敢に「挑戦」し、我が国の発展に貢献する「開拓」の姿勢は、創業以来、いつの時代も変わりません。
当グループを取り巻く環境が急激に変化する中、創業の原点に立ち返り、信託グループとしての使命、果たす役割を改めて強く意識し、「『信託の力』で、次の100年を切り開く」をコンセプトとする新たな中期経営計画を策定しました。
具体的には、以下の3つのテーマを設定し、施策を実行してまいります。
① 信託グループらしいビジネスの成長と資本効率の向上
イ.価値創造領域への取り組み
我が国の最大の金融・社会課題は、約3,000兆円と言われる個人資産や企業の資金が、投資や消費に回らず、停滞していることであると考えています。
当グループが実現したい「資金・資産・資本の好循環」とは、個人を含む投資家が有望な事業に投資を行い、株価上昇や配当などの投資の果実が国民の資産形成に繋がり、企業は業績向上により投資や雇用の拡大を進める、という一連の行動による経済全体の持続的成長です。
銀行、機関投資家、不動産などの機能を有する当グループは、資金・資産・資本が動くあらゆる市場、インベストメントチェーンに関わる存在として、信託機能を活用し好循環を促す社会インフラの役割を担い、次の領域で新たな価値を創造してまいります。
(ⅰ)人生100年時代
個人のお客さまに対し、年金・不動産業務で培った知見を活かして、将来のキャッシュフローや資産・負債の全体像を捉えた、トータルなコンサルティングを提供します。これらの取り組みを通じた、人生100年領域における認知度とお客さま満足度の向上により、「本邦No.1の人生100年応援モデル」の確立を目指してまいります。
(ⅱ)ESG/サステナブル経営
法人のお客さまに対し、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)に関する課題をサーベイ(調査)等で可視化し、お客さまとの対話に基づくグループ一体のソリューション提供により、課題解決や持続的成長に向けたトランジションを強力にサポートします。環境関連では、脱炭素に向けたソリューションの拡充等により、お客さまから「GX(グリーントランスフォーメーション)No.1金融機関」と評価されることを目指してまいります。
(ⅲ)地域エコシステム及びグローバルなインベストメントチェーン
当グループが実現したい「資金・資産・資本の好循環」に共感するパートナーとネットワークを構築し、当グループ単独では実現困難な価値を共創します。地域においては、産・官・学・金が連携し、地域の課題を解決するとともに、利益をもたらす資金循環プロジェクトを創出し、持続可能なエコシステムを構築します。グローバルにおいては、海外パートナーとの連携を強化し、プライベートアセット投資の小口化等により、個人を含む国内投資家に優れた投資機会を提供します。
ロ.資産運用・資産管理ビジネス戦略
資産運用では、アジア最大の資産運用グループとして、グループの強みを融合し、多彩な機能を組み合わせた独自のソリューションを提供するとともに、お客さまとの長期的な信任関係を構築します。
資産管理では、AI等により、業務の効率化・標準化を図り、特徴的なサービス提供を通じて、規模拡大の土台を確立します。さらに、プラットフォームビジネスの構築を進め、グループ内に留まらず、業界全体に展開することで、日本市場全体の発展に貢献してまいります。
ハ.DX戦略(信託×DX)
AIやクラウドサービスによって、多様な業務を取り扱う当グループ特有の情報・データを利活用する機会が拡大しています。
デジタル活用により、お客さま基盤の拡大や新たな市場の創出を図るとともに、信託グループとしての知見・ノウハウを標準化・汎用化し、高品質なサービス・ソリューション等を幅広く提供してまいります。
ニ.財務資本戦略
信託グループらしいビジネスモデルを推進し、2030年度までにROEは10%以上、親会社株主純利益3,000億円以上を目指します。また、社会課題の解決や市場の創出・拡大に貢献する投融資、資産運用・管理の残高(Asset Under Fiduciary)等の基盤を拡大し、早期にPBR1倍以上(時価総額3兆円以上)が達成できるよう、着実に歩んでまいります。
② 未来適合に向けた人的資本強化
社員のWell-beingを基軸とした人的資本の強化を図ります。自律的なキャリア形成を促し、一人ひとりが最高のパフォーマンスを発揮し、働きがいを実感できる環境を目指します。
また、付加価値の高い人材を育成し、多様性と専門性を有し、好循環を加速する人材のポートフォリオを構築します。キャリアプランやライフイベントに応じた多様な働き方をサポートする人事制度・運営への見直しを図ります。
加えて、多様な人材の違いを認め合い、少数者への配慮を欠くことなく、個々人の持ち味を尊重し、公平・公正に活躍できる企業風土を醸成してまいります。
③ 経営基盤の高度化
私たちは、お客さまの想いを実現するフィデューシャリー(受認者)として、お客さまの最善の利益のため、期待を超える堅確な業務運営と万全な管理態勢を追求してまいります。
業務インフラを高度化し、多様な社員が場所に依拠せず、最大限のパフォーマンスを発揮できる「新しい働き方」へ変革を進めます。
また、創業100年の節目を迎えるにあたり、社員一人ひとりが創業の原点に立ち返り、プロフェッショナルとしての働きがいを実感できるよう、各ステークホルダーに向けた発信等に取り組んでまいります。
資本運営については、資本の十分性と効率性の観点から、成長投資、株主還元、人的資本投資等、各ステークホルダーに対し、規律ある投資・分配を実施します。
報告セグメントにおける目指すべきビジネスモデルは、以下のとおりであります。
なお、当グループは、付加価値の高い商品・サービスの提供と、新たな価値を創造するための投資等を通じ、様々なステークホルダーによる資金・資産・資本の好循環を促進・先導していくことを目的として、2022年4月1日付で三井住友信託銀行株式会社の改組を実施し、報告セグメントを変更いたしました。
(個人事業)
人生100年時代を迎え、お客さまの「長く充実した人生を過ごすこと」への関心がますます高まるとともに、将来に向けた資産形成・運用や高齢期における資産管理、相続・資産承継に関する悩み・不安が、各世代における社会課題として顕在化してきています。
個人事業では、信託銀行グループならではの高度な専門性と多彩な商品・サービスを駆使しながら、個人のお客さまの世代やライフイベントなどに応じて変化する資産・負債の特性を踏まえたトータル・コンサルティングを通じてお一人お一人に寄り添った最適なソリューションをご提供することで、お客さまの「ベストパートナー」となり、長期間にわたる信頼と安心を培っていくことを目指しています。
(法人事業)
革新的なIT技術・産業素材・工業技術の登場とライフサイクルの短期化、デジタル化の急速な進展、ステークホルダーとの対話の重要性拡大、脱炭素化・SDGs実現に向けた対応の加速など、企業を取り巻く環境は従来以上のスピードで変化するとともに、ますます複雑さを増しています。
創業来培ってきた「信託銀行ならではの多彩さ・専門性を強化」し、これらを複雑・高度に融合させ、お客さまと社会の顕在化した課題はもとより、潜在的な課題の解決にも貢献する「トータルソリューションモデルを進化」させることを通じて、お客さまと社会から「ベストパートナー」に指名される金融機関を目指しています。
(投資家事業)
投資家事業においては、ESG投資など社会課題解決に繋がる運用商品の開発や社会的価値の創出に注力することに加え、資産管理事業においては、IT・デジタル技術の活用による資産管理・データサービスの強化など資金等の好循環を創出する各種サービスの高度化に取り組みます。また、地産地消型のエネルギー循環など地域経済エコシステム構築への貢献やライフプランマネジメントを通じたFinancial Well-beingサポートなど、多様な投資家のお客さまの経営課題に寄り添いながら社会課題解決に貢献していきます。
(不動産事業)
法人向け不動産仲介・コンサルティングは、国内外の金融機関・不動産会社等とのネットワークも生かして、不動産に関する多彩な機能をご提供し、企業価値向上と経営課題の解決を目指します。個人向け不動産仲介は、お客さまのライフステージに即した不動産情報のご提供を拡充し、お客さまの資産価値最大化を追求します。
本邦No.1の規模である不動産証券化信託や不動産投資法人関連業務は、不動産投資市場の拡大を支えるインフラとして、堅確な業務継続を実現し社会的使命を果たします。これらの業務を通じ、お客さまの不動産の「ベストパートナー」を目指します。
(マーケット事業)
先進国の金融政策、新興国の景気動向に加えて、世界的な政治情勢、地政学リスク、パンデミック発生など市場を取り巻く不確実性は高まっています。お客さまの保有資産やバランスシートにも市場リスクが存在しており、マーケットボラティリティ(市場変動)を適切にマネージするソリューションをご提供することでお客さまの資産価値を守っていきます。
マーケティング業務・マーケットメイク業務の知見に加えて、投資業務や財務マネージ業務における長年の経験に裏打ちされた市場リスクコントロールの技術も活用するなど、専門家集団によるボラティリティマネージのあらゆるノウハウを活用し、お客さまに最適なソリューションをご提供していきます。
(運用ビジネス)
今後も長期的にグローバルな資産運用ビジネスの成長が見込まれる一方、地政学リスク、新型コロナウイルス感染症などのパンデミックリスクに加え、競争激化や規制強化による運用手数料低下圧力が一層強まっており、短中期的なビジネス環境は不透明さを増しています。こうした環境を機会と捉え、グローバルベースの先駆的なESG活動を含めた海外ビジネスの拡大に加え、海外の運用会社への提携戦略(出資などを含む)を通じ、グループとしてグローバル展開を加速します。
また、グループ内に特長が異なる運用会社を複数持つ強みを生かして、パッシブからアクティブ、オルタナティブまでフルラインをカバーし、国内外の機関投資家から個人投資家まで幅広いお客さまの多様化する投資ニーズにお応えしていきます。
(5) 目標とする経営指標
当グループは、2023年度以降の新中期経営計画期間における財務目標(KPI)として以下を設定しております。資産運用・資産管理を軸とした信託グループらしいビジネスモデルの推進により、2030年度までにROE10%以上、親会社株主純利益3,000億円以上、AUF800兆円を目指し、早期にPBR1倍以上(時価総額3兆円以上)が達成できるよう、着実に歩んでまいります。
| 2022年度 (実績) | 2023年度 (予想) | 2025年度 (目標) | 2030年度まで (ありたい姿) |
自己資本ROE | 6.9% | 7%台前半 | 8%以上 | 10%以上 |
実質業務粗利益 | 8,141億円 | 8,500億円 | 9,200億円 | 1兆円以上 |
実質業務純益 | 3,246億円 | 3,200億円 | 3,550億円 | 4,000億円以上 |
親会社株主純利益 | 1,910億円 | 2,000億円 | 2,400億円 | 3,000億円以上 |
AUF(残高) | 480兆円 | 500兆円 | 600兆円 | 800兆円 |
手数料収益比率 | 55% | 50%台半ば | 50%台半ば | 60%以上 |
経費率(OHR) | 60% | 60%台前半 | 60%台前半 | 50%台後半 |
普通株式等Tier1比率 (バーゼルⅢ最終化ベース) | 9.5% | 9%台半ば | 9.5~10%程度 | 安定的に 10%以上 |
(注)1.自己資本ROE:自己資本に対する当期純利益の比率。利益を稼ぐ効率性を示す指標であり、この比率が高いほど、自己資本を効率的に使って純利益を稼いでいることを示します。
2.実質業務粗利益:当社及び連結子会社の業務粗利益に持分法適用会社の損益(臨時要因を除いた持分割合考慮後の金額)等を反映した社内管理ベースの計数。
3.実質業務純益:経常利益から与信関係費用や株式等関係損益などの臨時的な要因の影響を控除したもので、実質的な銀行(及びグループ)の本業の収益を表す指標。
4.AUF(Assets Under Fiduciary):社会課題解決と市場の創出・拡大に貢献する投融資、資産運用・資産管理の残高を合計したもの。
5.手数料収益比率:実質業務粗利益に対する各種手数料収益(受託財産に係る信託報酬や不動産仲介手数料、投資信託の販売手数料等)の比率。この比率が高いほど、当グループが注力する手数料ビジネスが粗利益の獲得に貢献していることを示します。
6.経費率(OHR):実質業務粗利益に対する総経費の比率。利益を稼ぐ効率性を示す指標であり、この比率が低いほど、経費を効率的に使って粗利益を稼いでいることを示します。
7.普通株式等Tier1比率:資本金、資本剰余金及び利益剰余金など、自己資本の中でも中核的な資本に対するリスクの割合を表すもの。資本の十分性を示す規制指標であり、この比率が高いほど、リスクに対する備えが厚いことを示します。
就職・転職をするときに最低限チェックしておきたい項目をまとめました。
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