企業兼大株主ヤクルト本社東証プライム:2267】「食品業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループは、腸内菌叢(腸内フローラ)を構成する微生物のヒトへの役割を中心とした生命科学の追究により、世界の人々の健康で楽しい生活づくりに貢献するという企業理念の達成を目指しています。その中にあって当社研究開発部門は、長期的展望に立った基礎研究を行うとともに、それら基礎研究の成果を活かした飲料・食品、医薬品および化粧品などの研究開発に取り組んでいます。あわせて、事業戦略上求められる研究開発課題の解決や社会の要請に応じた商品の安全性確保と環境対策に関する研究にも力を注いでいます。

 当連結会計年度の研究開発費の総額は9,381百万円で、セグメント情報にかかわる研究開発活動の概要は、次のとおりです。

(1) 基礎研究開発分野

 基礎研究開発分野においては、腸内フローラとヒトの健康との関わりを明らかにするために、分子生物学・微生物学・免疫学・生理学・栄養学等の多面的な研究を行っています。プロバイオティクスとしての乳酸菌・ビフィズス菌がヒトの健康維持・増進に果たす役割の解明に重点をおくと同時に、新規の微生物や天然物の探索を行い、飲料・食品、医薬品および化粧品等への利用を目指した機能性素材の開発に積極的に取り組んでいます。

 当連結会計年度の研究成果は次のとおりです。

① オフィスワーカーを対象とした飲用試験により、「L.パラカゼイ・シロタ株(乳酸菌)」を含むはっ酵乳の摂取が、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞等の免疫細胞に指示を与える役割を担う貪食細胞 (単球/マクロファージ、樹状細胞) に及ぼす影響を調べました。その結果、「L.パラカゼイ・シロタ株(乳酸菌)」を含むはっ酵乳を摂取した群では、乳酸菌を含まない未はっ酵乳を摂取した群と比べて、末梢血単核細胞中の単球、プラズマサイトイド樹状細胞および従来型樹状細胞において、貪食細胞の活性化指標であるCD40の発現強度が有意に増加したことを確認しました。本研究により、CD40の発現上昇は自然免疫と獲得免疫のいずれにも影響をもたらすことが知られていることから、「L.パラカゼイ・シロタ株(乳酸菌)」には貪食細胞の活性化を起点として免疫系に働きかける可能性が示されました。本研究成果は、学術雑誌「Bioscience of Microbiota, Food and Health」に掲載されました。

② 大阪国際がんセンターとの共同研究で、食道がん患者を対象に、術前化学療法の有害事象の発症にシンバイオティクス(BL整腸薬およびオリゴメイトS-HP)の摂取が与える影響を多施設共同無作為化比較試験により検証しました。その結果、予防的に抗生剤を投与した患者(抗生剤投与群)に比べて、経腸栄養剤と一緒にシンバイオティクスを投与した患者(シンバイオティクス群)では、主要評価項目である発熱性好中球減少症の発症率が減少傾向を示しました。また、副次評価項目である重度の好中球減少症および重度の下痢の発症はシンバイオティクス群で有意に減少しました。その他、シンバイオティクス群では抗生剤投与群と比較して相対用量強度(=計画投与量に対する実投与量の比)が有意に高く、化学療法後の腸内のビフィズス菌、特定の乳酸桿菌(ラクチカゼイバチルス属)の菌数や酢酸等の有機酸濃度が有意に高いことが確認されました。本研究により、術前化学療法中の経腸栄養剤とシンバイオティクスの併用は、腸内細菌叢と腸内環境を改善し、化学療法中の有害事象を抑制することで化学療法に対する忍容性を良好にする可能性が示されました。本研究成果は、学術雑誌「Clinical Nutrition」に掲載されました。

 今後も、最先端のバイオテクノロジーに基づく腸内フローラ研究を推進し、プロバイオティクスの健康維持・増進機能の検証と解明に取り組んでいきます。さらに、生活習慣病予防をターゲットとした次世代プロバイオティクスや新規機能性素材の研究開発に重点的に力を注いでいきます。

 当分野の研究開発費は1,554百万円です。

(2) 飲料および食品製造販売事業分野

 飲料および食品研究開発分野においては、ヒトの健康に積極的に寄与する商品開発を目指しています。特に、研究開発の対象としては、生活環境の変化や加齢によってバランスのくずれた免疫調節機能を正常化する生体防御面と、世代を超えて拡大している生活習慣病の予防に配慮した生理・代謝機能面に加え、近年の研究により明らかになってきた脳と腸が自律神経を介してお互いに密接に影響を及ぼしあう「脳腸相関」に着目しています。具体的には、プロバイオティクスのパイオニアとして「乳酸菌 シロタ株」や「ビフィズス菌 BY株」「B.ビフィダム Y株」等を利用し、作用領域を拡大した乳酸菌飲料等、自然界に存在する多くの機能性素材を利用した食品の研究開発に力を注いでいます。

 また、より一層お客さまのニーズに応えるため、プロバイオティクスを使用した乳製品、清涼飲料等のラインアップの充実を図っています。

 当連結会計年度の成果は次のとおりです。

① 乳製品

ハードタイプヨーグルト「ソフール」について、期間限定アイテムとして、「アップル」を昨年4月に、「白桃」を7月に、「ぶどう」を10月に発売しました。また、ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社とのコラボレーション商品として、同社の独自素材であるシチリア産レモン濃縮果汁を使用し、「植物性素材と乳酸菌のチカラで毎日の健康とおいしさを提供する」をテーマに開発した期間限定アイテム「レモン」を本年1月に導入しました。

② 清涼飲料等

ア. スムージーテイストの青汁・果汁入り飲料「フルーツ青汁」について、スッキリとした風味とするとともに、親しみやすく柔らかな色合いのパッケージデザインに変更し、昨年10月に導入しました。

イ. ストレート果汁100%りんごジュース「完熟王林」について、紙容器から缶容器に変更し、パッケージデザインを変更するとともに、賞味期限を150日から12か月に延長し、昨年12月に数量限定で導入しました。

ウ. 乳酸菌はっ酵果汁飲料「ヤクルトのおいしいはっ酵果実」について、花粉、ホコリ、ハウスダストなどによる鼻の不快感を軽減する機能があることが報告されている「乳酸菌LP0132(L.プランタルム YIT 0132)」を関与成分とする機能性表示食品として本年2月に導入しました。

エ. 栄養ドリンク「Tough-Man Refresh(タフマン リフレッシュ)」について、日常生活における軽い運動後の一時的な疲労感を軽減する機能があることが報告されている「クエン酸」を1,000mg配合した機能性表示食品として本年3月に導入しました。

③ その他海外事業支援

ア. インドネシアヤクルト株式会社が昨年10月に導入した「ヤクルトライト」の技術支援を行いました。

イ. 中国ヤクルト株式会社および広州ヤクルト株式会社が本年2月に導入した「ヤクルト500億ライト」の技術支援を行いました。

ウ. シンガポールヤクルト株式会社が本年3月に導入した「ヤクルトゴールド」の技術支援を行いました。

当分野の研究開発費は6,108百万円です。

(3) 医薬品製造販売事業分野

 医薬品研究開発分野においては、抗がん剤を中心とした薬剤の研究開発を進めています。

4SC社(ドイツ)から導入したHDAC阻害剤「レスミノスタット」については、皮膚T細胞リンパ腫を対象とした国際共同第Ⅱ相臨床試験を実施中です。

 セキュラ・バイオ社(米国)から日本における開発および商業化に関する独占的ライセンスを受けているPI3K阻害剤「デュベリシブ」については、再発または難治性の慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫に係る製造販売承認申請を行いましたが、規制当局との協議を踏まえ、昨年9月に本申請を取り下げました。これを踏まえ、濾胞性リンパ腫を対象とした国内第Ⅱ相臨床試験および成人T細胞白血病・リンパ腫を対象とした国内第Ⅱ相臨床試験については中止しました。

 当分野の研究開発費は980百万円です。

(4) その他事業分野

<化粧品製造販売事業分野>

 その他事業分野のうち化粧品研究開発分野においては、多様化するお客さまのニーズに応えることを目指し、「美」と「健康」の追究と当社独自の乳酸菌はっ酵技術を活かした「高機能・高品質で安全性の高い化粧品」の開発を志向しています。

 基礎化粧品については、乳酸菌生まれの保湿成分を配合したスキンケアシリーズ「ラクトデュウ」から、昨年11月に「ラクトデュウ S.E.ローション2」を新発売、「ラクトデュウ S.E.ミルク」をリニューアル発売し、さらに本年4月に「ラクトデュウ S.E.ローション1」をリニューアル発売しました。また、当社独自の乳酸菌はっ酵技術から生まれたヒアルロン酸を配合した薬用保湿美容液「ベルフェ モイスチュア エッセンス」を1月にリニューアル発売しました。

 仕上化粧品については、「お手入れされたお肌をより美しく魅せ、大人の女性を演出する」をコンセプトとした仕上化粧品シリーズ「グランティア EX」から、「リップトリートメント(ティント)」を本年3月に発売しました。

 当分野の研究開発費は739百万円です。

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