企業ホーブ東証スタンダード:1382】「水産・農林業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものである。

(1)経営方針

 当社の社名ホーブ「HOB」は、「Horticultural Biotechnology(施設園芸の生命科学技術)」及び「Hokkaido Biotechnology(北海道の生命科学技術)」の2つのことから名付けられており、「研究室の中だけで行われていた組織培養のバイオテクノロジー技術を実際の農業の中で活かしていこう、そのバイオテクノロジー技術を活かすことで北海道の農業を活性化させる一助となろう」という想い、「バイオテクノロジー技術を北海道の大地に根付かせよう」というのが、当社の出発点でありました。

 当社はバイオテクノロジー技術を使って苗を生産し、その苗を販売するということから、さらに収穫された果実を販売するところまで事業分野は広がっております。

 当社グループは、農業を基盤とし農業に立脚しながらも、農業そのものを事業として行っていくのではなく、農業生産者と消費者をつなぐかけ橋となり、当社の有する種苗、技術、情報を積極的に提供していくことによって、農業の活性化に寄与していくことを事業の根幹としております。今後も、当社の原点「バイオテクノロジーをラボラトリーからフィールドへ」、そして「消費者とともに日本の農業を考え、農業活性化の一助を担う」心積もりを経営の根幹をなす経営理念として捉えていきたいと考えております。

(2)当社グループを取巻く環境

①国内農業の現状

 国内農業については、依然として厳しい状況が続いております。原材料価格の高騰は農業用資材コストに反映される一方で、農産物の価格に全てを転嫁することは難しく、国内農業生産者の所得も減少しております。また後継者不足、高齢化が言われ、農業生産者の減少といった現状に直面しているものと認識しております。

 また、農産物の輸入自由化が進み、海外から様々な農産物が安価で入ってくるようになり、輸入量は増大し、国内農産物の自給率は依然として低いままで推移しております。

 しかしながら、最近の食の問題から消費者の安全、安心志向は強まり、国産の農産物に対する消費者の関心は高まっており、より良いものあるいは安全、安心という付加価値農産物を作る動きもあります。また新規就農者や農業生産法人を積極的に設立する動きも増え、企業が農業ビジネスへ参入するなどの変化が生じております。

②業務用いちごの現状

 いちごは、農業生産物の中では極めて付加価値の高い作物と言われております。しかし、いちごは高い鮮度が要求され、衝撃、高温等の環境変化に弱いため、輸送や長期保存が難しい農業生産物であります。

 現在、業務用いちごは、概ね12月から5月頃までは栃木県や福岡県を中心とした一季成性いちご※1が中心となっております。また6月から11月まではアメリカ産輸入いちごが大部分を占めており、2022年のいちご果実(生鮮)の輸入量は約3.1千トン(大部分が6月から11月までの6か月間に輸入される)であります。

 アメリカ産輸入いちごは、一般に、国産に比べ食味、食感に大きく劣ると言われており、果皮が硬く、輸送性が高いため、国産いちごの供給量が少ない夏から秋にかけて、業務用として国内に入ってきております。

※1 いちごには、花芽分化形成(花となる芽のもとが作られること)に一定の条件を必要とする一季成性いちごと条件を必要としない四季成性いちごがあります。一般に知られているいちごの多くは一季成性いちごであり(とちおとめ等)、一定の条件(夜の長さが12時間以上となる日が連続する短日条件と温度の低下という低温条件)が整ってはじめて花芽が形成され、果実ができます。

(3)優先的に対処すべき業務上及び財務上の課題

①いちご果実・青果事業の収益拡大

 当社は、夏秋期において自社いちご品種「ペチカほのか(商品名:夏瑞/なつみずき)」「ペチカエバー(商品名:コア)」を中心に販売しております。

「夏瑞/ なつみずき」は、食味・香りの良さ等の特徴が評価され、生食向けに、ふるさと納税の返礼品を始め、ギフト商品としての需要が年々高まっております。また、業務用としても、「夏瑞/ なつみずき」を冠した商品が定着し、着実に消費者への浸透が進んでおります。生産者の高齢化等を理由に自社品種の栽培面積は減少傾向にあることから、生食用向け販売を推進し、利益率の向上を目指してまいります。さらに、収量性の高い「コア」及び他品種も併用することで、収益の安定化に努めてまいります。

 促成いちご販売時期においては、採算性を重視した、仕入・販売体制を継続するとともに、業務の効率化を図り経費を圧縮することで、いちご果実・青果事業全体としての利益向上を目指してまいります。

②種苗事業の収益拡大

 種苗事業は、自社品種の「ペチカほのか」と「ペチカエバー」を、当社と栽培契約を締結した生産者へ、果実生産をしてもらう種苗の販売を主力としております。近年は、生産者の高齢化などにより、この種苗の販売本数は減少傾向にあります。

「ペチカほのか」は、これまでの夏いちごに比べ、食味の良さや果実が大玉となることが特徴で、非常に高い評価を受けており、最近では観光農園等からの需要も増えつつあります。また、「ペチカエバー」は、業務用としての収量性や秀品率が極めて高い特徴を有しております。これら2品種の優位性を十分に活かし、国内への産地展開を図るとともに、海外での展開も視野に入れた事業を推進することで、種苗事業の収益拡大に努めます。

 さらに、近年の猛暑等の気象変動に対応し、温暖で高温環境となる地域でも栽培を可能とする耐暑性に優れた夏秋いちごの新品種開発、温度、湿度、光などの環境を制御した中での優良果実の生産方法の確立に取り組んでまいります。

③馬鈴薯事業の収益の維持

 馬鈴薯事業においては、主に種馬鈴薯の生産販売及び仕入販売を行っております。当社は、国内の一般品種の取扱いのほか、海外で育種された種馬鈴薯の国内販売権を有しております。国内の種馬鈴薯の生産者は年々減少しており、それに伴い生産量も減少傾向にあります。

 海外の当社オリジナル品種は、一般品種とは異なる食味、加工適正、病虫害抵抗性といった特徴を持っており、この優位性を生かした販売に努め、一般品種も含めた適正な数量の仕入管理を継続することで、馬鈴薯事業の収益の維持に努めてまいります。

④運送事業の収益の向上

 運送事業を行う子会社「株式会社エス・ロジスティックス」は、営業基盤を関東圏に特化し、事業を展開しております。新規荷主の獲得に向けた営業の推進はもとより、配送業務の効率化、ドライバーの拡充を図りながら自社配送の比率を高めることで、収益の向上を目指してまいります。

⑤人材の育成について

 当社の事業は、農業と密接に関わっております。近年の農業を取り巻く気象条件等の自然環境は多様に変化しており、それらへの有効的な対処が必要となっております。

 当社は夏秋いちごの生産者に対し、生産指導を行っており、机上の学習では得ることができない経験を通じて学んでいくことが重要であります。また当社は、永年に亘り、夏秋いちごの品種開発も行っております。当社が蓄積してきた栽培、育種に関する技術、ノウハウを社内で共有、継承していくために、今後も優秀な人材の確保、育成に努める方針であります。

より抜粋
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