当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、当社グループとして必ずしも重要なリスクと考えていない事項及び具体化する可能性が必ずしも高くないと想定される事項についても、投資判断の上で又は当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、リスクの発生をすべて回避できる保証はございません。また、以下の記載内容は当社グループのリスクすべてを網羅するものではございませんのでご留意ください。
なお、本項記載の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる可能性もございます。
(1) リスク管理体制
当社のリスク管理体制は以下のとおりです。
<会社の機関・内部統制の関係図>
詳細については、 「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項 b リスク管理体制」をご参照ください。
(2) 主要な事業等のリスク
経営者が経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があると認識している主要な事業等のリスクは下記のとおりであります。各リスクについて発生可能性、影響度の観点から評価した結果を一元的に管理するために、同一のリスクマップに掲載しております。
<主要な事業等のリスク一覧> ※当社グループ見解に基づく/当社グループ作成
リスク | No | 内容 |
(ⅰ)事業環境に関するリスク | 1 | 特殊環状ペプチドの医薬品の可能性 |
2 | 技術革新 |
(ⅱ)事業内容に関するリスク | 3 | 特殊環状ペプチド医薬品をベースにした事業であること |
4 | 複数の製薬企業との共同研究開発の実施していること |
5 | 収益計上 |
6 | 法的な紛争の可能性 |
7 | 経営上の重要な契約 |
8 | 共同研究開発契約先への依存 |
9 | 自社パイプライン(自社創薬) |
10 | 他社との戦略的提携・企業買収等の成否 |
(ⅲ)知的財産権に関するリスク | 11 | 特許の取得・出願状況 |
12 | 職務発明に対する社内対応 |
(ⅳ)医薬品の研究開発事業一般に関するリスク | 13 | 医薬品開発の不確実性 |
14 | 副作用発現 |
15 | 薬事法その他の薬事に関する規制 |
16 | 製造・仕入れ |
17 | 製造物責任 |
18 | 医薬品行政 |
(ⅴ)人材及び組織に関するリスク | 19 | 人材確保・人材流出 |
(ⅵ)その他に関するリスク | 20 | 新株予約権の行使による株式価値の希薄化 |
21 | 配当政策 |
22 | 情報管理 |
23 | サイバー攻撃 |
24 | 外国為替相場の変動 |
25 | 感染症等の発生 |
26 | 地球環境に対する安全性や気候変動による自然災害等の発生 |
27 | 資金の借入・返済 |
28 | 債務保証 |
29 | 保有投資有価証券 |
30 | のれん・無形資産の減損 |
31 | 風説・風評の発生 |
<主要な事業等のリスクマップ> ※当社グループ見解に基づく/当社グループ作成
(ⅰ) 事業環境に関するリスク
(1) 特殊環状ペプチドの医薬品としての可能性について
当社グループの特殊ペプチドは、タンパク質の合成に利用される20種類のL体のアミノ酸のみならず、特殊アミノ酸と呼ばれるD体のアミノ酸やNメチルアミノ酸等を含んでいます。この性質により、当社グループは多様性のある特殊ペプチドのライブラリーを作製することができ、その中からターゲットタンパクに対して強い結合力・特異性を有し、高い生体内安定性を保ち、細胞膜透過性をも有する特殊ペプチドを創製することができます。
このような特質から、当社グループの特殊ペプチドは、新たな医薬品候補物質として期待されており、製薬会社との契約に結びついております。
当社グループの創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)が稼働を開始したのは、2010年であります。医薬品は基礎研究から製造販売承認等を取得するまでに、通常、多大な開発費用と10年以上の長い年月を必要とします。当社グループのPDPSを活用して創製された特殊ペプチドからこれまでに新薬が承認された実績はございません。(ただし、体内のホルモンや菌類・動物・植物由来等の天然の環状ペプチドを基に医薬品が開発され、販売されている実績はございます。たとえば、1983年にスイスのSandoz社から発売された免疫抑制剤「Sandimmun(サンディミュン)」は、ノルウェー南部のハルダンゲル高原の土壌から発見された真菌が産生していた特殊な構造のペプチド(シクロスポリン)から作られています。)
将来において、当社グループの特殊ペプチドによる新薬開発実績が生み出せなかった場合や当社グループの特殊ペプチド創薬技術がクライアントの医薬品開発に貢献できない事態が生じた場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。
(2) 技術革新について
当社グループの創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)は、特殊ペプチドを医薬品候補物質として運用するために必要となる一連の技術((A)特殊ペプチドを創製し、(B)低分子医薬及び抗体医薬を超える多様性を持ったライブラリーを構築し、(C)高速でスクリーニングを行う技術。)を組み込んでおり、この(A)から(C)のいずれの技術をとってみても、同じくペプチドを医薬品候補物質として扱っている他社の技術と比べ、優位性を保っているものと考えております。
しかしながら、技術は日々進歩するものであり、当社グループの特許技術に抵触しない技術をもって当社グループPDPSを上回る技術が開発されることも考えられます。
当社グループとしては、PDPSを継続的に発展させるため、研究開発を積極的に実施し、PDPSに必要な知的財産権の確保に努めていく方針でありますが、当社グループPDPSを上回る技術が開発された場合には、当社グループの競争優位性が低下する結果、当社グループの希望する条件でクライアントとの間で契約を締結することができなくなる可能性が増加するなど、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。
(ⅱ) 事業内容に関するリスク
(3) 特殊環状ペプチド医薬品をベースにした事業であることについて
当社グループは、従来、特殊ペプチド医薬に特化して事業を展開しておりました。そのため、当社グループの創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)により創製される特殊ペプチドは、新規性・進歩性を有するオリジナリティの高いものであり、容易に代替技術が生まれて当社グループの存在価値が危ぶまれるような事態になることは想定し難いと考えておりますが、特殊ペプチドに対する製薬企業の評価が変化した場合や当社グループの特殊ペプチド創薬技術がクライアントの医薬品開発に貢献できない事態が生じた場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。
近時は特殊ペプチドを探索マーカーとして活用することによって、低分子医薬の開発につなげることができることがわかっており、PDPSの応用範囲が以前に比べて大幅に拡がっております。そのため、特殊ペプチドに特化していた事業内容が変わりつつあり、特殊ペプチドをベースとしてPDPSを創薬研究開発の基盤として当業界に広めていき、特殊ペプチドのみならず低分子医薬の開発にも活用していこうという展開を試みています。こうした、低分子医薬の開発に貢献できない事態が生じた場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。
(4) 複数の製薬企業との共同研究開発を実施していることについて
当社グループの共同研究開発契約先の製薬会社は、それぞれ独自の創薬開発ターゲットを保有しており、当社グループはその研究開発について提案を受けて推進していくことになりますが、まれに各製薬企業間で創薬開発ターゲットが競合してしまうことがございます。競合が生じた際は、当社グループが各製薬企業との間に立って差配することによって、トラブルを未然に防止しており、現在までにトラブルが生じた事例はございません。
しかし、今後、その調整が困難になる事態が生じた場合、当社グループは新たな共同研究開発契約や新たなターゲットタンパクが獲得できないなど、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。
(5) 収益計上について
創薬開発事業の共同研究開発契約に係る売上カテゴリーは、原則として(A)契約一時金(テクノロジカルアクセスフィー)に始まり順次、(B)研究開発支援金、(C)追加研究開発支援金、(D)創薬開発権利金、(E)非臨床・臨床開発マイルストーンフィー、(F)売上ロイヤルティー、(G)販売マイルストーンフィーで構成されております。
(A)契約一時金(テクノロジカルアクセスフィー)、(B)研究開発支援金及び(C)追加研究開発支援金は当社グループの事業活動に依拠する部分が大きいものの、特に(B)及び(C)について、クライアントの方針転換等の影響を受けてプロジェクトが終了し、それ以降の収益が計上できないことがございます。また、(A)は、相対的に(B)及び(C)よりも額が大きく、一度に売上が計上されるため、当社グループの経営成績は(A)の計上に少なからず影響を受けることになります。(D)創薬開発権利金や(E)各種マイルストーンフィーに至っては、クライアントにおける業務の進行状況に大きく依存するものであり、当社グループでのコントロールは極めて困難な売上カテゴリーです。
そのため、当社グループの計画に対してクライアントにおける研究開発の進捗が遅れた場合やクライアントの研究開発方針に変更等があった場合、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。
(6) 法的な紛争の可能性について
当社グループは、事業を展開する上で、第三者の権利若しくは利益を侵害した場合又は侵害していない場合でも相手側が侵害したと考える場合には、損害賠償等の訴訟を提起されるなど法的な紛争が生じる可能性がございます。
本書提出日現在、法的な紛争は生じておりませんが、今後、当社グループと第三者との間に法的な紛争が生じた場合、紛争の解決に労力、時間及び費用を要するほか、法的紛争に伴うレピュテーションリスクにさらされる可能性があり、その場合、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。
また、将来的な事業展開においては、他社が保有する特許権等への抵触により、事業上の制約を受けるなど、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。
さらに、これまでのところ当社グループが製薬企業と共同研究開発した特殊ペプチド医薬品が上市にまで至った事例は未だございませんが、今後、万一、当社グループが共同研究開発に携わった医薬品において健康被害が引き起こされた場合には、そのネガティブなイメージにより、当社グループ及び当社グループの創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)に対する信頼性に悪影響が生じ、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。
就職・転職をするときに最低限チェックしておきたい項目をまとめました。
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