企業フェニックスバイオ東証グロース:6190】「サービス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社は、事業を通じて21世紀の医療に貢献する企業となることを目指しております。

 当社は、生物が元来持っている機能を利用することで、これまでにない医療技術及び医薬品開発技術の実用化が期待される中、ヒト細胞の機能に着目し、この機能を維持したまま対外で大量に増殖させる細胞技術を開発してきました。この技術を応用し、さらに、増殖したヒト細胞を実験動物に移植する技術により、ヒト細胞の機能を様々な用途に提供していく所存であります。

(2)経営戦略等

 当社は、海外でのPXBマウス事業のさらなる拡大を図るため、2010年8月に完全子会社PhoenixBio USA Corporationを設立し、2017年11月にKMT Hepatech,Inc.の株式を取得しました。また、北米製薬企業やCROとのパイプを持つコンサル会社との提携等によって北米を中心とした海外展開に注力してまいりました。今後、当該子会社を海外における事業拠点として、PXBマウスの現地生産・受託サービス提供に関して協力企業との折衝を進めてまいります。

(3)経営環境

 最近のトレンドとして、従来、医薬品の主流であった低分子化合物に代わる、タンパク質、核酸、細胞といった新しい形態の新薬開発が世界的に注目を集めており、ヒト細胞で構成された臓器をもつ実験動物として世界で唯一であるヒト肝細胞キメラマウスや、その動物から単離された新鮮ヒト肝細胞が、ヒト特異的なタンパク質や核酸に対する有効性、安全性を評価するうえで非常に有用なツールであるという認識が高まりつつあります。当社グループの製品であるPXBマウス、PXB-cellsはこのニーズに応えることができる素材であることから、北米のコンソーシアム(CMHL Consortium)や、国内外の大学、製薬企業との共同研究、さらに、業務提携先の非臨床試験受託機関との連携によって、新しい知見を積み重ね、プロモーションに利用して、認知度向上に務めております。また、薬効薬理分野においても、非アルコール性肝炎や脂質代謝などの新しい分野への応用を目指したモデル開発を進めております。併せて、当社製品の普及のため、自社施設での受託試験サービスに加えて、国内外の非臨床試験受託機関との連携を一層強化し、PXBマウス及びPXB-cells等の製品販売を国内外で拡大していく計画であります。

 なお、当社グループの主要顧客である国内外の製薬企業の研究開発活動は、新型コロナウイルス感染症の拡大による停滞から立ち直り、PXBマウスの需要は増加しております。当社グループでは、供給体制の整備を進めるとともに、提携先CROも含めた受託試験のキャパシティ確保に努めております。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

a.市場開拓

 当社グループがこれまで実績をあげてまいりました肝炎治療薬の薬効評価試験は、現在も活発に研究開発が進んでいる市場でありますが、規模が限定されていることに加え、新薬の開発状況によっては収束していく可能性があります。一方、急速に拡大しているバイオ医薬領域では、抗体医薬や細胞治療医薬、核酸医薬など新しいモダリティ(治療薬の形態)が新薬開発の主流となるなかで、評価ツールとしてのヒト化動物の重要性はますます高まっております。

 今後、PXBマウスが新薬開発トレンドにおけるニーズを掴んで事業を拡大成長させるためには、PXBマウスの利用が既存の創薬手法と比較して費用対効果に優れていることに加え、ヒトの細胞・タンパク・遺伝子の活動が臓器レベルで維持されていることによる、ヒト化動物としての完成度の高さを顧客に周知する必要があります。しかしながら、巨大な市場の中で熾烈な研究開発競争を繰り広げている製薬企業群を相手にPXBマウスの有用性を認識させるには、当社グループだけの活動では限界があります。

 このような状況において、当社グループでは、これまでにPXBマウスの市場開拓のためにコンソーシアムの活用と国内外のCROとの連携強化を進めてまいりました。米国に設立したコンソーシアムは、PXBマウスの有用性について製薬企業と共に研究する場として2023年3月期現在で10機関が参加しております。その研究成果については学会や学術雑誌に順次発表することで、プロモーション活動として販路拡大につなげてまいります。また、これらの研究成果によって用途拡大を図る一方、顧客である製薬企業等の様々な要望に対応するため豊富な経験を持つCROとの業務提携を積極的に進めることでサービス拡充を推進してまいります。

b.米国での供給体制の確立

 世界の製薬業界では総売上高の多くはメガファーマによって占められており、これらメガファーマは全て、主要な研究開発拠点を米国に有しています。さらに米国の西海岸、東海岸では、バイオ医薬領域で研究開発を進めるスタートアップ企業も多数活動していることから、当社グループが事業拡大を図る上では、北米での供給体制確立が不可避であると考えております。このため、当社は2017年11月に当社と同様にヒト肝細胞キメラマウスを生産し、受託試験サービスを行ってきたカナダのKMT Hepatech, Inc.の株式を取得し、完全子会社化しました。2020年8月には、増加するPXBマウス及びPXB-cellsの需要に対応するために行った設備投資を実施いたしましたが、未だ収益化に至るまでの十分な生産実績をあげておらず、現在の旺盛な需要に対応するためには、同社での生産体制確立が喫緊の課題であると認識しております。2023年3月期において生産確立への道筋は見えてまいりましたので、2024年3月期は安定生産による収益への寄与を目指します。

c.AAALAC認証の取得

 現在、医薬品の創薬工程では、薬効及び安全性等の確認に多くの実験動物が用いられております。世界的には動物実験を削減する方向に進んでいくことが予想されますが、臨床試験における安全性、有効性を担保するためには、前臨床試験における実験動物の必要性は今後も変わらないと考えております。

 当社におきましては、PXBマウスをはじめとする実験動物の生産・飼育及びこれを用いた試験を実施していますが、動物実験に対して動物愛護が強く求められる環境を鑑みて、実験動物委員会を設置し、飼育及び試験時の苦痛の軽減の取り組みや飼育環境の整備を行ってまいりました。

 今後、当社がグローバルな事業展開を行う上で、動物福祉についての整備もより一層、製薬企業から求められることが予想されることから、客観的な外部機関による評価が必要だと認識しております。このため、国際的に動物管理及び使用に関する評価を行っているAAALAC International (国際実験動物ケア評価認証協会)の認証を取得するため、これまでに飼育環境の改善や人員の教育に努めており、早期認証取得を目指します。

(5)目標とする経営指標

 当社グループは経営指標として、事業規模を示す売上高を採用しております。サービス分野別に「薬効薬理分野」と「安全性等分野」に区分しており、特に市場規模が大きい「安全性等分野」の売上高を重要な経営指標として、事業拡大を目指してまいります。

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