企業兼大株主バローホールディングス東証プライム:9956】「小売業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針及び経営環境

①経営理念

 当社グループは、「創造・先取り・挑戦」を経営理念とし、それらを綱領として定めております。この理念は1958年の創業時から現在に至るまで、グループ全社員に共有され、企業経営の礎となっております。

「綱領

 バローグループの全社員は実業人としての自覚を持ち、地域社会の繁栄と社会文化の向上に寄与せんことを期す。このために一人一人は「誠」をモットーとして業務に当たり、創造、先取り、挑戦の姿勢で目標を高く掲げ、強い団結の下に英知と努力をもって徹底的に力闘するものなり」

②経営戦略

 当社グループは、スーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンター、スポーツクラブなど、多様な事業を展開しております。その背景には、当社グループが郊外より事業を拡大してきた経緯から、地域のニーズに幅広く対応して顧客との接点を持ち、複数の事業で収益を支えながら経営の安定性を求めてきたことがあります。また、調達・製造から流通・販売までを一貫して担う「製造小売業」としてのビジネスモデル構築を志向し、製造・加工拠点、物流センター等のインフラを整備し、自ら中間流通機能を担いながら、流通経路の効率化や商品力の向上に努めております。さらに、当社グループでは、複数の業態を組み合わせた商業施設を開発するほか、グループ全体で中間流通機能の活用を進めるなど、経営資源を組み合わせてシナジーを創出しながら、企業価値の向上に取り組んでおります。
 次項に記載する中長期経営方針「バローグループ・ビジョン2030」、「サステナビリティ・ビジョン2030」の実現に向けて、今後は店舗のみならず、EC(電子商取引)や自社電子マネーLu Vit(ルビット)も活用し、顧客との接点を更に強化してまいります。また、商品力で選ばれる「デスティネーション・カンパニー」への移行には、製造機能の強化に加え、調達・製造拠点や企業間連携の広がりに対応した効率的なサプライチェーンの構築が不可欠であることから、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を通じて情報連携を図り、ビジネスモデルを進化させてまいります。

③中期3ヵ年経営計画

 当社グループは、企業価値の向上に向けて、2011年3月期より中期経営計画を策定・遂行してまいりました。最初の5ヵ年は「事業規模の拡大」を戦略目標に掲げ、スーパーマーケット及びドラッグストアの出店を加速し、規模拡大に対応すべく、物流、製造・加工機能等のインフラを整備・拡充しました。「経営効率の改善」を課題とした2016年3月期からの3ヵ年は、スーパーマーケットの既存店改装とインフラの効率改善を進めながら、ドラッグストアをグループの成長を牽引する事業と位置づけ、高水準の出店を継続しました。そして、2019年3月期からの3ヵ年は、スーパーマーケットを中心に来店動機となる商品・カテゴリーを有する「デスティネーション・ストア」への転換を進めるとともに、その構成要素である商品力の向上に注力し、基本方針「店舗数から商品力へのパラダイムシフト」にあるとおり、出店による成長からの転換を果たしました。
 同時に、企業間連携を通じて包括的な協働取り組みも進め、商品調達を始めとする領域で成果が現れつつありますが、経営効率の一層の向上を達成するためには、多様な経営資源を活かしきる必要があると考えております。また、新型コロナウイルス感染症の影響下、日常生活に欠かせない商品を安定供給するという変わることのない社会的使命と、新たな生活様式・消費行動に合わせて商品・サービスの提供方法を変える必要性の双方を認識し、当社グループが社会の中でどのような存在でありたいか、どのように価値創造を図るのかを改めて整理いたしました。

 その結果、2030年を見据えた中長期経営方針「バローグループ・ビジョン2030」、「サステナビリティ・ビジョン2030」を定め、その実現に向けて「バローグループ中期3ヵ年経営計画」を策定いたしました。企業理念に掲げる「創造・先取・挑戦」の姿勢で、持続的な成長と持続可能な社会の実現を目指して取り組んでまいります。

 1. 中長期経営方針(2022年3月期~2030年3月期)

 (1) ビジョン

◆バローグループ・ビジョン2030

 

バローグループの商品・サービス・決済で地域を便利に、豊かに繋ぐ「バロー経済圏」の構築と商品力で選ばれる「デスティネーション・カンパニー」を目指します。その実現に向けて、顧客との接点を強化し、「製造小売業」としてのビジネスモデルを進化させます。

◆サステナビリティ・ビジョン2030

 

バローグループは、持続可能な社会の実現に向け、事業活動を通した全員活動によって地域社会の発展と社会文化の向上に貢献します。

 (2) 進化させるビジネスモデル

 現在、スーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンター等の1,200店舗以上の販売網があり、お客様に近いという利点を有しておりますが、今後は店舗のみならず、ECや自社電子マネーLu Vitを通じ、顧客との接点を強化してまいります。また、「デスティネーション・カンパニー」への移行には、製造機能の強化に加え、調達・製造拠点や企業間連携の広がりに対応した効率的なサプライチェーンの構築が不可欠であることから、DXを通じて情報連携を図り、ビジネスモデルを進化させてまいります。

 (3) 基本方針

①商品で繋ぐ

・「デスティネーション・ストア」を構成し、「バローグループにしかない」魅力ある商品を提供します。

・店舗を中心とする物流網から調達・製造等の機能全体を包括した効率的なサプライチェーン・インフラへの転換を図ります。

  ②顧客と繋がる

・店舗での販売に加え、ECやLu Vitカード・アプリの活用に注力します。

・EC戦略として2つの重点領域を設定し、主要業態がドミナントを形成する地域で自社の経営資源を中心に展開する「ドミナント自社EC」、アマゾンジャパン合同会社と展開するネットスーパー事業のように、自社で足りない技術を協業によって補完する「広域協業EC」に取り組みます。特に、「ドミナント自社EC」では、事業所向け配送事業ainoma(アイノマ)、ドライブスルーによる商品受け取り、その他無店舗販売事業を通じ、複数の接点を持ちながら、地域が抱える課題に対応します。

  ③社会との繋がりを意識した経営

・取締役会の実効性を高め、経営の透明性を確保するとともに、グループ企業に対する監督を強化し、当社の特徴であるグループ経営についてガバナンスを更に強化します。

・ビジネスモデルに関わる3つの重点領域「地球環境」「地域社会」「人材の多様化」について、6つの分科会(食品廃棄物の削減・資源循環の推進、気候変動対策・水の管理、廃棄物の削減・リサイクルの推進、買物課題の解決・健康増進支援、地域貢献、多様な人材の活躍支援)を設置し、グループ全従業員で取り組みます。

 (4) 中長期定量目標(2030年3月期)

規模

営業収益(注)1

1兆円超

営業利益

480億円超

経常利益

500億円超

経営効率

ROIC(投下資本利益率)(注)2

9%

(注) 1.2022年3月期の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用。

2.ROICは税引後営業利益(税効果会計適用後の法人税等の負担率を使用)÷(有利子負債+自己資本+非支配株主持分)で算出。

 (5) サステナビリティKPI

 

基準

2030年3月期

(ご参考)2050年3月期

脱炭素化社会

の実現

サプライチェーン上の
温室効果ガス排出総量

40%削減
(2021年3月期比)

ゼロ

食品廃棄物

の削減

食品廃棄物発生量 18,983t
(2017年3月期実績)

45%削減
(2017年3月期比)

55%削減
(2017年3月期比)

(注) 食品廃棄物の削減についての基準は、株式会社バロー、株式会社タチヤ、株式会社食鮮館タイヨーで算出。今後はスーパーマーケット事業全体に対象を拡大。

 2. 中期3ヵ年経営計画(2022年3月期~2024年3月期)
 (1) 定量目標(2024年3月期)

規模

営業収益

7,800億円

営業利益

290億円

経常利益

310億円

経営効率

ROE

9.3%

ROIC

6.3%

D/Eレシオ

0.6倍

 (2) 戦略目標

「コネクト2030 ~商品・顧客・社会を繋ぐ」

 (3) 重点施策

①商品力の向上

1)「デスティネーション・ストア」への転換推進

・スーパーマーケット事業の既存店改装実施(年間約30店舗)

・商品知識・販売技術を習得する研修の拡充

・エキスパートを育成・処遇する人事制度の運用

2)製造機能の強化

・グループ製造機能の商品開発プロセスの見直し

・設備入れ替えによる品質・生産性の向上

3)サプライチェーンの情報連携

・データHUBの導入や登録情報の精度向上

②顧客との接点強化

1)EC戦略の推進(1. 中長期経営方針 (3) 基本方針 ②参照)

2)Lu Vitカード・アプリの活用

・Lu Vit会員情報に紐づいた購買履歴情報(ID‐POSデータ)を活用したデジタル販促、テスト・マーケティングの実施

・アプリの機能強化による予約販売・業態間連携、決済多様化への対応

③生産性の改善

1)ローコスト経営への基盤形成

・店舗のスマート・デバイス環境整備

・RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAI活用による業務の自動化・簡素化

2)資産効率の改善

・店舗資産の有効活用やグループ企業間の機能統合

 (4) サステナビリティ・マネジメント

①グループ・ガバナンスの強化(1. 中長期経営方針 (3) 基本方針 ③参照)

②サステナビリティKPI

 

基準

2024年3月期

脱炭素化社会

の実現

 自社拠点CO2排出量〔電気由来〕
233,486t
(2020年3月期実績)

 〔電気由来以外も含む〕
10%削減
(2020年3月期比)

食品廃棄物

の削減

 食品廃棄物発生量

18,983t
(2017年3月期実績)

 35%削減
(2017年3月期比)

(注) 脱炭素化社会の実現についての基準は、連結営業収益84%以上を構成する16社を対象に算出。

 (5) 財務政策

①事業ポートフォリオ・マネジメント

・持続的な収益性改善が期待されるスーパーマーケット事業を柱に、効率性の高いホームセンター事業とともに安定成長を図ります。

・ドラッグストア事業の収益性はまだ低いものの、商品調達・開発でスケール・メリットが享受できるよう、当面は設備投資に資金を振り分けます。

・新型コロナウイルス感染症の影響を受けたスポーツクラブ事業は、健康増進という価値提供で顧客との接点を形成する位置づけから、収益適正化に向けて構造改革を更に進めます。

②キャッシュ・フローの創出と成長投資

・2024年3月期までの3ヵ年累計1,000億円以上の営業キャッシュ・フローを創出します。

・M&Aを除き、2024年3月期までの3ヵ年累計850億円程度の設備投資を行います。

・設備投資の内訳は、新店投資45~50%、既存店投資35%程度、DX関連を含むその他投資15~20%程度とします。

③財務規律

・デット・エクイティ・レシオ0.6倍を目処に、有利子負債を圧縮します。

・資金調達バランスの変化を踏まえ、経営効率指標として新たにROICを採用し、資本コストをより意識した経営を行います。

④株主還元

・今後の長期的・安定的な事業展開に備え、企業体質の強化のために内部留保を高めつつ、株主各位に対して、安定的かつ継続的な利益還元を行うことを基本とする従来からの配当方針に基づき、配当性向25%を目処に、安定的かつ継続的な利益還元を行います。

(2)優先的に対処すべき課題等

 新型コロナウイルス感染症に対する各種制限の解除が進み、2023年5月に新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に移行するなど、3年以上にわたる異例のコロナ政策は大きな区切りを迎え、雇用者報酬の上昇が見込まれる等、社会・経済活動の正常化に向けた動きが加速する一方で、物価上昇に伴う消費者の生活防衛意識の高まり、原材料費や人件費の上昇など、今後も厳しい経営環境が続くものと予想しております。

 こうした予想の下、当社は2021年5月に公表したバローグループ中期3ヵ年経営計画の最終年度にあたる2024年3月期も引き続き、ドミナント形成地域では、当社グループの商品・サービス・決済で地域を便利に、豊かに繋ぐ「バロー経済圏」の構築を、展開全域においては、商品力で選ばれる「デスティネーション・カンパニー」を目指すとともに、地域社会の課題解決に向けた取り組みとして、2023年3月に岐阜県との包括連携協定を締結し、「食」を通じた安心な暮らしづくり、健康社会づくり、SDGs推進、防災・災害対応等の各分野において、連携と協働を図ってまいります。

 また、2022年4月からは、サプライチェーン企業に対してPPAによる再エネ調達の支援を株式会社アイ・グリッド・ソリューションズと共同で開始し、当社グループにおけるスコープ3のCO2 排出削減を実現するとともに、流通小売・物流業界全体における脱炭素化をリード・加速させていきます。さらに、「Lu Vit クレジットカード」の募集を開始し、決済多様化への対応を進めてまいります。

 今後も急激な経営環境の変化に適切に対処しつつ、製造機能の強化やサプライチェーンの情報連携による商品力の向上、EC戦略の推進や「Lu Vit クレジットカード」を通じた顧客との接点強化に一層取り組んでまいります。

2024年3月期の設備投資につきましては、「デスティネーション・ストア」への転換を推進するため、引き続き積極的な既存店投資を行うとともに、関西地域への出店も予定しております。

 新店投資につきましては、スーパーマーケット5店舗、惣菜専門店等12店舗、ドラッグストア15店舗、ホームセンター(専門業態を含む)6店舗、スポーツクラブ2店舗、ペットショップ6店舗の計46店舗の新設を計画しております。

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