企業兼大株主ハウス食品グループ本社東証プライム:2810】「食品業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、次の3要素をグループ理念体系と位置づけております。グループ理念体系により、めざす方向性を明確にし、一貫性をもった事業活動による成長を図っております。

『創業理念』

 日本中の家庭が幸福であり、そこにはいつも温かい家庭の味ハウスがある。~幸せな家庭のマーク~

『グループ理念』

 食を通じて人とつながり、笑顔ある暮らしを共につくるグッドパートナーをめざします。

『ハウスの意(こころ)』

 社是(「誠意・創意・熱意を持とう。」)・ハウス十論で構成

(2)経営環境

 当社の経営環境は、コロナ出口における経済活動再開に伴う需給バランスの乱れやロシアによるウクライナ侵攻を背景にした原材料・エネルギーコストの高騰や世界的なインフレの進行および各国通貨の金利上昇など先行き不透明な状況が続いているなか、国内における人口減少や超高齢社会の進行、それに伴う労働力不足、海外における人口の増加、異常気象による天然資源・食糧・水の不足など社会問題はますます深刻化しております。

 このような状況下で、当社グループにおいては、一部製品・サービスで価格改定を実施し、足元の急激な環境変化に対応するとともに、将来のあるべき姿を見据え、バックキャスト視点でクオリティ企業への変革を推進しております。

(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

 当社グループは、「食を通じて人とつながり、笑顔ある暮らしを共につくるグッドパートナーをめざします。」というグループ理念の考え方のベースとなる、一企業市民として果たすべき「お客様に対して」「社員とその家族に対して」「社会に対して」という「3つの責任」を企業活動の柱としております。2021年4月よりスタートした第七次中期計画では、「3つの責任」全てにおいて明確な行動計画を設定して、クオリティ企業への変革に向けた取組を加速しております。

「お客様に対して」では、グローバルにプレゼンスのあるクオリティ企業に向けて、バリューチェーン経営による事業規模倍増というあるべき姿を描いたうえで、バックキャスト視点で立案した戦略を推し進めております。「スパイス系」「機能性素材系」「大豆系」「付加価値野菜系」の4系列のバリューチェーンをグループの強みを最大限発揮する領域と定め、各々のバリューチェーンの強化に取り組んでおります。既存領域では、収益基盤の強化および生産性の向上に取り組み、成長領域および新規領域では、経営資源を重点的に配分してお客様への提供価値の拡大に取り組んでおります。

「社員とその家族に対して」では、一人ひとりの個性をいかすことを基本に、「働きがい変革の実行」や「個性の発揮と融合の支援」を重要テーマとしてダイバーシティの実現に取り組んでおります。

「社会に対して」では、「循環型モデルの構築」と「健康長寿社会の実現」を重要テーマとして「人と地球の健康」の実現に向け、バリューチェーン全体で社会課題の解決に向けた取組を進めております。

①お客様に対する責任

 スパイス系バリューチェーンにおいては、川上ではグループ一次加工機能の集約を進めるとともに、川下ではお客様の多様化に対応した顧客接点の拡大を推進しております。ギャバンスパイスマニュファクチャリング社の一次加工拠点としての機能をグループで活用し、スパイス系バリューチェーンのグローバル展開を支える拠点に進化させるため、新たに工場建設用地の取得契約を締結いたしました。カレー事業が伸長する中国においては、第三生産拠点となる浙江ハウス食品社のライン増設を実施いたしました。また、日本・中国に次ぐ新たなカレー事業の柱をアセアンに構築するために、インドネシアに現地企業ロダマスグループとの合弁会社ササハウスフーズインドネシア社を設立いたしました。

 機能性素材系バリューチェーンにおいては、国内での基盤強化と機能性素材のグローバル展開を並行して進めております。当期は、国内では固定費削減に努めるとともにゼリー製品の事業拡大に取り組む一方で、アセアンでの事業推進・拡大・経営統括を担うべく、ハウス食品グループアジアパシフィック社をタイに設立いたしました。また、乳酸菌L-137の強みが発揮できる欧米を中心とした海外ソリューション型BtoB(飼料、素材)を優先し、営業人員・体制のグローバルシフトを加速しております。

 大豆系バリューチェーンにおいては、世界的に健康志向や環境意識の高まりを背景にプラントベースドフード市場が拡大しておりますが、当社グループが米国で展開するTOFUは、「食肉に代わる良質な植物性タンパク食品」として注目を集め販売が拡大しております。ハウスフーズアメリカ社では、旺盛な需要に対応するべく、2023年6月にロサンゼルス工場の新ラインを稼働させるほか、2025年にはケンタッキー州に大量・省人化生産を可能にした第3工場の稼働を予定しております。また、2022年9月にはメインストリーム市場への展開加速に向けて、米国・カナダにおける豆腐を含むプラントベースドフードを製造販売するキーストーンナチュラルホールディングス社をグループに迎え入れました。同社は、クリーンな原材料やおいしさに拘り、多くのお客様に健康的な食生活を提供するというビジョンを掲げ、近年着実な成長を遂げております。今後同社が保有する製品開発力やハウスフーズアメリカ社および当社グループが保有する技術との連携により、プラントベースドフード市場へのグローバルな展開に取り組んでまいります。

 これらのように、第七次中期計画の2年目である2023年3月期は、グローバルにプレゼンスのあるクオリティ企業への変革に向けた経営資源の投下や組織体制の構築などを着実に推進しております。

4系列バリューチェーン

取組領域とテーマ

2023年3月期の主要な取組

トピックス

ねらい

スパイス系バリューチェーン

スパイス・カレーを取扱うグループ各社が共創、シナジ―創出をめざす

ギャバンスパイスマニュファクチャリング社工場建設用地の取得契約を締結

ギャバンスパイスマニュファクチャリング社を、グループのグローバル展開を支える一次加工機能を担う拠点へ

国内グループ生産拠点の再編

(2023年3月期~2027年3月期)

成熟する国内市場にて伸長が続くスパイス事業の成長と収益力改善の両立のため、国内スパイス生産拠点における課題である役割や機能の重複を改善

浙江ハウス食品社生産ライン増強

伸長する中国カレー市場の需要に対応

ササハウスフーズインドネシア社設立

カレー事業で日本・中国に次ぐ柱をアセアンに構築

機能性素材系バリューチェーン

機能性素材の国内外での展開

ハウス食品グループアジアパシフィック社設立

アセアンでの事業推進・拡大・経営統括

乳酸菌事業の米国での販売機能強化

エビデンスの支持が高い海外を重点化する体制へ

大豆系バリューチェーン

拡大するTOFU需要への対応と、プラントベースフード市場への挑戦、米国外での大豆活用

ロサンゼルス工場B棟稼働(2023年6月)

TOFUの需要拡大に対する生産能力増強

キーストーンナチュラルホールディングス社グループ化

メインストリーム市場への展開加速

ドイツ事務所開設

欧州への大豆事業拡大

付加価値野菜系バリューチェーン

アグリ領域での新たなバリューチェーン構築にチャレンジ

㈱農業総合研究所との資本業務提携(2023年4月契約締結)

両社のリソースを活用し、スマイルボールを含む付加価値の高い農産物および新規事業の共創を検討

②社員とその家族に対する責任

 クオリティ企業への変革に向けて、第七次中期計画では「ダイバーシティの実現」を掲げ、「属性の多様性・経験の多様性・適性の多様性」の切り口で取組を推進しております。「属性」の面では、女性の活躍支援を進めて女性管理職比率を高めており、また障がい者雇用も法定雇用率を上回る水準としております。「経験」の面では、グローバル人材の育成、キャリア採用の強化、更に社外での経験も成長機会と捉え副業制度の導入など、多くの施策を進めております。また「適性」については、一人ひとりの適性を可視化し、多様な経験と組み合わせた新たな人材育成体系の構築を進めております。こういった取組に加え、介護や育児といった生活上の変化に対し、介護に対するサポートや男性社員の育児休業の取得促進を行い、ライフイベントも含め多様な社員の支援を行っております。

 また、これらの多様性をいかすための組織風土づくりの一環として、2023年4月からハウス食品㈱において、人事制度を改定しております。これまでの「資格等級・能力給」を軸とした体系から「役割等級・役割給」を軸とした体系に移行し、年齢や社歴に関係なく一人ひとりが担う役割と成果にしっかりと報いていくことで、グループの多様な人材が集い活躍する、より働きがいのある企業グループをめざしてまいります。

③社会に対する責任

「循環型モデルの構築」に向けては、2022年5月にScope1,2領域で2050年カーボンニュートラル宣言を行い、サプライチェーンを含めたCO2削減を進めております。2022年9月にはJFEエンジニアリング㈱と「多拠点一括エネルギーネットワークサービス」の基本合意を締結いたしました。本サービスは2024年4月開始を予定しており、ハウス食品㈱の静岡工場敷地内にJFEエンジニアリング㈱が導入した設備から発電された電力を国内の関係会社・事務所に融通するもので、同一企業グループ8社17拠点への電力融通は、拠点数として国内最多レベルとなります。また、食品メーカーとして食品残渣の発生抑制を中心に廃棄物削減の取組も進めております。インドネシアのジャワアグリテック社では、食品残渣から作った堆肥を自社農園で使用する取組を進めております。

●財務戦略

 第七次中期計画の期間中に、4系列バリューチェーンの成長領域へ400億円、既存領域へ200億円、デジタル変革・環境領域へ100億円の、計700億円の事業投資を計画しております。また、当社グループが保有するいわゆる政策保有株式の一部売却を原資とした、120億円の自己株式取得を計画しております。

 事業投資実績

投資領域

(第七次中期計画目標)

2022年3月期実績

2023年3月期実績

成長領域

(400億円)

35億円

240億円

既存領域

(200億円)

56億円

52億円

デジタル変革・環境領域

(100億円)

23億円

14億円

合計

(700億円)

114億円

306億円

●コーポレート・ガバナンスの強化

 当社グループは、内部統制システムをコーポレート・ガバナンス体制の充実と企業理念・経営目標の実現・達成のための仕組みととらえ、企業価値のさらなる向上と持続的な発展をめざし、グループ経営の視点でリスクマネジメント、コンプライアンスを含めたガバナンス体制の構築と運用の強化を図っております。

 当社は、監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役が取締役会における議決権を有することにより、監査・監督機能を強化し、コーポレート・ガバナンス体制を一層充実させることを目的としております。監査等委員会は、監査等委員である取締役5名(うち、社外取締役4名)で構成され、取締役の職務の執行および取締役会の決議の適法性、妥当性の監査・監督を行っております。

 取締役会は取締役12名(うち、社外取締役4名)で構成され、当社グループの重要な業務執行を決定するとともに、他の取締役およびグループ会社の業務執行を監視・監督しております。なお当期から、取締役会の運営強化と実効性向上を目的として、全取締役へのアンケート形式による取締役会実効性評価を開始しております。

 取締役会の任意の諮問機関として、委員の過半数を独立した社外取締役で構成し、独立社外取締役を委員長とする指名諮問委員会および報酬諮問委員会を設置し、取締役の選任・解任、報酬決定の手続きにおいて、客観性と透明性を確保しております。また、ガバナンス強化の一環として2022年1月に経営会議の諮問機関である投資委員会を新設いたしました。4系列バリューチェーンの構築に欠かせない資本提携を目的とした合併や買収等において、成長投資資源をより有効に活用するために、案件起案時の審議フェーズと、投資実行後のモニタリングフェーズの両面でチェック機能を強化することで企業価値向上につなげてまいります。

●次期の主な取組

 第七次中期計画に基づき、既存領域では収益基盤の強化および生産性の向上に取り組み、成長領域および新規領域では、グループ最適の観点から経営資源を重点的に配分することで、バリューチェーンの幹を太くし、持続的な成長を実現してまいります。

 スパイス系バリューチェーンにおいては、業務用市場におけるプレゼンス向上をめざし、ハウス食品㈱の業務用食品事業を同社から切り離し、㈱ギャバンと統合させることで、2023年4月よりハウスギャバン㈱が始動いたします。素材からメニュー提案までの幅広い品揃えと提案力をもったソリューション・カンパニーとして、売上高500億円、ROS10%をめざしてまいります。また、日本・中国に次ぐ第3の日本式カレー市場の創出に向けて、インドネシアの家庭用市場開拓のチャレンジを開始いたします。

 機能性素材系バリューチェーンにおいては、国内事業の基盤強化を継続するとともに、海外ではアセアンにおけるビタミン飲料市場の深耕とエリア拡大を図るとともに、確かなエビデンスや高い加工特性を評価いただいている乳酸菌事業の事業立上げに取り組んでまいります。

 大豆系バリューチェーンにおいては、ハウスフーズアメリカ社においては旺盛な需要に対応するべく生産体制強化を図るとともに、プラントベースドフード領域内において独自ポジションを確立すべく、キーストーンナチュラルホールディングス社とのシナジー創出に向けた取組を推進してまいります。

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