企業兼大株主トヨタ自動車東証プライム:7203】「輸送用機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 (1) ガバナンス

 当社は、創業以来、「豊田綱領」の精神を受け継ぎ、「トヨタ基本理念」に基づいて事業活動を通じた豊かな社会づくりを目指してまいりました。2020年には、その思いを礎に「トヨタフィロソフィー」を取り纏め、「幸せの量産」をミッションに掲げて、地域の皆様から愛され頼りにされる、その町いちばんの会社を目指しています。そのトヨタフィロソフィーのもと、サステナビリティ推進に努めています。

 当社では、外部環境変化・社会からの要請などを把握し、より重要性・緊急性が高い課題に優先的に取り組むために、取締役会の監督・意思決定のもと、次のような推進体制にて関係部署と密に連携しながら、環境・社会・ガバナンスなどのサステナビリティ活動を継続的に推進・改善しています。

 また、サステナビリティ活動に関して外部ステークホルダーとのエンゲージメントや情報発信をリードする責任者としてChief Sustainability Officer (CSO) を任命しています。

<サステナビリティ推進体制図>


 

サステナビリティ会議

サステナビリティ分科会

議長

取締役社長

総務・人事副本部長 (サステナビリティ担当)

メンバー

社外役員3名

Chief Sustainability Officer

Chief Human Resources Officer

他 幹部職2

議題のテーマに合わせ、環境・財務・人事等、関連部署の役員・部長級が参加

開催頻度

原則年2回

原則年4回

内容

・サステナビリティに関連する重要案件について、持続的成長に向けた外部意見・助言を経営に反映し、企業価値向上に貢献する

・サステナビリティ推進に関する業務執行

・重要案件をサステナビリティ会議に諮問し、取締役会に上程

 (2) リスク管理

 当社は、カーボンニュートラル、CASE※など自動車産業を取り巻く状況や価値観の大変革時代において、常に新たな挑戦が求められるなか、不確実性への対応としてリスクマネジメントを強化してまいります。

 各地域、機能、カンパニーが相互に連携・サポートし、グローバル視点で事業活動において発生するリスクを予防・緩和・軽減するために、リスクマネジメントの責任者としてChief Risk Officer (CRO) 、Deputy CRO (DCRO) および、各地域のリスクマネジメント統括として地域CROを任命し、以下の推進体制を構築しています。迅速な対応が必要な重要リスクについては、CRO/DCROより、逐次、取締役会・その他必要なマネジメント会議にて取り上げ、協議しています。

※ CASEとは、Connected (コネクティッド) 、Autonomous/Automated (自動化) 、Shared (シェアリング) 、 Electric (電動化) の頭文字をとった略称

<リスクマネジメント推進体制>


 また、リスクマネジメントシステムの仕組みとして、ISOやCOSO (Committee for Sponsoring Organizations of the Treadway Commission) を基盤とする全社的リスク管理フレームワーク、Toyota Global Risk Management Standard (TGRS) に基づきリスクの想定・特定・評価を実施しています。

 (3) 人的資本に関する考え方及び取り組み

 当社グループにおいては、「モノづくりは人づくり」との理念の下で、創業当初より人材育成に注力してまいりました。

 自動車産業が、100年に1度の大変革期のなか、当社グループでは、「継承と進化」をテーマに掲げ、「もっといいクルマをつくろう」、「世界一ではなく、町いちばんへ」、「自分以外の誰かのために」といったトヨタらしさを引き継ぐとともに、未来にむけて、「モビリティカンパニーへの変革」を実現するために、全力で取り組みを進めつつあります。

 こうした正解のない時代のなかで、豊田綱領に象徴される創業期の理念・トヨタらしさを守り、トヨタフィロソフィーを道標にクルマの未来を切り開いていくためには、トヨタで働く一人ひとり、まさにグローバル37万人の仲間が、同じ思いを共有し、「チームで、同時に、有機的に動いていくこと」、そして、そのための人づくりが求められていきます。

 グローバル全体としては、全地域へのフィロソフィーの浸透に加え、グローバル幹部候補向けの研修をはじめとする様々な機会を通して、本社と地域事業体が一体となり、トヨタの「思想・技・所作 (トヨタフィロソフィー・トヨタ生産方式 (TPS) 等) 」を軸とした人材育成の共通基盤づくりを強化しています。また、地域事業体においても、地域特性や多様なお客様ニーズに応じ、地域に根差した人材戦略の策定と実行を、機動力よく推進するための体制整備を促進しています。

 当社においては、育成を含む人への投資について、労使の間でも継続的な対話を続けてきています。「会社は従業員の幸せを願い、従業員は会社の発展を願う」という労使共通の価値観の下、2023年3月の労使による話し合いにおいては、当社の最大の財産は「人」であるという共通認識に立ち、未来に向けた諸施策について、労使間での議論を実施するとともに、スピーディな変革に繋がるよう、具体的な取り組みまで確認してまいりました。

 環境変化のスピードが速く、先の見えない時代において、未来に向けた変革を実現するためには、様々な挑戦が必要となってきます。一方で、挑戦をし続けていくためには、乗り越え、解消すべき課題も多数存在することから、取り組むべき課題について、以下のとおり整理しています。

 <取り組むべき課題>

 ・失敗を恐れず、挑戦し続けるための余力づくりや風土づくり

・多様な個性を備えた人材が集まり、一人ひとりが能力を最大限に発揮できるよう、世代ごとに、ライフステージごとに、一人ひとりの価値観や就労観が異なることを踏まえた、「個」に寄り添った仕組みの整備

 ・変革期の最中にある自動車産業全体に対しての貢献

 こうした課題を乗り越え、「だれもが、いつでも、なんどでも、失敗を恐れずに挑戦できる」会社となることを目指して、「多様性」「成長」「貢献」の3つを柱とした諸施策の実現、および、その柱を支えるための土台の強化に向けて、以下の取り組みを推進しています。

①多様性

● 性別を問わず仕事と生活、育児、介護を両立できる環境の整備

   · 両立制度の更なる拡充

     ― 育児のための両立制度 対象となる子の年齢引き上げ (2023年6月以降)

     ― 育児・介護のための時短 勤務時間延長回数の制限撤廃 (2023年7月)

     ― 「多様性:自分らしい人生を」の一層の促進に向け、労使で議論

   · 希望者全員がパートナー育休を取得できる環境整備 (2023年内 希望者100%取得)

   · 全従業員を対象としたダイバーシティ研修の強化

● 本人のキャリア希望を尊重する施策の実施

   · 社内公募の本格導入 (2023年10月から、キャリア採用枠を社内にも開放) ※

   · 社内FA制度の新設 (若手社員向けとして、2024年4月導入を目指す) ※

   · キャリア実現のサポート (専門家によるキャリアコンサルティングサポートを提供)

②成長

● 挑戦・失敗を価値とみるプロセスや評価

   · 課題創造型でチャレンジを一層促す評価制度の導入 (2024年4月)

● 「脱機能・脱個社」で現場感・相場観習得

   · 「現地現物」「社外」の実践研修

     ― 管理職任用前の社外経験 (出向・出張・研修等) を原則必須化 (3年以内に実現)

     ― 現場主体の人材育成予算の確保・拡充

● 職種を超えるチャレンジのサポート

   · 職種の線引き緩和 (2024年1月より業務職の職種変更制度を導入)

③貢献

● グループ・仕入先との人材交流・マッチングの活性化

· グループ・仕入先各社の人材ニーズ (出向・出張・研修/若手・中堅・ベテランなど) に応える支援パッケージの拡充

● 働く人を支えるアセットのグループ活用促進

   · サテライトオフィス、託児所、研修所などの資産の共同利用をグループ各社へ拡大

     ― 将来的にはアセットの相互利用も視野

     ― グループ各社や海外ネットワークの強みを活かしたグループ・地域支援

④3つの柱の土台

● 多様性/チャレンジの余力のためのリソーセス増強

   · 業務の効率化により創出したリソーセス相当の約700名を採用※

   · 将来の価値創造を促す職場環境に活用

● 個に向き合うマネジメントのサポート

· 管理業務の改廃による更なる負荷低減、役割の定義を踏まえた教育、マネジメント業務の適正な評価

   · 部下の多様なキャリア志向に対し、専門家によるコンサルティングサポート

※ 主に事務・技術関連の職場で実施する施策

 (4) 気候変動対応 (TCFDに基づく気候関連財務情報開示)

 トヨタは気候変動対応において、2050年カーボンニュートラル実現に向け、地球規模でチャレンジすることを宣言しています。グローバルでチャレンジするために、地域によって異なるエネルギー事情を考慮し、世界各国・地域の状況に対応した多様な選択肢を提供することで、需要動向にすばやく対応していきます。

 またトヨタは、金融安定理事会「気候関連財務情報開示タスクフォース (TCFD) 」の提言に2019年4月に賛同・署名しており、気候変動のリスク・機会とその分析について、適切な情報開示を進めています。

①ガバナンス

a.気候関連のリスクと機会についての、取締役会による監視体制

 トヨタは、取締役会において気候関連課題を扱うことにより、社会動向に応じた戦略の立案・実行が、効果的に行われると考えています。取締役会は、戦略/主要な行動計画/事業計画の審議と監督を行う場であり、気候関連の重要な事案が生じた時に、議題として上程されます。

 取締役会では、気候関連課題に対応するための定性的あるいは定量的な目標の進捗モニタリングも行います。モニタリングは、気候関連課題になりうる、例えば、燃費・排出ガス規制など製品関連のリスクや機会、低炭素技術開発に関するリスクや機会、それらによる財務的影響などを考慮して行われます。また、このガバナンスメカニズムを「トヨタ環境チャレンジ2050」を含む長期戦略の策定、中長期目標およびアクションプランの立案・見直しに活かしています。

2022年における取締役会での意思決定の事例として、以下があげられます。

 気候変動に関してカーボンニュートラルを重要案件として特定し、2050年カーボンニュートラルに向けた移行計画を立案することが取締役会に報告され、承認されました。また、需要が拡大するバッテリーEV (BEV) の供給に向け、日米で車載用電池の生産能力を最大40GWh増強する投資を決定しました。

b.気候関連のリスクと機会を評価・管理する上での経営の役割

 気候関連課題に対応する最終的な意思決定・監督機関は取締役会となります。また、主に以下の会議体が、気候関連のリスクと機会について評価し、管理を行っています。


②戦略

a.組織が特定した短期・中期・長期の気候関連のリスクと機会

トヨタは環境問題から生じる様々なリスクと機会の把握に努めており、「トヨタ環境チャレンジ2050」などの戦略が妥当かどうかを常に確認しながら取り組みを進め、競争力の強化を図っています。

 なかでも気候変動については、政府による規制強化への対応を含め、新技術の採用など様々な領域での対策が必要になると考えられます。また気候変動が進むことによって、気温の上昇や海水面の上昇、台風や洪水など、自然災害の激化も予想されます。これらは、当社の事業領域にも様々な影響を及ぼす可能性があり、事業上のリスクになりますが、適切に対応できれば競争力の強化や新たな事業機会の獲得にもつながると認識しています。この認識に基づき、気候変動に関するリスクを整理し、影響度やステークホルダーからの関心も踏まえ、特に重要度の高いリスクをリスク管理プロセスに沿って特定しました。


b.気候関連のリスクと機会が組織のビジネス、戦略および財務計画に及ぼす影響

 気候関連課題が、事業、戦略、財務計画に大きく影響を与える可能性があるとの認識のもと、気候関連課題に伴うリスクや機会を踏まえて、戦略を随時見直しています。以下の表は、事業、戦略、財務計画に与える具体的な影響について説明しています。

 トヨタでは、Toyota Global Risk Management Standard (TGRS) という仕組みのもと、リスクを特定してその重要度を決定し、優先付けています。


c.ビジネス、戦略および財務計画に対する2℃シナリオなどのさまざまなシナリオ下の影響

<STEP1>

気候変動影響を踏まえた社会像の設定

 気候変動やそれに伴う各国の政策などにより、自動車業界やモビリティ社会全体が大きな変化にさらされる可能性があり、それらはトヨタにとってリスクや機会となります。リスクと機会の分析を踏まえ、IEA※1などのシナリオ※2を用いて2030年ごろを想定した外部環境として、「公表政策に基づく社会像」「1.5℃以下の社会像」の2つの社会像を描きました。

※1 International Energy Agency:国際エネルギー機関

※2 IPCC※3のRepresentative Concentration Pathways (RCP) 4.5相当、IEAのStated Policies Scenario (STEPS) 、Sustainable Development Scenario (SDS) 、Net Zero Emissions by 2050 Scenario (NZE) などのシナリオを参照し設定

※3 Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル

<STEP2>

トヨタへのインパクト

STEP1で描いた各社会像におけるトヨタへの影響を検討しました。気候変動対策が進む「1.5℃以下の社会像」の社会においては、新車販売に占めるZEV※1の比率が大幅に高まり、カーボンニュートラル燃料※2の利用も広がると言われています。また生産や調達への影響として、炭素税などの導入や税率引上げによってコストが上昇する可能性があるため、省エネルギー技術、再生可能エネルギーや水素などの利用を拡大していくことがリスク低減につながります。

一方で、「公表政策に基づく社会像」に描かれるように、社会全体の気候変動対策が十分ではない場合には、洪水などの自然災害の頻発や激甚化による生産停止や、サプライチェーン寸断による減産や生産停止などの可能性が高まると考えています。

※1 ZEV (Zero Emission Vehicle) :BEVやFCEVなど、走行時にCO2やNOxなどを排出しないクルマ

※2 バイオ燃料、合成燃料など

<STEP3>

トヨタの戦略

 トヨタは2021年4月に、2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組みを地球規模でチャレンジすることを宣言しました。環境車は、普及してこそ温室効果ガス (GHG) の排出量削減に貢献できると考え、各地域のお客様に選んでいただけるように多様な技術の開発 (マルチパスウェイ) に取り組んでいます。その一つの方策として、ハイブリッド車 (HEV) 、プラグインハイブリッド車 (PHEV) 、バッテリーEV (BEV) 、燃料電池自動車 (FCEV) など、電動車の環境技術開発を加速しています。また、電動車だけでなく、水素燃料・水素エンジン車、カーボンニュートラル燃料などの開発にも取り組んでいます。

 現在、世界の約200の国・地域で販売を行っていますが、それぞれ、経済状況、エネルギー政策、産業政策、お客様のニーズなどが大きく異なっています。このため、各々の国・地域にとって最適となるよう、多様な電動車の選択肢を提供する戦略が重要であると考えています。

 この電動化戦略に基づき、これまで累計2,250万台の電動車を世界で販売 (2023年2月時点) し、いち早く気候変動のリスクに対応してきました。

 今後、BEVについては、専用プラットフォームによるモデルを順次導入、電池の開発・生産戦略などを通じてプラクティカル (実用的) な車両供給に取り組んでいきます。

2026年までに10モデルを新たに投入し、BEV販売台数も年間150万台を基準にペースを定め、2030年にはグローバル販売台数で年間350万台を目指します。

BEV以外にも、全方位で電動化戦略に取り組み、今後の市場に変化があれば、電動車の販売台数などを、今までの経験で得た強みも活かして、柔軟かつ戦略的に変更することで、各地域のお客様に選んでいただき普及を加速させていきます。

「1.5℃以下の社会像」において、例えば、お客様ニーズの変化に伴い電池需要が増加した場合でも、パートナーとの協力強化や新たなパートナーとの協力体制の検討、トヨタと資本関係のあるサプライヤーによる生産体制の迅速な立ち上げなどによって柔軟に対応することで、カーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでいきます。

 また、電動車を増やすことに加え、モード燃費に反映されないものの、CO2排出削減効果のあるオフサイクル技術※に取り組んでいます。さらに、既販車にも利用可能なカーボンニュートラル燃料や、水素燃料・水素エンジン車などのように、CO2排出量削減に寄与する技術は多様であり、こうした技術の選択を広げることにチャレンジしています。

※ オフサイクル技術:「高効率ライト」「廃熱回収」「能動的な空力改善」「日射・温度制御」など、実走行燃費向上につながる技術があり、米国では改善効果に相当するクレジットを付与する制度がある

カーボンニュートラルの実現

自動車産業におけるカーボンニュートラルの実現には、再生可能エネルギーや充電インフラなどのエネルギー政策と、購入補助金、サプライヤー支援、電池リサイクルシステムの整備などの産業政策の一体的な運用が不可欠であり、各国政府や業界団体など様々なステークホルダーと連携した取り組みが必要となってきます。

 トヨタはグローバルに事業活動を展開するうえで、各国政府と電動化推進に向けた環境整備について連携し、ライフサイクル全体でのCO2排出量削減に資する電動化戦略を推進しています。

 生産分野での取り組みとしては、グローバルで2035年に工場のカーボンニュートラルをめざすことを発表し、炭素税などのリスクにも備えていきます。工場では、徹底的な省エネルギー技術と再生可能エネルギー・水素の導入によるCO2排出量削減を推進しており、欧州の工場では既に電力100%を再生可能エネルギー化しています。

戦略的レジリエンスの強化

自然災害に対処する取り組みを推進し、BCPを策定するとともに、情報収集の強化によるサプライチェーンの強靭化やコミュニケーションの強化に取り組んでいます。

 そして、自動車産業だけではなく、あらゆる業界と協力し、サステナブルなだけではなくプラクティカルな取り組みにより、「1.5℃以下の社会像」で描く社会にも対応できるようチャレンジを継続しています。

 このほか、安定的な資金調達や持続的な企業価値向上につなげるために、各種ESG評価指標に対する適切な情報開示や、機関投資家をはじめとするステークホルダーの皆様との対話の充実を通じて、トヨタの戦略の妥当性と進捗を確認しています。

③リスク管理

a.組織が気候関連のリスクを特定および評価するプロセス

 グローバルな事業活動に関わるすべてのリスクを対象とした全社横断的リスク管理の仕組みであるTGRSに基づき、気候変動を含むすべてのリスクを抽出し、評価、対応を実施しています。

 リスク評価は、「影響度」と「脆弱性」の2つの観点で実施され、これにより事業に対する実質的な財務・戦略的影響が明確化されます。

「影響度」は、「財務」「レピュテーション」「法規制違反」「事業継続」の各要素について5段階で評価されています。 (「財務」は売上高に対する割合を指標化)

「脆弱性」は、「対策の現状」と「発生可能性」の2つの指標で評価されます。

b.組織が気候関連のリスクを管理するプロセス

各部署にて抽出され、影響度や脆弱性の観点から評価された地域別、機能別 (生産・販売など) 、製品別のリスクに対し、各地域や各部門が相互に連携・サポートしながら迅速に対応します。各部門の本部長や社内カンパニープレジデントがカンパニーの活動を統括し、その下位では部長が部署の活動を統括、対応策の実行およびモニタリングを実施します。

 さらに気候関連のリスクおよび機会については、「製品環境委員会」「生産環境委員会」「サステナビリティ分科会」においても特定、評価され、担当部署や関係役員による審議を行います。「製品環境委員会」では燃費規制や調達などについて、「生産環境委員会」では工場のCO2排出規制や水リスクなどの直接操業について、「サステナビリティ分科会」ではサステナビリティ推進に関する課題や社外ステークホルダーを考慮した取り組みの妥当性などについて、対応状況のモニタリングや見直しを実施します。

 上記会議体は、重要な事案が生じたときに開催され、技術・環境・財務・調達・営業といった関連部署の役員・部長級が参加します。これらの会議体での検討により、年複数回リスク評価を実施しています。なお、迅速な対応が必要となる重要なリスクおよび機会については、逐次取締役会へ報告され、対応が決定されます。

c.組織が気候関連のリスクを特定・評価および管理するプロセスが、組織の総合的なリスク管理にどのように統合されているか

前述のように、TGRSを用いたプロセスは、気候変動をはじめ、グローバルな事業活動に関わるすべてのリスクおよび機会を対象とした全社横断的なリスク管理の仕組みです。

 また、関係部署が集まる「製品環境委員会」「生産環境委員会」「サステナビリティ分科会」では、気候関連のリスクおよび機会について特定・評価を実施し、対応策が検討されます。

④指標及び目標

a.組織が自らの戦略とリスク管理プロセスに即して、気候関連のリスクと機会を評価するために用いる指標

 トヨタは、複数の指標を設定し、複合的に気候関連のリスクと機会を管理することが、気候変動への適応とその緩和に向けた対策として重要だと認識しています。このため指標には、GHG排出量のほか、気候変動と深く関係する、エネルギー、水、資源循環、生物多様性なども含まれています。

 これらの指標を考慮して以下の目標を定め、「6つのチャレンジ」という6分野の取組みにより体系的に推進しています。

・長期 (2050年目標):「トヨタ環境チャレンジ2050」

・中期 (2030年目標):「2030マイルストーン」、SBTi認定・承認

・短期 (2025年目標):「第7次トヨタ環境取組プラン」

「6つのチャレンジ」のうち、2050年のカーボンニュートラルに向けては、以下の「チャレンジ」の推進により、2050年のScope1,2,3カーボンニュートラルをめざします。


 また、2035年に工場のカーボンニュートラルをめざすことを2021年に発表しています。社内では一定の炭素価格を指標として設備投資などの検討に活用しています。

b.気候関連のリスクと機会を管理するために用いる目標、および目標に対する実績

環境戦略の体系

  トヨタは常に世の中の動きやお客様の声を把握し、何に注力すべきかを考え、将来の課題をいち早く察知し、新たな発想と技術で課題解決を推進してきました。しかし、気候変動、水不足、資源枯渇、生物多様性低下などの地球環境問題は日々拡大、深刻化しています。
  これらの問題に私たち一人ひとりが向き合い、20年、30年先の世界を見据えて挑戦を続けていくため、2015年に「トヨタ環境チャレンジ2050」を、2018年に「2030マイルストーン」を策定しました。そして、上記目標を実現するための5カ年計画である「環境取組プラン」の最新目標として、「2025年目標」を2020年に設定しました。

  2022年9月には、SBTiからScope1,2とScope3 Category11の削減目標について認定・承認を取得し、これに準じて中期目標を更新しました。


また2023年4月には、全世界で販売する新車の走行における平均GHG排出量の2030年33%、2035年50%以上削減 (2019年比) を目指すことを公表しました。

中長期のめざす姿を描き、そこからバックキャストした具体的取り組みを、世界中の連結会社やビジネスパートナーと一丸となり推進することで、持続可能な社会の実現を目指しています。



 (5) カーボンニュートラル実現に向けた取り組み

 当社グループは、2021年4月に、2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組みを地球規模でチャレンジすることを宣言しました。今すぐ、かつ着実にCO2の排出量を削減できるプラクティカル (実用的) な電動車の普及と、地域毎のエネルギー事情やクルマの使われ方の現実に寄り添ったサステイナブル (持続可能) な選択肢を提供しています。


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