企業兼大株主デンカ東証プライム:4061】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

(経営方針、経営環境及び対処すべき課題)

 当社は、2018年度よりスタートいたしました5ヵ年の経営計画「Denka Value-Up」において、「卓越した競争力をもち交易条件に左右されないスペシャリティの融合体」を目指してまいりました。この結果、この5年間で最高益を3回更新し、重点分野である「環境・エネルギー」と「ヘルスケア」分野の営業利益合計は、「Denka Value-Up」開始前の2017年度に比べ、昨年度はほぼ倍増いたしました。「Denka Value-Up」における直近の具体的な取組みについて、その一例をご紹介いたします。

 まず、「環境・エネルギー」分野では、2023年3月に稼働を開始した大牟田工場の窒化ケイ素設備について、さらに1.5倍増の追加増産投資をおこなうことを決定いたしました。当社の窒化ケイ素は、独自の高温焼成技術や窒化技術により、高熱伝導性、高強度、高耐熱かつ軽量という特徴があり、要求性能が厳しい車載用途で高い評価を得ております。自動車の電動化の進展に伴い、従来の電子基板用需要が急増していることに加え、モーター用ベアリング用途でも従来素材からの転換が進んでおり、安定供給体制の確保が急務となっております。当社は窒化ケイ素のトップメーカーとして、今後さらなる供給体制の強化を図ります。

 次に、「ヘルスケア」分野では、がん治療用ウイルスG47Δ(デルタ)製剤の事業基盤の強化と将来を見据えた供給力の増強を目的として、五泉事業所・新潟工場に約120億円の戦略投資を決定いたしました。本製品は生きたウイルスそのものを製剤化するもので、製造には大規模なウイルス培養技術や特殊な試験技術が必要であり、長年にわたりウイルス感染症に対するワクチンと検査試薬の開発・製造をおこなってきた当社の技術・ノウハウが活かされております。今後は、本投資を活用して、ウイルス製剤を中心とした医薬品の製造開発委託企業としてのプレゼンス確立にも取り組んでまいります。

 さらに、当社は、セメント販売事業を、2023年3月末をもって新設した100%子会社へ承継させた上で、太平洋セメント株式会社に当該子会社の全株式を譲渡いたしました。これにより、2023年4月1日以降、当社青海工場で生産されたセメントは、新会社が「太平洋セメント」のブランド名で販売いたしております。また、当社は2025年上期を目途にセメント生産を終了し、石灰石の自社採掘およびセメント製造事業からの完全撤退を決議しました。当社は、1954年よりセメント事業に参入し、工場内他製品の副産物や社外の廃棄物を受け入れ、セメントの原燃料として有効活用することで独自のカーバイドチェーンを構築し、製品の競争力向上や工場のゼロエミッション化を追求してまいりました。近年、当社のセメント事業は、国内セメント需要が低調に推移し、老朽化した設備の更新やカーボンニュートラルに向けた大型投資も不可避という厳しい局面にあり、事業再構築が必要なコモディティー事業と位置付け、構造改革を検討してまいりました。結果、当社単独運営による今後の事業の維持・成長は困難との結論に至り、ポートフォリオ改革を断行いたしました。

 このように当社は、経営計画「Denka Value-Up」における取り組みを着実に推進し、一定の成果を上げてまいりましたが、昨年度は一部の基盤事業の収支が低迷した結果、全体としては残念ながら減益となり、事業のスペシャリティ化は未だ道半ばの状況にあります。

 このような状況の中、本年度から、いよいよ新たなビジョンと新経営計画「Mission 2030」がスタートいたしました。「挑戦」「誠実」「共感」の3つのコアバリューのもと、「化学の力で世界をよりよくするスペシャリストになる」ことを当社の道しるべであるパーパスと位置づけました。そして、「スペシャリティ」「メガトレンド」「サステナビリティ」の3要素を併せ持つ事業を「3つ星事業」と定義し、2030年までに当社のポートフォリオを「3つ星事業」に集中させることといたしました。また、「事業価値創造」「人財価値創造」「経営価値創造」の3つの分野において、2030年の具体的な財務・非財務目標値を設定いたしました。これらの目標値を着実に達成し、新経営計画「Mission 2030」を完遂することを目指してまいります。

 ビジョンと経営計画の刷新に併せ、これらを社内外にわかりやすく伝えるコーポレートメッセージを「世界に誇れる、化学を。」といたしました。当社は、世界に誇れる唯一無二の存在、スペシャリストとして、化学の力で世界をよりよくすることを目指してまいります。

◇新たなビジョンと新経営計画「Mission 2030」 ~OUR "NEW" VISION & Mission 2030~

2023年4月、デンカグループは新たな挑戦をはじめました。これまで指針としてきた「The Denka Value」(企業理念)、Denkaの使命、Denkaの行動指針は、従業員の声をふまえ、より未来のデンカを見据えた新たな「ビジョン」へと進化。同時に、2023~2030年度の8ヵ年を対象とする新経営計画「Mission 2030」が始動しました。

デンカの新たなビジョン

 新たなビジョンは、デンカのDNAであるコアバリューを土台とし、デンカを導く北極星となるパーパス、2030年に成し遂げたい務めとしてのミッションを重ねた構成とすることで、文字の域を超え、全従業員が自分ごと化できる新しいデンカの未来像を表しました。


コアバリュー

「コアバリュー」とは、デンカのDNA。さまざまな判断をする上での拠り所にもなります。「挑戦」「誠実」「共感」は、デンカが脈々と受け継いできた姿勢を改めて言語化したものです。これからも一層大切にしていくべき信条です。

パーパス

「パーパス」とは、デンカを導く北極星。デンカが存在する根本的理由です。デンカは世界でどのような存在でありたいのか、デンカだからこそできることは何かを突き詰めて考え、「化学の力」「世界をよりよくする」「スペシャリスト」といった言葉一つひとつを選び出しました。

ミッション

「ミッション」は、デンカの務め。大胆で説得力のある野心的目標です。「コアバリュー」や「パーパス」が普遍性を持つものであるのに対して「ミッション」は明確なゴールと期限があり、例えるならば“登るべき山”です。2030年に、その頂上にたどり着くことを目指し、具体的な戦略を経営計画「Mission 2030」に落とし込んでいます。

コーポレートメッセージ

 このデンカのビジョンを社内外に分かりやすく伝達する言葉としてコーポレートメッセージ「世界に誇れる、化学を。」を創りました。世界に誇れる唯一無二の存在(=スペシャリスト)として、化学の力で世界をよりよくすることを目指すという想いを込めました。

新経営計画「Mission 2030」

 新たなビジョンの実現に向けて、2030年をゴールに取り組む経営計画が「Mission 2030」です。

 事業価値創造、人財価値創造、経営価値創造の3つを成長戦略として、企業価値向上に取り組みます。事業価値創造では、デンカの全ての事業を、スペシャリティ・メガトレンド・サステナビリティの3要素をそなえた「3つ星事業」とすることを目指します。


2030年の主なKPI目標

事業価値創造

 

人財価値創造

 

経営価値創造

売上高

6,000億円以上

 

平均研修金額(21年度比)

2倍

 

プロセス革新投資

23-30年度 500億円

3つ星事業

100%

 

 

営業利益

1,000億円以上

 

 

人権リスク特定と
対応プロセス確立 

営業利益率

15%以上

 

 

ROE

15%以上

 

女性/外国籍/経験者採用者の
管理職比率

50%

 

労働災害度数率(21年度 1.1)

0.2以下

ROIC

10%以上

 

 

投資決裁額

23-30年度 5,400億円

 

 

高リスクサプライヤー数

0件

総還元性向

50%水準

 

 

CO2排出量
 (13年度比)

60%削減

 

従業員エンゲージメント
可視化と継続的な改善

 

重大品質事故発生件数

0件

再生可能エネルギー
 発電最大出力
  (21年度 133MW)

150MW

 

 

重大コンプライアンス違反件数

0件

3つの成長戦略

<事業価値創造>

 事業価値創造では、想定される未来世界とメガトレンドから導き出された「3つの注力分野」である、ICT & Energy(アイシーティー・アンド・エナジー)、Healthcare(ヘルスケア)、Sustainable Living(サステナブル・リビング)に重点を置きます。そして、2030年までにスペシャリティ・メガトレンド・サステナビリティの3要素をそなえた「3つ星事業」を100%にしていきます。また、「3つ星事業」への転換が困難な事業については、売却・撤退を含め、ポートフォリオ変革を進めていきます。そのために、8年間合計で戦略投資3,600億円、研究開発費1,800億円をかけて、2030年に営業利益1,000億円以上を目指します。

 並行して、地球への貢献と、企業のさらなる社会的価値向上を目指し、8年間合計で850億円の環境投資を行い、サステナビリティを追求します。

3つの注力分野

ICT & Energy

 

2030年
営業利益目標

 

450億円

 

メガ

トレンド

再生可能エネルギー

モビリティー大変革

半導体やデバイス需要拡大

製品

次世代高速通信

xEV・再生可能
エネルギー

 

球状シリカ、球状アルミナ、キャリアテープ用シート・トップカバーテープ、放熱材料、エミッター、低誘電有機絶縁材料

アセチレンブラック、窒化ケイ素、セラミックス基板、球状シリカ、球状アルミナ

 

方針

最先端素材を供給し、
よりよい社会を実現

Healthcare

 

2030年
営業利益目標

 

400億円

 

メガ

トレンド

医療ニーズ高度化

革新的な医療技術

製品

予防

診断

治療

 

インフルエンザワクチン

ノロウイルスワクチン(開発中)

自動分析装置用試薬

抗原検査キット

がん治療用ウイルスG47Δ製剤

 

方針

予防・診断・治療の領域で
世界の人々のクオリティ・
オブ・ライフ向上

Sustainable Living

 

2030年
営業利益目標

 

150億円

 

メガ

トレンド

食料・水資源枯渇

インフラ需要増大

製品

食糧

インフラ

生活用品

 

バイオスティミュラント

特殊混和材
LEAF 

高機能スチレン系樹脂

サステナブルプラスチック「PLATIECO®」

 

方針

安全・安心・快適な
日々の暮らしの実現

サステナビリティの追求

方針

カーボンニュートラルの実現

施策

・低炭素アセチレンチェーンの確立を含むポートフォリオ変革実施

・CO2分離・回収・利用技術の開発と実装化

・水力発電増強、太陽光発電所新設によるグリーンエネルギー拡大

サステナブルな都市と暮らしの充実

・スチレン系包装材料のサーキュラーエコノミー推進

・CO2コンクリート固定化技術の確立

環境の保全・環境負荷の最小化

・廃棄物ゼロエミッション継続

・自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)に基づく生物多様性・水資源保全等の自然関連リスクへの対応


<人財価値創造>

 社員一人ひとりが自己実現と成長を実感できる企業を目指し、人財投資と制度改革を実現します。

方針

戦略

人財育成体制の強化

将来の経営層育成と、全社一貫の教育体系の構築および自ら学ぶ文化の醸成

ダイバーシティ、
エクイティ&
インクルージョンの推進

多様な考え方を持った人間が活躍できる職場環境・制度・文化の醸成

健康経営と働き方改革

「明日も来たくなる職場」のための制度改革の推進

<経営価値創造>

ESG経営の観点から、企業存続の前提となる経営基盤の強化に取り組みます。

方針

戦略

プロセス革新

ビジネスモデル・組織の変革と生産性向上、社内デジタル人財の育成

人権の尊重

国連ビジネスと人権に関する指導原則および国連グローバルコンパクトに基づく、人権方針制定と人権尊重の徹底

安全最優先

グループ全体で本質安全化、ルールの整備と安全な職場環境づくりの推進

サプライチェーン・
 マネジメント

サプライチェーン一体となった持続的な付加価値向上

製品安全

信頼される製品とサービスを提供し、社会と環境の持続的成長に貢献

コーポレートガバナンス
高度化 

高い倫理観に基づく透明性・公平性を確保した、より高度で実効性のあるコーポレートガバナンス体制の構築

財務戦略

ROEとROICの改善

 下記施策を通じて、ROE(株主資本利益率)とROIC(投下資本利益率)を改善させ、企業価値向上を図ります。

 

18-22年度平均

30年度目標

施策

ROE

8.4%

15%以上

・3つの価値創造による収益性と効率性向上

・ROIC評価による事業の選択と集中

・最適資本構成の追求(財務レバレッジ活用)

ROIC

7.0%

10%以上

キャッシュアロケーション~総還元性向50%水準を維持~

 営業キャッシュフローと負債を有効に活用して、8年間合計で7,400億円のキャッシュを生み出し、それを投資に5,700億円、株主還元に1,700億円(総還元性向50%水準)配分します。

 

 

(億円)

 

 

 

 

(億円)

キャッシュイン累計(年平均)

 

キャッシュアウト累計(年平均)

 

Denka Value-Up
5ヵ年

Mission 2030
8ヵ年 

 

 

Denka Value-Up
5ヵ年

Mission 2030
8ヵ年

営業CF

1,717
(343)

6,500
(813)

 

投資CF

戦略

 700
 (140)

3,600
 (450)

資産売却

121

100

 

一般

1,093
 (219)

2,100
 (263)

借入

554

800

 

小計

1,793
 (359)

5,700
 (713)

合計

2,392
(478)

7,400
 (925)

 

株主還元
 (総還元性向50%水準)

599
 (120)

1,700
 (213)

 

 

 

 

合計

2,392
 (478)

7,400
 (925)

※文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

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