企業兼大株主ダイキン工業東証プライム:6367】「機械 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 環境・社会貢献の重要性が増し、カーボンニュートラルの動きが加速するなど、外部環境は急速に変化しています。こうした変化に対応し事業拡大を支えるために、当社グループではテクノロジー・イノベーションセンター(TIC)を中心に、FUSION25で掲げた成長戦略に関わる技術領域・テーマに取り組んでおります。

 さらに、当社独自のコア技術の高度化に加えて、外部との協創による技術獲得にも取り組んでおります。2021年度には、鳥取大学との「包括連携協定」に基づき、乾燥地に適した空調システムのコンセプト作りに取り組みました。また、富士フイルム株式会社様と共同で空調機器の新たな静音化技術を開発しました。2022年度には、京都大学との「組織対応型包括連結協定」に基づき、FUSION25の成長戦略テーマを対象領域として、技術シーズの社会実装の加速に向けた、公募制の社会実装・企業活動支援プログラム「ダイキンGAPファンドプログラム」を開始しました。

 既に提携している東京大学や中国の清華大学、スタートアップ企業などとの産官学連携を推進し、協創することでイノベーションを生み出し、環境・社会課題の解決、事業拡大に取り組んでまいります。

 グローバルに広がる研究開発基盤を活用したこれらの取り組みにより、研究開発の大幅な効率化とスピードアップを図り、グローバル各地域で差別化商品を生み出してまいります。

 当連結会計年度におけるグループ全体の一般管理費及び当期製造費用に含まれる研究開発費は、102,207百万円であり、当連結会計年度における各事業別の主要な取り組みと成果及び研究開発費は次の通りであります。

①  空調・冷凍機事業

 国内空調事業においては、暮らしや、働き方の変化に対応した安心で快適な空気環境づくりを目指しております。

 住宅用市場における空調商品では、除湿量・加湿量・換気量が向上し、年間を通じた快適性をさらに高めたルームエアコン『うるさらX(エックス)』を2022年11月より発売いたしました。温度と湿度の同時設定もできる「さらら除湿(リニアハイブリッド方式)」は、室温が設定温度に到達しても除湿し続けることができ、高気密・高断熱住宅で発生しやすい“低温高湿”な環境にも対応します。『うるさらX』は季節ごとの気温や湿度、住宅の高性能化を背景としたこれからの住まいにも対応し、快適な空気環境を実現してまいります。

 また、業界一の薄さを実現したルームエアコン『risora(リソラ)』を2023年3月から発売しております。185㎜の薄さと、デザインが豊富な正面パネルでお部屋に溶け込み、見た目にも心地よい空間をつくります。新モデルでは室内機の前面パネルをお客様自身で取り外しできる仕様にしております。部屋のインテリアに合わせてパネルを変えるなど、生活に合わせてより自由に選んで頂ける仕様にしております。

 住宅用給湯では、『ダイキンエコキュート2023年モデル(X型)』を2023年3月に発売いたしました。高まる清潔ニーズに対し、深紫外線により浴槽のお湯を除菌する「おゆぴかUV」を新たに搭載いたしました。また、スマートフォンアプリとの連携を強化し、太陽光発電の自家消費を効率よく行う「天気予報連動」、災害警報発令などのいざという時に、自動でお湯を沸き上げる「気象警報緊急沸き上げ」にも対応します。当社は、暮らしのニーズや社会のニーズに対応しながら、快適で省エネな暮らしを実現する給湯機を提供してまいります。

 換気商品では、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に最適な除湿機能付き外気処理換気システム『Saravia(サラビア)』を2022年7月に発売いたしました。住宅の高気密・高断熱化に伴い、夏場は室内で発生する湿気がこもりやすく、換気によって入った湿気を取るには、エアコンで除湿することになりますが、すぐに設定温度に到達し運転が停止するため、少ししか除湿できない課題がありました。そこで当社は外気を取り入れる際に機内に搭載したヒートポンプ熱交換器で除湿(外気処理)をすることで、換気しながら各部屋のエアコンの運転負荷を軽減させる『Saravia』を開発しました。ルームエアコンで除湿する従来の全熱交換器を使用した場合と比較し、家全体での換気+空調の消費電力量をトータルで約20%削減できます。外気処理による省エネ性が評価されて、2022年度製品ビジネス部門において省エネ大賞経済産業大臣賞を受賞しております。家全体での省エネや快適な居住空間づくりに寄与できる商品として、エンドユーザー様をはじめZEHを提案する工務店様でご採用頂いております。

 ビル用マルチエアコン「VRV」、店舗・オフィスエアコン「スカイエア」シリーズの新機種を2022年10月に発売いたしました。「VRV Xシリーズ」ではセンサーが故障した場合に一時的に他のセンサーで制御を代用することで、空調故障による完全停止の頻度を抑制いたします。さらにカーボンニュートラル実現に向け業界初の高効率集中巻きモーターを採用した新型圧縮機を搭載し、通年エネルギー消費効率APFにおいて業界トップクラスを達成しました。同時に、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)を目指した空調設計に最適な「VRV Xシリーズ 高COPタイプ」を発売し、さらなる省エネルギー化に貢献いたします。また、換気においても空調エネルギー増加の一因となるため、効率化が求められております。2023年2月に発売した「DCモーターファン搭載全熱交換器ベンティエール」を組み合わせることで、ZEB化のさらなる推進へ貢献いたします。店舗・オフィスエアコン「スカイエア」シリーズでは賢く省エネルギー運転を行う「ダイキンスマートAI」を搭載し、搭載したセンサー情報を元に最適な制御を予測し、年間消費電力を15%削減します。

 北米では、2021年度に上市した省エネ性とコンパクト性を両立したルーフトップユニットの容量を拡大するラインナップ拡充を2023年1月に実施いたしました。この拡充で、換気・外気取り込みや熱回収オプションなどを揃え、オフィスビルや学校など幅広い顧客に省エネと最適空気質を提供しております。

 欧州では、R32冷媒を採用した“分離型”の空冷インバータスクロールチラーを2022年7月に上市いたしました。分離型は蒸発器を室内側に設置し、室外にある圧縮機・凝縮器と分けることで、寒冷地などでも凍結防止のヒータを付けることなく運用できます。2021年度に上市した“一体型”に続き、低GWP冷媒の商品拡充により環境先進性で業界をリードしております。

 中国では、自社製の小型磁気軸受圧縮機を搭載し、低GWPの新冷媒R1233zd を採用したターボチラーを2022年5月に上市しました。低GWPの環境性に加え、高効率によりエネルギー消費量を削減するとともに、低振動、静音性も実現しております。同じく低GWPの新冷媒R1233zdを採用した油軸受圧縮機搭載のターボチラーを2022年7月に上市し、シンガポールをはじめとするアジアの環境先進国に提供しております。

 空調・冷凍機事業に係る研究開発費は、90,364百万円であります。

②  化学事業

 化学事業の研究開発は、豊富なフッ素素材や多岐にわたるフッ素化学関連技術を元に新商品開発及び用途開発を行っております。

 フッ素樹脂・ゴムではフッ素材料の得意とする耐熱性や耐薬品性・誘電特性などを活かし、自動車・半導体・ワイヤー&ケーブル(IT分野)などでの差別化新商品研究を行っております。また、フッ素の非粘着性・耐薬品性を活かしたコーティング材料開発、撥水撥油性を活かしたテキスタイル処理剤、カーペット処理剤の開発、さらには含フッ素化合物の機能性を活かした情報通信・情報端末用材料の開発や、医薬中間体の受託合成研究など、フッ素に関する幅広い研究開発を行っております。

 これらの開発に加え、周辺事業領域の研究開発や用途開発としては他素材との複合材料開発を、先端材料研究としてはメディカル分野・光学分野・環境分野・電池エネルギー分野などで新たな部材・デバイスビジネスの探索を進めることによってフッ素化学グローバルNo.1、オンリーワンのケミカルソリューション事業展開を目指しております。特に電気自動車分野では、グローバルで連携し、新規カーエアコン用冷媒、電池材料等で、市場の更なる開拓に注力いたします。また、SDGsの観点で、様々な環境対応型商品開発や、冷媒の回収再生技術開発を推進しております。

 これらの研究開発を加速・推進するべく、化学事業部では新商品開発の確実な実行を担い、TICにおいては、化学事業につながる次世代テーマの探索を実施しております。

 化学事業に係る研究開発費は、9,444百万円であります。

③  その他事業

 油機関連では、油圧技術とインバータ技術を融合させた商品であるハイブリッド油圧システムの特徴を活かし、従来の油圧システムではなし得ない省エネ性と高機能を実現しております。また、国内外での採用拡大に取り組む中低圧・小容量市場に加え、高圧・大容量市場への用途開発を進めております。

 工作機械向けの『エコリッチ』やプレスなどの産業機械向けの『スーパーユニット』は工場の電力削減の切り札として省エネ性で高い評価を得ており、低騒音、発熱低減、タンク油量削減による作業環境改善や環境負荷低減にも寄与しております。

 また、工作機械などの設備や加工品の発熱を取り去ることで機械加工精度の向上に役立つ『オイルコン』は、高精度温調・省エネ性で高い評価を得ており、グローバルでの採用拡大に取り組み、異電圧電源対応など地域特性に合わせた機種シリーズの開発を進めております。

 このように従来の油圧システムに加えて、その枠を超えた先進的な環境対応商品をグローバルに提供する商品と技術の開発を進めております。

 特機関連では、主に防衛省向け砲弾・誘導弾弾頭と医療・ヘルスケア機器に関する研究を行っております。医療機器については在宅酸素療法に使用する酸素濃縮装置の新機種開発、ヘルスケア機器については低酸素空間でのフィットネスを実現する低酸素発生装置の開発を行っております。

 その他事業に係る研究開発費は、2,398百万円であります。

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