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企業概要

 当社では、イノベーションの成果としての「ニューエレメント」(革新的技術、標準化技術、ソリューション製品、特許など知的財産権、新ビジネスモデルなど)を核とした高付加価値化ビジネスで他社差別化を図り、事業成長を実現することを期しております。当社の研究開発は、その成果として、当社ビジネスにこの「ニューエレメント」を供給することを目的としております。

 当社の研究開発は、お客様や市場に密着したテーマを中心とするため、製造部門各部門が主体的に活動を推進し、その一方で、研究企画室が全社の研究開発活動を統括し、また研究開発テーマ間のシナジーを促進する役割を担っております。

 当事業年度における研究開発費の総額は、66,423千円となりました。なお、当社は単一セグメントであるため、セグメント別に記載しておりません。

 当社は研究テーマを「ユビキタス*」とし、IoT*、AI(人工知能)、ロボットの3つを注力分野として取り組み、大学や国の研究機関との共同研究も推進しております。テーマ別の研究開発の状況は以下のとおりです。なお、*印を付した専門用語につきましては、本項最後の用語集にて解説しております。

①IoT

 当社では、ユビキタスの概念が技術の進化により具現化したものがIoTであると考え、IoTの研究開発に取り組んでおります。

IoTの普及において不可欠な基盤技術が5G(超高速、超低遅延、多数同時接続)となりますが、当社は5Gの特徴を活かしたエッジデバイスを実現するための技術としてMR*に注目しており、当事業年度は、MR技術を用いた次世代可視化技術に関する研究機関との共同研究を実施しました。そのほか、ロボット・IoT向けコンピュータビジョンの研究、自然言語によるロボット・IoT機器操作方式の研究、ブロックチェーン技術の研究、スマートシティに関する研究開発なども実施しております。

②AI(人工知能)

 当社では、ユビキタス社会のキーテクノロジーがAIであると考え、大学や国の研究機関との共同研究を中心に、AIの研究開発に取り組んでおります。

 当事業年度は、機械学習を用いた運用データの解析による宇宙機の故障解析に関する研究機関との共同研究、空間特性可視化システムに関する大学との共同研究、分散型水素システムの研究、人工知能とロボットシステムの統合開発環境「AirGraph」の機能拡充に関する研究開発などを実施しました。空間特性可視化システムに関する大学との共同研究では、その成果の一つとして、建築物や都市の空間特性をリアルタイムで可視化する空間設計ソフトウェア「Convex Space Visualizer」を公開しました。

③ロボット

 当社では、ユビキタス社会における究極の端末はロボットであると考え、ロボットの研究開発に取り組んでおります。特に、ロボットを制御するソフトウェアのコンポーネント化(部品化)技術であるRTミドルウェア*や、ロボット開発のフレームワークであるROS*などの共通化技術を有しており、これらをベースとしたロボット技術の研究開発を推進しております。

 当事業年度は、ロボットの自律移動に関する研究、ロボットアーム制御ソフトウェアの研究などを実施しました。

 また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術統合開発機構(NEDO)が実施している「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発」の委託先として採択され、FPGA*にレザバー計算モデル*を搭載する超低電力エッジAIチップの研究開発を開始しました。

 そのほか、先進的宇宙機搭載ソフトウェアに関する研究、民間宇宙拠点におけるインフラ技術の研究、量子ソフトウェアの基礎研究などの研究開発を実施しました。

用語集

 ご参考までに本項の専門用語を下記に解説いたします。

 ユビキタス

 ラテン語で「同時に、いたるところで存在する」という意味です。あらゆる情報機器がネットワークで結ばれ、いつでもどこでも情報をやりとりできる社会を「ユビキタス・ネットワーク社会」ないし「ユビキタス社会」と呼び、21世紀の情報社会の方向性を示す言葉として用いられています。

IoT

IoT(Internet of Things)は、ユビキタスの概念が技術的な進歩により具現化したもので、あらゆるモノがインターネットにつながり、相互に情報をやり取りすることで、新たな付加価値を生み出すというものです。これにより、製造業のビジネススタイルが製品販売型から機能提供型に変化し、「モノのサービス化(ソフト化)」をもたらすものとされます。

MR

MR( Mixed Reality )は、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)などのデバイスを用いて現実世界にデジタル世界を重ね合わせ、現実の物体と仮想のデジタル情報が輻輳する新しい世界を構築する技術です。

 これまでコンピューティングリソース(情報)にアクセスするためには、キーボードやタッチパネルで情報を入力し、パソコンやスマートフォンのディスプレイを通して情報を得る必要がありました。MRを用いることで、こうした情報機器を境界とすることなく、現実世界から直接、デジタル世界にアクセスできるようになります。CAD、CGなどのデジタル情報を利用した研究・設計現場でのシミュレーションや、医療、製造、建築分野などでの活用が進んでいます。

RTミドルウェア

RT(Robot Technology)ミドルウェアは、ロボットを構成する要素(アクチュエータやセンサなど)やロボットを制御するソフトウェアを、コンポーネントとして部品化するための技術です。RTミドルウェアを利用することで、部品化されたソフトウェアコンポーネントを組み合わせるだけで、多様な機能を持つロボットシステムを容易に構築することができます。RTミドルウェア技術が提唱するソフトウェアコンポーネントのモデルは、2008年4月に国際標準化団体OMG(Object Management Group)にて、「ロボット用ソフトウェアのモジュール化に関する標準仕様」として採択されました。

ROS

ROS(Robot Operating System)は、ソフトウェア開発者のロボット・アプリケーション作成を支援するオープンソースのライブラリ及びツールの総称です。コンピュータ上で自動化したタスクを実行する簡単なロボットから、認識・行動制御を伴う複雑な自律型ロボットまで広く活用され、世界中のロボットソフトウェア開発現場で、デファクトスタンダードになりつつあります。ROSを活用することで、ロボットソフトウェアを早く低コストで実装できることに加え、ロボット研究の最先端の知見を得ることができます。

FPGA

FPGA(Field Programmable Gate Array)は、プログラム可能な集積回路です。通常、コンピュータシステムには演算装置としてCPU(Central Processing Unit)が用いられますが、CPUの回路構成そのものに柔軟性はなく、動作させるソフトウェアで柔軟性を確保しています。これに対し、FPGAは回路構成そのものを利用者が変更(プログラム)することが可能で、並列的な計算処理により、CPUと比較して高速な処理が可能です。

 プログラム可能で高速な演算装置としてGPU(Graphics Processing Unit)がありますが、FPGAは消費電力が少なく、ロボットなど消費電力の制約が想定される環境において、GPUよりも優位性を有しています。

 レザバー計算モデル

 レザバー計算モデルは、自己回帰型ニューラルネットワーク Recurrent Neural Network(RNN)の一種で、時系列情報処理に適した機械学習の枠組みです。

 レザバーはため池という意味で、例えば小石をため池へ投げると水面に波紋が生じますが、この波紋から、どこに、どのような小石が、どのような順番で投げられたのかなどを推測することができます。このように、投げ入れた小石の時系列情報を知りたい時に、水面の波紋という全く別の形に変換して認識処理を行うのがレザバー計算モデルの概念です。

 他のディープラーニングモデルに対するレザバー計算モデルの優位性として、結果出力部分のみを学習対象とすることで、大幅に学習の計算量を削減可能となることが挙げられます。これをハードウェアに実装することで、高効率・高速な機械学習デバイスを実現することが可能な技術として注目されています。

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