企業スカパーJSATホールディングス東証プライム:9412】「情報・通信業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

(1) リスクマネジメント体制について

当社は純粋持株会社であり、当社グループ全体のリスクマネジメントの推進と必要な情報の共有化を図るため、中核の事業会社であるスカパーJSAT㈱(SJC)と共同で当社グループ全体のリスク管理の基本方針及び管理体制を定めています。その基本方針及び管理体制に基づき、リスクマネジメント担当取締役を委員長とするリスクマネジメント委員会で、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスクの未然防止・リスクの低減に取り組んでいます。

具体的には、年度ごとに部署単位でリスクを洗い出し、洗い出された全てのリスクを「影響度」「発生頻度」「対策緊急度」といった同一基準で評価し、各リスクへの対策を策定しています。その中で当社グループの経営に大きな影響を与えうるリスクを重大リスクとして定め、重大リスクに対しては当該リスクの所管部署において重点施策を策定し、SJC経営会議及び当社取締役会等に報告され、定期的に進捗がモニタリングされるシステムを構築しています。

リスクマネジメント委員会の構成は、委員長以下、各部門の統括部署、管理系部署で構成され、事務局は内部統制推進部が担っております。

SJCでは内部統制に係る様々な委員会を設けて、日々活動を行っておりますので、その内容についてもリスクマネジメント委員会で把握し、管理を行っております。

また、実際にリスクが顕在化した場合は、リスクマネジメント委員会を適宜招集する等、迅速に対応を行います。この取り組みを実施することにより適切にグループ全体のリスクをコントロールしております。


 以下に記載のリスクは、当社グループが当連結会計年度において、重大リスクと認識しているリスク項目につき、その対策と併せて記載するものです。ここで取り上げたリスクは当社グループのすべてのリスクを網羅しているわけではありません。また、当社グループが認識していない未知のリスク、あるいは今後重要性が増して当社グループの事業、財政状態、経営成績等に重大な影響を及ぼすリスクが生じる可能性があります。なお、本文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(2) 当社グループが認識する重大リスクについて

<宇宙事業>

① 衛星通信市場における競争力低下のリスク

昨今の地上回線の発達・低廉化、5G(第5世代移動通信システム)時代の新しい通信ネットワークにより、通信衛星の優位性が低下傾向にある一方、世界的にはトランスポンダ供給量は年々増加傾向にあります。また、他衛星オペレータにおいても複数のハイスループット衛星や搭載通信機器がフルデジタル化された新型衛星の投入が引き続き計画されていることから、帯域単価やサービス単価の下落傾向が続いた場合には、いかに収益を維持するかが課題となっております。

 更に超小型衛星や低軌道衛星等を利用した次世代衛星通信が発展を見せており、当社グループも従来のビジネスモデルのままでは宇宙事業における営業収益が減少するリスクが高まっております。

上記リスクへの対策として、HTS衛星やフルデジタル衛星等、先進技術を取り入れた衛星の調達・打ち上げを継続して行い、競争激化する市場でも需要の取り込みに注力しております。近年は、Intelsatとの共同所有衛星Horizons 3eとKacific社との区分所有衛星であるJCSAT-1Cの2機のHTS衛星でサービスを提供し、着実に収益を拡大しております。

2021年3月にはSuprbird-C2の後継機として、フルデジタル化された通信機器を搭載する新型衛星Superbird-9の調達契約を締結し、2027年上期には、日本をはじめとする東アジアにおいて大容量かつ自由度の高い通信サービスを開始することを予定しております

 従来のビジネスモデルに加え、5G時代の新しい通信ネットワーク等につきましても、高高度通信プラットフォーム(HAPS)や低軌道衛星導入の検討等、静止軌道衛星以外の事業展開の検討を続けております。

 しかしながら、現在想定している対策を講じても、低軌道衛星等を利用した次世代衛星通信サービスを提供する新たな衛星事業者の台頭による市場環境の急速な変化や、新たな感染症による経済状況の変動により通信需要が低下する可能性があります。

② 通信衛星調達に関するリスク

通信衛星調達の際には、製造の遅延や打ち上げの遅延または失敗等のリスクがありますが、これらの事由により予定されていた通信衛星の運用開始が遅延し、継続的なサービス提供が不可能な期間が生じた場合、当該期間における収益の低下や利用者流出の可能性があります。

また、通信衛星の製造期間中に設計上その他の要因によって予定外の支出を負担することがあります。

上記リスクへの対策として、調達スケジュールを設定する際には、打ち上げ失敗の場合を想定し、予備衛星や既存衛星によるフリートバックアップ対策、もしくは代替衛星の早期納入をより確実にするための代替衛星用の長納期品の先行発注等の対応策を講じております。

支払いに関しては、進捗度に応じたマイルストーン支払いとし、納期遅延時には一定額の賠償金請求ができる権利を確保することでリスク低減を図っています。保険契約については、打ち上げ時及び軌道上における運行時それぞれの保険契約を締結しております。

打ち上げ危険担保保険は、初期段階において通信衛星の全部又は一部が損傷を受けた際に、通信衛星の再調達、その他修復に必要な費用を填補するもので、打ち上げ時点から、通常1年間有効となっております。

しかしながら、現在想定している対策を講じていても、後継衛星の製造・打ち上げがサプライチェーンの問題や予期せぬ事故により遅延するリスク、衛星の損傷の度合いや原因その他の要因により、打ち上げ危険担保保険では打ち上げに要する費用の全額を補償できないリスク、宇宙保険市場環境の変動による保険料高騰のリスク及び戦争危険等の絶対免責に該当する場合に損害保険の対象にならないリスクが想定されます。

③ 通信衛星の運用に関するリスク

当社グループが保有する通信衛星は15年から20年程度と比較的長期にわたって使用されますが、運用期間中に製造上の瑕疵、欠陥部品、太陽活動に伴う磁気嵐、デブリや隕石等との衝突、過度の燃料消費、衛星管制上又は運用上の不具合その他の要因による衛星の機能不全又は運用能力低下の可能性があります。このような事態が生じた場合、サービスの提供ができないことによる収益の低下や顧客の流出、あるいは当社グループ所有の別衛星への顧客移行にかかわるコスト負担などで、収益の低下等の悪影響を及ぼす可能性があります。

上記リスクへの対策として、打ち上げ保険が期間満了となった後に効力を生じる軌道上危険担保保険契約を、打ち上げた通信衛星ごとに締結しています。ただし、この保険は通信衛星の技術上の機能不全に起因して当社グループが負う第三者賠償責任や収益の喪失などの営業上の損害を補填するものではありません。

当社グループは現在、軌道上に予備の通信衛星を保有しており、運用中の衛星に不具合が生じた場合に可能な限り短期間でバックアップができる体制をとっています。

しかしながら、現在想定している対策を講じていても、不測の事態により、予備衛星による代替機能が提供できないことによる収益低下リスク、通信衛星の機能不全の要因によっては免責条項が適用され軌道上危険担保保険の対象にならないリスク、宇宙保険市場環境の変動による保険料高騰のリスク及び戦争危険等の絶対免責に該当する場合に損害保険の対象にならないリスクが想定されます。

<メディア事業>

④ 有料多チャンネル事業の事業性低下に関するリスク

加入者の獲得及びその維持は、当社グループの収益拡大にとって重要な要素です。2023年3月末において加入件数は2,875千件を有していますが、将来にわたって当社グループの計画どおりに加入件数が推移する保証はありません。今後、コンテンツの差別化やプロモーションの強化、キャンペーンなどの各種マーケティング施策の実施にも関わらず、同様のコンテンツを提供するインターネット経由での動画配信サービスの浸透等、競合サービスとの競争激化やユーザーの視聴習慣の変化により加入件数の減少が継続または急激に発生した場合、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼします。

 また、競争の激化によって有力コンテンツを獲得できなかったこと等により当社グループのサービスの魅力が低下し、既存加入者の解約が想定以上に多く発生する場合には、累計の加入件数の減少につながり、また、放送権料が高騰することにより有料多チャンネル事業の収益性が低下し、これにより当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります

上記リスクへの対策として、有料多チャンネル事業において加入者数が減少する状況においても一定の利益を確保するべく、事業収支をベースとした中期的な事業構造改革の方針を作成し、実行しております。また、放映権料の高騰を受け、加入者の獲得・維持に資するコンテンツの優先順位を明確にしたコンテンツの取得方針を定め、かつ、その費用対効果の事後レビューを実施しています。更に、有料コンテンツを提供している同業他社との適切な協業や提携を通じて、マーケティング力の強化や事業全体の効率化を進めていきます。一方で、FTTH事業の収益拡大のため、提供エリアの拡大やサービスの充実、営業体制の強化を行うほか、東京メディアセンターの設備の有効活用などを実施し、有料多チャンネル事業以外の収益の増加に向けた施策を実行しています。

しかしながら、インターネット経由の動画配信サービスの台頭が一層進んでいることなどから、従前よりリスクレベルが上がっていると認識しており、有料多チャンネル事業のサービス加入者向けに「スカパー番組配信」を、また独自の動画配信サービス「SPOOX」を展開するなどの対策を行ってもなお、競争激化による加入者の減少や放映権料、配信権料の高騰が想定以上となる場合、更なる収益性悪化のリスクが想定されます

⑤ 不正視聴に関するリスク

当社グループが提供する提供する有料多チャンネル放送「スカパー」ではB-CASカード/ACASチップというICカード/チップを利用しています。B-CASカードについては、有料放送を不正に視聴できるようにした改ざんB-CASカードの販売者が逮捕されております。また、大手ECサイトでのネット配信専用違法デバイスの販売についても、公衆送信権・送信可能化権侵害を幇助する行為に当たるとして、販売差し止め事案が発生しております。このような改ざんB-CASカードやネット配信専用違法デバイスによる不正視聴は、有料多チャンネル放送全体の健全な普及拡大に多大な悪影響を及ぼすとともに、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります

 当社グループが提供する有料多チャンネル放送「プレミアムサービス」「プレミアムサービス光」はB-CASカードとは異なるICカードを利用しておりますが、同様の不正視聴により、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります

上記リスクへの対策として、これまで弊社では4K8K放送開始に伴うACASチップの開発に積極的に参画してまいりました。ACASチップはセキュリティ機能が強化されていることに加え2K放送にも対応しており、ACASチップを搭載した4Kテレビ等でも「スカパー」の視聴がこれまでと同様に可能となっております。今後4Kテレビ等の普及により、B‐CASカードがACASチップに置き換わっていくことで、一定のリスク低減が見込まれます。また、当社グループはB-CASカードによる不正視聴が発覚した場合、有料放送事業者各社及びB-CASカードの所有者である株式会社ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ等と連携し、損害賠償請求等の法的措置を含むあらゆる手段を講じて厳正に対処する方針であり、引き続き、刑事・民事での訴訟の提起や広報における違法性の周知などを行ってまいります。今後はより効果のある技術的な対応策を継続して検討していくとともに、不正視聴機器の利用による不正視聴者の法的対処が実現出来るよう関係省庁との連携を強化してまいります

かしながら、ACASチップが想定通りに普及しない場合や上記の取組みによっても有効な抑止効果が生じなかった場合には、改ざんB-CASカードによる不正視聴が長期間にわたり継続的に発生するリスクが想定されます。また、近年インターネット経由での不正視聴を幇助する、ネット配信専用違法デバイスが海外より流入しており、これらによる不正視聴が広がるリスクがあります。この対策を検討するため、これまで大手ECサイトへの不正視聴機器に対する販売差し止めの実績を上げている一般社団法人衛星放送協会が中心となり、放送事業者、関連団体等が参画して不正ストリーミングデバイス対策協議会が設立されています。当社グループとしても本協議会の活動に積極的に協力し、ネット配信専用違法デバイスの流通阻止に向けて取り組んでおります。なお、かかるネット配信専用違法デバイスや不正視聴を可能とする新たな技術や機器が登場し、当社グループがこれらに対する有効な対応策を講じることができなかった場合、またはかかる対応策のために多額の費用を投じざるを得ないような場合には、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります

⑥ 顧客管理システムに関するリスク

当社グループでは、有料多チャンネルサービスに関する新規加入申し込み、契約チャンネルの変更、解約処理、課金、請求など、各種お客様情報・契約情報の管理に大規模な顧客管理システムを使用しており、メディア事業の運営や収益管理において重要な役割を担っています。

 このシステムにおいて重大なシステム障害が生じた場合、またはシステム設定や仕様変更に伴うプログラム変更等に不備があった場合、加入手続き等のサービスの停止、放送事業者との各種取引や手続きへの不具合による事業運営への支障、社会的信用の低下、不具合の解消や顧客対応に要する不測のコスト負担等により、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります

 また、不適切なデータ入力や改ざんが行われると経営成績の基礎となる営業収益の信頼性が損なわれ、事業運営や経営成績に悪影響が生じます

上記リスクへの対策として、重大なシステム障害を予防するため、顧客管理システムを免震構造の施設に設置し、各機器・装置は冗長構成を取っております。

 また、アプリケーションやデータ等の情報は遠隔地のサーバへ定期的にバックアップしております。更にシステム設定等の不備に対しては、設定手順書の整備等により運用管理を徹底する他、プログラム変更時の社内手続きの整備やシステムへのアクセス権限の定期的な棚卸し等の対策を取っております。

しかしながら、上記のような対策を講じても、人為ミスによる障害が発生するリスク及びシステム更改時の要件定義等の不備により予期せぬ障害が発生するリスクが想定されます。

<全般>

⑦ 事業投資等に関するリスク

当社グループは、事業拡大のために、他企業のM&Aや出資、他企業との提携及び協力体制構築等の検討を行い、その結果、将来の当社グループの事業戦略や経営成績に貢献すると判断した場合には、これらを実行することがあります。

 しかしながら、買収等の対象事業を当社グループの経営戦略に沿って統合することができない場合や当社グループの期待する相乗効果が得られなかった場合、買収等の対象事業に当社グループの内部統制体制を適用することができなかった場合、当社グループに必ずしも経験や知見の無い技術分野における問題点を含む、想定しなかった重大な問題点が買収等の後に発見された場合には、当社グループの財政状況及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、買収等により多額ののれん及び無形資産を計上する可能性があり、対象事業の収益性が低下した場合にはのれん及び無形資産の減損が発生するほか、事業再編等に伴う事業売却損、事業清算損その他これに伴う損失の発生等により、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

上記リスクへの対策として、投資に係る規程を整備し、出資・投資に際しては、事業計画、内部収益率、撤退基準、その他リスク等を検討して審議・判断しております。加えて、大型出資案件については、各部門の会議を経て、代表取締役社長の諮問機関である経営会議にも付議し、取締役会でも決議を行う等、複数のチェック体制を取っており、慎重に多角的な検討を行っております。

また、適切な内部統制構築・運用のため、出資先への人員派遣や当社グループで定めている規程等の遵守を求め、適正に管理を行っております。投資判断時には、マイルストーンを設定し、適切なタイミングでレビューを行っており、出資後においても、各出資先の財務状況、取組方針、収益性、資本コスト、保有意義、出資の適正性等についてレビューを行い、その結果を取締役会に報告しております。

しかしながら、現在想定している対策を講じても、市場・競争環境の変化や出資・買収後の事業管理の不徹底等により、買収等をした事業における損失の発生、投資有価証券やのれんの減損等を完全に防止することは不可能であり、投資に見合う利益を確保できる保証はありません。

また、出資先でコンプライアンスに関する問題等が発生した場合には、当社グループの社会的信用を損なう可能性があります。

⑧ 事業上の法的規制に関するリスク

当社グループの事業の遂行にあたって、国内においては、放送法、電気通信事業法、電波法、独占禁止法、個人情報保護法、環境諸法令、補助金適正化法等の法的規制の適用を受けています。また、事業を展開する各国においては、当該国の法的規制の適用を受けています。これらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動等により、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁・事業停止命令等を受けたり、お客様をはじめとする関係者からの信頼を失う可能性があり、これにより当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、国内における衛星放送、並びに国内外における通信衛星の打ち上げ、運行及び商業利用に対して適用される現行の制度を変更するような法令等が新たに制定されたり、当社グループの事業に不利益な改正が行われた場合には、事業運営上の制約が生じる可能性があり、これにより当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります

上記リスクへの対策として、「スカパーJSATグループミッション」及び「スカパーJSATグループ行動指針」を基に、スカパーJSATグループコンプライアンス基本規程及びグループ役職員行動規範を定め、取締役及び使用人に対し、法令等を遵守するよう求めております。

また、当社グループは、コンプライアンス統括責任者を任命し、コンプライアンス統括責任者を委員長とするコンプライアンス委員会を設置して定期的に開催しております。

更に、コンプライアンスを社内に定着させていくため、取締役及び使用人への教育・研修等を行うと共に、新たな法令等の制定や改正に関する情報が随時配信されるサービスを利用する等、当該法令への対応を行っております。

当社グループの事業活動又は取締役及び使用人に法令違反の疑義のある行為等を発見した場合、速やかに社内及び社外に設置する窓口に通報・相談するシステムとして、「コンプライアンスヘルプライン」を整備し、適切に運用しております。上記対応状況も含め、当社の内部監査部門は、当社グループのコンプライアンスの状況を定期的に監査しております。

そのほかにも、国内外において現行制度を変更するような法令の制定や改訂については、関係省庁等の動向を常に注視し、必要な意見表明や制度変更等への事前の準備をすることで、リスクを軽減する対応をしております。

しかしながらこのような法令遵守の体制やモニタリングを強化しても、法令違反の可能性を完全に排除できないリスクや、国内外における新たな法令等の制定や改正に関する情報の入手が遅れる等、適切な対応が行えず、事業運営に悪影響を被るリスクが想定されます。

⑨ 個人情報及び重要情報の流出や取扱い及びサイバーセキュリティに関するリスク

当社グループは、メディア事業においては提供するサービスへの加入者情報をはじめとした顧客情報を、宇宙事業においては技術情報を含む重要な情報をそれぞれ保有しております。当該情報がハードウェア、ソフトウェアの不具合及び人為的ミスによるシステム障害や第三者による不正アクセス等により流出した場合や、個人情報の不適切な取扱いが発生した場合は、社会的信用の低下や損害賠償その他の対応に係るコスト負担等により、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、大規模なサイバー攻撃を受けた場合、当該情報が流出するのみならず、放送・配信サービス及び衛星通信サービスの運用に障害が生じる可能性があります。

上記リスクへの対策として、当社グループは、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の認証及びプライバシーマークを取得し、情報セキュリティ・個人情報保護マネジメントシステムを構築し、厳格な情報管理を行っております。当該活動の一環で、当社グループを対象とした個人情報管理委員会・情報セキュリティ管理委員会を設置し、情報セキュリティ管理の状況をモニタリングしております。

また、セキュリティインシデント発生時の対応を行う組織としてCSIRT(シーサート、Computer Security Incident Response Team)を設置し、訓練も実施しております。一方、システム対応として、個人情報及び事業上の重要情報保管時の暗号化サーバの利用、不正侵入防止システムやウィルス対策ソフトによる感染防止、各システムによるログの取得、セキュリティ診断による脆弱性の発見等を実施しております。

更に、サイバー攻撃の多様化、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進等によるサイバーセキュリティリスクの増加等を受け、最高情報セキュリティ責任者(Chief Information Security Officer)を任命し、サイバーセキュリティへの対策を実施・強化しております。

そのほか、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策としてテレワークによる勤務体制を整備しており、リモートアクセスシステム・ツール等のセキュリティアセスメントを実施しています。

しかしながら、現在想定している対策を講じても新技術を用いた高度なサイバー攻撃など、現在想定している対策を超える事態の発生により、情報流出やサービスに障害が発生する可能性があります。

⑩ 大規模災害、新型感染症等による事業継続に関するリスク

当社グループは、放送と通信という公共性の高いサービスを提供する企業グループとして、放送設備や衛星管制・通信設備を国内に所有しております。大規模災害や事故、新型コロナウイルス感染症をはじめとする感染症の大流行等が発生した場合、施設の設備損傷や施設の閉鎖または活動自粛等により事業継続が困難となるリスクがあります。

その他にも従業員の被災状況や公共交通機関等の不通等により、継続業務従事者の確保ができなくなるといったリスクがあります。

上記リスクへの対策として、事業ごとに継続業務を定め、人員計画含め非常時の体制をBCP(事業継続計画)として構築・運用しています。また、新型コロナウイルス感染症に代表されるような感染症の拡大に対する事業継続体制も同様に事業継続計画としてあらかじめ定めています。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に対する事業継続体制に関しては、テレワークの確立とともに、国や都の要請に基づき、感染拡大状況に応じた勤務体制を設定し、従業員の安全を確保した業務遂行が可能となるよう、制度を整備しております。

継続業務を担う拠点は制震または免震構造を採用しており、非常用発電機能や、食料品の備蓄を有しております。特に災害発生時に通常以上の利用が見込まれる衛星通信の管制施設に関しては、無停電電源設備を有し、一拠点が休止しても他の拠点からサービスを提供できるようにして業務に重大な支障を生じない設計にする等、サービス不断を目指した設備構築を行っております。また、気候変動などにより昨今頻発する可能性のある台風等の強風・豪雨被害等の脅威に関しては継続的に対策を検討・策定し、対応を進めております。

しかしながら、全てのサービスはフルバックアップ設備を有していないため、現在想定している対策では対処しきれない大規模災害等が発生した場合には、放送・配信・通信を長期間停止するリスク及び交通機関等の断絶の長期化による拠点の燃料・人員確保のリスクが想定され、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

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