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企業概要

 当社グループは、経営理念である「新しい価値の創造」及び経営ビジョンとして「Imaging to the People」を掲げ、材料・光学・微細加工・画像の4分野のコア技術を高度化・融合化するとともに、ICT・AI技術を組み合わせることで“見えないものをみえる化する”技術として発展させました。そして、この独自技術を活用することで顧客の課題を解決する新たな製品・サービスを各事業セグメントで開発しております。

 当連結会計年度においては、中期経営計画「DX2022」に基づいた基本方針に対応して、「画像IoT技術の強化」、「技術人財のトランスフォーメーション」を技術戦略の基本方針と定め推進してまいりました。

「画像IoT技術の強化」においては、エッジデバイス、画像AI技術、IoTプラットフォームからなる三位一体の技術群で構成される画像IoTプラットフォーム「FORXAI(フォーサイ)」を開発・整備し、人行動、検査、先端医療の重点3領域を中心に技術力強化を進めております。「FORXAI」を介してパートナー企業各社が保有するアセットを持ち寄り、お互いのエッジデバイスやAI技術をオープンにつなぎ、かつ素早く顧客にソリューションを提供する取組みに対し多くのパートナー企業から賛同をいただき共創(企業間連携による事業創出)が加速しております。

 エッジデバイスの開発では、光学技術に材料、微細加工、画像技術も組み合わせ、目には見えないガス、物体の内部構造、従来の計測手法では測れない液体の状態変化などを“見える化”する独自のセンサーや、5G通信によるリアルタイム画像伝送を実現する低遅延カメラなどを開発してまいりました。また、技術パートナーが保有するデバイスが「FORXAI」に接続・連携することを認定する「FORXAIデバイス認定プログラム」を開始し、高速・高精度なAI画像処理技術を容易に体感できる開発キット「FORXAI Experience Kit」のラインアップを拡充しました。

「FORXAI」技術を活用し重点的に取り組んでいる人行動領域では、人の姿勢推定と物体検知の同時認識技術で当社評価における世界最速クラスのAIアルゴリズムを開発しており、当社の人行動認識に関するAI技術は高い評価をいただいております。

 検査領域では、製造業における製品検査や働く人々の安心安全を実現する技術開発に取り組んでおります。画像AI技術を使ったセンシングとして、検査に使う波長領域を可視光領域からX線や近赤外領域まで拡張することで、物体表面だけでなく内部構造や成分まで検査することを可能にしました。そして、これらの技術を活用し、製造業における製品外観検査の高度化・自動化に加え、労働安全、在庫管理などにおける人手不足が起因の様々な現場課題の解決に貢献する技術開発にも取り組んでおります。

 医療領域では、デジタルX線動画撮影システム(DDR:Dynamic Digital Radiography)によって得られた動画像に独自の画像処理技術によって「識別能の向上」、「動きの定量化」、「肺機能情報の可視化」を実現しました。造影剤を使用せず肺の血流動態を可視化する技術を開発し、低被爆な診断手法となる可能性を世界で初めて証明しました。

「技術人財のトランスフォーメーション」の取組みでは、画像AI専門のエンジニアとデータサイエンティスト、それらの技術を理解し最適なソリューションを開発できるソリューションディベロッパー、これら3つのスキル人財を画像IoT人財と定義し、その育成と採用強化を継続しております。2020年に500人程度だった画像IoT人財を2023年度末までに1,000人に増員する計画が予定どおり進捗し、現在800人を超えました。画像IoT人財は、既に各事業のDX推進や新規事業創出の場で活躍しており、今後の事業成長に必須の人財として継続的な育成強化と各事業における画像IoT人財の活用推進を進めてまいります。

 研究開発により創出される技術(発明、アイデア、ノウハウ等)については、特許権の取得に加え、著作権法・不正競争防止法等の各種法制度や契約を利用することにより、知的財産として適切な保護・活用を行い、当社グループの競争優位性の維持、成長のドライバーとしております。

 また、中期経営計画「DX2022」に沿った事業ごとの事業戦略と密接に連関した知的財産戦略を策定・実行し、事業の成長、収益力向上を知財面から強力に支援してまいりました。具体的には、各事業の成長戦略を実現するためのキーとなる技術、商品、サービスについて集中的に知財投資を行い、事業シナリオと連動した知的財産の形成、活用を行っております。

 例えば、計測・検査・診断領域での事業成長の一角を担うヘルスケア事業においては、デジタルX線動画撮影システム・動態解析技術(以下「X線動態」)を、“新しい動きの診断”を提供するソリューションとして、その成長戦略の核としています。このX線動態については、その開発当初から、当社の独自領域である動態解析技術を中心に集中的な特許出願を行ってまいりました。その結果、下図に示されるように、現在では質、量ともに圧倒的なポジションを確立し、X線動態における当社の競争優位を持続的に維持する特許障壁を構築しております。

「X線動態領域」に関する日本特許(公開特許+登録特許) 2017年12月時点(左)と2023年4月時点(右)のスコアマップ

(注)株式会社パテント・リザルトの特許分析ツール「Biz Cruncher」を用いて当社にて作成いたしました。円の大きさが各社の特許件数を、横軸が最も評価の高い特許の評価値を、縦軸が特許群全体の評価値を示しております。

 持続可能な社会の実現をめざして、省エネルギー、リサイクル可能な環境配慮型製品の開発、使用済み製品の廃材を高機能材料として再活用する技術、バイオマス由来材料を活用する技術の研究開発を進めております。複合機の本体や消耗品(トナーなど)に使う石油由来材料を再生材料へ転換し、プラスチック由来CO2排出量の削減を進めてまいります。バイオマス由来材料や廃材を複合機などの高機能材料として活用するためには、一般的に石油からのバージン材に比べて性能が低下するとともに製品品質が安定しにくいという課題があります。当社グループが長年使ってきたコア技術の1つである材料技術、成形加工技術を発展させ、材料開発、材料選択、加工技術の組み合わせにより、新しい樹脂開発を進めます。複合機への展開だけでなく、様々な企業と本技術を共有し実用化することで、連携の輪をグローバルに広げ、環境価値の効果を飛躍的に大きくしてまいります。

 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は638億円となりました。そのうち、デジタルワークプレイス事業及びプロフェッショナルプリント事業に係る研究開発費が278億円、ヘルスケア事業に係る研究開発費が113億円、インダストリー事業に係る研究開発費が140億円、その他事業及び基礎研究費用が106億円であります。各事業部門別の研究の目的及び研究成果は以下のとおりであります。

(1)デジタルワークプレイス事業

 デジタルワークプレイス事業においては、複合機、ITサービス・ソリューション、「Workplace Hub(ワークプレイスハブ)」を組み合わせた、各種ハードウェア、ソフトウェア、システムソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施しております。

 新世代カラー複合機では、いつでも、どこでも、だれでも働ける環境づくりに貢献する、「bizhub(ビズハブ)i Sシリーズ」を提供しております。「bizhub i Sシリーズ」は、場所に縛られないテレワーク中心の働き方と安心安全なオフィス出社中心の働き方、それぞれの働く場所に合わせた環境づくりをサポートします。複合機のパネルからアプリケーションダウンロードサイト「Konica Minolta MarketPlace」に接続し、アプリケーションをインストールすることで、操作性向上やクラウドとのスキャン連携などの機能を複合機に追加することができます。さらに、リモートメンテナンスによる常時監視・保守や自動アップデートにより複合機が最適な状態に維持されるほか、災害時の早期復旧が可能になるなど、将来にわたって顧客の事業継続をサポートするサステナブルな高品質サービスの提供とあわせて企業のDXを促進しオフィスのITサービスとのタッチポイントとなり、効率的なIT活用を支援しております。

 さらに当社は、「Intelligent Connected Workplace」のプラットフォーマーとして顧客のDXを支援する技術を開発しております。

2020年に商用稼働した「COCOMITE(ココミテ)」はクラウドで提供する自社開発オンラインマニュアル作成・運用サービスです。人材育成・技能伝承の課題解決に着眼し、既知の業務マニュアルの作成・運用の非効率さの解消を切り口に新たに開発されました。 マニュアルの効率的な作成、管理を基本機能としてリリースして以降、顧客の声・アクセスログ解析から新機能開発や改善を重ね、オンラインマニュアルコラボレーションツールに進化、成長を続けております。

 また、AI技術によって、教育分野における教員の働く教育現場の課題解決に貢献するべく、2019年から文部科学省の学校における先端技術の活用に関する実証事業に取り組んでおります。学習支援サービスや学びの分析サービスを搭載した教育機関向けのトータルソリューション「tomoLinks(トモリンクス)」によって、教育のDXを広く展開し、多様な子どもたちが誰一人取り残されることなく社会とつながる個別最適化された協働的・探究的な学びに貢献しております。

(2)プロフェッショナルプリント事業

 プロフェッショナルプリント事業においては、プロダクションプリント/産業印刷の生産性と印刷品質、自動化・省人化・スキルレスを訴求し各種印刷機やサービスソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施し、顧客のDX支援によるプロセス改善・リモート化・分散印刷を実現してまいります。

 クラス最高レベルの印刷速度の140ppmを実現したデジタル印刷システム「AccurioPress(アキュリオプレス)C14000/12000」と、コンパクト設計ながら多彩な印刷業務の獲得を支援する110ppmの印刷速度の「AccurioPress C7100」」を提供しております。全てのプロダクションプリント製品に装着できバリアブル印刷の自動検査機能を可能にする自動品質最適化・検品ユニット「IQ-501」や、多様な後加工を自動化する多機能トリマーユニット「TU-510」をインラインオプションとして提供しご好評をいただいています。さらに、複数のプロダクションプリント機の情報を一括で可視化し管理効率化と工程の継続的な改善を支援するソリューション「AccurioPro(アキュリオプロ)Dashboard」を発売いたしました。これにより「あたらしい生産時間」の創出が可能となり印刷事業者のビジネス拡大に貢献いたします。

 産業印刷ユニットにおいては、多様なメディアへの印刷と高い生産性、優れた画質と信頼性で新たな印刷ビジネス領域を切り開く「AccurioJet(アキュリオジェット)KM-1e」を提供し、様々なアプリケーション(出力用途)や市場からのニーズに対応しております。また、ラベル印刷では使いやすさと導入コストでご好評をいただいた「AccurioLabel(アキュリオ ラベル)230」の後継機として、「AccurioLabel 400」を発売開始いたしました。当社初の白トナーを搭載し、自動品質最適化ユニット「IQ-520」を導入することで常に安定した画像品質を保ちます。

(3)ヘルスケア事業

 ヘルスケア事業においては、デジタル診断にフォーカスし、データサイエンスの力をフル活用して「早期診断」と「個別化医療」を実現することで、患者様個々のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を追求するとともに医療費の削減に貢献するべく研究開発を推進しております。

 ヘルスケア分野では、“見えないものをみえる化する”高度なイメージング技術を重要な柱に据え、IoTプラットフォームにAI技術を活用した診断支援機能や患者ポータル等様々な高付加価値サービスを搭載・展開するための研究開発を推進しております。

 プレシジョンメディシン分野では、遺伝子、タンパク質、細胞、臓器に至る全身をデジタル化し、AIを駆使してバイオマーカーを抽出し適切な診断と創薬支援に貢献し、プライマリケア・個別化医療の領域でデータ解析による疾病メカニズム解明のサービスビジネスを展開するための研究開発を推進しております。

 当連結会計年度においては、ヘルスケア分野では、X線画像診断に“動き”の情報を付加した「X線動態解析」を「診断学」へ進化させるため、デジタル症例集「DDR (Dynamic Digital Radiography) Atlas」の第一弾として、正常例を収録した「DDRAtlas Ver. 1.0」を会員制Webサイトにて公開しました。また、九州大学大学院医学研究院により、当社のデジタルX線動画撮影を利用して造影剤を使用せずに肺の血流動態を可視化する技術が開発され、その研究成果が学術雑誌「Radiology」に掲載されました。世界中の医師や放射線技師、医学研究者の方々と新たな価値の共創を進め、動態画像に『こういう活用ができる』という意味づけをしていただき、医療界の課題解決と進歩・発展に貢献してまいります。カセッテ型デジタルX線撮影装置では、軽量化、低線量・高画質、把持性を向上した「AeroDR swift(エアロディーアール スウィフト)」にラインアップを追加し、17×17インチサイズを開発・発売しました。17×17インチサイズでも片手でハンドリングしやすく、回診撮影の持ち運びによる疲労低減に寄与してまいります。

 プレシジョンメディシン分野では、子会社のコニカミノルタREALM(株)が、DNA及びRNAの2類の遺伝子情報を解析する機能を併せ持つがんゲノムプロファイリング検査用システムとして、厚生労働省より「GenMineTOP がんゲノムプロファイリングシステム」の製造販売承認を取得しました。本システムを用いて精緻ながん診断を推進することで、患者様一人ひとりの特性を鑑みた適切な治療の実現等を通じて、患者様のQOL向上に寄与してまいります。

(4)インダストリー事業

 インダストリー事業においては、センシング技術、材料コンポーネント技術、画像IoT技術を活かしたソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施し、産業界のバリューチェーン変革推進で顧客と社会に貢献するため、産業のモノづくり最適化と安全・安心を提供してまいります。

 センシング分野においては、強みである光・色・外観の計測技術を基盤として、ICT領域や自動車領域に向け、高品質な製品・ソリューションを提供しております。

 今後市場の成長が見込まれるAR/VR分野においては、研究開発を支えるソリューションの提供を拡大しております。

ICT端末のディスプレイの高精細化に伴う高解像度での計測需要や、顔認証などで用いられるVCSEL等レーザー技術における計測需要に対して引き続き応えてまいります。

 自動車の外観計測においてはトンネル型の塗装欠陥検査やすき間・段差計測の装置に、キズ・へこみ等の検査機能を追加できるようにしました。

 これにより、それぞれの検査工程にてフレキシブルに顧客需要に応えることができます。

 また、AIを用いた塗装欠陥分類については、光学シミュレーションをベースにしたデータ拡張技術により、発生頻度の低い欠陥でも短期間で学習モデルの作成が可能となりました。

 ハイパースペクトルイメージング(HSI)技術においては、リサイクル分野において中赤外線(MWIR)分光カメラで、識別と分類が困難とされる黒色プラスチックの仕分けを実現しております。

 材料・コンポーネント分野における機能材料ユニットにおいては、液晶画面の基幹部材となる偏光板用保護フィルム向けに、従来のTAC製品に加え、新樹脂フィルム「SANUQI」(COP系)、「SAZMA」(アクリル系)等を新プラットフォームとする2.5mの超広幅品等の高付加価値商品の販売及び開発を行っております。また原材料の使用量を減らすことができる薄型フィルムや、サプライチェーンの環境負荷やロスの低減が可能な長尺フィルム商品など、環境に配慮した商品の準備を進めております。

 光学コンポーネントユニットにおいては、成長領域である半導体検査用レンズに欠かせない超高精度加工技術開発や移動体に搭載するセンサーデバイス用レンズ及び観測観察用レンズ等の小型レンズ開発・製品化に取り組んでおります。光学技術・コンポーネント技術に材料技術を掛け合わせた高機能レンズの開発に注力し事業化推進を図ってまいります。

IJコンポーネントユニットにおいては、産業用インクジェットヘッド技術の開発、製品化に注力し、サイングラフィック領域からプリントオンデマンドの商業印刷領域、そしてプリント基板などの工業用途への拡大に向けて、さらなる製品ラインアップの拡充に取り組んでおります。

 画像IoTソリューション分野では、製造業・防災・セキュリティ等の領域を中心に、AIによる予知保全、安全安心確保に向けたモニタリング・ソリューションを展開しております。

 当連結会計年度においては、ガス漏えい検知技術にAI解析を掛け合わせ、従来捉えられなかった煙の発生を、いち早く、正確に検知可能なアプリケーションを開発し、AIカメラとの組み合わせによる「火災予防ソリューション」として展開しております。

 さらに、米国では脱炭素/境負荷低減の機運の高まる中、米国環境保護庁(EPA)による規制強化の一環であるメタンガス排出量報告フレームワーク「OGMP2.0」等への対応をガス事業者に求められており、ガス漏えいを定量化する「流量推定技術」を搭載した「ガス漏えい検査システム」を提供することにより、顧客の課題解決に取り組んでおります。

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