企業兼大株主オムロン東証プライム:6645】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 ここでは、(1)経営方針、(2)長期ビジョン「Shaping The Future 2030」、(3)中期経営計画「SF 1st Stage」(4)SF 1st Stageの経営目標という構成で記載しています。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 また、文中における「営業利益」は、「売上高」から「売上原価」、「販売費及び一般管理費」および「試験研究開発費」 を控除したものを表示しています。

(1) 経営方針

①当社グループの企業理念

 当社グループでは、1959年に創業者・立石一真が、社憲「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」を制定しました。その後、社憲の精神を企業理念へと進化させ、時代に合わせて改定しながら、事業発展の原動力また求心力として数々のイノベーションを生み出し、社会の発展と人々の生活の向上に貢献してきました。この企業理念を社員一人ひとりが実践することで、事業を通じた社会的課題の解決を目指しています。このためには、世界中の社員の誰もが企業理念の考え方を理解し、行動することが重要であり、現在、グローバルレベルで企業理念の実践を強化しています。

 当社グループは、これからも企業理念の実践を通じて、企業の社会的責任を果たすとともに、持続的な企業価値の向上を目指します。

 なお、今後も企業理念を実践し、社会の発展と企業価値の向上に努めていく当社の経営の根幹は普遍であることを明確にするために、第85期定時株主総会(2022年6月23日開催)にて同企業理念を定款に記載する旨の議案を上程し、株主様の賛成を得て定款の一部を変更しました。

②企業理念に基づく経営のスタンス

 当社グループでは、すべてのステークホルダーに対して、事業を通じて企業理念を実践していくための経営の姿勢や考え方を示すものとして、「経営のスタンス」を宣言しています。それらを「長期ビジョン」「オムロングループ マネジメントポリシー」「ステークホルダーエンゲージメント」の各方針に体系化し、実践しています。

 また、この「経営のスタンス」は、企業の永続的な成長を目指すものであるため、当社グループの「サステナビリティ方針」としても同内容を掲げています。

(各サステナビリティ目標値については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) SF 1st Stageの経営目標」、取組みの詳細については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)事業環境、経営成績等の状況・分析・検討 ①当社グループの経営成績の実績及び見通し」をご覧ください)

③当社グループの存在意義

 当社グループの存在意義は、「事業を通じて社会価値を創出し、社会の発展に貢献し続けること」です。これを実現するためには社会価値を創出し、正しく利益を得る、再投資するというサイクルを回すことで社会的課題の解決を拡大再生産できる仕組みを構築することが重要と考えています。

(参考)企業理念浸透への取組み

 当社グループでは、企業理念を現場に浸透・共鳴させるために様々な活動を行っています。

<企業理念の実践を支える主な取組み>

・企業理念ダイアログ

 経営トップ自らがグローバル各拠点を訪問し、企業理念について世界各地の経営幹部や現場社員と対話を行います。そこでは、日常業務における企業理念の大切さや、経営トップ自らが事業責任者として企業理念を実践した当時の経験など実例を交えた講話が行われます。その後、参加者が互いの理念実践事例を共有・共鳴し合い、そこでの気づきを踏まえ、今後の企業理念実践アクションプランについて議論が交わされます。このように企業理念ダイアログは、各地の経営幹部や現場社員にとって企業理念の実践に向けた行動を加速する機会となっています。

・エンゲージメントサーベイ「VOICE」

 当社グループでは、経営陣がグローバル全社員の生の声をエンゲージメントサーベイ「VOICE」により集計し、当社グループで働く従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる環境を経営陣と社員が一緒に実現する、エンゲージメントマネジメントに取り組んでいます。

 VOICEは2016年から2年に一度実施し、グローバル全従業員に約70問の質問を送り、回答及びフリーコメントを収集しています。今回(2022年9月~10月実施)の調査における回答率は91%、3万8千件のフリーコメントが寄せられました。これらの回答を詳細に分析し、会社の魅力度を測るとともに、経営陣が調査結果から導かれた組織課題についての議論を行い、目標を明確に定めたのちにアクションを推進しています。

 なお、VOICEをきっかけに、コーポレートシステム刷新によるDXの着手、JOB型をベースとした人事評価制度の見直し、360度フィードバックによる管理職の課題抽出とトレーニング実施等の具体的なアクションに取り組んでいます。

・The OMRON Global Award (TOGA)

 社員による業務を通じた企業理念実践の物語をグローバル全社員で共有するプログラムです。TOGAは、社員自らが社会的課題の解決に向けた目標を立てることで、企業理念実践にチャレンジし続ける風土の醸成を狙いとしています。日々の仕事や職場における企業理念実践の取組みを全社員で共有し、称えあうことで、企業理念実践への共感、共鳴の輪を拡大しています。

 TOGAについての詳細はウェブサイトをご覧ください。

 https://www.omron.com/jp/ja/about/corporate/vision/initiative/#

(2) 長期ビジョン「Shaping The Future 2030」(2022~2030年度)

 オムロンは、2022年度から2030年度までの新たな長期ビジョン(呼称:「Shaping The Future 2030」、略称:「SF2030」)を策定し、スタートさせました。当ビジョンにおいては、社会が変革期を迎える中、オムロンがその存在意義を発揮し、より多くの社会的課題の解決を通じて社会の発展に貢献し続けるため、自らの変革と新たな価値創造のストーリーを定めました。この「SF2030」のもと、事業の成長とサステナビリティ課題への取組みを一体化して進化させ、企業価値を向上させていきます。

①「SF2030」ビジョンステートメント

 「SF2030」には、「オムロングループ全社員が企業理念を実践し、センシング&コントロール+Think技術で、持続可能な社会をステークホルダーとともにつくっていく」という思いを込めています。

②オムロンが想定する2030年の社会

 私たちは、効率や生産性を追求する「工業社会」を経て、物質的な豊かさを手に入れました。しかし人々の価値観はモノの豊かさから心の豊かさに大きく変化しています。例えば、人々の環境問題に対する意識、仕事に対する価値観は大きく変わってきています。サステナブルな製品や生活を選択することはもちろん、仕事においても、自分の能力を発揮できる仕事を通じ、ワークライフバランスを見つめなおす動きが加速しています。新たな社会・経済システムへの移行期である現在、そして次の10年は、新旧の価値観がぶつかりあい、社会・経済システムへのひずみが生じることにより社会的課題が次々に発生する時代の転換期にあると考えています。オムロンはこれらの社会的課題を解決することで社会価値を創出し、社会全体の豊かさと自分らしさの追求が両立する社会の実現に貢献し続けます。

③オムロンが創出する社会価値

 社会価値の創出に向けて、オムロンは、社会に与えるインパクトが大きく、オムロンの強みであるオートメーションと顧客資産や事業資産を活かす観点から、3つの社会的課題「カーボンニュートラルの実現への貢献」、「デジタル化社会の実現への貢献」、「健康寿命の延伸への貢献」を設定しました。

 カーボンニュートラルの実現を通じて地球温暖化問題へ取り組み、安心・安全・便利な暮らしと自然環境の両立を実現するエネルギーシステム作りに貢献します。

 デジタル化社会の実現においては、年齢や貧富の差に関わらず、必要な情報を必要な人が得ることができる状態を作ることが求められています。オムロンは、誰もがその恩恵にあずかることができるデジタル化社会の実現を通じて格差社会から生まれる問題の解決に取り組み、人々があらゆる制約から解放され、楽しく創造的でかつ、持続可能な社会を実現するものづくりやインフラ作りに貢献します。

 また、高齢化が進む社会において、健康寿命を延ばすことは、個人はもちろん、家族が幸せな生活を送るためにとても重要なことです。加えて、医療費の抑制といった観点からも重要です。オムロンは健康寿命の延伸のためにあらゆる人が健康で豊かな自立した人生を送るためのヘルスケアシステムを構築することで高齢化社会における問題の解決に真正面から取り組んでいきます。

   <オムロンが捉える社会的課題と創出する社会価値>

 これらの3つの社会的課題の解決による社会インパクトを最大化するために、「SF2030」より、グループのドメインを見直し、改めて4つのドメインを設定するとともに同領域での社会価値を定めました。インダストリアルオートメーションでは、「持続可能な社会を支えるモノづくりの高度化」への貢献を目指します。ヘルスケアソリューションでは、「循環器疾患の“ゼロイベント”」への貢献を目指します。ソーシャルソリューションでは、「再生可能エネルギーの普及・効率的利用とデジタル社会のインフラ持続性」への貢献を目指します。デバイス&モジュールソリューションでは、「新エネルギーと高速通信の普及」への貢献を目指します。

   <4つのドメインが創出する社会価値>

インダストリアルオートメーション

 インダストリアルオートメーションでは「持続可能な社会を支えるモノづくりの高度化」へ貢献します。これまでオムロンは、i-Automation!で、お客様との共創を通じてアプリケーションを創出し、様々な業界のモノづくりの技術革新や人手不足の解消、生産性の向上を実現させてきました。これからは、i-Automation!をさらに進化させ、生産性とエネルギー効率の最大化による地球環境との共存や、人の可能性を最大発揮できる製造現場の構築や業務プロセスの改善やエンジニアリング領域の業務効率向上を通じて作業者の働きがいも両立させるサステナブルな未来を支える製造現場を構築していきます。

ヘルスケアソリューション

 ヘルスケアソリューションでは、「循環器疾患の“ゼロイベント”」へ貢献します。これまでオムロンは、医療品質の家庭用デバイスをグローバルに普及させ、家庭で計測した血圧データを用いた診断・治療プロセスをつくり、脳・心血管イベント発症の予防に貢献してきました。これからは、イベント発症を未然に防ぐ、新しい予防医療の仕組みを構築することで、誰もが自然と健康に暮らすことのできる社会、質の高い医療を誰もがどこでも受けられる社会の実現を目指していきます。その社会に向けて、日常生活下でバイタルデータが測定できるデバイスの創出、医師の診断・治療の意思決定を支援するアルゴリズムを用いた遠隔診療サービスの導入や、新しい予防医療サービスの開発を実現します。

ソーシャルソリューション

 ソーシャルソリューションでは、「再生可能エネルギーの普及・効率的利用とデジタル社会のインフラ持続性」への貢献を目指します。オムロンはこれまで、太陽光発電や蓄電池の普及に貢献してきました。これからは、進化したエネルギー制御技術で発電の不安定さを解消し、再生可能エネルギーのさらなる普及に貢献します。また、社会インフラ領域においては、様々な機器、施設の運用現場を熟知し、日本全国を網羅するサービス網を通じ、運用・保守を支えてきました。これからは、現場システムの効率的な運用を支援するマネジメント&サービスで、運用・保守プロセスを革新していきます。

デバイス&モジュールソリューション

 デバイス&モジュールソリューションでは、「新エネルギーと高速通信の普及」に貢献します。オムロンはこれまで、電気を繋ぐ・切る技術で、高い性能と品質を持つリレーやスイッチを顧客の製品に組み込み、グローバルに広く提供してきました。これからは、環境負荷の低いエネルギーの導入によりあらゆる機器が直流化します。この変化を踏まえて、オムロンは、放電を安全に制御する技術や故障タイミングを事前に検知する技術で、火災や感電を防ぎ、機器の安全性を高めるデバイスを創出します。また、高速通信の普及では、耐ノイズ性能を高める技術と、これまで培った微細加工技術を用いた量産化により、「途切れない接続」を可能とする高周波対応デバイスを創出します。

④「SF2030」におけるサステナビリティ重要課題

 オムロンは「SF2030」のもと、事業の成長とサステナビリティ課題への取組みを一体化して進化させ、推進しています。社会価値と経済価値を生み出すのは、「事業を通じた社会的課題の解決」そのものです。その実現のためには、ソーシャルニーズ創造による新規事業やそれを支える多様な人財づくりが欠かせません。これらは「オムロンの持続的成長」にも繋がります。また、脱炭素・環境負荷低減やバリューチェーンにおける人権の尊重は、「社会の持続的発展」を促すための企業の社会的責任として必須となっています。「SF2030」では、これらの5つのサステナビリティ重要課題に取り組むことで、社会価値と経済価値の両方を創出し、企業価値の最大化を目指します。

  (注) 1 Scope1・2:自社領域から直接的・間接的に排出される温室効果ガス

          2 Scope3 カテゴリー11:Scope3は自社のバリューチェーンからの温室効果ガスの排出。そのうち、カテゴリー11は製造・販売

          した製品・サービス等の使用に伴う排出。

※「SF2030オムロンの進化の方向性」など、「SF2030」の詳細は、弊社ウェブサイトに掲載しています。

 特設サイト:https://www.omron.com/jp/ja/sf2030/

※サステナビリティ重要課題特定プロセスの詳細は、ウェブサイトをご覧ください。

https://sustainability.omron.com/jp/omron_csr/sustainability_management/

(3) 中期経営計画「SF 1st Stage」(2022年度~2024年度)

 2022年度から2024年度までの中期経営計画 (以下、SF 1st Stage)では、この3年間を「SF2030」ビジョン達成に向けて、社会的課題を捉えた価値創造と持続的成長への能力転換を加速する“トランスフォーメーション加速期”と位置づけました。社会構造の変化に伴い生じる成長機会を掴み、これまで培った競争力を発揮することで力強い成長を実現します。それと同時に、変化する社会に適応するため組織能力の転換を推進し、成長の持続性を高めてまいります。

<長期ビジョン「SF2030」における1st Stageの位置づけ>

①SF 1st Stage方針

 SF 1st Stageの全社方針は、「トランスフォーメーションの加速による価値創造への挑戦」です。この実現に向けて、3つのグループ戦略を設定しました。1つ目は、事業のトランスフォーメーションです。具体的には、4コア事業(制御機器事業・ヘルスケア事業・社会システム事業・電子部品事業)の進化、顧客資産型サービス事業の拡大、社会的課題起点での新規事業の創出に取り組んでいます。4コア事業の進化については、それぞれが成長領域を見直し注力事業を設定し、新たな価値創造を実現することで売上成長を牽引していきます。2つ目は、企業運営・組織能力のトランスフォーメーションです。事業環境の変化に適応しながら価値創造し続けるために、ダイバーシティ&インクルージョンの加速、DXによるデータドリブンの企業運営、サプライチェーンのレジリエンス向上に取り組んでいます。そして、3つ目は、サステナビリティへの取組み強化です。特に、脱炭素・環境負荷低減に向けた温室効果ガス排出量の削減、バリューチェーンにおける人権尊重の徹底に取り組んでいます。

<SF 1st Stageの全社方針と3つのグループ戦略>

②SF 1st Stageにおける3つのグループ戦略

Ⅰ 事業のトランスフォーメーション

 (ⅰ)4コア事業の進化

 長期ビジョン「SF2030」で掲げている4つのドメインで、3つの社会的課題の解決に向けて、事業の進化と成長を通じて社会価値を創出していきます。4つのドメインを担う4コア事業では、注力事業を再設定し事業ポートフォリオを進化させていきます各注力事業が新たな成長機会を獲得するためこれまで構築した資産・能力を最大活用していきますまた新たな顧客価値を創造しそして市場競争を勝ち抜く強固な無形資産の構築を進め高い売上成長を実現していきます。

IAB(制御機器事業)

 持続可能な社会への移行に伴い、モノづくりが変化するデジタルや環境モビリティ、食品・日用品に加え医療、物流業界といった成長業界を注力事業と設定し、フォーカスしていきます。

       (注)売上成長(CAGR)の2021年度累積は、制御機器事業の一部商品を電子部品事業に組み替えて表示しています。

HCB(ヘルスケア事業)

 循環器、呼吸器、ペインマネジメント、そして遠隔診療サービスを注力事業に設定しました。

SSB(社会システム事業)

 注力事業を「再生可能エネルギー制御」、そして保守や運営支援などを行うマネジメント&サービスとしました。

       (注)Power Purchase Agreement(電力販売契約)の略称

DMB(電子部品事業)

 電子部品事業では、社会のデジタル化に伴いあらゆる機器が直流化する流れを先取りして対応していきます。

       (注)売上成長(CAGR)の2021年度累積は、制御機器事業の一部商品を電子部品事業に組み替えて表示しています

 以上のように、これらの4コア事業で注力事業を定め、売上成長を牽引していきます。全社の注力事業の売上は、2021年度から2024年度には35%程度の増加となる、1,200億円超増加の大幅成長を計画、制御機器事業を中心に注力事業の成長がグループの成長をリードします。

 これらの成長の実現にむけて、4コア事業の中でも、特に事業成長のポテンシャルが大きい制御機器事業に対しては、新たなアプリケーションやロボットをはじめとする製品の開発、アプリケーションエンジニアの採用と能力強化への人財投資、サービス事業拡大に向けた基盤構築に向けた投資を積極的に行います。

(ⅱ) 顧客資産型サービス事業の拡大

 これまで、モノのインストールを通じて培った顧客資産(現場知見や現場データ)を活かし、顧客の本質的課題を解決する多様なサービスにより顧客への提供価値を拡大し、サービス事業の売上高を当社グループの売上高比で2024年度までに10%以上に引き上げることを目指します。

 例えば、制御機器事業において、磨き上げた革新FAアプリで獲得した累計20万社の顧客や、ヘルスケア事業のオムロンコネクトのマンスリーアクティブユーザー、システム導入・運用を通じてつながる鉄道会社顧客等の顧客資産を活用し、コンサルティングや、アフターサービス等、顧客の本質的課題を解決する多様なサービスにより、顧客への提供価値を拡大します。

(ⅲ) 社会的課題起点での新規事業の創出

 社会的課題を起点に事業テーマを設定し、事業構想・事業開発とオートメーション技術開発を一体化して進めることで新事業の創出確度を高め、2024年度までに3つの新たな事業を創出します。

 事業アーキテクチャ(ビジネスモデル)と技術アーキテクチャを相互に連携させたアーキテクチャの策定を行い、さらに、製品・サービス・ビジネスモデル開発と技術開発を連携させた事業開発を行うことで、より戦略的な新事業の創出を各事業およびイノベーション推進本部にて実行します。

 特にイノベーション推進本部では、社会的課題を解決するために近未来をデザインし、その実現に必要な戦略を明確に描き実行することで新規事業の創出を目指します。全社のイノベーションプラットフォームとして新たな事業機会の発掘に挑戦し、ビジネスモデルを変革しながら新事業を生み出していくことでソーシャルニーズを創造し、よりよい社会の実現に貢献していきます。

Ⅱ 企業運営・組織能力のトランスフォーメーション

 グループ戦略の二つ目である企業運営・組織能力のトランスフォーメーションでは、事業環境の変化に適応しながら価値創造し続けるために、企業運営と組織能力を進化させていきます。そのために、自社、社会、事業環境の観点から、トランスフォーメーションに取り組むべき3つの領域を掲げました。

<企業経営・組織能力のトランスフォーメーション>

(ⅰ) ダイバーシティ&インクルージョンの加速

 ダイバーシティ&インクルージョンの加速では、成長意欲ある人財への積極的な投資を従来比3倍強の3年累計60億円まで拡大することや、既に管理職には導入されているジョブ型人事制度を順次一般社員まで拡大することに加え、社会的課題解決の成果を分かちあうための取組み・制度として、企業理念実践の場であり、社会課題解決事例への共感の場であるTOGAのさらなる進化や、新たにグローバルの全ての管理職を対象にした業績連動型株式報酬制度の導入により強化するなどの人事施策を加速いたします。

 これらの施策の推進により、付加価値額を人件費で割って算出する人的創造性を、2024年度では2021年度比で7%向上させます。この指標は一人ひとりの能力発揮による価値創造の成果指標であり、重要な戦略目標と位置付けています。

 その他のダイバーシティ&インクルージョンの取組みは「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本」に記載しています。

(ⅱ) DXによるデータドリブンの企業運営

 DXによる企業運営の進化では、付加価値拡大と業務の効率化を目的に、バリューチェーン情報の連結による事業スピードの向上とコスト改善力の獲得、成長ドライバと事業リスクのタイムリーなマネジメントによる企業価値の向上、グローバル全社員の見える化を通じた適所適材による組織能力の最大化、グローバルエクセレントカンパニー水準のガバナンスと生産性の両立の4つの領域でデジタルトランスフォーメーションを推進します。SF 1st Stage各領域で業務プロセスの標準化を推進し、DX基盤の初期モデル構築を実現いたします。

(ⅲ) サプライチェーンのレジリエンス向上

 サプライチェーンを取り巻く環境は、地政学リスクの高まりや物流価格高騰の長期化、カーボンニュートラルや人権尊重への対応等、大きく変化しています。この事業環境の変化により、これまでのサプライチェーンマネジメントの前提も大きく変化しています。よりレジリエントなサプライチェーンマネジメントの構築を進め、変化対応力をさらに高めてまいります。

 Ⅲ サステナビリティへの取組み強化(環境・人権取組みの強化)

 グループ戦略の3つ目は、サステナビリティへの取組み強化です。なかでも、「脱炭素・環境負荷低減に向けた 温室効果ガス排出量の削減」と、「グローバルでの人権尊重の取組み徹底」に注力します。

(サステナビリティの取組みの詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しています。)

(ⅰ) 脱炭素・環境負荷低減の実現

 オムロンは、2018年7月に、2050年にScope1・2について温室効果ガス排出量ゼロを目指す「オムロン カーボンゼロ」を設定し、着実に温室効果ガス排出量の削減を行っています。SF 1st Stageにおいては、以下の取組みを推進しています。

SF 1st Stageでの主な取組み

温室効果ガス

排出量の削減

Scope1・2

自社領域からの排出量

 Scope1・2については、SF 1st Stage期間中の2016年度比53%の削減と国内全76拠点を対象とするScope2カーボンゼロ化に取り組んでいます。

Scope3カテゴリー11

製造・販売した

製品・サービス等の

使用に伴う排出量

 Scope3については、当社の温室効果ガス排出量の約8割を占めるScope3カテゴリー11において2030年度に2016年度比18%削減を実現すべく、各事業で新商品の省エネ設計などを継続して実施しています。

循環経済への移行

 資源枯渇や環境破壊の問題を解決するため、「ビジネスモデルの変革」、「製品寿命の延長」、「回収・リサイクルの拡大」、「循環型の原材料調達」、「再資源化率の最大化」などにより循環経済への移行に継続して取り組みます。

(ⅱ) グローバルでの人権尊重の取組み徹底

  SF 1st Stage期間において、バリューチェーンにおける人権の尊重への取組みを強化していきます。

 これまでオムロンでは、自社生産拠点および重要仕入先を対象にしたサステナビリティセルフアセスメントなどを活用して人権リスク調査や対策を行ってきました。これらに加えて、SF 1st Stageでは対象をバリューチェーン全体に拡大し、オムロン人権方針に従い、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)」に沿った取組みを強化し、グローバルにおける人権ガバナンス体制の確立を目指します。

SF 1st Stageでの主な取組み

UNGPに沿った

人権デューディリ

ジェンスの実施

 バリューチェーン全体を俯瞰した人権影響評価を実施することにより、「顕著な人権課題」を特定し、人権デューディリジェンスのサイクルを回せる状態を作り込んでいきます。

各国・地域に

適した人権救済

メカニズムの構築

 オムロンが人権に対して悪影響を引き起こしたり、または助長を確認した場合、正当な手続きを通じた救済を実行できるよう、各国・地域に適した人権救済メカニズムを構築していきます。

 オムロンのバリューチェーンに関わる人々が人権リスクにさらされずに働き、生活できることは、持続可能なビジネスの基盤であり、よりよい社会へと繋がると考えています。これらの取組みを通じて、オムロンの成長力へと変えていきます。

<(参考)オムロンの人権方針>

 サステナビリティ重要課題の一つである「バリューチェーンにおける人権の尊重」を実現するため、2022年3月1日に「オムロン人権方針」を制定しました。2011年に国連においてUNGPが採択されたことにより企業の人権尊重責任が明確化され、グローバルで企業を対象とする人権関連の法規制やルールづくりが進んでいます。近年では、UNGPに沿った人権取組みが企業に義務化される動きが高まっており、事業継続の観点からも重要性を増しています。オムロンは、国際社会と協調した経営や行動に努め、バリューチェーン全体で人権リスクの低減に取り組みます。

オムロングループ人権方針は以下を参照ください。

https://sustainability.omron.com/jp/social/human-rights/

(4) SF 1st Stageの経営目標

 SF 1st Stageでは、事業成長とサステナビリティ課題への取組みを今まで以上に融合させた価値創造に取り組むことから、経営目標に、財務目標に加え、非財務目標を設定しました。

<中期経営計画(SF 1st Stage)の財務目標>

<中期経営計画(SF 1st Stage)の非財務目標>

(注) 1 「カーボンニュートラルの実現」、「デジタル化社会の実現」、「健康寿命の延伸」に繋がる注力事業の売上高。

     2 GHG:温室効果ガス

     3  各リージョン:米州、欧州、アジア、中華圏、韓国、日本

     4  非財務目標の⑧から⑩は、社員投票で決定した目標。

 SF 1st Stageの経営目標(財務目標・非財務目標)の進捗は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」にて記載しています。

<参考> 「SF2030」サステナビリティ重要課題と2024年の目標

(注)1 Scope1・2: 自社領域から直接的・間接的に排出される温室効果ガス

    2 Scope3 カテゴリー11:  自社のバリューチェーンからの温室効果ガスの排出のうち製造・販売した製品・サービス等の

              使用に伴う排出

    3 UNGP: 国連のビジネスと人権に関する指導原則

 2022年度の進捗は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」にて記載しています。

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